● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2001年11月02日 本会議質問
○大門実紀史君 私は、日本共産党を代表して、銀行等保有株式等制限等法律案について質問をいたします。
 まず、現在の経済情勢の認識について伺います。
 完全失業率が過去最悪の五・三%、潜在失業者を含めると十人に一人という人が失業しているというのはまさに非常事態であり、小泉内閣、特に経済閣僚の責任は重大であります。
 ところが、小泉総理や竹中大臣は、構造改革なくして景気回復なしと壊れたテープレコーダーのように繰り返すだけであります。ほかに言うことはないのでしょうか。これは言いかえれば、景気対策はやらない、需要対策はやらないということであり、その結果が今回の五・三%という未曾有の失業率を招いたのではありませんか。
 竹中大臣に伺います。
 あなたは、過去最悪の失業率となっても、これは構造改革を進める上で当然の結果であり、やむを得ないというお考えですか。答弁を求めます。
 竹中大臣は、IT不況やテロ、アメリカ経済の失速を理由に骨太方針のシナリオが狂い始めたと衆議院の予算委員会で発言をされました。
 しかし、日本経済は、アメリカのテロが起こる前から悪化の一途をたどってきたのであります。経済の悪化をアメリカのせいにするなら、そもそもアメリカ経済の好況を当てにしてきた骨太方針や、あなたの経済見通しが甘かったことを証明するだけのことではありませんか。大臣のお考えをお聞きします。
 この間の失業率の増大の最大の要因になっているのが大企業のリストラであります。ことしに入って、中小企業では全体として雇用が増加しています。ところが、従業員五百人以上の大企業では、ことし九月現在で、昨年に比べて四十五万人も削減されている。五カ月連続の減少であります。これは、あなた方が構造改革を唱え、競争力強化、生産性向上のかけ声のもと、大企業のリストラを奨励してきたことの結果にほかなりません。
 小泉構造改革そのものが失業率を悪化させていることについて、竹中大臣は経済政策の担当者としてその責任をどう考えているのか、明確な答弁を求めます。
 内閣府の消費動向調査でも、現在の需要低迷の最大の原因が国民の雇用不安にあることを認めています。しかし、この雇用不安をあおっている張本人は、不良債権の最終処理を掲げ、リストラを奨励、支援してきた小泉内閣自身ではありませんか。今や、小泉構造改革そのものが雇用不安をあおり、現在の需要の低迷を引き起こしている最大の原因と言わざるを得ません。
 私は、今の不況はまさに小泉不況の段階に入ったと考えますが、竹中大臣の認識を伺います。
 国民の皆さんが苦しんでいるときに、事もあろうに大銀行には手とり足とり放漫経営の後始末までつけてあげようというのが今回の法案であります。
 本法案は、銀行の株式の保有を制限し、銀行が放出する株を買い取るための機構をつくり、機構が銀行から買い取った株に損失が出た場合はその穴埋めのために公的資金を投入し、その負担を国民に押しつけようとするものであります。
 まず初めに、そもそもこの機構が本当に必要なのかどうかについてお聞きしたい。
 衆議院の参考人質疑では、出席された全国銀行協会の山本会長がこの機構について、一部の銀行を除いて業界としてのニーズはない、我々は市場売却を中心に考えると発言をされています。当の銀行業界自身が自助努力でやれる、機構なんか要らないと言っているのに、わざわざ公的資金を用意してまで機構をつくる必要がどこにあるのですか。柳澤大臣、明確にお答えください。
 現在、自己資本相当額を大きく超えて株式を保有しているのは一部の大手銀行です。大手銀行十六行のすべてが自己資本相当額を超えて株を保有し、そのうち九行の保有額は一五〇%を超えています。機構の買い取り対象となるのは専らこれら一部の大銀行であることは明らかです。自分で株式の売却を進められないほんの一部の大銀行を救うためにわざわざ機構をつくって、その損失を国民が肩がわりする必要がどこにあるのですか。
 大銀行は、これまでの株式の含み益を吐き出して莫大な利益を手にしてきました。大手銀行十六行で過去五年間に総額十六兆四千億円を超える株式の売却益、都銀九行だけでも過去五年間で十二兆円もの利益を上げています。これまで株でさんざん利益を上げておきながら、株価が低迷したらその負担は国民に回す、こんなやり方はどう見ても筋が通らないのではありませんか。それでも国民の理解を得られると柳澤大臣はお考えですか。
 法案は、機構をつくる目的を、銀行等による株式の短期間かつ大量処分により、株価の著しい変動を通じて信用秩序の維持に重大な支障が生じることのないようにするとしています。
 しかし、この間、銀行が毎年二兆円から三兆円の規模で株式の売却を行っていますが、それが株価の低迷の要因になっていないことは、金融庁の幹部からも、銀行の代表からも、また産業界の代表からも指摘されているではありませんか。それとも、柳澤大臣は、この間の株価の低迷が銀行の株式売却によって引き起こされた、そのために著しい変動を生じさせたとでもお考えなのですか。明確に答弁をしていただきたいと思います。
