● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2001年6月19日 国土交通委員会質問
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
 私は、今回の改正案に関連して、今、続先生からございましたけれども、交通事故被害者の、とりわけ重度後遺障害者の救済対策の問題に絞って、国土交通省のお考えを聞きたいというふうに思います。
 最初に、この重度後遺障害者の救済対策について基本的な認識をお伺いしたいと思いますけれども、午前中からございましたとおり、とにかく交通事故がふえて、しかし緊急医療も発達しておりますので命を取りとめる方がふえている。これはもちろん喜ばしいことなんですが、その中で重度の後遺障害者の数も、午前中もありましたけれども、八九年から九八年でもう倍になっている。八九年がちなみに九百七十三人ですけれども、九八年で千九百四十四人、これは私は財政金融委員会でも質問させてもらったんですが、この十年間で累計はと聞きましたら、そのときに八千六百人になっているという答弁をいただきましたけれども、それぐらいこの十年間でふえているわけです。
 しかも、交通事故ですから、遭われるのがお子さんとか若い方が多いわけですね。したがって、その重度後遺障害者も子供の重度後遺障害者、若い方の重度後遺障害者がふえていまして、いわゆる遷延性というんですけれども、余り使いたくないですけれども植物状態といいますか、そういう若者とか子供がこの間ずっとふえているというのがいわゆる交通事故の重度後遺障害者の救済対策という問題で、非常に今マスコミでもかなり取り上げられてきている、大問題になっているというふうに思います。
 親御さんにとっては、もちろん命を子供が取りとめてくれたわけですから大変喜ばしいことで、それは本当に皆さん喜んでおられるんですけれども、現実問題として、後の介護が物理的にも経済的にも非常に大変な状態に今なっている御家庭がふえているということです。私も何人かの御家族にお会いしましたけれども、もうかなりぎりぎりのところでお子さんとかの介護を続けているというのが今の現実だというふうに思います。
 その点では、後で触れますけれども、いろいろこの間、国土交通省の担当部局が小まめに努力されてきたのは私はよく承知しておりますけれども、まだまだ実態からすると行政のサポートが十分でないなというふうに率直に感じているところです。特に、お年寄りの介護と違いまして、親の方が先に死んでしまうんじゃないか、自分がいなくなったときに自分の子供はどうなるんだろうという、そういう親亡き後の問題というのが今かなり不安になっているというふうに思います。
 こういう点で、先ほど扇大臣、救済対策全体に頑張っていただくというお話を聞いたんですが、特に今焦点になってきています後遺障害者の問題について、大臣としてどういう姿勢で今後取り組まれていかれるのか、最初にその姿勢を聞かせてもらえればというふうに思います。

○国務大臣(扇千景君) 今、大門先生がおっしゃいましたように、重度の障害者、私にも友人がおりまして、私の親友が七年間植物人間的な状況に陥っておりまして、私もしょっちゅう行っておりましたけれども、皆さんがいろんなことを言ってくださって、いろんなことをするんですけれども、あらゆることをするんですけれども、可能性がゼロであると。そのうち病院ではもうすることがないから、ただ要領を覚えてくださったらおうちへ連れ帰ってくださいよと、病院ではそう言われてしまうんですね。けれども、うちではそれをできる人がいないということで、しかも入院治療費が膨大になるというようなことで、今、先生が数字をお示しになりましたけれども、少なくとも重度の後遺障害者数というのが最近十年間で二倍になっているということだけは、これは事実でございます。
 そういう意味では、少なくとも私たち、今後、平成十二年三月、先生御存じのとおり、規制緩和推進三カ年計画というものが出されましたけれども、その中でも政府の再保険廃止と、この五カ条というものがございますけれども、その中で被害者保護の充実、これが明記されているんですね。じゃ、その被害者救済というのは、被害者保護の充実というのは何を指すのかということになるんですけれども、少なくとも私は、国土交通省にとってこの問題は大変重要な政策課題だ、そういう認識を持っております。
 そういう意味で、特に交通事故によります、今、先生御指摘の重度後遺障害者、この十年間で倍増しているということに対しての重度後遺障害者対策が急務であるというのはおっしゃるまでもございません。さりとて、じゃ何ができるかということになるんですけれども、少なくとも平成十三年度予算におきましても、介護料の支給対象の拡大あるいは被害者保護対策の充実、そういうものを図ってきたところでございますし、今後も私たちは、被害者の保護対策あるいは特に重度後遺障害者の対策に今後も心配りをし、より充実できるように図ってまいりたいと思っています。

