● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2001年4月5日 財政金融委員会質問
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 今回の税理士法改正は、日税連、税理士会の皆さんの長年の要望が取り入れられたものということでお伺いいたしました。我が党としては、現行の税理士法そのものに幾つかの根本的な問題があるというふうに考えているところでありますけれども、本改正案には幾つかの改善事項が含まれているのも事実だというふうに考えています。その点で、ちょっと疑問が残っているところをお尋ねしたい、並びに要望を述べたいというふうに思います。
 まず、税理士会の自主性の確立の問題なんですが、最初に、税理士の基本的立場、税理士法第一章の第一条の、前後を読みませんが、要するに「独立した公正な立場」ということについて簡潔に解説をお願いしたいと思います。

○政府参考人(尾原榮夫君) 独立した立場についてのお尋ねがございました。
 第一条に書いてございますが、この「独立した公正な立場」といいますのは、委嘱者たる納税者の援助に当たりまして、納税義務者あるいは税務当局のいずれにも偏らない独立した公正な立場で、税務に関する専門家としての良識に基づいて行動しなければならないということが明らかにされているものと考えております。
 これは、税理士制度が法令で定められました納税義務の適正な実現に資するということをその使命として定めまして、それで職業上の特権が与えられているわけでございまして、税理士の地位といいますのは、単に私的な代理人ということではなく、より高度な公共的なものとして位置づけていることのあらわれということかと思います。

○大門実紀史君 ありがとうございました。
 日税連の要望書の中には、今のことともかかわるんですが、「税理士会の自主性の確立」という項目の中に、四十九条の十六に当たりますが、財務大臣による日税連あるいは税理士会の総会決議の取り消しと役員の解任の規定を両方とも廃止してもらいたいという要望がありましたけれども、今回はその役員の解任の廃止だけになっております。その総会決議の取り消しは依然残っているわけですが、これはなぜでしょうか。

○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 ただいま先生からお話がありましたとおり、昨年九月、日本税理士会連合会から提出された要望書の中には二つの事項がございまして、総会決議の取り消しと役員の解任規定の廃止というのがありました。
 我々も国税庁として日税連と御相談させていただきましたが、我々、日税連等の創設以来ちょうど五十年余の歴史から見ましても、極力自主的な運営をやる、そういう実力も能力もありますし、現在の行政庁と日税連の信頼関係を考えますと、さらには今後の相互信頼の一層の確立という観点からも、できるだけのいわば自主性というのは進めていきたいというふうに思ったわけでございます。特に、人事権まで行政が介入する必要性は必ずしもないのではないかということから、大臣による役員の解任規定は削除させていただくということにさせていただきました。
 ただ、もう先生よくおわかりのとおり、先ほど来の御質問の中にもあったとおり、税理士法一条というのは、独立した公正な立場で納税者の納税義務の適正な実現を図るという極めて公共性の高い使命を持った職業でございまして、そういう意味では、日税連等の高い公共性というもののいわば担保といいますか適正な運営確保ということをやはり行政庁として国民に対する責任という観点からどうしても維持しなければならない、そういう意味では総会決議の取り消し権の廃止までは適切ではないというふうに考えたところでございます。
 いずれにしても、他の士業、公認会計士法とか先ほど来出ております弁理士法等他の士業の法律では、行政庁の権限として、総会決議の取り消しと役員の解任と両方実は権限として持っているわけで、ある意味でいいますと、この人事権への介入といいますか削除というのは、我々としてはかなりその自主性を認めようとして進めたところであるということは御理解いただきたいと存じます。

○大門実紀史君 質問したことに簡潔にお答えいただきたいと思います。
 そうしますと、総会の決議の取り消しというのは、具体的にどんな決議を税理士会なり日税連がしたことを想定されているんですか、公益性に反すると言いますけれども。簡潔にお願いします。

○政府参考人(大武健一郎君) 具体的にかつて決議の取り消しというのを行ったことなどございません。したがいまして、現在の信頼関係からそのようなことはやはり想定しにくい日税連はしっかりした団体だと私どもは思っておりますが、しかし最終的には、国民に対する責任という意味で留保しなければならないということで規定は残させていただいている、こういうことでございます。

