● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2001年3月22日 財政金融委員会初質問
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
 私は、金融庁並びに国土交通省も関係しておられます自動車損害賠償保険、いわゆる自賠責保険の問題について質問をいたします。
 今国会で自動車損害賠償保障法及び自賠責再保険特別会計法の一部改正案が提案されることになっておりますけれども、きょうはこの改正案に関連して、交通事故被害者、とりわけ重度の後遺障害者の方々の救済対策に絞って、金融庁並びに国土交通省、また関連して財務省のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
 お手元に資料を配付させていただきました。自賠責保険による被害者救済のスキームといいますのは若干ややこしくなっておりますので、この資料をごらんいただきながら質問を進めさせていただきたいというふうに思います。
 第一点は、重度後遺障害者の現状について基本的な認識をお伺いしたいというふうに思います。
 この資料の最初のところにメモをしておりますが、ともかく交通事故の死傷者はますます増加していると。昨今、緊急医療の発展というのがありますので、命は取りとめたものの重度の後遺障害者になるという方がふえておりまして、この十年で二倍になっているというふうなことでございます。
 まず、国土交通省にお伺いしたいんですが、九八年度一年間で、この資料にありますとおり千九百四十四人の方が後遺障害者になってしまったということですが、この十年間でトータルでどれぐらいの方が重度の後遺障害者になられたのか、そのうち常時介護を必要とする方は、この十年間で結構なんですが、トータルで何人になるのか、教えていただきたいというふうに思います。

○政府参考人(金子賢太郎君) 御説明を申し上げます。
 平成二年度からの十年間でございますけれども、後遺障害等級、これは全部で十四級、十四ランクに分類をされておるわけでありますが、そのうちの上位一級から三級までに該当される方を重度後遺障害者というふうに呼称をしておりますけれども、これらの方々につきまして、保険金の支払いベースでございますが、十年間で一万六千二百三十六件という数字になっております。そのうち、お尋ねの常時介護が必要と考えられる方々は、約半分に当たります八千五百六十八件となってございます。

○大門実紀史君 ありがとうございました。
 国土交通省として、今後、交通事故による重度の後遺障害者の数はさらにふえるというふうにお考えかどうか、また、何か推計なりされておりましたら教えていただきたいというふうに思います。

○政府参考人(金子賢太郎君) 国土交通省として、事故あるいは重度後遺障害者の数自体につきましての推計というものを的確なものとして持っておるわけではございませんが、昨今の交通事故の状況を見てみますと、事故の件数でありますとか死傷者の数というものが史上最悪を更新するといった極めて憂慮すべき状態の中で推移しておりますので、私どもとしましても、被害者の救済対策というものの充実が喫緊の課題であるというふうに認識をしております。