○大門実紀史君 どうもありがとうございます。本当にその前向きな姿勢で取り組んでいただきたいと思います。
 それで、この問題というのは、実は国会でも数年前から我が党だけではなくて各党の方が取り上げてこられた問題で、もう与野党を問わず、国の、国会の責任として急いで手を打っていくべきだというふうに思います。そういう点では、ぜひ扇大臣、お忙しいでしょうけれども、お願いしたいのは、被害者の代表の方とこの間、この数年でいきますと、二階元運輸大臣も坂口厚生労働大臣も忙しい中、時間をとって話を聞いたりされているので、ぜひどこかで時間をとってもらって、代表の方のぜひ話を聞いていただきたいというふうに思います。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
 私は、きょうはそういう意味で、何か問題点を指摘するというよりも、まだまだちょっと不十分なので努力してもらいたいという意味で幾つかの質問をさせてもらいたいと思いますが、まず、そういういろんな大変な状況を抱えておられる方が物を言う場が、この間、先ほどから出ていますあり方懇の中で後遺障害者の代表の方がやっと入れて意見を言う場があったんですけれども、今後、運用益の活用事業等々の中で、そういう物を言う場といいますか、あるいは実態を把握してもらう場がどう仕組みとして保障されていくのかが非常に気になるんです。
 具体的に質問いたしますと、今回の法改正案で自動車事故対策計画をつくられると。その中で、「被害者の保護の増進を図る」ということが法案にも明記されておりますけれども、例えばこの自動車事故対策計画の中で、これから被害者救済、後遺障害者の問題もやっていくということですから、そのときに、何といいますか、審議会というと今は余りつくらないという方向みたいですけれども、その計画をつくるに当たってのまた懇談会とかあるいはそういう方々の意見を聞く場とか、そういうものを設けられて、ぜひ後遺障害者の代表の方も、もちろん業界代表も入られるかもわかりませんけれども、そういう場を設けていってもらいたいと思いますけれども、今後、そういう意見を聞く場はどういうふうに保障されていくのか、お考えがあればお聞きしたいというふうに思います。

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、被害者救済対策を行っていく上で被害者の方々からの意見を聞くことは極めて重要だと思っております。このため、後遺障害者の代表の方々を含めた被害者団体の方々と実は当省におきましては大変頻繁に意見を交換してまいったという事実がございますので、いつでもお話を伺うという物の考え方のもとで被害者救済対策を実施してきているということでございます。
 御指摘のございました自動車事故対策計画につきましては、計画を策定する際に多くの人の意見を聞くという意味でパブリックコメントのような手続を行うことによりまして、被害者の方々を含め広く意見を募ってまいりたい、こう思っております。
 それからまた、自動車事故対策計画の策定に当たりまして関係審議会で議論するということにつきましては、いわゆる自賠審という話がございますけれども、私どもとしては金融庁と相談をして対処していきたいと思っております。