 結局、本法案は、銀行の株式損失のリスクを国民に肩がわりさせようとする以外の何物でもありません。
 日本の銀行が抱える不良債権が問題になってもう十年以上になります。いまだに不良債権はなくならない、むしろこの不況で新しい不良債権がどんどんふえています。幾ら公的資金を銀行に投入しても、結局、問題が解決しないことは既に証明されているではありませんか。
 そもそも株価は実体経済を映し出す鏡であります。不良債権をなくすためにも、株価の安定のためにも、大銀行支援に明け暮れるのではなく、実体経済を温めることこそ今求められているのではありませんか。
 本法案は、金融のゆがみを一層拡大するものであり、世界でも類のない荒唐無稽な銀行支援策であります。国民には痛みばかり押しつけ、大銀行には至れり尽くせりのメニューを用意する、こういう小泉構造改革そのものを直ちに撤回すべきであることを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕

○国務大臣(柳澤伯夫君) 銀行業界自身が自助努力でやれると言っているのに、機構をつくる必要があるのかというお尋ねがございました。
 政府といたしましても、まずは銀行等がみずからの努力によって株式を市場に計画的に売却し、保有制限を達成するよう努めていくべきものと考えておりまして、このことは法案にも明記されているところであります。
 しかし、それだけにゆだねるときは、銀行等による株式の短期間かつ大量の処分によって株価の著しい変動が起こる、そのことを通じて信用秩序の維持に重大な支障が生ずるおそれもある。このような考え方から、そうした事態は避けるべきだ、このように考えて、市場売却を補完するセーフティーネットとして機構を設立することが必要であると考えたわけでございます。
 それから、一部の大手行を救うための仕組みではないかとのお尋ねでございますが、我が国の金融システムは、システムという言葉で表現されますように、事実として大手行を中心に、それとの強い関連のもとで地域銀行等を含め一体のものとして構成されておりますので、直接的には大手行に関連する施策でありましても、その大手行が安定することが地銀等の安定にも資するという、そういうシステムの安定というものはそういうものだということを御理解賜りたいのであります。現に機構の設立についても、このような考え方のもとで、できる限り多数の銀行の参加が期待されているところでございます。
 それから、株価が低迷したらその負担は国民に回すというやり方は国民の理解を得られないのではないかというお尋ねがございました。
 本法律案は、金融システムの構造改革に向けて、銀行等の株式保有のリスクを限定するために保有制限を課そうということでございまして、そういうことをする以上、これに伴う銀行等による株式売却が円滑に進められるように、公的支援を背景としたセーフティーネットとしての機構を設立することも必要でありまして、それは公共性を有する信用秩序の維持のためにも必要なものであると考えるわけでございます。
 それから、本法案の目的から見て、ここ数年の株価の低迷は銀行の株式売却によるものと認識しているのかというお尋ねでございました。
 機構は、新たに、先ほど来申し上げておるとおり、株式保有の制限をするのに伴って、銀行等による株式の処分が円滑に実現するように、そういうことのセーフティーネットとして設立されていることは繰り返すまでもないと思います。
 株価でございますけれども、株価はさまざまな要因を背景に市場において決定されているものでございまして、特に短期的な要因というものを特定することは極めて困難でありますが、市場においてどういうことが言われているかというと、世界的な景気減速による影響、企業業績の先行きに対する懸念、株式市場における需給関係等についても言及される場合が多いわけでございまして、私どもとしては、少なくとも短期的には株式の需給というものも価格に影響を与えるということは、これは否定すべくもない、そのゆがみをこの機構によって取り除こうということであることをぜひ御理解賜りたいのでございます。
 それからその次に、不良債権に関するお尋ねがございました。
 金融庁といたしましては、金融機能が十分発揮されるためには、金融システムが安定し、内外からの信認を得ていることが必要であるという認識のもとでおつくりをいただきました金融再生と早期健全化のための緊急二法というものを活用して、一九九八年度以降この処理に当たってきたところでございます。
 不良債権の残高は微増をしておるという御指摘もありましたけれども、これらは早期健全化法に基づく資本増強制度の活用によって、金融機関が積極的な引き当て等を行っております。問題は、その残高が減らないということだけで不良債権問題の解決が進捗していないというのも誤りでして、やっぱりその残高が減らないことについては、我々は、これはひとつ直接処理でもって残高の減少にも努めていこうということを新しい施策として打ち出していることでありまして、御理解を賜りたい。
