● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2001年3月27日 財政金融委員会質問
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 今も御議論ございましたが、最初に財政再建についてお聞きしたいと思います。
 この間、我が党は、財政再建のためには公共事業費の総額の削減が必要ではないかという質問なり御意見を申し上げてきたところですが、今の宮澤大臣のお話の中でも、国民負担についてはかなりいろいろ言われますが、公共事業費の削減について余り明確にお答えいただいていないのではないかというふうに思います。
 そこできょうは、周辺の景気とかの議論は除いて単刀直入にお伺いしたいんですが、財政再建との関係で見て、公共事業費の削減は宮澤大臣としてお考えになっているのかいないのか、端的にまずお伺いしたいというふうに思います。

○国務大臣(宮澤喜一君) それは、先ほど申しましたようなプロセスで作業が進んでまいりますと、歳出はどこまでということが出てこざるを得ませんので、そうすると歳出の中でどう削るかと。削らないかもしれませんが、ふえるということは恐らくありそうなことでないので節減の方にいくと思いますが、その中で公共事業費はどれだけ削るといったようなことに帰納してこざるを得ない、そういう作業になると思います。

○大門実紀史君 削減も考慮に入れざるを得ないというようなことだと。当然そう思います。
 それで具体的にお伺いしたいんですけれども、公共投資基本計画というのが閣議決定されまして、今もそれは維持されているといいますか、目標をやろうということで取り組まれているというふうに思いますけれども、これは九〇年に海部内閣が、その前の日米構造協議との関連がありまして、アメリカとの関係で、そのときは九一年から二〇〇〇年度までですが、十年間で四百三十兆の公共事業をやるというふうな公約があったわけで、その後、村山内閣のときに若干変更といいますか、新しい公共投資基本計画ということになりまして、九五年から二〇〇四年までに六百三十兆をやると。さらにその後、橋本内閣のときに、例の構造改革の一環として、期間を延長して二〇〇七年までに六百三十兆円をやるというふうに今なっているというふうに思います。
 それで、旧経済企画庁、今内閣府かと思いますが、その実績値をとっておられるようですので伺いましたところ、九五年から九七年の実績値でいきますと、ほぼ目標どおり推移しているというふうなことを伺いました。それで、六百三十兆を十三年間に延長しましたから、十三年間ということになりますと、単純に割りますと年間で四十八・五兆を十三年間やるという計画になると思うんですが、経済企画庁といいますか、内閣府の方ではほぼ順調にその目標どおりいっているということをお聞きいたしました。
 ただ、九七年までしか実績が出ておりませんので、私の方で少し、少なくとも二〇〇〇年度までどれぐらいになっているのかという推計をしてみたんです。これは政府が発表されております経済見通しあるいは行政投資実績の用地費の部分というふうなものを使って試算をしてみましたけれども、恐らくそれほど実績と違わないと思うんですが、要するに二〇〇〇年度までに大体二百八十四兆ぐらい公共投資が行われているというふうな計算になります。残りはすなわち三百四十六兆円、それを二〇〇七年までですから、あと七年間でやるというふうなことの、大体そういう推計が出てくるんです。
 それと、旧建設省といいますか、国土交通省の外部団体といいますのか外郭団体といいますのか、建設経済研究所というところが、公共事業の財源の約六割は借金で行われているというふうなこれも数字を出されておりますので、非常にアバウトですけれども、あと七年間でやる三百四十六兆円、これを目標どおりやるとしますと、大体六割が借金ということになりますと、二百兆円以上これから借金をふやさなきゃいけないというふうな数字が出てまいります。
 したがって、この公共投資基本計画をこのままやり続けますと、二〇〇七年までにこの公共事業の部分だけであと二百兆も借金がふえるというふうなことになってしまうわけですから、大変な財政破綻どころか破滅に近いことになると思うんですが、それでもこの公共投資基本計画を最後まで目標どおりやり遂げるおつもりかどうか、ぜひお伺いしたいというふうに思います。