○大門実紀史君 財政金融委員会で私、金融庁の今度自賠審のまた部会ができるそうで、その中にぜひ委員として後遺障害者の代表の方を入れてほしいという要望を出しているところなんですけれども、とにかく私ちょっと心配しますのは、この自賠審答申あるいはあり方懇の答申の流れの中で、やっぱり懇談会なり審議会方式で議論されたことが、割といろいろ途中経過も含めてオープンになって答申にまとめられるという経過が非常に重要だと思っているんですね。
 その中で、普通だったら社会的発言力の弱い、どちらかというと業界の方というのは発言力が強いわけですけれども、だけれどもきちっとそれなりの発言が中に入るということで保障されるわけなので、情報公開を含めてそういうオープンな場で議論してもらったことをまとめるという形が一番やっぱり反映されると。国土交通省が頻繁に被害者の方のいろいろ要望を聞かれているのを私よく承知しておりますので、よく努力されているというふうに評価させていただいていますけれども、ただ、個別に聞きますとやっぱり力の強い方にという心配がありますので、やっぱりオープンな場でみんなで懇談してもらって、意見を出してもらって、その中身を公開するというふうな、これからこういう時代ですから、保障を検討していってもらいたいというふうに思います。
 具体的な中身で幾つか質問いたしますけれども、ただやっぱり被害者救済、後遺障害者の救済問題で本当に大丈夫なのかなという心配を実は幾つかしておりまして、そもそもわからないのが、今回のずっと出ている二十分の十一、二十分の九、いわゆる十一対九なんですけれども、なぜユーザー還元に一多いのか。十対十じゃなくて、何で十一対九で、被害者救済が九になってしまったのか。これは率直に私疑問なんですけれども、お答えいただけますでしょうか。

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。
 政府再保険から生じます運用益につきましては、これまでもユーザーによる保険料負担の軽減ということと、それから被害者救済ということ、その二つの柱に使われてきているわけでございます。この制度改正時に残ります運用益につきましても、この二本の柱にバランスよく用いるということが必要だというふうに考えたところでございます。
 今回、具体的に比率を決定するに当たりましては、平成十二年六月の自賠審答申も踏まえまして、再保険の運用益につきましてはユーザーによる保険料負担の軽減に充てることを一応基本とする、それから運用益を活用した被害者救済対策などの充実に充てるということを考える、この二つの要素を勘案いたしまして、二十分の十一をユーザー負担の軽減に、二十分の九を被害者救済対策などに充てることとしたものでございます。
 平成十三年度予算におきます被害者救済対策などの額は約百八十六億円でございますが、累積運用益の二十分の九、およそ九千億でございますが、これを被害者救済に充てることといたしたところでございますので、引き続きこれによって安定的な実施が可能というふうに思っているところでございます。

○大門実紀史君 やっぱりわからないんですけれども、自賠責法そのものは被害者救済が一番の趣旨なんですよね、自賠責法というのは。この間の答申、あり方懇の答申も自賠審の答申も、やっぱり被害者救済が一番に書いてあって、この法案が出てくるときにどういうわけか十一対九と。私はそのユーザー還元を何も否定するわけじゃないんですけれども、ユーザー還元であっても、もちろんノープロフィットの原則ですから、ノーロス・ノープロフィットですからわかるんですけれども、これだけ被害者救済が重要で、しかも後遺障害者についてはかなりふえてきている、その対策が重要だとあれだけ書いてあって何で、せめて十対十じゃないのか、何で一ユーザー還元に行っているのかなと。議論の流れから行きますと、僕は逆に被害者救済が十一でユーザー還元が九ならこの答申の流れだなというふうにわかるんですけれども、何で逆に一がユーザー還元に行ったのかがわからないんです。
 例えば加入者還元といいますかユーザー還元、保険料を値下げしていくということですね、還元していくということですね。これは幾ら還元されるんですか、加入者にとって。資料によりますと、六年間で毎年一千二百億から一千三百億返していくということですね。これは一人当たり幾ら保険料が安くなるんですか。

○政府参考人(高橋朋敬君) ユーザー還元に関する御質問でございますが、一応財源として二十分の十一を考えているわけでありますが、その財源を用いまして具体的にどの程度保険料率に影響があるかということにつきましては、実はこれから法改正した後に自賠審等で議論していただくことになりますので、各年ごとの話ということについては現時点ではちょっと、法制度の改正を待ってからの話だというふうに思っております。

