T 本の内容(本書「はじめに」より)
小B6判・上製、1700円〒310 円
 「ニューズウィーク」の二〇〇一年十二月二六日号の表紙には、星条旗にぬいつけられた小さな「日の丸」の写真がのっています。アフガン戦争で、アメリカの「ショー・ザ・フラッグ」という要求にこたえて、小泉首相がたちまちインド洋に自衛艦を派遣したことを、日本がアメリカの一つの州に成り果てたとばかりに皮肉ったものです。
 小泉内閣は、今回のアメリカの無法なイラク攻撃でも、いちはやく支持を表明し、国際世論のひんしゅくを買いました。「思考停止」「無条件追従」のきわみです。これでは日本が米国の一部と揶揄(やゆ)されても仕方がありません。
 しかも、アメリカへの追随は外交だけにかぎったことではないのです。最近の不良債権処理や金融政策にもあらわれているように、経済の面でも、いままで日本はアメリカの要求にしたがってきました。さらに、今日の日本経済の構造的なゆきづまりも、じつは長年のアメリカに従属した経済運営がもたらしたものです。
 「ニューズウィーク」同号は、こうものべています。「多くの日本人は新しい世界秩序のなかで、日本が独自の立場を取るべきときが来たと考えている。アメリカの指示にただ従うだけの『属国ニッポン』であり続けるのか、あるいは自立して自らの意見を主張するのか。多数の日本人は、もっと自立した路線をとるべきだと答えるだろう」。

 本書は、私自身が国会論戦でとりあげてきた経済面での対米従属の問題を、その背景、歴史もふくめて掘り下げたものです。
第一章では、今日の日本経済の構造的なゆきづまりが、今までの対米従属の経済、産業政策の結果、もたらされたものであることをしめしました。
 第二章では、現在の小泉「構造改革」が、このゆきづまりをまったく誤った方向で打開しようとするものであり、それが日本をいっそうの経済危機におとしいれていることを指摘しました。
 第三章では、八〇年代後半より日本ですすめられてきた「構造改革」路線そのものが、アメリカの身勝手な要求とアメリカ主導のグローバリズム(本書では「アメリカン・グローバリズム」とよぶ)を反映したものであり、小泉「構造改革」もその延長線上にあることをしめしました。
 そして第四章では、日本経済の危機を打開するためには、日本が経済主権を回復し、「アメリカン・グローバリズム」と対峙(たいじ)しながら、国民本位の経済運営へ転換、アジアとの連帯をはかることが不可欠であることを提起しました。

 経済は、日々のくらしに直接、関係していることがらですが、「最近、経済問題はわかりにくい」という声が聞かれます。経済がマネー化し、金融、為替のうごきと切り離せなくなってきたことも、その原因のひとつだとおもいます。
本書では、できるだけ経済や金融問題になじみのない方にも読んでいただけるよう、専門的な知識にふみ込むより、ものごとのしくみと関係をのべることに重点をおきました。また、必要とおもわれる事がらには巻末に「解説コラム」をもうけました。
いまや日本は、経済危機とよぶべき段階にはいったと考えます。
本書をたくさんの方々に読んでいただき、不十分な点をご指摘いただくともに、日本経済を危機から救い、再建の道にふみだすたたかいに少しでも役立つことを願ってやみません。
2003年6月 大門実紀史
U 本の目次
目 次
はじめに
第1章 「属国ニッポン」がもたらした経済のゆきづまり
日本経済の「構造問題」とは
(1) 需要と供給の「構造的ギャップ」
輸出主導・資本蓄積優先がうんだ経済のゆがみ
産業の空洞化
(2) 日米間の資本循環のゆがみ
「ドル買い」のくびき
アメリカの軍拡とイラク攻撃を支えた日本マネー
アメリカに翻弄されてきた日本経済
(1) ニクソンとレーガンの対日強硬策
「ニクソン・ショック」
レーガンの「八つ当たり」
(2) 「プラザ合意」は日本経済になにをもたらしたか
「プラザ合意」が日本にもとめたもの
「プラザ合意」とバブル経済の関係
(1) アメリカの金融戦略
クリントンの対日戦略と日本の金融危機
アメリカがもとめた日本の超金融緩和
なぜ日本はアメリカに追随するのか
第2章 小泉「構造改革」がまねく経済危機
「あしたの経済学」に明日はない
「暗闇のなかの跳躍」
「構造改革」論のシナリオ
供給サイドの改革だけでは経済は再生しない
「構造改革」論の破たん
不良債権処理「加速」は中小企業の屍をつみあげるだけ
国民をまどわすバラ色の「規制緩和」論と虚構の「セーフティネット」
小泉「構造改革」が不況の悪循環をまねいている
誤った「需給」対策のあとに誤った「供給」対策
破たんから暴走へ
「インフレ・ターゲット」論への傾斜
「公的資金」の大盤ぶるまい
第3章 「構造改革」のルーツもアメリカにあり
レーガノミックスと日本の「構造改革」
レーガノミックス
構造改革のいきつく社会とは
「構造改革」を世界に広げた「アメリカン・グローバリズム」の波
経済のグローバル化
「ワシントン・コンセンサス」
3 アメリカにつき従う小泉「構造改革」
「新政権のための対日経済指針」
アメリカ企業の日本進出を促進する「規制緩和」
アメリカの「圧力」ではじまり、「進展」する日本の不良債権処理
ワシントンとウォール街のねらい
巨大投資ファンド「カーライル」の怪
日本の政策決定に食い込む外資
第4章 経済主権の回復と日本の未来
国民生活優先の内需主導型経済へ
日本経済のかたち
国民生活優先の内需主導型経済へ
「アメリカン・グローバリズム」との対抗軸
(1) 「アメリカン・グローバリズム」と世界
わき起こる「アメリカン・グローバリズム」への批判
「アメリカン・グローバリズム」のもたらしたもの
(2) 「グローバル・ルール」の確立を
「グローバル・ルール」
金融投機の規制
IMF(国際通貨基金)の民主的改革
アジアとの連帯
「東アジア経済圏構想」
アジアとの連帯、日本の責任
[参考文献]
あとがき
V 本の申し込み先
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■新日本出版社 営業03(3423)8402