○国務大臣(宮澤喜一君) 私が私だけでお答えしていいかどうかとは思いますものの、今の実は大門委員のお話は大変に古い歴史的な経緯のあることでございまして、日本人がウサギ小屋に住んでいると言われて非難されたあのころに起こった出来事でございます。
 振り返るとまことにいろいろ曲折がございましたが、こういう不況になって結果としてはまた公共投資に重点を入れておりますものですから、結果として今お話しになったように案外実績が積み上がっておるのかもしれません。実は、そういう約束があったことを忘れておったわけではございませんけれども、かなり古いいきさつであったものですから、結果としてはそうなっているかという感じを今お話を伺って思いました。
 ただ、どう申しますのでしょうか、そういう話し合いがあり、そういう計画もできて、実際にはそれが一遍棚上げになったりまた中断されたりということであったと思いますので、こういういわば別の環境になりましてどういう処理をいたすべきものか。今、役所としては前の経済企画庁が管理しているアイテムなのかもしれませんが、ちょっと今どういうふうに扱うべきか私もお答えをいたしかねますので、一遍それを管理している諸君がどういうふうに考えておりますか聞いてみることにいたします。
 大分前の話であったもんですから、ああそうだったかと思いながら、しかし、ちょっと別の要因から案外その実績が積み上がっているということがあるのかもしれないと思います。

○大門実紀史君 きょうは公共事業問題はこれ以上触れませんですけれども、いずれにせよ、財政再建にとって、もう何度も申し上げているとおり、世界最大規模になっていると、GDP比ですね。これの削減に手をつけないで財政再建はないだろうというふうに思いますので、先ほどの答弁もございましたけれども、国民の負担ばかり言うんではなくて、公共事業費にメスを入れるということを御検討いただきたいというふうに申し上げておきます。
 次に、不良債権処理に関して幾つか質問させていただきます。
 まず最初に、不良債権処理と今回の法人税の一部改正との関係について先に一つ二つお伺いしておきたいと思います。
 金融庁の方でいろいろ不良債権処理の最終処理のスキームを言われている中で、会社をいわゆる採算部門と不採算部門に分割をして、債権放棄だとかいろいろというふうな、会社を分割していろいろやっていくというふうなことも今出されているわけですけれども、財務省の方にお伺いいたしますけれども、今度の法人税改正の中の会社分割のときの適格組織再編成というのがありますが、要するに、不良債権処理を目的にして不採算部門と採算部門を分けるというようなことも適格になるのかどうか。なるということは、その場合でも課税の繰り延べが受けられるということですが、こういうふうな不良債権処理を目的とした会社分割でも今回の法人税改正の適格法人になるのかどうか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(尾原榮夫君) 今回御審議をお願いしております企業組織再編成税制でございますが、商法改正が行われましてこの四月一日から会社分割制度ができるということで、その整備を図るものでございます。
 それで、この中でのエッセンスを申し上げますと、資産が移転する場合には課税が起こるのが原則でございますが、所有形態といいましょうか、実質的に変更がない場合には課税繰り延べを認めようというのが今回の税制のポイントでございます。そのポイントといたしまして、企業グループ内の組織再編成と、共同事業を行うための組織再編成の二つのパターンに分けまして要件を決めております。つまり、通常の資産の売買とは違う課税の繰り延べが認められる場合の要件を書いてございますが、この中の要件に企業組織再編成の目的については書いてございません。
 今、先生のお話は、今の金融機関の不良債権処理との関連でお話があったかと思いますが、例えば企業グループ内の組織再編成でございますれば、独立した事業単位で移転が行われる、つまり主要な資産、負債と従業員の相当数が移転する、それからさらに、移転した事業が継続するという見込みであることというようなことでございまして、今法律で御審議をお願いしている実態に即して適用がなされるものと考えております。

○大門実紀史君 そうしますと、不良債権処理で採算部門と不採算部門を分けて、不採算の方を例えばつぶしてしまうといいますか、整理してしまうというふうな目的ですと、今おっしゃいました事業の継続とかそういうことにならないわけですから、明らかに採算、不採算を分けて不採算を整理してしまうという場合は、この法人税改正の適格法人には該当しないというふうに解釈してよろしいわけですか。

○政府参考人(尾原榮夫君) 現実には個別の事例を見ての解釈の問題になってまいりますが、移転した事業が継続することが見込まれることということが要件に入っていることはそのとおりでございます。