○大門実紀史君 今、交通事故に遭うのはやはり子供あるいは若者が多いわけでして、したがって後遺障害者になるのも子供や若者の方がかなり多いというふうになっています。その点では、親御さんにとっては、緊急医療が発達したということで、命は取りとめてくれたというようなことで、九死に一生を得たということで、そのことは大変な喜びなわけですけれども、ただ、その一方で、御家族には重度後遺障害者の介護という大変重い現実が待ち受けているのも事実だというふうに思います。
 その中でも、遷延性障害、余りこういう言葉を使いたくないんですが、いわゆる植物状態になる子供たちもかなりの数に上っていまして、そういう場合ですと、特にやっぱり親御さんたちに経済的にも、肉体的にも、精神的にもかなりの負担が今かぶっているというふうに言えると思います。
 その中で、後で触れますが、交通事故に遭った重度の後遺障害者の方々に対する現在の介護給付が必ずしも十分ではありませんし、またその行政のサポートも大変不十分だという中で、そういう子供たちあるいはその若者を抱えた御家族というのはかなりぎりぎりのところで今過ごしておられるというのが実態だというふうに思います。お年寄りの介護と違いまして子供の介護ですので、親の自分が倒れたりあるいは亡くなった後どうなるのかという、親亡き後のことを皆さん心配されておりまして、残念なことに、中には子供の将来を悲観してともに命を絶ってしまうという事件もこの間起きているところです。
 いずれにせよ、この問題というのは、交通事故がふえる中で急いで、しかもこれはもう与野党問わず政治の責任として取り組むべき課題ではないかというふうに考えるところです。
 そこで、この自賠責保険を、国土交通省もかかわるわけですが、全体として所管されております金融庁として、柳澤大臣ですね、特に重度後遺障害者のことについての認識と、あるいは救済対策に取り組む姿勢というものをぜひこの機会にお聞かせいただければというふうに思います。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 大門委員が御指摘のとおりでございまして、最近、救急医療技術の発達等を背景に、交通事故による重度の後遺障害者が急増していると、こういう指摘が我々の方の答申、政府側の答申にも指摘をされておるわけでございます。被害者の多くは多額の費用を介護に必要とするために、死亡したよりも賠償額も多額になっている、こういうことも同時に指摘をされているわけであります。
 したがって、これを受けまして、金融庁といたしましては、関係省庁と協力をしながら、重度の後遺障害者に対する介護費用を保険金の支払い対象とする、これは格別法律改正までは要しないようでございますけれども、そういうようなことなど、自賠責答申で指摘を受けた事項の具体化に向けて取り組んでまいりたいと、このように考えている次第でございます。

○大門実紀史君 その自賠責審議会答申については後でまた触れさせていただきますが、被害者の家族の中には、今、非常に少人数ごとなんですけれども、会をつくって会員間の相互の相談活動をやられたり、あるいは自治体も含めて行政に要請行動をされたりしている動きもあるんですけれども、全体としてはまだまだ、そういう活動といいますか取り組まれている方は少数でありまして、マスコミもこの間時々クローズアップはしてくれているんですけれども、全体として非常に社会的な発言力がまだ弱い中でいろんな心配を抱えておられます。
 この資料の(2)のところにちょっと図解をしておきましたけれども、今度再保険が廃止されるという中で、この再保険制度そのものは国土交通の委員会で議論されると思いますので、これに関連する被害者救済のところで質問させていただきたいわけですけれども、ただ、この再保険の廃止の中でどうも私が心配しておりますのは、損保業界あるいは自動車業界というかなり大きな力のある業界のいろんな要望なり要求のはざまでこの被害者の人たちの問題が踏みつぶされはしないかと、あるいは本当にきちっと取り上げられていくのかという不安を実は抱えているところです。
 保険会社は当然、企業利益を追求するのは当然ですから給付を少なくしようとするし、この間もいわゆる出し渋り問題でいろいろ適正勧告が出たりしたところでありますし、自動車業界もできれば自賠責の保険料は、これは車を購入するときに払いますから、安い方が車も売りやすいということで保険料を下げたいと、下げてほしいと。つまりこれは、運用益が出た場合は、被害者救済よりもユーザー還元といいますか、保険料を下げる方に使ってほしいというふうな要望が出てくるわけです。
 そういう中で、この再保険廃止の中で、きちっと被害者救済だけは守っていただきたいといいますか、後で触れますが、水準が余り十分でありませんので、むしろ発展させていただきたいというふうに思うわけです。その上での、被害者等の方々、特に後遺障害者の方々の実態なり御要望なりを把握する仕組みといいますか、システムをやっぱりきちっと制度の中につくっておく必要があるというふうに思います。
 具体的にこの辺は質問した方がいいと思いますけれども、金融庁の自賠責審議会には、今、損保業界の代表の方、また自動車業界の代表の方、学識経験者の方々、それと被害者の代表としては、臨時委員でありますけれども、交通事故遺族の会の井手さんが入っておられるというのは知っておりますが、ただ、これから大きなものになってくるであろう後遺障害者の方の当事者はまだ入っておられないわけですね。これは、前もって伺いましたら、今後、その被害者救済というのは自賠責審議会だけでやるとは限らないと。場合によっては、金融審議会の中の自賠責制度部会というんですか、そこで行うケースもあると。
 いろいろだということを伺っているんですが、いずれにせよ、これから大きな問題になってくるわけですし、自賠責審議会の答申でもそこは対策を強化しようとなっているわけですので、ぜひ、どの委員会になるかは別として、そういう後遺障害者の被害者の会の当事者の方をその委員に加えていただく方向で御検討いただけないかというふうに思いますが、金融庁としていかが今のところお考えか、お聞かせいただきたいというふうに思います。

