● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2001年6月21日 財政金融委員会質問
○大門実紀史君 日本共産党の大門です。
 最初に、コミットメントライン法案について一つ二つ質問をさせていただきます。
 先ほど峰崎議員からもありましたので、簡潔に一つ二つお聞きしたいと思いますが、二年前に制定されたときに、中小企業の保護といいますか、弱者保護が必要だというふうなことが議論されまして、塩崎さんがそのときに、この二年間で具体的に考えていくというようなことを当時の大蔵委員会でも御答弁されているわけですが、今回の改正に向けて、中小企業保護の部分で具体的にどういう手だてをとられてこられたか、お聞かせいただければというふうに思います。

○衆議院議員(塩崎恭久君) 大門議員の御質問にお答えいたします。
 確かに、二年前に我々スタートするときに一番心配したのは、中小企業が弱い立場がゆえに法外な手数料を取られるんじゃないか、こういうことでとりあえず商法特例法の大企業というのに限定をさせていただいたと、こういうことでございます。
 見直し期間がおおむね二年間ということでございまして、その間に何ができるのかを考えようということを申し上げ、実は見直しの中には、例えばSPCとか、資本金が小さいけれども実質大きなところについて、そのときには入れられなかったものですから、どういうふうにするのかという見直しもしなきゃいけないと思っておりましたが、一番の問題はやはりこの中小企業だったと思います。
 正直言って、この二年間、基本的に大企業がこの法律を利用して、かなり多くの企業がコミットメントライン契約を結んだ上で流動性確保をやっていただいたわけでありますが、その間にいろいろと、行為規制で何が中小企業を守るためにできるんだろうかというようなことも検討をいたしました。
 ちょうど折しも、先ほどもちょっとお話し申し上げた、貸金業の中で商工ファンドであるとかあるいは日栄の問題が起きまして、あのときも行為規制を強化しようということになったと思いますが、結局、このコミットメントライン契約のような形のもので中小企業にまで広げた場合に、例えば書面での注意義務とかそういう形の行為規制をやったところで、本当に守られるかどうかということについての自信は得られなかった。
 こういうことで、今回、その間に中小企業の定義も変わって、中堅企業というのが、五億円から三億円までの間がいわば中小企業に、特に製造業の場合にはなるということで、この間の企業ならば銀行との間での交渉の問題に負けることはないんじゃないかと、こういうことで今回また拡大をしてみようということであります。
 もちろん、禁止して中堅企業が失うものと、それから、恐らく問題はないだろうということで実行してみて中堅企業が得るものとを比較してみると、やっぱりこれは明らかに後者の得るものの方が多いだろう、こういうことだと思います。
 今まで全然問題もなかったということもありますので、今回こうやって始めてみて、この二年間様子を見て、一切規制を取っ払って行為規制だけでやるという議論もあったということをお話し申し上げましたけれども、そういうことが果たして可能なような中小企業保護の施策があり得るかどうかというのをこれから見ていこう、こういうことだろうと思っております。利息制限法あるいは出資法を丸々適用しないという話ではないわけでありますので、とりあえず二年間、これからまたもう一回やってみようと、こういうことでございます。

○大門実紀史君 今回については具体的な手だてがないということで、その辺はやっぱり、三億円といえど非常に危惧しているという点を申し上げたいと思います。
 次の質問に入りますが、きょうは竹中大臣は御出席できないということですけれども、ちょうど骨太の方針がきょう決定されるということで、前回に引き続きまして、緊急経済対策及び骨太方針の経済の構造改革の部分について塩川大臣、柳澤大臣に御質問したいというふうに思います。
 まず最初に、前回最後のところで塩川大臣に御質問いたしまして、時間切れで終わってしまったんですが、今回の十二回目となります緊急経済対策の位置づけの問題ですけれども、前回も申しましたけれども、財政構造改革部会の中間報告で過去十一回の経済対策をどう見ているか、これは必ずしも的を射ていなかったというふうに書いてあると思うんですが、塩川大臣がお答えになりましたのはちょっとニュアンスが違いまして、あれはあれで必要だったというふうなことだと思います。それは従来の宮澤大臣の見解と同じだと思うんですが、私はちょっと違う角度で、過去十一回も、また今度の十二回目もやっぱり的を射ていないんじゃないかというふうに意見を持っております。