○大門実紀史君 よくわからないんですけれども、要するに、信頼している、もう信頼関係もできているし、しっかりした団体だと、それでも何か伝家の宝刀を残しておくみたいに、いざというときの監督権限に非常に何かこだわっておられるような気がするんですけれども、やはり税理士会なり日税連なりの自治組織といいますか自治的な機能を、もうこれだけしっかりした団体になられているわけですから、その中でいろいろな問題も解決してもらうといいますか、中の良識で解決することが十分可能だと思いますので、ぜひこの規定の廃止、決議の取り消しの部分の廃止も求めたいというふうに思います。
 次に、書面添付制度に関連して質問いたしますが、今回の改正案では、税務署が調査の通知をする場合、計算事項等を記載した書面が添付されている場合は、調査の通知をする前に税理士さんに対して書面に関する意見を述べる機会を与えなければならないということですよね。つまり、調査に入る前に書面をつけた税理士さんの意見を聞くということが改正点だと思いますね。これそのものは、税理士さんの地位の向上といいますか、意見を尊重するという意味では必要な措置ではあるというふうに考えるわけですが、ところでといいますか、その前提として現行の書面添付制度が実際のところどれぐらい普及しているのか、調べておられましたら教えてもらいたいと思います。

○政府参考人(大武健一郎君) 現在、いわゆるきちっとした統計がとれておりませんので明確な数字はわからないのでございますが、過去のデータによりますと、残念ながら現在でも計算事項等を記載した書面添付はごく少数にとどまっているんじゃないか。例えば平成四年度の数値で申しますと、全体で〇・六%程度しかまだ普及していない、こういう事態でございます。

○大門実紀史君 その普及していない原因は国税庁としてどういうふうにとらえられておりますか。

○政府参考人(大武健一郎君) やはり書面添付が現状で活用されないのには幾つかの理由が複合的にあるんだと存じますが、やはり税理士の側にとって、書面添付の有無によって結果として、いわばある顧客は書面添付をします、他の顧客は添付しないという意味で顧客を選別することになるので、納税者との信頼関係を損なうんじゃないかという御懸念があるというのが一点。
 それから二点目が、やはり調査実務において、書面添付の有無にかかわらず税理士から今までは事前の意見聴取が行われていたわけでございまして、多くは税理士関与の法人を調査する場合には税理士さんからも聴取を受けているわけですから、更正前の意見聴取制度という現行制度では大して大きなメリットではないと思っておられたんじゃないか。このあたりは実は今回の改正の一番大きな理由になっているわけです。
 さらに三点目が、虚偽の記載があった場合には懲戒処分の対象になるというようなデメリットもあった、こういうことが要因になっていたのではないのかなと思うわけでございます。

○大門実紀史君 要するに、現行の書面添付制度というのは納税者にとっても税理士さんにとっても余り双方メリットがない、つけてもつけなくても余りメリットがないので普及しなかったということだと思いますが、そうしますと、今回、調査の通知前に税理士さんの意見を聞くという改正をされたわけですが、これによって何かメリットといいますか、書面添付制度がこれによって普及するといいますか、どれぐらい普及するかは別に、何かインセンティブになるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

○政府参考人(大武健一郎君) 今までは、先ほどもちょっとお話しいたしましたとおり、調査前には税理士さんの意見を聞くという制度がありませんで、更正する前に意見を聞くだけですから、それは書面添付されていない調査法人にも同じようなことはやっていたわけでございます。ところが、今回は、その書面添付されている法人に対しては調査する前に事前に、税理士さんの側に、ここはどういう問題点でこういうんだけれども、あなたはどういうふうにごらんになっていますかというようなことを事前にいわば確認する、聞くという制度が設けられるわけです。そういう意味では、税理士さんのいわば地位の向上ということに非常に役立つと思いますし、その意味では普及するんではないか。
 しかし、さらにあわせて、今回の改正の法律案には出ていないんですが、添付する書面についても全面的に見直しを図りたいと思っております。今まではイエス・オア・ノーで全部ここは書面添付して、全部オーケーです、そうでないところはつけられませんとあったわけですが、むしろ中間的に、この部分は私は確認できます、この部分はできていませんというようないわば段階的な扱いもできるような、そうした書面にしていきたいと思っておりまして、現在検討しているところでございます。