○副大臣(村井仁君) 若干技術的な話になります。私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。
 自賠責保険につきましては、昨年の六月、自賠責審議会における答申をちょうだいしたところでございまして、その要旨は先ほど柳澤大臣から申し上げたとおりでございますが、私どもとしましても、それの着実な具体化というものを図っていく、これが非常に重要な課題だと思っております。
 その場所としまして、私どもとしては、金融審議会の自賠責制度部会というのがございますが、ここで御研究をいただこうと思っておりますが、その際に、先ほど御指摘のように、重度の後遺障害者の問題というのは確かに大きな問題でございますので、できますれば、私ども、関係者からのヒアリングを少し丁寧にやっていただこうかと、こんなふうに考えておるわけでございます。
 と申しますのは、金融審議会の自賠責制度部会と申しますのは、実は部会長以下四人という非常に限られた学識経験者で構成しているところでございまして、そこで公正な御判断をいただければと、こんなふうに思っておる次第でございまして、そこで、再度申し上げますけれども、被害者の方の関係者からよくお話を聞かせていただく、そういうことでその御意見をできるだけ反映するように努めさせていただきたい、こんなふうに思っておるところでございます。

○委員長(伊藤基隆君) ここで委員長から申し上げますが、現在、委員会は定足数に達しておりません。
 参議院委員会先例録四八「委員会開会後一時定足数を欠く場合においても、質疑についてはなお委員会を継続する」という条項をもって継続しておりますが、大分長い間そのままになっておりますので、ここで暫時休憩いたします。
   午後三時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後三時五十九分開会

○委員長(伊藤基隆君) 委員会を再開いたします。

○大門実紀史君 今、副大臣から御答弁いただきましたけれども、ヒアリングはもちろん丁寧にいろいろ機会を設けてお願いしたいんですが、その自賠責制度部会には臨時委員を設けられるのかなというような気もするので、きょうはこれ以上申し上げませんが、昨年の国土交通大臣の諮問機関であります例の自賠責のあり方懇談会には臨時委員として参加されておりますので、ぜひ委員として、臨時委員という形でも委員として参加されることも含めて、今後御検討をぜひお願いしたいというふうに思います。
 次に、先ほどの資料を見ていただきたいと思うんですが、この重度の後遺障害者の方々に対する介護給付といいますのは保険の基本的な保障には今入っておりませんで、この右側の再保険というふうな特別会計の運用益で今支給がされているというふうな形になっております。この運用益の特別会計といいますのは今約二兆円近い膨大な金額がたまっているということですので、この特別会計に関連して幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、大変素朴な疑問なんですけれども、自賠責保険というのはノーロス・ノープロフィットということになっているわけですが、なぜこんなに膨大な二兆円もの運用益がたまっているのかと、本当に素朴に不思議に思うんですが、これは金融庁あるいは国土交通省、どちらでも結構ですからお答えいただけないかと思います。

○政府参考人(金子賢太郎君) 御指摘のとおり、確かに二兆円というのはいかにもたまり過ぎではないかという御指摘をちょうだいしておりますけれども、まず保険の通常のパターンといたしまして、保険料を収受いたしましてから実際に保険金が支払われるまでの間のタイムラグというのがございます関係で、そこで、収受しました保険料、あるいは現在は再保険をやっております、六割の再保険でございますが、政府の方で財投資金の一部として運用していただいておるわけでありますけれども、民間側の四割あるいは政府側の六割におきまして、収受した保険料を運用することによって一定のそこに果実といいますか、利息、運用益が生じるわけであります。
 損害率と申しますけれども、一定の事故の発生件数など予測いたしまして、支払い保険金のトータルを、おっしゃられましたとおりノーロス・ノープロフィットの原則のもとで、収受した保険料と最終的には均衡するような形に保険料の方を設定するわけでありますけれども、その損害率の見込みが安全サイドに少し触れて、結果、運用益が少し予想よりも多目に残ってしまうというようなことが一つの原因かと思います。