○大門実紀史君 私、試算してみたんですけれども、これはケースのとり方によるんですけれども、一番低い場合で百円か二百円、返し方によりますけれども三百円か五百円。私、五百円以内の、ひどければ百円下げますよ、二百円下げますよ程度の話じゃないかなと、金額を保険料で割りますと。だから、そんなものを本当に今ユーザーが求めているんだろうかと。
 さっき言った交通事故の内容も非常に複雑になって、大体保険に入る人というのは、保険料を安くしてほしいが一番じゃなくて、自分が加害者になるかもしれない、あるいは自分の家族が交通事故の被害者になるかもしれない、安心のために入るわけですね。そういう方が、それは千円、二千円値下げするんだったらまだあれですけれども、百円、二百円、三百円ぐらい値下げしてもらうことが強い要求で、それでユーザー還元、ユーザー還元と言っているとは、私は保険に入っている人たちの強い要望とは思えないんです、その程度の話ですと。むしろ、さっきの後遺障害者の話とか、そういう実態を知ってもらうと、やっぱり保険の中身をよくしてほしいというふうに私はなると思うんです。
 それが何で十一対九になったのか。やっぱりそこがわからないんですけれども、どこの要望で、どの業界の要望でこの十一対九になったかまだわからないんですけれども、何なんですか、この十一対九の背景というのは。

○副大臣(泉信也君) 先ほど来、諸先生のお尋ねにもございます。我々としては、審議会の答申の言葉を受け、また今日までの被害者救済の実態を踏まえてこの率を決めさせていただきました。
 確かに、コーヒーも安いところ高いところございますが、コーヒー一杯程度の値段のユーザー還元が本当に歓迎されるのかという御指摘があることは私もわかります。しかし、やはりもともとはユーザーの方からちょうだいしたお金がもとになっておるという事実もこれは否定できないわけでございまして、審議会の先生方、そしてまた当然私自身も被害者の方々にお目にかかってお話を伺った上でこうした比率で案分させていただく、そのことが一番関係者の皆様方にも御理解をいただいておるというふうに理解しておるところでございます。

○大門実紀史君 余りこれに深入りしませんけれども、もともと加入者のお金だったというのは当たり前の話で、保険ですから。何のために保険に入っているかはさっき申し上げたわけで、ちょっとでも返してもらいたいと思っているかどうかが私は疑問なんですよ。それよりやっぱりちゃんとした保障、保険を、自分が加害者になるかもしれない、被害者になるかもしれない、自分の家族がなるかもしれないという状況ですから、その辺をよく御承知いただいて提案してもらいたかったなと思うんですけれども、そこは非常に大変疑問なままなんです。
 次に、運用益事業の中身についてお伺いいたします。これは十三年度予算で、先ほども質問に答えて説明がありましたけれども、被害者救済百二十四億、自動車事故防止対策、その二十分の九の中身ですけれども、合計で百八十六億ということですけれども、今後この百八十六億の規模というのはどういうふうになっていくというふうにお考えなんでしょうか。ふえるんでしょうか、それともこのままなんですか。その辺はいかがですか。

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。
 この被害者救済対策事業等につきましての今後でございますけれども、従来より政府再保険の運用益を活用して対策を行ってきておるわけでございますが、平成十三年度におきましては、介護料の支給の範囲の拡大とか、それから療護センターの新設とか増床を行うなど重度障害対策に重点を置いた被害者対策をやってきておるわけでございます。
 今後の事業のあり方につきましては、事業の効果とか必要性とか他の制度の関係等も考慮に入れながら、財源をより効果的に活用しようという視点から適宜見直しを行いながらその充実を図っていくというふうな視点で取り組んでまいりたいと思っております。

