● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●

建設産業の構造改革に伴う円滑な労働移動に向けた対応策についての提言
平成13年9月19日
建設産業の構造改革に伴う円滑な労働移動に係るプロジェクトチーム
厚生労働副大臣南野 知惠子
経済産業副大臣古屋 圭司
国土交通副大臣佐藤 静雄
1.基本的問題意識

 我が国の建設産業は、今後、不良債権処理の進展や公共投資の減少に伴う市場の縮小に伴い、大幅な雇用過剰となることが想定され、とりわけ、地方においては建設産業が主要産業の一つであることから、建設産業における雇用の確保、円滑な労働移動が行われるかどうかは、地方経済の命運を左右するものと考えられる。
 こうした問題意識に立ち、厚生労働省、経済産業省、国土交通省の副大臣により、プロジェクトチームを結成し、建設産業の構造改革に伴う円滑な労働移動に向けた対応策について精力的に検討を重ね、その結果について以下のように提言する。本プロジェクトチームとしては、この提言が、産業構造改革・雇用対策本部等の検討に反映されることを期待する。

2.課題及び対応策

■不良債権処理への対応
○ 建設業就業者については、専門的分野が細分化しており、特殊な技術、技能を持った就業者の占める割合が高いことから、従来から他産業への転出は低い状況である。
○ 不良債権処理は、個々の企業で生じるものであり、活力ある同一産業内の企業での雇用吸収は一定程度可能であることから、不良債権処理に伴う離職者のうち、技術者、技能工等については建設産業内での円滑な労働移動を促進することを中心とした施策を講じる。
○ 一方、一般事務等の事務系職種であって、特殊な技術、技能を有していない場合には、他産業への転出をも含めて施策を講じる。 
【具体的な対応策】
◇建設企業からの雇い入れ助成
・ 不良債権の処理等によって、離職を余儀なくされた建設業労働者を雇い入れ、早期戦力化を図る事業主に対する助成制度を創設する。
◇事業主が行う再就職支援に対する助成
・ 本年10月から施行される改正雇用対策法に基づく再就職援助計画対象者に対する就職活動支援を行う事業主への助成を行う。また、民間の再就職支援会社を活用した再就職支援の取組を行う事業主への支援を検討する。
◇建設業労働者に係る受入・送出情報の掘り起こし
・ 建設業界と連携した(財)産業雇用安定センターを活用した人材の受入・送出情報の提供を推進する。
◇建設業に係る労働者派遣の活用等
・ 建設業に係る業務のうち、労働者派遣制度を適用できる業務(例えば、営業、設計、事務所事務等)を明確化し、労働者派遣制度の有効活用促進を図る。
・ 職業紹介事業制度については、対象職業を含め、制度全体のあり方について見直しを行う。
◇建設業における経営の合理化の促進等
・ 建設産業の技術水準の向上を図りつつ、建設産業の再編を促進するため、以下の措置を講じる。
(1) 公共工事の指名に当たって、技術者名の事前提出を求める方式の活用・普及により、建設産業における能力ある技術者の採用を促す。
(2) 持株会社を活用して経営統合が促進されるよう、不良不適格事業者の参入排除に留意しつつ、主任技術者等のグループ内での共有化等を検討する。
◇熟練技能工の活用
・ OJTの指導員や学校での教員補助者として、熟練技能工の活用を図る。
◇能力開発支援策の充実
・ 民間教育訓練機関、事業主、大学、NPO等を活用した中高年ホワイトカラー離職者等に対する能力開発を拡充する。
◇中小建設業者のためのセーフティネットの充実
・ 下請セーフティネット債務保証事業の積極的活用等を推進する。
 