○大門実紀史君 余りそれで進むとは思えないんですけれども、税理士さんが意見を聞いてくれるということで地位が向上すると、地位が向上するのかわかりませんが、意見が尊重される、あるいは書面の中身を改善するから進むというのと、先ほど大武さんが言われた、今進まない、進んでいない三つの理由の何が改善されるのか、私、全然わからないんですけれども。
 例えば、具体的に聞きますけれども、調査の通知前に税理士さんの意見を聞く、税務署が税理士さんに連絡をして、おたくが出した書面について意見を聞く、疑問があったりなかったりいろいろでしょうけれども、疑問がある点について聞いて、解決する場合としない場合がありますよね、実際に調査に入らないとわからないと。例えば疑問が解決しない場合、疑義が生じたといいますか、その場合はその後どうなるんですか。

○政府参考人(大武健一郎君) 基本的には、その税理士さん自体がその疑義の解決のために一義的には法人と接触していただくことになるんだろうと存じますが、それでも解決しないときは、それはやはり調査せざるを得ないということにはなると思います。

○大門実紀史君 そうしますと、事前に税理士さんに聞いて疑義が解決した場合、疑問点がなくなった場合、どうなりますか。

○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 その場合は、それで調査は終わりということでございます。

○大門実紀史君 調査省略になるということですか、その時点で。そうすると、私、これは随分重大な問題を含んでいるんではないかというような気がするんです。
 書面添付制度そのものに我が党は二十年前のときに反対をしているわけなんですが、そのときのことをまた言わなきゃいけないといいますか、一つは、税理士さんが、これは論理的に言って税務署がやるべき調査のかわりに事前に監査みたいなことをやって書面をつける、それを税務署としては確認さえすれば、疑義が生じなければ調査に入らないということになりますと、これは一つは、本来税務署がやるべきことを税理士さんを使ってといいますか、補助機関といいますか下請機関といいますか、やらせることになりはしませんか。

○政府参考人(大武健一郎君) やはり税理士さんの仕事というのは、独立した公正な立場で納税者の納税の義務を、事務を援助することでございますから、その一環としておやりになったことを税務署として認められればそれで終わるというのは当然だろうと存じますが。

○大門実紀史君 そうすると、いろいろな話をしなきゃいけないんですけれども、大武さんはTKCの書面添付の講演をされている中で、とにかく今、税務署員というのはこれからふやすことはできない、なおかつ申告者数はふえていく、こういう中で、書面添付の会議の中で税理士さんの皆さんの協力を得たい、それはやっぱり決定的な書面添付制度だということを堂々とおっしゃっていますけれども、そのかかわりでいきますと、税務署としてはもう人手が足りなくてこれから重点的な調査しかできないと。ぜひ税理士さんの皆さんに協力してもらって、書面添付ということで自分たちのクライアントを監査して、保証書といいますか、書面をつけてほしいと。それはもう簡単に聞いて疑義がなければ調査は省略しますからというふうなことになると、私は税務署の仕事は何だろうということと、最初に確認しましたけれども、税理士さんは課税官庁からも独立してとなりますが、実際問題として、肩がわりの仕事をさせられるということにはなりませんか。

○政府参考人(大武健一郎君) それはそうは思いません。
 明らかに自分がこの数字で正しいと思って書面を添付されたいわば意見が課税庁と違うということもあり得るわけでございまして、その場合には、当然のことながらその課税の処理、いわゆる税務申告の処理について意見をやりとりするということは大いにあり得ることだと存じております。

○大門実紀史君 私が申し上げているのは、意見を聞いて調査に入るんだったらよくわかるんです、事前に聞いてね。いずれにしても調査に入るというんだったらわかるんですが、そこで調査は省略するとおっしゃいましたから、これは全然話が違うんじゃないかと。事前に意見を聞いて、それを参考にして調査に入るんだということならわかるんですよ。
 ところが、そこで調査は省略するんだ、疑義がなければというと、今までと全然話が違って、法律的に厳密に言いますと、調査省略となった納税者がつくった申告書というのは、調査省略になったと、この人はなったと。本来税務署がそこに行って確認をするかあるいは修正申告を書いてもらうか。これは法的に言えば、論理的に言えば同一のものであるから調査を省略するということになるわけですよ。そういうことでしょう。ですから、代行したことになるわけですよ。税理士さんが税務署がやるべきことの省略ということになりますとね。それは、課税処分権を持っている税務署が調査をそこで省略となったら、申告書を認めたということになりますから、その作業を税理士さんにやってもらうということだから、当然代行じゃないですか。下請、代行、補助機関ということになるじゃないですか。
 もうちょっと明確に答えてください、明確に。