○大門実紀史君 つまり、約二兆円で二%の運用ですか、午前中ちょっとお答えになっておりましたけれども。それで、そのうちの二十分の九で、つまり大体これからも百八十億ぐらいの規模ということですか、そうすると。今、中身のことを言われましたけれども、全体規模はこれから百八十億ぐらいで推移するということなんでしょうか。全体規模を教えてください。

○政府参考人(高橋朋敬君) 当面、おおむねその程度の規模で実施していくというふうに思っております。

○大門実紀史君 その中身に少し入りますと、私、この問題にいろいろ取り組んできて、例えば介護給付がございます。これがヘルパーさんを頼むと一日四千五百円の給付が出るんです。頼まない場合は半分の二千二百五十円出るんです。この金額については後でまた申し上げますけれども、ちょっと違うんじゃないかなと思うのは、他人に頼むといいますか、家族が自分でやったときは他人に頼んだときの半分だという意味です。なぜ半分なのか。これは半額ということだそうですけれども、人に頼んだりヘルパーさんに頼んだ場合の半分しか見ていないと、家族の介護を。これはどういう考え方なんでしょうか。
 私は、交通事故という特殊な場合は通常の介護保険の介護とかに当たらないと思っているんですけれども、どういうふうに考えておられますか。何で半分なんですか、家族が介護すると。

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。
 他人に頼みました場合にはコストをフルにお支払いしなければいけないという事情にあります。一方、家族の場合には、家族の中での助け合いという面もあるでしょうから、そういう意味で半分というような程度の金額になっているというふうに承知しております。

○大門実紀史君 私、その家族の助け合いとか家族のことは家族が面倒を見るんだというようなことを一般的に言われるのはわかるんですけれども、交通事故というのは当たらないと思っているんです。
 なぜかといいますと、大体交通事故に遭わなければ、その家族は介護をする必要はなかったわけです。加害者がいるわけです、加害者が。加害者によって与えられた被害なんです、家族が介護しなければいけないという状態も。そうでしょう。普通のお年寄りの介護とか子供が風邪で寝ているのを親が介護するのとわけが違って、加害者がいて、第三者からの過失といいますか、被害を与えられて家族がその負担をしているわけです。これは、法律的に言っても、ほかの家族介護と公的な介護等の差と別に論立てしなきゃ成り立たないというふうに私は思っているんです。いわゆる家族だからとか家族の助け合いとかいうのは、これは当の御本人にとっては何でそんな目に遭わなきゃいけなかったのか。そもそも考えてみたらこれは違うと思うんです。私、そもそも疑問なんです、この金額が違うというのが。
 さらに、二千二百五十円、あるいはヘルパーさんを頼んでも四千五百円というのがいかに低いかというのは、これはもういろいろ現場の実態を聞かれてよく御存じの上でなかなか改善できないというふうにお答えされているんだと思います。
 遷延性という、植物状態で寝たきりの子供は一日に十回以上たんを吸い出さなきゃいけないんです。たんを、エキュウレというんですけれども、吸い出さなきゃいけないんです。これは実は医療行為なんです。お医者さんか看護婦さんしかやっちゃいけないんです。これはヘルパーさんもやっちゃいけないんです。家族に何でやらせているかというと、万が一事故があっても家族だから裁判にならないから家族がやるのを容認しているという形になっているんです。だから、本来やられるべき医療行為をやれない状態が今の状態なんです。これは、もしも看護婦さんを頼んだら、十回もやりに来てもらったら四千五百円じゃ足りないんです。だから、非常にその金額がもう実態と合わない。これは私、財政金融委員会で取り上げて、金融庁の方からも国土交通省の方からも、金子審議官が、今のままでいいとは思っていないというような答弁をいただいて、今後は何とか少しずつでもよくしていく方向だという答弁はいただいています。
 さっきの話に戻りますが、百八十億という、頭打ちで、今現在の給付状態がそうです。今百八十億ぐらいでやっている。この百八十億はずっと変わらないのに、この中身をどうやって改善していくのか、どうやったら中身を改善していけるのか、その辺の展望といいますか、その辺をちょっと教えてもらいたいと思います。