○大門実紀史君 ちょっとまだ不明確なところがあるんですが、ドイツとかほかの国の場合は何年間とかはっきり決められていますが、今回の場合は、どこまで事業を継続するかはっきりしておりませんので、場合によっては半年でつぶしてしまうとか、一年後につぶしてしまうとかいう場合の租税回避といいますか、その対策措置がかなり不十分ではないかなと。もちろん、税務署長が判断するというのもございますけれども、その辺の租税回避、これを利用していろいろやっていくというふうな租税回避に使われない措置をぜひお願いしたいというふうに申し上げておきます。
 次に、不良債権処理そのものに関して質問をさせていただきたいと思います。
 金融庁の資料によりますと、全国の銀行の不良債権、すなわちリスク管理債権残高の総額が十二年九月で三十一・八兆ということでございます。この間、金融と産業の両方を再生しようということで関係省庁連絡会議が設置されて、金融庁、経済産業省、国土交通省が参加されて何回か会議を持たれているということですが、いわゆる不良債権の多い三業種と言われています建設、不動産、流通、この問題が非常に大きな問題であるので関係省庁の会議が行われているのかなというふうに思っているところですけれども、この三十一・八兆円のうち、建設、不動産、流通の三業種の不良債権額がどれぐらいになるか、金融庁が把握されておりましたら教えていただきたいと思います。

○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、金融庁が把握しているということよりも、平成十二年九月末、これが直近の決算時期でございますが、その決算の説明資料によりますと、これが明らかにされているわけでございます。
 各行ごとにそれぞれの様式で明らかにされているわけでございますが、それを集計をさせていただきますと、東京三菱と新生はこれを開示していないようでございますので、その他のものということで申し上げますと、建設業が二・三兆円、不動産業が四・三兆円、卸・小売業、いわゆる流通と言われているところかと思いますが、これが一・八兆円でございます。ということで、目見当として五割ちょっとかなというところでございます。

○大門実紀史君 私、昨年三月期の主要銀行が発表した資料を少しまとめてみたんですが、同じように、三業種が全体のリスク管理債権に占める割合は大体五、六割というのが出ておりますので、今、大臣にお答えいただいたのとそれほど変わらなく推移しているというふうに思います。
 その内訳で、パーセントで見てみたんですが、建設が一八・七%、不動産が五二・三%、流通が二八・七%というのが去年の三月期の結果で数字が出てまいります。つまり、建設と不動産を合わせますと全体の七割になるということです。つまり、主要行ですけれども、主要行のリスク管理債権の総額の中に三業種が占める割合というのは大体五、六割と。その中の七割が建設、不動産ということですから、全体の不良債権のうちの、アバウトですけれども約四割ぐらいが建設、不動産関係になるのではないかというふうに思います。
 そこで、柳澤大臣にお伺いいたしますけれども、今いろいろ言われていますが、不良債権の最終処理、不良債権問題の最大の問題点はといいますか、ターゲットといいますか、これはやはりゼネコン関連といいますか、建設、不動産。ゼネコンは両方またいでいる場合がありますので、ゼネコン関連の不良債権が一番何とかしなければいけない対象ではないか、実態としてそうなっているんではないかと思いますが、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(柳澤伯夫君) もちろん、私ども三省庁の連絡会を開いたについては、私、改めて先生の御質疑に対してお答えをし、またさらに、先生の方では分析をされたデータを御披瀝になられたわけですけれども、そこまで詳しい数字を別に根拠に持ってやったわけではないんですが、一般に構造不況業種と言われているところが、今この問答で明らかにされたようなものというのはある意味で常識化しておりましたので、それに基づきまして、一番関係も深い通産省、国土交通省にお呼びかけをして、仕事をするに当たってのお互いの情報だとか意見だとかというものを交換して、まず共通の認識を持とうではないですかというようなことで呼びかけさせていただいたということでございました。

○大門実紀史君 私も建設関係出身ですのでゼネコンのことよく知っておるんですけれども、製造業と違いまして、ゼネコンの場合の不良債権といいますか、いろいろ構造的に難しいところがあることは承知しているんですが、このゼネコンの不良債権、建設、不動産関連がかなり大きなウエートを占めるという中で、やはりここをどうするかということをいろいろ今考えておられるのかなというふうに思いますが、金融庁でそこまでまだ踏み込んでいないということでしたら、国土交通省の方で、このゼネコンが抱える不良債権処理について、今後の進め方等々、お考えがあればぜひ聞かせていただきたいと思います。