○政府参考人(大武健一郎君) 誤解があったら恐縮に存じます。
 今申しました調査省略というのは、あくまでも調査をしてそこで終えるというだけであって、しなかったというわけじゃありません。あくまでも我々調査する場合には、御存じのとおり、いろんな情報ですとか資料を持った上で調査するケースの方が多いわけでございます。それを突合したときに、それがおかしくないという確認ができたら、実は税理士さんというのは税務申告書の代理ができるわけですから、その代理人との間でその説明ができればその調査が終わった、こういうことになるということでございます。

○委員長(伊藤基隆君) ちょっとお待ちください。
 大武国税庁次長に申し上げますが、先ほどの浜田委員の質問に対する答弁でも私は聞いていて感じるんですが、事の本質について問うているのに、決定されている手続または法律によって本質が成り立っているような答弁が数多くあります。私は、それは質問者の質問の真意をとらえていないんじゃないかと。もう少しそういうことをきちんととらえた上で、現状の中においてできないならできないで答えればいいんじゃないかと。意見を申し上げるのは不適当ではありますけれども、そういう印象を持ちますので、よろしくお願いします。

○大門実紀史君 委員長、ありがとうございました。
 ですから、もう少し簡潔に質問に沿って答えていただきたいと思います。
 私は、調査を省略にしろそこで終了にしろ、その納税者本人の、入ってから税理士さんと相談してもうここでやめましょうならわかるんですよ。通知前に、本人とは別のところで、税理士さんとのやりとりの中で終了でも省略でもいいんですけれども、やるということは、これは本来租税法律関係でいくと課税官庁と納税者なんですよね。その間のことをこの添付制度、一つの制度の中で、税理士さんに意見を聞くということだけのために課税処分権を、税理士さんが間に入る、入って、場合によっては、その意見によってはそこでストップするとなると、そういう権限を税理士さんは逆に持っていいのかということにもなりますし、これは法的に言ったってちょっとおかしいと私は思っております、大変疑義があると。
 要するに、参考にして、それでもやる、やらないというのは税務署として判断しますよとはっきり答えられた方がまだ私はよくわかるんだけれども、税理士さんの意見によっては疑義がないとそれで調査は終了します、省略しますということになると、これは僕は租税法律関係からいっても、課税処分権がどこにあるのか、何によってそれが途中でストップしなきゃいけないかというところからしても非常に問題があるというふうに思います。
 もう一つは、そういうことになりますと、納税者の間にも不平等といいますか不公平が私は生まれると思うんです。なぜかといいますと、例えば中小零細でこの不況の中、税理士さんに頼めないとかあるいは決算のときだけ面倒を見てもらうとかいろんなケースがあって、毎月税理士さんに頼めないと。だけれども、本人はまじめにきちっと申告している人だっているわけですよ。そういう方と、税理士さんの中のさらに選別されたクライアントの一人で、まじめにやられた方だから書面添付されたんでしょうけれども、その方を比べますと、税理士さんに頼んで書面添付してもらってお金を払ってしてもらったこの方は途中で調査の省略をされる、終了される例があると。ところが、まじめに申告していても、税理士さんに書類添付してもらわなかったことだけで調査に来られるということが生まれませんか。これはおかしいんじゃないですか、納税者の公平性からいっても。そういう調査省略なんということを初めて言われたから言っているんです。

○政府参考人(大武健一郎君) 今回の改正は、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とします税理士に対して、その税務の専門家としての立場で作成した書面の記載事項について意見を聴取するというものでございまして、したがって、御指摘のように納税者にとって有利、不利というような規定をしているものではないということかと存じます。