 といいますのは、過去十一回というのは、これにも書いてありますけれども、需要の拡大をやっぱり考えて、特に公共事業を中心にいろいろ手を打ったと。ただ、そうはいっても民間需要、家計部門を中心としたそこのところの手だてをやっぱりほとんど打ってこなかったというのが過去十一回だと私は思うんです。今度の十二回目は全く視点が変わって、需要そのものじゃなくて、むしろサプライサイドといいますか企業の構造改革といいますか、金融と産業の再生と書いてありますけれども、需要拡大よりもサプライサイドの問題を解決しようと。
 つまり、ここでも抜けているのが民間需要、特に家計部門の低迷をどうするかと。だから、過去十一回も今回の十二回目も抜けているのは、一番の不況の原因とこの前の月例経済報告でも指摘されておりますけれども、家計部門の消費の落ち込み、こう分析はしているんですけれども、ずっとそれを避けて、その部分に対する直接の手だてというのを何でここまでずっと避けなければいけないのか。
 私、この間、外国の、特に先進国のこの七、八年の経済対策がどういうふうに打たれてきたのかと。アメリカも含めてですけれども、もちろんサプライサイドのもありますけれども、基本はやっぱり個人消費といいますか、家計の支援をベースにどの国もやってきているんですよね、どの資本主義国でも。なぜ日本だけがいつまでもそこに手を打たないのかと。今回はまた全然違う角度で、やはり同じようにそこには手を打たない。そこのところをなぜ避け続けるのかが非常に疑問だと思います。
 そういう点では、私は、今回の十二回目もやっぱり失敗するんじゃないか、この経済対策も失敗してしまうんじゃないかという危惧を抱いているところですが、なぜ民間の、特に家計部門がいつも最大の不況の原因だと言われているのに相変わらず手を打たないのか、その基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(塩川正十郎君) 経済財政諮問会議というのは、先ほど御説明の中にございましたけれども、本質は、この役割というものは変わったわけではございませんで、もともとこれができましたのは、中央省庁を統合する前の前提として内閣府を、つまり総理大臣の権限を強くしようということの発想でございました。そして、内閣府を設置し、内閣府の中に経済諮問会議というものを設置するということになって、しかもこの会議は国の財政、経済全般について広く調査検討し、総理大臣に対してこれを進言し、総理大臣がこれに基づいて経済・財政政策の基本的な指針を与えるということがこの会議の目的でございます。
 したがいまして、発足以来ずっとやってまいりましたのは、主に予算編成に関する審議、調査というものが中心でございまして、それとあわせて景気回復の問題とあわせて取り組んでまいりました。その意味において、確かに経済諮問会議の主たる目的は景気回復にあったということは否めない事実であったと思っております。
 ところで、小泉内閣にかわりまして、この経済諮問会議の本質、いわゆる役割といいましょうか、使命というものは変わったわけではございません。それはもう当然のことでございます。しかしながら、小泉政権にかわったこの機会に、小泉政権というのは一体将来に向かって何をイメージしておるかということを各分野について広く検討し、それを経済政策の基本の中に織り込んでもらいたいという趣旨から、国政全般にわたるところの検討をしてそれを織り込んできたのが今度の骨太の方針ということになったわけでございまして、これはただ単に、小泉政権として将来に向かっての施策の基本的な考え方を述べたものとして理解していただきたいと思っております。
 そうはいうものの、この会議の主たる目的は、先ほど申しました経済、財政に関しての、特に予算編成等に関する指針を明確にするということがこの会議の目的でございますので、第六章のところに、国の財政の構造のあり方と十四年度予算編成に関する指針というものを第六章にまとめて書いてあるということでございまして、これがこの会議の主たる目的であるということも御承知いただきたいと思っております。
 そこで、今回の骨太の方針が出ましたことについて大門さんがおっしゃるのは、消費関係のものが書いていないじゃないか、そして、どうも構造改革のみに重点を置いて、予算関係の面が少ないではないか、景気対策の面が少ないじゃないかとおっしゃっておりますけれども、これは、私たちがかねてから主張しておりますように、構造改革を進めながら、その弾みによって経済を改善していこう、景気回復を図っていこうということでございますので、経済構造の改革とそれから景気回復とを一体として考えておりますので、その点は御了解いただきたいと思っております。