○政府参考人(風岡典之君) ゼネコンをめぐる環境でございますけれども、まず全体的、客観的な状況としまして、建設投資をめぐる環境というのは非常に厳しくなってきております。その中で、業者数は非常に多いということで競争が激化しておりまして、その意味で構造的に供給力の調整ということが必要ではないかというふうに思っております。加えまして、不良債権問題というものがありまして、そういう二重の意味でゼネコンの経営というものが非常に厳しいと。
 私どもとしましては、個別企業につきまして、具体的にA企業とB企業が合併しなさいとかどうこうしなさいということは、これは行政として言うべきことではないというふうに思っておりますけれども、今申し上げましたような客観的な状況の厳しさというのがありますから、個別企業がいろんな経営戦略がとれるような条件整備、環境整備ということを進めていくべきではないかということで、私どもはいろんな取り組みをしております。
 例えば、入札・契約制度におきましては、不良業者の排除というものを徹底するとか、あるいは技術力のあるところが入札に参加できるようなことにしていくとか、あるいは合併とか企業連携とか、そういったことが少しでも不利益にならないような条件整備とか、そういうようなことを幅広く、環境整備ということについて努力をしているところであります。

○大門実紀史君 国土交通省関連での取り組みの関係の質問をまた後でさせていただきたいと思いますが、従来、ゼネコン関連の不良債権の処理といいますと、御存じのとおり、銀行との関係では債権放棄というのをやられてきたわけですけれども、今回の処理策にもやはり債権放棄という言葉が随所に出てくるわけなんですが、私は、今までの債権放棄というのが決していい結果をもたらさなかったといいますか、かなり疑問を持っております。
 そこで、まず、今までのゼネコン向けの債権放棄が何だったのかというようなことで幾つか質問をさせていただきたいと思います。まず、国土交通省にお伺いした方がいいのかなと思いますが、金融機関が九七年以降、ゼネコンに対して債権放棄した金額は幾らになるか、御存じでしたら教えてください。

○政府参考人(風岡典之君) 平成八年に債務保証の免除という形で飛島建設に対する免除が行われました。また、昨年末に債務免除の要請をして、現時点ではまだ金融機関の同意が得られていない三井建設というのもありますが、こういったものを含めますと、債務免除を要請した上場ゼネコンは全体で十社でございまして、その債務免除額の合計は二兆二千億円と承知しております。

○大門実紀史君 私も各銀行がゼネコンにどれぐらい債権放棄をしたかというのを自分なりに表をつくってみましたけれども、ほぼ同じ金額になるわけなんですが、東京三菱は公的資金を受けて返したというのはありますが、債権放棄をした方の銀行のほとんどが公的資金を注入されて、その後、かなりこれが大きなインセンティブになって債権放棄をしているというのは、事実としてそういうことだろうというふうに思います。
 もちろん我が党は公的資金の注入には反対をしてきたわけですが、大手行の債権放棄額、これはゼネコン以外もですが、全体の金額でいきますと、九九年三月で一兆六千億円債権放棄をしている。主要行ですね。二〇〇〇年三月にはさらに一兆四千億円債権放棄をしている。これは、細かい数字はちょっと違うかもわかりませんが、ほぼそれぐらいの債権放棄をしている。つまり約三兆円債権放棄をしている。その中の、今御答弁ありましたが、二兆二千億ですから、約七割がゼネコンの十社に回されたというふうなことになると思います。
 国土交通省に続けてお伺いいたしますが、債権放棄を受けたゼネコンというのは、その後経営が健全化して、要するに再建されて立ち直っていっているのかどうか、わかる範囲で結構ですから教えていただきたいと思います。