○大門実紀史君 そうすると、要するに予想したよりも給付が少なく済んだというふうなことですよね、簡単に言えば。
 これはきょうは、これもどちらかというと国土交通委員会かと思いますので深くお聞きしませんが、予想したよりも給付が少なく済んだというのは二つありまして、一つは、給付の金額そのものといいますか、保障金額そのものが低いか、あるいはいわゆる出し渋りといいますか、このごろはいろいろ指摘されていますけれども、損保会社の出し渋りということも、この二つもそれに関係しているんではないかなというふうに思って、とにかくいろいろ説明あっても二兆円というのはかなり不思議な膨大な金額ではないかというふうに私思っておりますので、これは改めて取り上げさせていただきたいというふうに思います。
 ただ、実は、この特別会計から平成六年と七年に一般会計へ繰り入れが行われておりまして、平成六年度で八千百億円、七年度で三千百億円、合わせて一兆一千二百億円のいわゆる国の隠れ借金といいますか、行われているということですが、今現在、これは繰り戻しされていったんだと思いますが、どれぐらいまだ借金が残っているか教えていただきたいと思います。

○副大臣(若林正俊君) 御指摘のとおりでございまして、平成六年に八千百億円、七年度に三千百億円、計一兆一千二百億円を一般会計に繰り入れております。法律の規定に基づきまして、八年度の補正予算で千五百四十四億円、九年度の補正予算で八百八億円、十二年度の当初予算で二千億円をそれぞれ繰り戻しておりまして、十三年度予算におきましても、十二年度に引き続きまして二千億円の繰り戻しを計上することといたしているところでございます。その結果、繰入金の元本残高は四千八百四十八億円になります。

○大門実紀史君 まだ五千億近く借りたままという状態なわけですけれどもね。
 もちろん、一般会計への繰り入れというのは法律に基づいてやられておるわけですが、ただ、この自賠責の特別会計というのはちょっとほかの特別会計とは私は違うと思うんです。その趣旨からいっても、運用益をためていくわけですけれども、その保険の運用益というのは、ユーザー還元といいますか、ユーザー還元と被害者救済に回すというのは自賠責法で決められてもいるわけですから、余りほかの目的で使用するというのはいかがなものかなというような気が実はしているわけです。
 これはできれば宮澤大臣にお伺いしたいんですけれども、こういう特別会計で、若干特殊なといいますか、割と性格、趣旨のはっきりしているものを、こういう隠れ借金といいますか一般会計に繰り入れるというのは、私は、ちょっと趣旨と違うといいますか、問題があるんじゃないかと思いますが、大臣としてはこの辺はいかがお考えでしょうか。

○国務大臣(宮澤喜一君) こういうところから金を借りるということは、余り自慢するほどのことでは確かにございません。ただ、今お話しのように、結果としての運用益がかなり余裕があるということから、法律に基づきまして一般会計に貸してもらったと、そしてその返済についても今申し上げましたようなことでございます。
 それで、両大臣の間に覚書がありまして、十三年度から十六年度までの間に分割してお返しをすると。そして、もちろん被害者対策やユーザーに支障が生ずるなんてことは絶対ないようにいたしますが、今のような覚書で、運用収入相当額も含めてお返しすると、こういうことにしておりまして、この会計そのものの本来の目的に迷惑がかかることがあっては断じてなりません。そういうことがないようにはもとより配慮いたしておりますが、そのような事情でございます。