 なお、消費について余り言及していないじゃないかという仰せでございますけれども、読んでいただいた各般について、例えば社会保障の中において、あるいはまた国と地方との関係において、消費に関する項目はその中に含蓄としてあるものだと思っておりますし、十分にその点は御検討いただきたいと思っております。

○大門実紀史君 私が申し上げたのは、民間需要、特に家計部門をどう見るかという基本的な考え方の話を御質問したんですが、それは後の質問にもかかわりますので、また後で申し上げたいと思います。
 この骨太方針なんですけれども、素案も読ませてもらいましたし、この前、竹中大臣のお話も伺いまして、要するに今経済財政諮問会議で描かれているシナリオといいますか、大体この前のお話で見えてはきたんですけれども、まず、不良債権がなぜ悪いのかといいますと、とにかく銀行が仲介機能を落としているとか、過剰債務に陥っている企業が新たな投資ができないという点でよくないと。何でこの不況のときに急ぐのかというと、これは早い方がいいからだという話ですね、要するに。善は急げといいますか、とにかく早くやってすっきりした方がいいと。ただ、それは痛みを伴うからセーフティーネットは必要だろうというふうな話ですね。
   〔委員長退席、理事勝木健司君着席〕
 早く決着をつけて、早く身ぎれいになって新しい経済社会といいますか、竹中さんに言わせると、ニュービジネスとかデジタルな可能性とか、新規ビジネスを起こしていって、生産性の高いところにお金が、資源が、人と金が移動して、それで経済が新たな成長をするんだというふうな、簡単に言うとそういうシナリオかなと思うんです、竹中さんのお話と骨太の基本方針を読みますと。そういうことでよろしいんですか、シナリオといいますと。

○国務大臣(塩川正十郎君) おおむねおっしゃるようなことでございますけれども、ただ、不良債権の整理というものは、これは御存じのとおり、単に債権の整理を急いで処理すればいいという問題ではございませんで、御存じのとおりだと思うんです。これは大きい社会問題、中小企業問題にもなってくる問題でございますので、それだけに、我々は急ぐべきではあるけれども慎重に扱っていく、それで十分なセーフティーネットをつけた上で実行していくようにしたいと思っております。
 したがって、これは金融担当大臣の答弁になると思うのでございますけれども、その間における配慮というものは政府全体として十分に考慮してやっていきたいと思っております。

○大門実紀史君 おおむねそういうシナリオをこの前も伺ったわけですけれども、私は、やっぱりこのシナリオには根本的な欠陥があると率直に言って思うんですね。
 一つは、なぜこの不況のどん底のときに、今言われたとおりだと私は思うんですね、かなり配慮しながらやらないと大変なことになる。景気がいいときだったらそれは雇用の吸収力もあると思うんですけれども、なぜ無理無理この最悪と言ってもいいぐらいのどん底のときに強行しようとするのか、この理由がよくわからないし、何度この前竹中さんに聞いても、宿題は早くやった方がいいんだみたいな精神論的なことしか返ってこないんですよね。なぜやるのかというところの理由がいろいろありますけれども、私は、実体経済はそういう危機感といいますか、早くやってもらいたいというのはあるのかなというふうに一つ疑問があります。
 二つ目の疑問は、欠陥といいますか、そうやって無理無理やったときの不良債権処理がもたらす影響について厳密な検討がされていないというふうに思います。実際に人が失業したり倒産すると言われているのに、生身の人間がそういう目に遭う可能性が非常に強いというか、実際遭うわけですけれども、なのに、その可能性がどれぐらいの影響をもたらすのかということについて厳密に検討がどこでもされていない。
   〔理事勝木健司君退席、委員長着席〕
 三つ目には、じゃ、無理無理そうやって不良債権処理をやった後、本当にきれいになっているのかと。二、三年後、目の前の不良債権が本当にきれいになっているのか。不良債権というのはゼロにならないのはわかりますけれども、本当に今よりもきれいな状態になっているのか。急激にやることによって生まれるデフレ圧力でさらに倒産とか不況が深刻化して新たな不良債権が生まれて、結局不良債権がそれほど減っていない、やってみたら二、三年後に減っていないという可能性について、これもほとんど検討がされていないというふうに思います。