○政府参考人(風岡典之君) 十社につきまして債権放棄が、要請中も含めまして行われるということになるわけでございますが、債務免除に当たりましては、金融機関とゼネコン各社との間で経営の改善計画というのをつくっているわけでございまして、これに基づきましてゼネコン各社は、人員の削減だとか、あるいは販売費等の間接経費の節減だとか、あるいは不採算部門についての事業の見直しという、そういう意味でリストラを懸命に実施しているところであります。
 なお、十社のうちその大半は、五社ぐらいはまだ改善計画をつくりましてから一年もたっていないという状況でありますのでなかなか評価は難しいわけでございますが、とりあえず現時点で債務免除を受けました十社の営業利益率というものを見てみますと、建設業界全体が営業利益率が低下をしておりますが、この十社について見ると、平成八年度が二・八%でしたのが平成十一年度は三・七%ということで、リストラの効果等があらわれて営業利益の面では少し改善の兆しが見られているということが言えようかと思います。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、建設市場をめぐる環境というのは、中長期的には投資が非常に厳しい環境にあります。また業者数も多いし、その中で競争が激化するということでありますので、債務免除を受けた十社だけではなくて、その他のゼネコンも含めて今後の経営環境はいずれにしても非常に厳しい、こういうようなことが言えようかと思います。

○大門実紀史君 私は、この間のゼネコンに対する債権放棄というのはほとんど何も余り解決していないのではないか。しかも日本経済全体に対しても、どちらかといえば悪い影響の方が多かったのではないか。しかもゼネコンにとっては悪循環を招いているのではないかというような気がしてならないわけなんですけれども、債務免除を受けたゼネコンを一つ一つ申し上げませんけれども、フジタにしてもハザマにしても熊谷組にしても、特に熊谷組は債権放棄を今度も含めて四千三百億受けることになりますが、それを受けてもまだ六千億以上の有利子負債が残るというようなことで、全体として、例えば熊谷組、余り個別企業をここで言うとあれですが、幾つかの債権放棄を受けた企業の危機は去っていないというふうに思いますし、実際問題、営業利益率というのは、公共事業の積み増しの関係もあるんでしょうけれども、全体としてやっぱり四苦八苦しているというのが私は実態ではないかというふうに思いますし、もう一度債権放棄を要請するかしないかというところまで来ているゼネコンも中にはあるというふうに思います。
 もう一つは、これだけの巨額の債権放棄をして、経済全体にどういう影響を与えたのかという点でもかなり問題があったんではないか。例えば、債権放棄を受けた、債務免除を受けた十社で、これはホワイトカラー中心ですけれども、リストラだけで一万人近く行われている。それぐらい失業者をふやしているわけですよね。さらに、株価はもう御存じのとおり、ゼネコンの株価というのはみんなもう惨たんたるものでして、債権放棄を受けた後、例えば佐藤工業は五十二円ですし、フジタが三十六円です。長谷工は三十六円、ハザマが四十七円、熊谷が七十三円ということですね。ちなみに、先週倒産いたしましたけれども、中堅ゼネコンの冨士工は六十円ですから、もうどのゼネコンも惨たんたる状況で、株価が全然上がらない。今、株価問題は大問題になっていますが、全体の株価を押し下げる、足を引っ張る役割をゼネコンが果たしているということも言えると思いますし、そもそも債権放棄をされたゼネコンの株をなかなか投資家は買わない。
 つまり、ゼネコンの経営の中身を見ますと、破綻が先送りされただけとか延命されているだけだというような判断も働いてみんな株を買わないということももちろんあるわけですが、株について言ってもそれだけひどいものですし、特にこれは公共事業のあり方で、きょうは議論いたしませんが、そういうゼネコンを救済するために公共事業が追加されるというようなことで、またさらに延命を図るというようなこともこの間行われてきたというふうに思いますし、公的資金の注入との関係でいきますと、銀行が債権放棄をやればやるほど銀行の自己資本が毀損していくわけですから、いずれ国に返さなきゃいけないところがまたおくれるとか、返せなくなるというようなことにもなるわけですから、どこから考えてもこのゼネコンに対する債権放棄策というのは私は失敗ではないかというふうに考えています。
 今後のこれからの最終処理においても債権放棄という言葉が随所にいろいろ出てきますけれども、同じようなやり方では非常に問題がありますし、債権放棄そのものが問題があるわけですけれども、今後どういうふうに考えておられて債権放棄ということが今議論されているのか。例えば、先週倒産した中堅ゼネコンの冨士工は、さくら銀行を初め幾つかの取引銀行に債権放棄、債務免除を要請したんですが、断られて倒産したわけです。ですから、銀行自身も、債権放棄というのは、取引先企業もゼネコンもうまく立ち直らせていないというふうに感じているんではないかと思います。
 つまり、債権放棄というやり方そのものが手段として行き詰まっていると私は思うわけですが、これからの最終処理の中で債権放棄についてどういうふうに考えておられるのか、大臣の考えをお聞きしたいと思います。