○大門実紀史君 この問題は、昨年の末だったと思いますけれども、朝日新聞で取り上げられまして、被害者の方々が、初めてその朝日新聞を見て、そんなことに回されていたのかということでかなり怒りを持たれたというのがありますので、財政事情だけではなくてやっぱり特別会計の趣旨もよく御配慮いただいて、法律にのっとってということですけれども、そういう特別会計からの隠れ借金そのものがいいのかどうかというのはもちろんあるわけですが、ぜひ配慮をしていただきたいといいますか、そういう趣旨のはっきりしたものですから、お願いしたいというふうに思います。その御意見だけきょうは申し上げておきます。
 次に、具体的な後遺障害者の救済策そのものについて質問させていただきますけれども、国土交通省の担当部局の皆さんがこの間努力されてきたのは私も十分承知しております。ただ、率直に言って、現在の介護を中心とした後遺障害者の方々に対する救済策というのは、実態からするとかなりかけ離れたレベルにあるというのが実際だというふうに思うんです。
 二兆円近くも運用益が出ているわけですけれども、例えば介護の給付金額ですけれども、一日ヘルパーさんを頼んだ場合で四千五百円、そうじゃない場合は二千二百五十円しか介護給付が出ないというのが実態でして、御存じのとおり厚生労働省の介護保険は一時間四千二十円ですから、それと比べるとかなりかけ離れた介護給付の実態であるというふうに思います。
 これは国土交通省の方の所管になるんでしょうけれども、この金額については、この二千二百五十円、あるいはヘルパーさんを頼んで四千五百円というのは、実態を調査されてといいますか、何か根拠があって決められた金額なのかどうか、お答えいただきたいと思います。

○政府参考人(金子賢太郎君) 介護料のレベルといいますか、額についてのお尋ねでございます。
 確かに、同じ交通事故に遭って被害者となられた方でありましても、労災保険が適用される方でありますとか、あるいはお年の関係で介護保険が適用される方などに対しましては、それぞれの保険の制度によりまして介護費用の一部が支給されるのに対しまして、それ以外の人々というのは制度的には保険給付の対象とならないということがございまして、私ども国土交通省といたしましても、こうした方々を対象に、労災保険など他の制度との均衡、バランスを図りながらこれまで介護料の支給を行ってきたところであります。
 確かに、四千五百円、二千二百五十円という額がどうなのかという御指摘であるわけでございますけれども、私どもの方でも昭和五十四年に本制度、三千円、千五百円から始めまして、三回の改定を経て今日の額になっておるわけでありまして、今後のことでありますけれども、労災保険制度などによります介護料の支給額の見直しが今後行われる際には、私どもといたしましても、交通事故の被害者に対する介護料の支給額について適切に見直してまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 もう一度お聞きしますけれども、そうすると、実態調査とかされて決めた金額ではないと。労災とかほかの状況をかんがみて決められた金額ということですね。それだとやっぱりわからないと思うんですね、その実態が今どれだけ大変かということが。
 それで、いろいろ実態を私も家族の方とかお会いしましてお聞きしましたけれども、全部いろいろ述べている時間もないんですが、一つの例だけ申し上げますけれども、カニューレという言い方をするんですけれども、いわゆる遷延性、植物状態になった子供たちなんか特にそうなんですが、のどにカニューレという管を通してたんを吸い出すんです。これは実は医療行為でして、本当はお医者さんか看護婦さんしかやっちゃいけないことなんですけれども、在宅介護で親がやる分には目をつむっている。親がやっても本当は医師法違反なんですけれども、ミスをしても裁判にならないですからね。親だとならないということで親に任されているというふうな実態があるんですが、これを実際に医師法に基づいてお医者さんなりあるいは看護婦さんを頼んで、これは一日に十数回やらなきゃいけないらしいんですけれども、頼んだ場合もやっぱり六千円、八千円かかってしまうというふうなことがあるんですね。遷延性の場合、特にそういういろんなケースがあるわけですけれども。
 また、先ほど申し上げましたけれども、子供たちが後遺障害者になったケースを今お話ししているわけですけれども、当然兄弟がいたり、親御さんもまだ働き盛りだったりすると、共働きだったりするわけですよね、そうしないと生活できないという場合でヘルパーさんを例えば一日四時間頼んだとすると、時給は今、大体九百五十円とか千円ですから、それだけで四千円一日にかかってしまうと。あと必要経費を含めたらもうそのプラス五百円なんてすぐ飛んでしまうということで、全然実態に合わないのが今の二千二百五十円、あるいはヘルパーさんを頼んでも四千五百円ということだと思うんですね。
 労災保険等々いろいろ言われましたけれども、労災保険も、平成八年の介護給付を組み入れるときの論議の中で、有識者の方々はかなり低いんだと、労災のその金額も低いんだという議論なり意見を出されたところですから、その低きに合わせるといいますか、低い方を基準にするんじゃなくて、先ほど申し上げましたとおり二兆円も運用益があるわけですから、ぜひそれを取り崩してでも、今実態に合った金額に早急に改善をしてもらいたいというふうに思いますが、もう一度今後の検討方向をお答えください。