 四つ目には、セーフティーネット、新規雇用の問題ですけれども、この前これは十分内閣府の方に議論させてもらいましたけれども、ほとんど考えられていない、まともに検討されていない。新規事業についていえば、先ほど申し上げました民間需要とかかわるんですが、本当に絵にかいたもちのような話を、バラ色の話だけをこの前いろいろ言われているだけで、結局何もない。セーフティーネットについても、新規雇用、新規事業がふえるということについてもないというような私は問題点を非常に感じたわけです。
 きょうはその四点について具体的に質問をしたいと思うんですけれども、まず、なぜこの不況のときにそんなに急いでやるのかというところで理由を挙げられていますのは、金融機関の仲介機能が落ちているという点ですけれども、私は、信用保証協会の役員の方とか金融関係者の方に直接お話を聞きましたけれども、そういう認識じゃないですよ。
 それは個別の話になりますので、例えば全銀協の前の西川会長は記者会見ではっきりとおっしゃっているんですけれども、我が国の景気が立ち直らない原因は別に不良債権じゃない、経済の足なんか引っ張っていないと、銀行協会の会長がこういうことをおっしゃっているんですね。例えば健全性に問題があると言われても、今、十分健全だと。これは柳澤大臣もそういうことをおっしゃいましたけれども、十分健全だし、仲介機能についても、自己資本比率が一一%台後半だから、何もお金を貸せない状態じゃないと。つまり、理由に挙げられております金融機関の健全性とかあるいは仲介機能が落ちているという点では、銀行自身がそれを否定しているわけなんですね。
 あえて言うならば、それはない方がいいわけだから、早く処理した方がいいわけだから、そうすればマーケットの信頼が高まるだろうとか、それで株はよくなるだろうとか、あえて言えばそういうことはあるけれども、言われているような仲介機能が落ちているということはないと。
 また、企業が抱えている過剰債務も、過剰債務を抱えているからお金を借りないんだ、設備投資できないんだと、そういう企業はもちろんありますけれども、全体としては不良債権を抱えていない企業が多いわけですから、そういうところが今資金需要がないのは、やっぱり不況だからだということもこの西川さんはおっしゃっているんですね。
 つまり、仲介機能だとか資金需要の問題というのは、実体経済といいますか、現場ではそういうふうにとらえていない。にもかかわらず、とにかく一気に二、三年で処理しろというふうな話になっているというとらえ方です。
 例えば、富士銀行の支店長会議の資料も私は見ましたけれども、そこでも同じようなことを支店長を集めて山本会頭がおっしゃっていますけれども、これは政治家とか当局が不良債権処理を早くやれと言っているんだと。それはやらないよりは早くやった方がいい、これによって富士銀としてはこの機会に収益力の増強を図ろう、そういう構えでやろうということを言われているんですね。
 実際問題、銀行の国債保有もこの二、三年で一・何倍になっていますし、十分お金を持っている。ただ、不況だから貸出先が今資金需要がないとか、そういう状況になっているというふうに私は現場の方の話を聞くんですけれども、ですから、今不良債権のためにお金が回らないから不況の足を引っ張って景気が冷え込んでいるというのは、現場の人たちの感覚とはちょっと合っていないというふうに思います。
 したがって、急いでやる理由というのが、金融機関でさえそういうふうに認識していないと思うんですが、その点はいかがでしょうか、柳澤大臣。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権の処理を急いでやる理由についてのお尋ねですけれども、その前に、今の大門委員の御質問を聞いておると、不況で一時的に赤字になっているような企業を今回不良債権の最終処理の対象にしているかのような、そういう前提に立ってのお話のようにお聞きしました。
 これは全然認識の違いがあるように私には思えるわけでございまして、私どもが最終処理の対象にしているのは、そういう一時的な景況によって一期なり二期なり三期なり赤字にただなっているというような、そしてそれでまた経済情勢が戻ればちゃんとやっていけるような企業というのは、どんなに考えても、要管理先になっているかなっていないか、大体要注意先にとどまっているというような感じの企業でありまして、私どもが今度この不良債権の最終処理の対象にするのは破綻懸念先以下の先でございます。
 したがって、破綻懸念先というのはどうなっているかといいますと、もう利息も入らない、また再び利息が入るようなことは考えられないということで、これは税法上も認められているんですが、期限が来てもその利息を未収利息にも計上していない。これはもう再び立ち上がって、そして利息が入るような状況にはなりっこないというふうに認定されるような財務状況にある、そういうようなものが破綻懸念先になっているわけでございまして、これを最終処理しようということを私ども申しているわけで、何か前提がまず違っているようにお聞きいたしました。