○国務大臣(柳澤伯夫君) ゼネコンの御出身だそうで、非常によく事情に通じておられる立場からの御質疑をいただきまして、傾聴させていただきました。
 私ども、今回、不良債権のオフバランス化ということを考えて呼びかけをさせていただいているということはたびたび申し上げたとおりでございます。その場合に一体どういう方法があるかといいますと、私は、清算型の処理というのはやはり国民経済的にも非常にロスが多いということで、基本的には再建型の処理ということを目指していかざるを得ない、またいくべきであろうと、こういうように考えております。
 その場合でも、法的な再建型のものも先生御案内のようにあるわけで、昔から会社更生法あり、また今日では民事再生法ありというような状況でございまして、そういうことでも十分我々のオフバランス化の趣旨には合致するわけでございます。
 しかし、その場合に問題なのは、結局、企業が、問題になっている他の会社との関係で提携をしたりなどというようなことは一切その場合には考えられない。つまり、司法当局の俎上にのった企業について、これをどう処理するか、債権者について損失の負担をどのように配分するかといったようなことにとどまるわけでございまして、そういうところに一種の限界があると。
 それに対して、私的な再建型の整理ということになりますと、これはもう話し合いの問題でございますので、先ほど建設省さんが言ったように確かに、Aさんの問題を考えるときに、おまえさんBさんと一緒になったらどうですかというようなことは、それは行政の立場から直接には言えないまでも、あなたのところ一社だけで今後残っていくということよりも、どこか相性のいいところ、今までおつき合いのあるようなところと話し合いをしていかがでございますかというようなこともあり得るというのが、私的というか任意的というか、そういうものでの再建だろうと、こう思うわけでございます。
 ただ、その場合に非常に問題なのは、株主の責任というようなものが全くそこにあらわれてこないというようなところは、確かに、法的な処理に比べてかなり問題のあるところかなということは感じておるわけでございますが、そこはそこでまた何か工夫の余地がないか。必ずしも私、今それを具体的に頭の中に思い浮かべているというわけではないんですけれども、例えばいわゆる債務の株式化と申しますか、デット・エクイティー・スワップというような手法で株主の責任というものについてもしかるべき負担を考えてもらうというようなことはあり得ないのかというようなことで、若干そこに工夫の余地はあるのかな、こんなふうに思っているわけでございます。
 いずれにせよ我々は、これこれしかじか、この方法で行くんだというようなことではなくて、民事再生法あるいは私どもの私的な整理というようなものを通じて、できるだけいい環境を整備して金融機関の不良債権のオフバランス化というものと日本の企業の再生あるいは日本経済の再活性化というものをできるだけコンバインした形で成果を上げられたらいい、それにはどういう手法があり得るかということで今検討をしているということでございます。

○大門実紀史君 法的整理ですとかなり影響が出ます。先ほどずっと債権放棄のお話をさせていただいて、それについてちょっとお答えいただけなかったんですが、具体的にきょうはゼネコンの話をさせていただいておりますので、銀行とゼネコンの間の不良債権処理の場合、私的整理という形になりますと、ゼネコンの中の例えばグループ、ハザマなんかやっていますけれども、子会社を半分に整理して、債権放棄を考えるかどうかというのはありますが、そういうようなやり方しかちょっとないような気が一つするんですが、銀行のゼネコンに対する債権放棄というのは、今、大臣の頭の中にはそういうスキームは考えておられないということですか、私的整理の中では。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 私的整理ということになりますと、債権者に何がしかの損失の分担というものがない形での整理ということは考えにくいわけでございまして、そういたしますと、その損失の負担ということは、具体的に言えば、債権者たる金融機関の場合には債権の放棄ということにならざるを得ない、それしかないわけでございます。そういうことをしかしやりながら、それ自体としても経済合理性がある、同時に、今申したように、当該の企業あるいはそれと連携を結ぶような企業といったようなものの再生というようなことをあわせて実現するにはどういう手法が一番いいんだということを今考えさせていただいているという段階でございます。