○大門実紀史君 そんなこと聞いていないですよ。ちゃんと聞いたことに答えてくださいよ。国税庁なんでしょう。納税者に対して物を言う立場なんでしょう。私は納税者のことを言っているんですよ。
 お金を払って毎月税理士さんを頼むだけの余裕があって決算料も払う余裕がある人、しかも書類添付費としてまたプラス取られるのかどうか知りませんが、そういう余裕がある人と、とにかくまじめに申告している個人の事業主とか中小零細で自分で計算して、個人と規模は変わらないので計算ぐらい自分でできると、きちっとやっている人との差はできるじゃないですか、それだったら調査されるされないで。
 御存じのとおり、調査されるというのは、何も悪いことをしていない人でも相当の精神的な物理的な負担を伴うんですよね。だから、何か悪いことをしているからとか後ろめたいから嫌だじゃないんです。もう来られるというだけですごい負担なんです。仕事も休まなきゃいけないし、店も閉めなきゃいけない。そういう点では当然不公平が生まれるじゃないですか。

○政府参考人(大武健一郎君) 納税者のところに行って当然帳簿を見せていただく、税理士さんに当たっても事前にその帳簿を見せていただく、同じ手続をするというだけだと存じます。

○大門実紀史君 時間の関係で何度も同じことを聞かせないで、大武さんはこういうことはよく御存じでしょうから、すぱっと答えてほしいんですよね。不平等は生まれませんか。

○政府参考人(大武健一郎君) 納税者にとっては同じだろうと存じます。

○大門実紀史君 全然同じではないというふうに思います。また来週もありますので、引き続きやりたいと思います。
 もう一つは、この書面添付で税理士さんの意見を聞くことでこの添付制度が今よりも普及すると言われた意味が、この調査省略という言葉で私はよくわかったんですけれども。これは、つまり税理士さんにとっては、すべての税理士さんじゃありませんけれども、この書面添付制度を使って、クライアントから選ぶわけでしょうけれども、それを売りにして、この書面添付でやると調査は来ない可能性が高いよ、あるいは来ないよというふうな、それを売りにして、それでみんな書面添付つけよう、うちでやろうということでお客さんをふやせることにも。そういうことがなければ、この制度、意見を聞くことによって、調査省略が加わらないとこの制度は今より飛躍的に普及するわけがないじゃないですか。調査省略しますよという暗にそれを売りにしてやらない限り、今もうほとんど利用されていないこの制度そのものが利用されるようになるインセンティブは何にもないじゃないですか。そういうことでしょう。

○政府参考人(大武健一郎君) 今回の改正にも三十五条の第四項で、今申し上げたような、こういう提出した、しないとか、そういう措置の有無というのは、これらの規定する調査に係る処分、更正または不服申し立てについての決定もしくは裁決の効力に影響を及ぼすものと解してはならないということで、いわばあくまでも課税権を放棄しているということではございません。

○大門実紀史君 そういうわかり切ったことを言わないでください、その辺はこちらも調べていますから。
 私が言っているのは、この書類添付にかかわる意見を聴取する、そのときに疑義がなければ調査省略があり得るとおっしゃいましたから、それならば法文の中にそう書きなさいよ。疑義がなければ調査しませんと書けば、そんなややこしい話をしなくていいんです。すぱっとした話なんですよ。そういうことを書かないで、きょう初めて答弁されましたからね、そういうことを運用上ではやるんだと。はっきりしているんだったら、それを書けばいいじゃないですか、法文に。

○政府参考人(大武健一郎君) 現状の税務行政におきまして、事前通知をして、そのいわば見せていただいた資料がすべて突合すれば直ちに調査終了するというのは幾らでもある話でございまして、この税理士さんの制度においても、いただいた資料で突合して証明できればそれで調査は終わるということを言っているだけでございます。

○大門実紀史君 何度も言うようですけれども、それは調査に入ってからはあることなんです。よくわかるんです。私が言っているのは、本人に通知する前に税理士さんの意見を聞いた段階で調査を省略することはあり得るとおっしゃったから、これは初めての例だと、これは今までない例だということで申し上げているので、いろんな話を持ってきてごまかさないでいただきたいんです。
 だから、事前に聞いた段階で疑義がなければ調査は省略することがありますというのでしたら法文に書けばいいじゃないですか、はっきりと。なぜ書かないんですか。新しい事例でしょう。