 いずれにせよ、構造改革に資する観点から、不良債権の最終処理への取り組みを一層強化していく必要があると考えておりまして、先般の改革先行プログラムに盛り込まれた諸施策を果断に実施することによりまして、遅くとも集中調整期間が終了する三年後には不良債権問題を正常化することを目指して、全力を尽くしてまいる所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕

○国務大臣(竹中平蔵君) 大門議員から四点、私に質問をいただいたと思います。
 まず、失業率についてのお尋ねがありました。
 九月の完全失業率五・三%、過去最高の水準であり、有効求人倍率〇・五七倍、前月より〇・〇二ポイント低下ということでありまして、雇用情勢は大変厳しいというふうにもちろん私も認識しております。
 しかしながら、重ねて申し上げますが、このような時期にあってこそ、規制改革等の制度改革を積極的に推進するなど、構造改革を加速させることにより雇用創出に努めることが極めて重要であるというふうに考えます。
 失業率上昇の大きな要因は、長年にわたって構造改革がむしろおくれてきたからであって、グローバル社会での日本経済の競争力が低下したからであるというふうに考えます。だからこそ、構造改革を一層進めることが失業問題の長期的な解決の私は王道であるというふうに考えます。
 第二に、アメリカを中心とした外需に依存した経済の見通しがそもそも甘かったのではないかとのお尋ねがありました。
 アメリカ経済の動向については、日本経済に大きな影響を与えるものでありますけれども、先行きは不確定要因が多く流動的であることから、今後日本経済を見通すに当たっても一定の前提を置くことがどうしても必要になります。
 日本は、六月の基本方針策定と同時に再生シナリオを私たち発表しておりまして、その中で、今後二、三年は平均してゼロないし一%程度の低い成長になることを甘受しなければならないということを申し上げました。この時点で、世界経済は減速し、アメリカ経済は既に弱いものになっておりましたけれども、海外経済の減速が長期化しないという想定のもとでこのような見込みを示したものであります。
 当時、アメリカ経済は弱い状態にあり、減速をしながらも一部に底がたい動きが見られ、消費者心理に下げどまりの兆しが見えておりましたことからこのような想定を置いたところでありまして、その時点での見通しが甘かったというふうには考えておりません。
 なお、経済は日々刻々動くものでありますから、状況判断に当たっては、十分に情報収集に努力して分析した上で適切な判断をしていきたいというふうに考えております。
 第三点、失業率の上昇は構造改革の結果生じたものではないかというお尋ねがありました。
 失業率が五・三%、これはもう先ほど申し上げたとおりでありますけれども、このような厳しい状況から再生するためには、やはり構造改革なくして成長なしの決意のもとで、潜在的な成長力を生かして、構造改革を強力、迅速に行うことが重要であるというふうに考えております。
 しかしながら、同時に政府としては、構造改革に伴って生じる痛みに耐え得るようなセーフティーネットを整備するということも重要な課題というふうに考えております。このため、先般、産業構造改革・雇用対策本部において総合雇用対策として総合的な施策パッケージを取りまとめたところでありまして、この中に盛り込まれた施策のうち、特に急いで取り組むべきものについては改革先行プログラムに織り込んだところであります。政府としては、今後とも引き続いて、雇用に係るセーフティーネットの整備に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
 第四点として、構造改革が景気を厳しくしている原因なのではないかというお尋ねであります。
 御指摘の消費動向調査においても、確かに雇用環境に関する意識の悪化が見られております。このような厳しい経済状況から日本を再生するためにも、先ほど申し上げたとおり、やはり構造改革を進めなければいけないという決意のもとで、日本経済の潜在的な成長力を生かして、民需主導の自律的な経済成長を達成してまいりたいというふうに考えております。
 改革工程表に盛り込んだ施策のうち、緊急のものについては、補正予算の措置も含めまして改革先行プログラムとして既に取りまとめております。これらに従い構造改革を加速するとともに、工程表に従って着実に改革を進めることが私たちの責務であるというふうに考えております。
 以上、四点についてお答えを申し上げます。(拍手)
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