● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2001年3月9日 2001年第151回通常国会本会議初質問
○大門実紀史君 私は、日本共産党を代表して、歳入関連三法案について質問をいたします。
 最初に、財政再建について質問します。
 先ほど若干の訂正をされましたが、宮澤大臣、あなたは昨日の予算委員会の中で、我が国の財政は非常なやや破局に近い状況であると発言されたことは事実であります。
 福田官房長官は昨日の夕方の記者会見で、それは十年、二十年、今のままで放置すればということだと、あなたの発言の打ち消しに躍起になっていますが、国、地方で六百六十六兆円もの借金となっているのですから、あなたの認識そのものは当然であります。
 しかし、そもそも今日の財政破綻を招いた責任はあなた自身にもあるのではありませんか。ウナギ登りの累積債務の拡大は、九二年の宮澤内閣が景気対策と称して進めた公共事業のばらまきから始まったものであります。
 さらに、あなたは、小渕、森内閣の大蔵大臣として、二兎を追う者は一兎をも得ずなどと言って、ひたすら公共事業を積み重ね、財政再建を先送りにして、この二年半だけで百二十二兆円もの借金をふやした当事者ではございませんか。
 財政を破局に導いたあなた自身の責任についてどう考えているのか、大臣の答弁を求めます。
 失政の責任を明らかにし、今までの誤りを正すことなしにまともな財政再建などできるわけがありません。
 あなたは、二月の衆議院予算委員会で、財政再建のためには消費税引き上げの公算が強いと発言し、昨日の予算委員会では、給付と負担の面において国民に厳しい選択を迫らざるを得なくなると発言されています。
 自分たちが借金をふやしたことに対する反省が一かけらもないから、すぐ消費税増税の発言をしたり、国民にツケを回そうという態度になるのだと言わざるを得ません。今までの反省の上に立って、消費税増税や社会保障負担の引き上げなど国民の負担をふやすのではなく、公共事業のむだを削る、不要不急の支出を削減する、そういう財政再建策を国民の前に明らかにすべきではありませんか。大臣の答弁を求めます。
 次に、租税特別措置法の一部改正案について二点質問いたします。
 一点は、NPOへの支援税制です。
 政府の案では、実際にNPOが税制の優遇を受けるためには、総収入の三分の一を寄附金によって調達しなければならないなど、適用についての厳しい要件がつけられています。これでは、せっかく優遇税制ができても大半のNPOは対象外になってしまうではありませんか。
 衆議院における我が党の質問に対し宮澤大臣は、対象となる法人にはそれにふさわしい公益性が必要であると答弁しています。しかし、宮澤大臣、認識の転換が必要ではありませんか。
 そもそも、NPO活動を支援する必要性があるのは、NPOの活動自体が行政の手の届かない分野の活動など、従来の公益性の基準だけでは判断できない新しい公共性、社会的役割を持っているからです。多くの善意のNPOが優遇措置を受け活発な活動ができるように、思い切って対象となるNPOの要件を緩和すべきであります。大臣の見解を求めます。
 我が党は、適用要件を緩和するとともに、みなし寄附金制度の適用、介護など福祉事業に対する非課税、認定機関として第三者機関を設立することなどを内容とするNPO優遇税制法案を提出し、成立を目指しています。政府案もこうした方向に修正すべきであります。
 二点目は、株式譲渡益課税の問題です。
 改正案は、既に決まっている四月からの申告分離課税への一本化を放棄し、源泉分離課税をさらに二年間延長する。要するに、株でもうけた所得には引き続き税金をおまけしてあげましょうというものであります。汗水流して働いた勤労所得よりキャピタルゲイン、すなわち不労所得の方が税金が著しく安くなる不公平税制の最たるものであり、そもそもそういう観点から廃止が決まっていたものです。
 宮澤大臣は今回の改正について、株式市場の状況を配慮して延長するとその理由を説明されています。しかし、株価のためなら税制で最も求められる公平の原則をゆがめてもいいと考えること自体、税制を預かる大臣として極めて無責任な姿勢ではありませんか。明確な説明を求めます。
 次に、法人税法の一部改正案について質問いたします。
 今回の法人税改正は、企業が分割、合併などの企業再編を行う際にその資産の譲渡について課税の繰り延べを行おうというものです。特に、この改正は、統合や合併を予定している大銀行がこの間強く要求していたものであります。我が党の試算では、四大グループの一つであるみずほフィナンシャルグループは、今回の改正によって、少なくとも一千億円以上の税の軽減を受けることになります。
 そこで、宮澤大臣にお聞きします。
 この間、銀行支援のために七十兆円もの公的資金の投入枠をつくってきました。この上、あなたはこうした大銀行グループの統合を税制面から支援するおつもりですか。こんなことは到底許されるべきものではありません。一体この措置でどれだけの税金が軽減されるのか。少なくとも、統合、再編の期日が具体化している四大銀行グループに対する税の軽減額を直ちに明らかにすべきであります。大臣の答弁を求めます。
 その上、政府は今回の法人税改正を銀行における不良債権の直接償却とセットで進めようとしています。企業の不採算部門を分割し、たとえ債権放棄という形をとったとしても、下請中小企業の倒産、リストラによる失業がさらに増加するのは避けられません。日経連や日本商工会議所などからも、倒産、失業の増大を懸念する声が出されているではありませんか。既に企業の倒産も失業率も過去最悪となっている中、政府はどういう倒産、失業の防止策を立てているのか、柳澤金融担当大臣、平沼経済産業大臣並びに坂口厚生労働大臣の答弁を求めます。
 経済学の大御所であるガルブレイスは、最近出版された「世界の知性が語る二十一世紀」の中で、次のように述べています。現在の経済システムでは、真っ先に救済の対象となるのは、経済危機をもたらした張本人である銀行家や実業家であり、不況の被害をまともに受ける人々の救済は後回しにされてしまうのです。そして、ガルブレイスは、こういう現代資本主義のやり方を批判し、罰すべきは労働者でなく銀行であると明確に指摘をしています。
 大銀行や大企業にだけ手厚く、国民に苦しみをばらまくような経済運営はもうやめるべきです。こんなことを続けていたら、銀行や一部の企業は栄えても、日本経済全体が沈没してしまうではありませんか。
 日本共産党は、リストラを規制し雇用を守る、社会保障の改悪をやめて国民の将来不安を取り除く、そういう国民の暮らしを直接応援する経済の運営へ切りかえることこそ、不況を打開し、日本の経済を大もとから立て直す道だと考えるものであります。
 経済の再生や株価対策を言うのであれば、既に国民の信任を失っている森自公保内閣の即時退陣こそがそれを実行する最も確かな道であることを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
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