○政府参考人(大武健一郎君) 誤解を与えたらいけないんですが、調査省略というわけでは、それが調査だということであります。
 失礼させていただきました。

○大門実紀史君 ちょっといろいろまだ疑問は残るんですけれども、要するに、この書面添付で意見を聞く、疑義がなければ調査は省略するということならば、これは本当に、僕は、結果的にはそういう税理士さんばかりじゃなくて良心的な税理士さんがいっぱいいるわけですから、調査されませんよということを売りにして、そんな広げる方はそんなにはおられないと思いますけれども、実際には税理士さんそのものもこの制度の中に、さっき言いましたけれども、下請化といいますか、課税官庁にとっては税理士さんというのは、四十六条でしたっけ、懲戒処分できる対象ですから、そういう点では非常に対等の関係じゃないんですよね、課税官庁と税理士さんというのは。しかも、こういう仕事をお願いする、ちゃんときちっとしたものを出さなければ懲戒処分もあり得ると。
 こういう関係の中で、しかもこれが例えばむちとしますと、さっき言った、それを売りにしたらお客さんをふやせますよという、あめとむちと両方でこの書類添付制度を広げたいと。それは、そういうことをやらないと、これから国税庁としては調査がもう人手がふやせないから間に合わないと。これは大武さん、はっきり講演でおっしゃっていますけれども、結局そういうことにつながるんじゃないですか。ですから、この書類添付制度にかかわる意見を聴取するというのは、何のことはない、全体像としてそういうことだったということですか。

○政府参考人(大武健一郎君) あくまでも今回の書面添付制度というのを充実していくための一環として規定を置いたということでございます。

○大門実紀史君 もう全然答弁がわけがわからないんですけれども、例えば税理士さんにとっても私はこれは非常に問題があると思うんです。
 幾つかの顧客を持っている税理士さんが選ばなきゃいけないわけですね、自分の顧客のうちのAさんには書類添付をつけると。今までと違ってかなり重いわけですね、今度、調査省略になるかどうかですから。そのかわり税理士さんも保証しなきゃいけない。だから、保証書をつけるようなものですよ。それを全部につけられない、自分のクライアントの中から選んだ人だけつけなきゃいけない。税理士さんにも、一年じゅう一緒に苦労して借金の相談から返済の相談からずっと乗っているような、そういうお客さんたちの中で区別をさせるという非常につらいことだと。税理士さんにとっても僕はつらいことだと思いますし、なおかつ、さっき言った税理士に頼めない人との不平等も生む。しかも、この目的そのものが何か大きな履き違えをされているんじゃないかと思います。
 きょうは話が少ししか出ませんでしたけれども、外国からWTOとか規制緩和の関係で国際会計事務所が入ってくると。成り立ちはいろいろ違っても、国の風土は違っても、大抵外国の会計事務所というのは納税者の代理人的な仕事が多いわけですよ。そういう人たちがこれから入ってくるときに、日本の税理士さんだけ、何といいますか、お上の言うままに税務署の補助機関みたいになって、納税者よりもお上の立場になるようなことだったら、私はこれは国際競争に本当に日本の税理士さんは勝てないと思いますよ。
 そういう点でいっても、そういうふうに税理士さんを使うんじゃなくて、きょうの話の最初にもしましたけれども、もっと独立性を認めて、納税者の利益のために働くんだということも認めて、法律上も、もっと自由に納税者のために代理人にもなれるというふうなことに今変えていかないと国際化に逆行する、大武さんが一生懸命主張されている今回の書面添付制度というのは逆効果だということを申し上げておきたいというふうに思います。
 ちょっと意外な発言が出ましたので、またこちらも調べて来週やりたいというふうに思いますけれども、訴訟代理人のことで一つだけ最後にお聞きしますが、本人訴訟の場合は今回の改正だと代理人になれないということですけれども、これは、税金のこれから少額訴訟なんかが起きた場合、当然それが要求されてくると思うし、さっき言った国際化の中でも要求されてくると思うんですが、今後の検討方向として、本人訴訟に直接税理士さんが陳述権を持つという方向は考えておられますかどうか、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(尾原榮夫君) 繰り返しませんけれども、今回の改正は訴訟代理人とともに出頭する必要がございます。
 今後のあり方でございますが、司法制度改革審議会の中間報告で、今後司法改革が現実化した将来において税理士を含む法律専門職種がどのような担い手になっていくかというのは今後の検討課題ということになっていることでございまして、それらの司法制度改革の動向等を見守ってまいりたい、こう考えております。

○大門実紀史君 終わります。
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