 それから第二番目に、そういうものを、じゃ、仮に長く持っているということはどれだけの意味があるかということでございまして、私どもは基本的にそれは整理をすべきだと思いますけれども、ただ、その整理のときに、私どもの国ではファイナンスの形態がコーポレートファイナンスということでやりますので、企業全体として見ると破綻懸念先に認定されてしまうような、財務状況も非常に再起が不能のような企業の中でも、なおまだここは技術があるとか、そういうようなことで伸ばしていける面があるじゃないかというのはできるだけ残して、それで企業を再構築して悪いところを切り捨て、そしていいところを将来ともに伸ばせるようなことも想定できないか、そういうことを考えているということでございまして、そういうことだったら早くやればいいに決まっているわけでございます。
 また、完全な整理の場合も、先ほど富士銀行の頭取のおっしゃったことで、この際不良債権を整理して収益力の向上に役立てようよというのは、私ども全く健全な経営判断だというふうに思っております。
 私ども今、資本注入をしておりますけれども、これもちゃんといろんな形で返済をしてもらわなきゃならないわけでございまして、何よりも今そういったことを考えると収益力の改善というのは喫緊の課題でありまして、そういうことに役立つことは当然一刻も早く始めてもらいたいというのが私どもの考え方でございます。

○大門実紀史君 私も前提が違うと思うんです。これはちょっと後で申し上げますけれども、前回も言われたカテゴリーの問題はわかるんですけれども、実態として周辺でいろんなことが起きているという意味で、私はもっと広い範囲で、失業とかそういう懸念が起きているし、実態もそういうのが始まっているという意味で申し上げているので、それはちょっと後でまた中身で確認したいと思いますが。
 いずれにせよ、富士銀行も収益力と言っているのはわかるんですが、その前提で、なぜ急がされているのかわからないという言い方をした上で、やれと言うのならば収益力増強で頑張ろうと。そのわからないというところが、政治家と当局が言っているだけみたいな、そういう認識だというところに、理由に挙げられている仲介機能だとかそういうものは当たらないんじゃないかという意味で申し上げているわけです。
 もう一つは、二つ目の疑問ですけれども、こうやって急いで処理して、私はもう十二・七兆にとどまらないと。今言ったいろんな被害といいますか、波及被害が広がるという懸念。私だけじゃないんです、これは商工会議所も、中小企業団体みんな表明されておりますけれども、そういうものがあってさらに倒産がふえてデフレになって新たな不良債権が、去年の場合は三兆円ぐらいですけれども、九八年、九九年当時ぐらいの、相当な不況になると言われていますから、また十何兆という新たな新規の不良債権が発生する可能性が私否定はできないと思うんですけれども、結局、一生懸命やってもまた二、三年後に新たな不良債権が目の前にあるというふうなことについて、具体的な検討とかそういう可能性について今はどう思われますか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権の新規発生がどういうような背景で生まれてくるかといえば、これはあえてあっさり言ってしまえば経済の状況によるというふうに私は思います。
 したがって、政府の見通しでいろいろ想定をすることは可能と思いますけれども、経済の見通しを与えたときに、不良債権の発生が幾らになるかという、そういうモデルもまだ私ども知るところではございませんので、経済の状況によって不良債権の発生高というのは変わってくるとは申し上げることはできますけれども、さあそれでは幾らになるんだといえば、これは定量的にはなかなかお答えが難しい問題だと、こういうように思います。
 ただ、私どもがもう一つこの質問の機会にあえて申し上げたいのは、周辺のところでもそういうようなことが起こっているということの意味でございまして、いろんな働きかけがあろうかと思うんです。
 それはどうしてかというと、不良債権の発生というものを各金融機関とも決して好ましいと思っているということではないわけでございまして、私ども緊急経済対策には明確に書かせていただきましたけれども、要管理先を含めた要注意債権、広い意味での要注意債権でございますが、これについてはできるだけ健全化を図るような方向で取り組みをしてもらいたいということを申し上げております。