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。
 中身の、事業内容の見直しとか効率化等の点でございますけれども、今まで長い期間行ったような事業につきまして、事故防止に対する効果がどうであるとか、それからサービスを受ける人に対する負担をどうするかとかいったような点について今見直しを行って、できるだけコストのかからないような方向に努力をすることであるとか、療護センター、非常に大きな事業費でございますけれども、基本的には新しいものは民間委託をしておりますけれども、例えば千葉の療護センターについてはまだ民間委託できていませんので、民間委託することによってコストセービングできないかとか、いろんな見直しのことが考えられると思います。これは、被害者救済事業のみならず、事故防止対策も含めまして全体について見直しを行って、また一方、新しいニーズも出てくるでしょうから、そのニーズとの関係も踏まえながら見直しをしながら事業の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。

○大門実紀史君 本当に、ぜひ見直してもらいたいのは自動車事故防止対策の六十二億。これは中身を本当に見直してもらいたいなと思うんです。そもそも疑問なんですけれども、警察庁も交通事故対策をいろいろやっていますけれども、なぜここの限られたお金を使って、被害者救済に回せる部分を分捕ってまで、私から言わせれば本当にそういう表現をしたくなるぐらいなんですが、その自動車事故防止対策に六十二億も、百二十四億しかないわけです、被害者救済に。その自動車事故防止対策に六十二億も、ほかでもやれる、一般財源でもやれるはずのことを何でここで一生懸命やらなきゃいけないのか。
 恐らく、自動車事故防止に努力すれば、自動車事故が減って、自賠責保険の運用益もたまって、また被害者救済に回せるというような、風が吹けばおけ屋がもうかるみたいな、そういう理屈かなというような気がするんです、事故を減らせばみたいな。ただ、ここでやらなくても私はいいじゃないかと思うんです、限られた財源だから。
 そういう点で、非常に調べて何なのかわからなかったのは、今度の十三年度予算の中に入っているんですけれども、都市交通の安全・円滑化に資するバス利用促進等総合対策事業とあります。十九億円も使っていますけれども、これは何なんですか。中身を説明してください。

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。
 自動車交通事故による被害の未然防止を図るという観点に立っているわけでありますが、交通がふくそうして、自家用車の輸送人キロに対する死傷者数の割合が非常に高いと言われている都市部でございますけれども、ここにおきまして、安全性の高い公共交通機関であるバスの利用を促進する、図ることについて、これによりまして交通事故を抑制することが必要かつ効果的であるというような認識のもとに行っているものでございます。
 具体的には、バスの走行環境の改善、ノンステップバスの導入などを通じまして、バスの利便性の向上や利用の促進を図っておるものでございまして、これによって都市交通の安全・円滑化を図りまして、自動車交通事故による被害を未然に防止しよう、被害者の保護を増進しようというふうに考えております。地方公共団体と連携しながらこういうような事業を支援しているということでございます。

○大門実紀史君 そんなことはこのバス利用促進等総合対策事業のペーパーにはどこにも書いてないですね。要するに、人、町、環境に優しいバスの意義を最大限に発揮した町づくりに取り組む市町村支援事業と。だから、それはこじつければどこかで自動車事故防止につながるかもわかりませんけれども、こんなものはここでやらなくても、一般の、これは特にバリアフリーだとかノンステップバスとかそういう一般的な事業ですから、ここでやる必要はないんじゃないか、ここのお金を使ってやることはないんじゃないかと私は思います。当然、ほかの事業でこういうことやっているわけだから、バリアフリー化とか、これはいいことです、この事業そのものは。いいことだと思うんですけれども、ここで被害者救済に回すお金まで使ってやることはないんじゃないかと私は思います。
 そういう点で、事故対センターがやっている事業というのは過去にもいろいろ批判を受けてきたというふうに思います。例えば、これ十九億円でしょう、さっき言った介護の支給というのは四十億ですね、大体。このお金を、わけのわからないバス事業をそちらに回したら一・五倍の介護給付ができるんです。何でそれを削ってまでこんなバス事業をここでやらなきゃいけないのか。全然私は理由にならないと思うんです。
 これは、もうちょっと事故対センターが今やっぱり特殊法人、その外郭団体の整理の中でかなり私はいろいろ問題点を指摘されていると思うので、こんなことをやっているとますます本当に批判を受けると思うんです。本来やるべき被害者救済にもっと人もお金もかけるというふうにやらないと、みずから首を絞めているようなことをこの事故対センターは私はやっているということを指摘したいというふうに思います。
 そういう点では、限られた百八十億の中の交通事故防止対策の事業の中身を抜本的に見直すと、先ほど見直しと言われましたけれども、この交通事故防止対策事業を抜本的に見直すお考えはありませんか。