○副大臣(村井仁君) 実は、先ほどちょっと引用させていただきました自賠責保険審議会の答申でございますが、そこでただいま委員御指摘の介護費用の問題につきまして言及がございまして、「介護に要する費用を保険金としても支払いの対象とすべきである。」と、こういう指摘がございます。
 それから、その際の支給対象者の範囲でございますとかあるいは支給金の限度でございますとか、こういうことにつきましては、今ちょっと労災保険の問題につきまして、あるいは介護保険のレベル等につきまして委員から言及ございましたが、答申では、引用させていただきます。「労災保険の給付の状況、都道府県等が支給している介護費用等との関係等を踏まえて、早急に検討する必要がある。」、このような指摘がなされているところでございまして、現在まで保険金の対象としないものでございますから、先ほど来委員御指摘ございますように運用益活用事業ということで見てきたわけでございますが、それから一歩進んで保険金の中に入れるべきだと、こういう指摘がされているところでございまして、さような意味で、今後その答申の趣旨を十分体しまして私どもとしましても対応をしてまいりたいと存じます。
 なお、当然のことながら、国土交通省とも十分連携を保ちながらやらせていただくつもりでございます。

○大門実紀史君 その問題は、自賠責審議会での答申に関係して、今後この介護給付をどうするかというのはちょっと後でまたお伺いしたいというふうに思っているんですが、今の運用益事業の中でも私はやれるというふうに思いますし、自賠責審議会の答申そのものの中にも、労災保険だけじゃなくて、都道府県が実施している介護保険も参考にしろといいますか、それも考えなさいというふうに答申が出ているわけですから、やっぱり今低いということは認められているんだなというふうに思いますので、その運用益事業の中でも今すぐにでも、私は、あれだけの金額があって、それだけのものを手当てする財源は十分あると思いますので、今後のことも後でお尋ねしますが、できるだけ早く引き上げていただきたいと。そのことをぜひ至急御検討していただかないと、本当に悲惨な状況、ぎりぎりで歯を食いしばって頑張っておられるというような状況、これ以上待たせていいのかということもありますので、運用益の中としても引き上げをぜひ早急に御検討いただきたいというふうに思います。
 それで、次に金融庁にお尋ねいたしますけれども、先ほどの自賠責審議会答申のことですが、あの答申の一つの目玉は、在宅介護を支援していくということがかなり前面に出ていて、その辺ではかなり前進面もあると私も思うんですけれども、ただ、これは裏を返せば、家族が面倒を見ていけよ、家族が中心にやっていってくれというようなことでもあるわけなんですね。
 それは、十分な給付なり、ショートステイ含めていろんな環境が整備されればまだしも、それは今後検討されるんでしょうけれども、一番そこで心配なのは、また家族の方々が心配されているのは、先ほど冒頭に言いました親亡き後の介護といいますか、親が倒れたり先に亡くなったりしたらこの子どうなるんだろうというところが一番日々不安に思っていらっしゃるわけですが、その辺はどういうふうにお考えなんでしょうか。