 したがって、これは切り捨てとは全然概念が違うわけでございまして、そういうことではなくて、どういうふうな実務的な処理をしますか、私どもとしては、さっきちょっと申し上げたような、悪いところを切り捨てていいところにして、それをむしろ正常債権に戻していくというようなことでございますが、そういう意味では私は、働きかけがあると先生から指摘をされることについては、私どもの政策との関連で十分想定し得ることだというふうに思います。
 いずれにしても、不良債権の発生も、そういう努力の結果として、我々は、これが増嵩してくることについては先手を打ってむしろ防いでいこうと、こういうような姿勢にあるということをちょっと言及させていただきたいと思います。

○大門実紀史君 この前、保証協会の全国の幹部の方とお話をして実態を伺ったんですけれども、事例はいっぱいあるんですけれども、よく御存じのとおり、要注意から要管理になるときの引き当て率は高まりますし、さらに破綻懸念先になると今度は非担保部分の七割を積まなきゃいけないということで、そこまで来るとかなり銀行が負担になるものですから、その前の段階で食いとめたいということが起こるわけですね。
 そうすると、その前の段階で一番多いケースが、やっぱり条件変更のときに、このときに条件変更したがっているそういう企業を認めるか認めないか。認めて見通しがあればいいけれども、認めないで条件変更に応じないと、そこのところでひとたまりもなくつぶれたりするケースがこの間ふえているということで、これから本格的になればそういうケースがもっとふえるというふうに私思うんです。
 私が言いたいのは、十二・七兆のきれいなカテゴリーの部分だけじゃなくて、その周辺部分に対する働きかけがもう始まっておりますし、そこのところで相当の、何といいますか、想定していない被害、中小企業の倒産がふえる懸念が強いということを私申し上げたいわけです。
 そういう点では、一生懸命二、三年でやろうと、その後本当にきれいになっているかというのは、わからないといいますか、不況がどうなるかによってだと思いますが、不良債権が新たにたくさん発生した場合は、やった結果また山積みになっているという可能性もあるわけですから、そこのところはやっぱり、厳密にならないのに、こういう荒療治をやるのは私はどうかなというふうに思います。
 ですから、柳澤大臣言われたとおり、今本当に現場は、この不況の中で融資でつないで一生懸命やっている中小企業を何とか正常債権に、要注意ぐらいになっているのを正常債権に戻せるように支援するということが、今、実体経済では一番求められていると思うんですね。それが一番基本だと思うんですよ。
 それを、逆にみんな引いちゃって、それに銀行として、本来金融機関としてやるべき責務を果たさないで見放していく方向になると、これは逆の現象が起きてしまいますので、そういうところを懸念しているということです。
 もう一つわからない、そういう意味でわからないんですが、この前、竹中大臣に、こうやって二、三年でかなりの荒療治をやって、二、三年はマイナス成長になる可能性がある、しかし二、三年先は明るいんだという話をされたので、それは根拠は何だと言ったら、これは学者じゃなくて政治家としてのメッセージですと。
 どういう意味かわかりませんけれども、政治家というのはそういうはったりを言うものだというように思われているのか、そういう意味で言われたのかわかりませんけれども、とにかく政治家としてのメッセージだと、厳密な話じゃないというような意味で言われたんですが、大変問題発言だったなというふうに思うんです。
 塩川大臣としては、一気にこういうことをやった後の景気の見通しといいますか、どういうふうに考えておられますか。景気が回復するのはどれぐらい先だと思われていますか。

○国務大臣(塩川正十郎君) 一挙に解決というのは、不良債権のですか。

○大門実紀史君 いや、景気がよくなるのは。

○国務大臣(塩川正十郎君) 景気回復ですか。
 一挙に景気回復ということはなかなかあり得ないと思いますね。やっぱりこれは漢方薬が効くようなもので、じわじわと効いてくるんじゃないかと。
 それには、やっぱり私は、今までやってまいりました重厚長大型の経済慣行といいましょうか、システムといいましょうか、制度といいますか、この体制が徐々に変わってきております。ですから、同じ中小企業を見ましても、物すごいもうけている中小企業と、全然もうからぬ、ますます悪くなっている中小企業があるというのは、それはやっぱり、その時代のニーズというか趨勢に合っていっているか合っていかないかの判断によるものだと思っております。