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。
 もともと、この事故防止対策事業につきましても、より交通安全に資するものに重点化するという視点から取り組んできているわけでございますけれども、そういう視点から当然見直しをしていきたい、こう思っております。
 そういう中で、事業が現在の時代のニーズに合ったものであるかどうかよく判断しながら重点化をするといったようなことで取り組んでまいりたいと思います。

○大門実紀史君 とにかく減らしてもらいたいと思います。被害者救済に回してもらいたいというふうに思います。
 冒頭言いましたけれども、今親御さんたちが一番心配されているのは自分たちが亡くなった後子供はどうなるんだろうということ、あるいは自分たちが倒れた後だれが子供の面倒を見てくれるんだろうと、寝たきり状態の。そのことを今非常に心配されているわけですが、そのことではさっき療護センターの話がありましたけれども、これはいろいろ言われましたけれども、私率直に言って非常に不十分だと思うんです。相当努力してもらうか何か抜本的に考えないと、そういう短期入院にしろ、もし亡くなられたとき引き受けるにしろ、全然私は足りない状態じゃないかというふうに思います。
 例えば、さっき中部の療護センターで短期入院のベッドが五床つくられたとおっしゃいましたけれども、ほかの療護センターはありませんよね、今の段階では。短期入院用の五床というのはないですね。本当に、仮に五床ずつでもとりあえず各療護センターにあれば非常に皆さん助かるんですよ。短期入院でも、二十四時間三百六十五日ぎりぎりの状態でやっていられて、何かのときにちょっと預かってもらえれば物すごく助かるんですよ。中部にやっと五つ、五床だけではもうこたえられないんですよね。東京の人が岐阜まで行けるわけないんですよね。
 そういう点では、短期入院にしろ、療護センターそのものも今後どうされるのかはありますけれども、その短期入院の五床だけじゃなくて療護センターそのものは今後ふやしていかれるんですか。ふやせるんですか。お答えいただきたいと思います。

○政府参考人(高橋朋敬君) 療護センターにつきましては、この七月に中部で新しいセンターが開所するということになります。
 今お待ちになっておられる方々もおられますので、その方々の関係で申し上げますと、できるだけ療護センターで治療行為を受けていただくようなスペースを確保するという意味から、センターの周辺あるいは附属施設と申しますか、介護病床というものをふやしていって、そこに移っていただける方は移っていただくということによってキャパシティーをふやしていく。それから、一部適切なものについては一般の病院の方にも受け入れを模索していくといったようなことで、全体としてそのサービスを受けられる方をふやしていこうというような考え方で取り組んでおります。

○大門実紀史君 療護センターについては、もう岐阜の後、今のところふやしていく計画はないということはお聞きしていますけれども、その中で合理化したり、あるいは協力病院を頼んでいくという方向だということだと思いますが、それはたしか協力病院も今回一病院九百万ですか、六カ所試験的にお願いするということですね。これはどういう意味なんですか。九百万円ずつ出して六病院募集するんですか。これはどういう計画なんですか、五千四百万の計画というのは。