■ 市場縮小に対する対応
○ 財政再建による公的部門の需要の縮小に伴い、建設市場は厳しい状況になることが想定されるが、健全な建設産業の発展のため、建設産業の新規・成長分野の開拓等、建設産業における産業再生への取組を支援していく。
○ これにあわせ、過渡期に生じる過剰雇用については、他産業に転出するための、転職に関するガイダンスや公的訓練を含めた能力開発を充実する。
○ さらに、建設産業は高齢化が進んでおり、中長期的に労働力人口が減少する状況を踏まえると、過渡期に生じる失業問題については、一時的な就業促進対策として、公的部門による雇用創出を図る。
【具体的な対応策】
◇建設会社の新規産業展開等に対する支援等
・ 新分野に進出する建設企業や進出のための環境整備を行う業界団体等に対して支援を行う。
・ 中小建設産業の構造改革による新分野進出を促進するため、中小企業経営革新支援法に基づく経営革新計画の普及促進を図るとともに、中小建設会社の経営基盤の強化を支援するため、経営基盤強化計画の策定対象である特定業種として建設産業の該当業種を加えることを検討する。
・ 建設業経営者のチャレンジマインドの醸成を図る。
・ 厳しい市場環境にあっても良質な住宅社会資本の整備を進めるため、OFF−JT等の職業訓練制度の効率化や統一的な瑕疵保証制度の構築による効率的で質の高い技能継承・発展方策を構築する。
◇建設業における経営の合理化の促進等(再掲)
◇転職好事例集の作成
・ 建設業労働者の円滑な労働移動を実現するため、スキルアップ、職種転換、地域間移動等の好事例集を作成する。
◇能力開発施策の充実
・ 建設業労働者の他産業への転職を容易にするため、公共職業訓練を充実するとともに、教育訓練を実施する事業主に対し支援を行う。
・ また、職業訓練を行う場合に失業給付期間を延長する訓練延長給付を活用するとともに、個人を主体とした能力開発を促進するため、教育訓練給付制度を活用する。
◇「緊急地域雇用特別交付金」の改善(森林保全管理等における積極的活用)
・ 緊急地域雇用特別交付金を改善して、公的部門から民間企業、NPO等への委託(アウトソーシング等)を推進する。
・ その際、公的ニーズが大きい森林保全管理、景観形成等における雇用創出を図る。
■付属資料
○不良債権処理の進展に伴い、建設産業で20万人程度の離職者が発生する見通し。
運輸通信業
建設業 製造業卸 小売飲食業金融保険 不動産業 サービス業 その他 合計
    
○建設投資額の減少等の影響で、就業者数は今後も減少傾向が続く見込み。
 建設投資額(実績値)(増減率)
(億円)(%)建設業就業者数推計値
(万人)
  うち政府
(億円)伸び率
(%) 増減
(万人)累計
(万人)
平成11年度  717,000  0.3  324,100  ▲ 3.9  657−−
平成12年度715,900  ▲ 0.2317,000▲ 2.2653▲ 4−
平成13年度674,947▲ 5.7298,703▲ 5.8641  ▲ 12  ▲ 12
平成14年度631,336▲ 6.5257,715▲ 13.7627▲ 14▲ 26
平成15年度−−−−591▲ 36▲ 62
出所:(財)建設経済研究所試算
○建設産業については、従来から他産業への転出は低い状況。
(1)転職時の同一産業内移動率
(2)建設・土木・採掘等作業者の転職直後の職種<直近5年転職経験者>
 人数・割合
総数204人
建設作業者(建設作業員)27.0%
建設作業者(設備工事作業員)18.1%
建設作業者(土木作業員)9.9%
その他建設・土木・採掘作業者8.7%
清掃、配達、倉庫作業、その他5.5%
金属・機会・電気・自動車の製造・生産・修理作業者4.5%
ドライバー(トラック)4.4%
食料品・日用品の製造・生産工程作業者2.7%
商品販売従事者1.6%
手配業務1.4%
営業(法人固定)1.4%
61.7%
出所:(株)リクルート ワークス研究所「ワーキングパーソン調査2000」
○建設産業の就業者には、高齢者が多い。
自治体事業の外部委託比率(PDF形式)
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