 したがって、早く政府としてはその方向を転換さすために努力するという、その指導と努力をするということが大事でして、そのためには、過日も二十数兆円という中小企業特別融資枠をやりましたけれども、あの融資がほとんど実のところは運転資金の補強に使われてしまったような状態になっておるのでございまして、それにもかかわらず、これからも根気よく方向転換への融資なり税制なりというものを進めていって、努力したいと思っております。
 したがって、これから小泉内閣が構造改革をやってすぐに景気がよくなるというのではなくして、辛抱強く、二、三年たった後で私はこの効果が必ず出てくると思っておりますので、その間、我々も、増税もしない、何もしないで一生懸命経費の節減をして耐え忍んで、二、三年は健全化の方向へしない、こういうことを考えております。

○大門実紀史君 時間がなくなりましたので、二つ質問して終わりたいと思います。
 一つはセーフティーネット論ですけれども、これもこの前お聞きしたら、具体的なものはないんだという話でした。
 それで、例えばスウェーデンとか北欧モデルというのを調べてみたんですけれども、やはり九五年あたりに不良債権処理をかなり速いスピードでやったんですが、北欧ですから歴史的に雇用保険だとか失業救済システムが違いますけれども、かなりの社会保障は雇用システムが受け皿になって、それがあったから逆にスムーズに不良債権処理も進んだというようなことが実際にはあるわけですね。
 そういう点では、この間お聞きしていると、セーフティーネットの具体的なものは何もないと。で、この前聞いて驚いたのは、とにかく夢みたいな五百三十万人の新規事業計画と。
 ここで私、最初の話に戻るんですけれども、特にサービス部門、サービス業を中心とした新規事業をふやせば受け皿になるんだというのでいろいろ描かれていますけれども、バラ色のニュービジネスを描かれておりますけれども、それはアメリカの例を見ても個人消費が伸びる前提なんですね。個人消費が伸びて初めてそういうサービス業中心の新規事業がふえていると。アメリカなんかは逆に言えば、もちろんネットバブルがあったわけですけれども、需要が伸びてむしろ供給が追いつかなかったというふうになるんですね。
 ところが、今やろうとしているのは、供給側ばかりで規制緩和とかすると。ところが、民間需要を伸ばす、家計部門を伸ばす手だてを打たないということですと、本当に新規事業が生まれる可能性というのは、社会科学的と竹中大臣はおっしゃいましたけれども、私は何も根拠がないというふうに思うんですね。こういう点では、セーフティーネット論を本当に真剣に検討しておられないというふうに私は思います。諸外国がやろうとしたことに比べたら非常にずさんだといいますか、絵にかいたもちを並べているだけで、率直に言って、この前詳しく内閣府に質問させてもらってそういうことがはっきりしたというふうに思います。
 ですから、いろんな点で不十分ですけれども、一番最後の受け皿が重要だ重要だと竹中大臣も皆さんも言われてきたのに、それを何も具体的なものを用意していない。この点については今の時点であれでしょうけれども、今後どういうふうにされるおつもりですか。

○副大臣(若林正俊君) いろいろ御指摘がございました雇用面におけるセーフティーネットは、二つの面で対応を考えるべきものだと思います。現在職を得ている人たちが職を失う、その職を失う人たちに対する対応、それから、新たにこれから拡大していく雇用面、その雇用面に新たな職についていく新規の就労を促進する、こういうことだと思います。
 もう既に委員御承知のように、雇用のセーフティーネットの整備については、もう施行されましたけれども、改正雇用保険法がこの四月から施行されていますし、改正雇用対策法は十月から施行されることになっておりまして、これらの施策を通じまして離転職者に対する支援の対応は考えているわけであります。今後雇用情勢が悪化していきますと、この改正雇用保険法による雇用保険の支給件数とか、改正雇用対策法による事業主に義務づけられている再就職援助計画の対象となります離職予定者数などが拡大していくでありましょう。これらについては財務省としても適切に対応をするつもりでおります。
 さらに、今後の雇用対策については、産業構造改革・雇用対策本部が設けられました。この本部において、新規雇用の創出、新たな就業環境の整備への対応、労働市場の雇用改革に適したセーフティーネットの整備等の検討項目について現在検討されておりまして、近々中間取りまとめが行われる予定でございまして、これらの取りまとめの方向に即しまして、財務省としてもこれを踏まえて適切に対処してまいる、こんな所存でございます。
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