○政府参考人(高橋朋敬君) 在宅で療養生活を送っておられる重度後遺障害者の方々に定期的に医療機関において適切な診断、治療を受けることと、それから患者の家族の方々にとって在宅介護の技術やケアの方法について医療機関から指導、助言を受けることが望ましいというふうな考え方に立っているわけでございまして、このため、短期入院の受け入れが可能な医療機関を協力病院として位置づけまして、これらの協力病院が行う在宅介護指導活動や重度後遺障害者に対する治療、介護技術の研究活動などに対しまして助成措置を講じるというふうに考えているところでございます。

○大門実紀史君 この療護センターが今一ベッド当たり大体年間予算二千万ぐらいかかるというようなことをおっしゃっているんですね。普通の病院が二十四時間介護の必要な人を受け入れるというのは相当大変で、相当の何らかの措置がないと私は協力病院は広がらないというふうに思います。これは本当にどうなるのかなというふうに思って心配しているところですけれども、少なくともさっき申し上げた療護センターの短期入院用のベッドを至急ふやすというのは国土交通省の努力でできると思いますから、ぜひそれは急いでやってもらいたいというふうに要望しておきたいというふうに思います。
 その短期入院のことで一つだけ最後に申し上げますけれども、補助ですね、家族に対する補助が一日一万円で二週間以内、年間三十万円以内というのがありますけれども、私、これも実態に合わないなと。大体今、差額ベッドとかでそういうふうに頼みますと差額ベッド代取られて一万五千円とか一万八千円取られるんですね。そうすると八千円自己負担とか出てくるわけですよ。そうなると、やっぱりその負担のために預けるのをちゅうちょするということが起きてしまうんで、年間三十万という予算をとったんでしたら余り細かいこと言わないでその範囲でやれるというようなポイント制なり、何か新しい使いやすい制度にしてもらいたいというふうに思います。
 最後に、扇大臣に一言だけお聞きしたいのは、やっぱり実態として努力されているというのはわかるんですけれども、いろいろ不十分だと。後遺障害者に対する対策が不十分だと思いますから、その辺を御認識された上で具体的にどういうふうにやっていかれるお考えなのか、最後に一言聞かせてもらえればと思います。

○国務大臣(扇千景君) 今、大門先生とのやりとりの中で、少なくとも私は限られた金額をどう配分していくか、大事なことだろうと思っておりますし、またその中で、少なくとも今回十三年度として五千四百万円の予算化をしましたけれども、今、大門先生がおっしゃったように六病院だけではなくて一般病院にも、なおかつ短期の重度障害者のケアに対してももっと配慮すべきではないかというふうにおっしゃいまして、また私どももできる限りのことをしなければならないとは思っておりますけれども、短期入院の場合の一回の入院期間は大体二週間以内ですとか、あるいは年間の通算入院日数は三十日以内、あるいは入院と入院との間、三カ月以上在宅期間を置くとか、そういう条件がるるございますので、私は、今おっしゃったように、少なくとも今後限られた中でもより重度後遺障害者のためには、家族全員が同じような症状になる、その一人の人のために家族全員まで犠牲にならなきゃいけないという現状というものを考えましたときに、果たして今、先生がおっしゃったように、このままでいいのかと。そういう家族の負担というものをどこでどうケアしていくのかということも含めて、私は今後、この交通事故によります重度後遺障害者の問題というのは大変重いものがあろうと思います。
 また、先生から御指摘ございましたように、自動車事故対策センターのあり方、これ自体に対しても私は今後精査しなければならないし、国土交通省になって右のものが左へそのままということも私は今後検討する大きな材料だと思っておりますので、国土交通省としては、その辺のいろいろな御論議いただいたところの要所要所を今後すべてに対して見直していったり、また注意をし重要視していく、そういう政策をとっていきたいと思っています。
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○委員長(今泉昭君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として八田ひろ子君が選任されました。
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