○副大臣(村井仁君) このあたりは、自賠責審議会の答申におきましては、「運用益活用事業の見直し」というところで療護センターにつきましての付言がございまして、療護センターについては、現在計画している増床を進めるとともに、短期入院制度等についての支援を実施するというくだりがございます。そんなような形での対応を答申では指摘をしているということでございます。

○大門実紀史君 そうすると、その療護センター、今度岐阜にできて、今四カ所になって、それでもベッド数は合計で、いろいろ含めると二百四十ぐらいにしかふえないということをお聞きしていますが、今の副大臣の御答弁ですと、親亡き後のことは療護センターで考えていくというふうにおっしゃるということは、それなりの増設といいますか、療護センターをこれから全国各地にふやしていくというふうなお考えでしょうか。

○副大臣(村井仁君) このあたり、答申の段階では、療護センターをふやすということではなくて、現在計画中の増床をきちんとやるという指摘をいただいているということでございます。

○大門実紀史君 今回の予算案にも入っておりますけれども、後で国土交通省の方からお考えを聞きたいと思いますが、先ほど言いましたけれども、一万数千人なり八千人なり、そういう交通事故による常時介護の必要な人がいるという状況に見合うだけの予算措置もなければ計画もないのが私は実態だと思うんです。もちろん療護センターだけではありませんで、協力病院なりそういうところでの増床も含めてちゃんとした財政措置がとられれば、それを引き受ける病院もふえるでしょうから、それは一つの方法だと思います。
 ということは、療護センターだけではなくて、協力病院を財政措置をきちんとしてふやしていくというふうなことも含めて、これからそこを手当てしていく計画というのはあるわけでしょうか。

○政府参考人(金子賢太郎君) 確かに、療護センターだけでいくという方針はちょっと私どもとしても無理も多いかなと思っておりまして、療護センターの整備とあわせて、在宅介護を支援するというような趣旨から短期入院の制度を設ける、その中では、先生おっしゃられましたような協力病院の制度も十三年度から取り組みたい、そういうことを通じて負担の軽減あるいは在宅介護の支援を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
 最初の療護センターの整備の方につきましても、先ほどちょっと御説明がございましたけれども、現時点での病床の数は百三十床でありますけれども、この六月に中部療護センターというのが開業いたします。さらに、現在、既存のセンターの中に併設するという形で介護病床の整備も進めておりまして、この辺も計画的に今後取り組んで、病床の数、全体のキャパシティーを少しく増加させていきたいなというふうには考えております。

○大門実紀史君 実際に出ている計画に細かく触れる時間はちょっとありませんけれども、全然規模に合わない、実際の要望があるあるいは待機されている人たちの規模に合わない、その十分の一以下ぐらいの手当てしか今されていないということを、今後努力していくというところだけで済まないと思いますので、もっと抜本的な、親御さんが万が一のときの介護体制というのを検討していただきたい、対策を強化してもらいたいというふうに思います。
 最後に、先ほどもお話しありましたけれども、私も、介護給付そのものを保険の本体にといいますか、保険の保障の中身そのものにやはり入れていくべきだろうと。これからこれだけ重要な大きな問題になってくるわけですから、別個ではなくて、保険の保障給付の中にそのまま組み込むべきだというふうに思いますが、今後それはどういうふうに進められていくのか、お考えがあればお聞かせいただきたいというふうに思います。

○副大臣(村井仁君) 先ほど申し上げました昨年六月の自賠審の答申にのっとりまして、関係省庁と御相談をしながら、ただいま委員御指摘の重度の後遺障害者に対する介護費用、これを保険金の支払い対象とする、こういう方向で検討を進めてまいり、早急に実現するように努めたいと存じます。

○委員長(伊藤基隆君) 時間が来ていますよ。

○大門実紀史君 きょうは介護給付の問題しか触れられませんでしたけれども、そのほかの不十分な問題もございますので、ぜひ金融庁、国土交通省、それぞれこの救済対策に今後も御努力をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
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