○大門実紀史君 余り詰めて伺うつもりはないんですが、結局、ゼネコンの場合、私、何度も申し上げますけれども、何らかの再編といいますか、分社化も含めて、子会社の整理も含めて、そういう中で債権放棄という形がかなり有力な手段に、今考えておられるということですが、なると思うんです。
 その場合、きのうの予算委員会で我が党の小池議員が柳澤大臣に質問させていただきましたけれども、大臣は明確に、銀行がゼネコンなりなんなりに債権放棄するときに、それを支援するための公的資金の再注入はないんだというふうにお答えになりましたけれども、それをもう一度確認させていただきますが、そういうことでございましょうか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 要するに、資本注入というものがなぜ行われたかということをやっぱり思い出すべきだろうと思うんです。あの場合にそんな異例なことが行われたのは、明らかにほとんどすべての金融機関が過少資本に陥っているんではないか、そういうようなことが国際的にも、場合によっては国内的にもマーケットでいろいろ取りざたをされて、現実に資金の調達がうまくいかないとか、そういうようなところがあらわれてくるというようなシステムとしての危機があったので、そこで資本の注入をしますよ、しかもその資本の注入というのは押しなべて行われたわけでございます。
 そういうことを前提にして、これから資本の注入が行われるかといえば、それは私は、基本的には、再びシステムとしての危機が起こらない限り行われるべきではないし、またその必要もないだろう、こう考えているわけでございます。A、B、C、Dとずっとたくさんの銀行がある中で、Aだけが過少資本に仮に陥るというようなことが、私はそういうことを考えておりませんが、仮にあった場合に、これはそれじゃ資本注入すべきか。私、全然そういうふうに思っておりません。そのことを申し上げたということです。

○大門実紀史君 わかりました。
 不良債権最終処理にかかわる具体的な方策はこれから出されるということですが、公的資金注入の問題はわかりましたけれども、何らかのインセンティブといいますか、枠組みだけ示してもなかなか実態は進まないという現実もまたあるかと思いますが、そういうインセンティブなり誘導策というようなことの中で、国民負担を伴うようなスキームといいますか、誘導策は考えておられませんか。それもあり得ることかということをお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(柳澤伯夫君) まだ考えている途中だということでございますので、私どもも、頭の中に何かスキームがあって、それを発表の時期まで待とうというような状況でしたら何か物を申し上げることもできようかと思うんですが、今はまだそういう段階にないわけでございます。
 ただ、先生が国民負担というお言葉で表現されたものがどういうものであるかちょっとよくわからないわけでございますけれども、私どもとしては、環境整備の中に税にわたるようなことはあり得るということは申し上げておかざるを得ないと思います。
 例えば、債権放棄でも、関係の複数行が全部打ちそろってオーケーを出したら損金に認めるとか、しかしそうでなければ損金として認めない、むしろそれは過剰支援というようなことで、これは損金の算入を認めないというようなことがどうもあるようなんでございますけれども、もちろん、世間が納得するようなスキームがかわりにそのほかにできていなければ、これは我々としても認めるわけにはいかないんですけれども、どちらかというと、司法であるとかあるいは税法というのはかなり形式論理で公正を追っかけるというようなところがございますが、私どもがこれから考えるところは、若干それを緩やかにして、先ほど言った産業の再生とかそういうものの実現をひとしく重視していきたいと。
 そういうことの中で、若干その負担に、例えばプロラタを離れたような負担ということも当然あり得るわけで、それをすぐに損金算入だというようなことでやらないように頼むというようなことがあるいはあるかもしれぬ、そういったたぐいの問題があるかもしれぬと、そのことは申し上げておきたいと思います。

○大門実紀史君 恐らく無税償却関連のことを想定されているんだと思いますが、いずれにせよ、具体的な方策が示されたときにまた議論をさせていただきたいと思います。
 いずれにせよ、そもそもこのゼネコン、特にゼネコン、不動産、建設関係の不良債権というのはバブルのツケから始まって、それが後から地価の下落だとか受注減だとか株の問題とかで膨らんだと。大体、銀行とゼネコンの責任は、僕は大もとはそこにあるというふうに考えておりますので、国民に負担を背負わせてそれを処理するということだけは我が党としては引き続き反対していきたいということを申し上げて、私の方の質問は終わります。
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