● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2001年12月4日 財政金融委員会
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。きょうは、竹中大臣、忙しいところ本当にありがとうございます。無理を言って済みません。
 竹中大臣に来ていただきましたのは、今回RCCですけれども、この前は株の買い取りがあり、公的資金の再注入というのもいろいろ議論されていると。この全体の不良債権処理方針といいますか、特に骨太方針で明確にいろいろ示されているわけですが、その大もとのところをやっぱり立ち返ってお聞きしたいというふうに思いましたので、限られた時間ですけれども、先に竹中大臣に御質問をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 そもそも今の銀行をどう見るかということなんですけれども、実は十月の三十日に私、日銀の速水総裁に質問をしたんです。日本の銀行の自己資本が今どういう状況にあるのかという質問をしたんですけれども、結論を言いますと、日本の銀行の自己資本というのは、公的資金が今入っていると。プラス税金の繰り延べ資産、これはアメリカは一年なんですが、日本は五年積んでいると。つまり、公的資金と銀行の繰り延べ資産によってかさ上げされているんだと。これをアメリカ並みの計算をすると七%台になるというふうに速水総裁は実はおっしゃっていたんです。それはそのとおりだと思いますけれども。
 ということは、いろいろ公的資金あるいは税効果会計というふうな政府の施策によって辛うじて、国際基準七%ですからね、実際には七%がそれ以上になっているわけですから、辛うじて国際基準をクリアしているというのが今の日本の銀行の自己資本といいますか、体力の現状ではないかというふうに思います。
 そもそもそういう今の状況そのものが、何といいますか、悪く言えばおんぶにだっこといいますか、かなり面倒見てもらっているような状況だと。その上さらに、この前の株買い取りのときにもかなりの議論になりましたけれども、今回のRCCと、やはり公的支援が措置されていると。両方ともそうなんですけれども。
 例えば公的資金の再注入ということになりますと、これはかなりまた国民の批判も受けるでしょうし、経営者の責任追及ということも出てくると。いろいろすぐは当座こうやりにくい、それでこの株買い取りやRCCというような、何といいますか人目につかない銀行支援といいますか、そういうふうな流れではないかなというふうに私なんかは全体として見ているところなんです。
 この前の株買い取りのときの全銀協の山本会長に対して私、質問したんですけれども、そもそもこういう今の銀行というのは情けないじゃないか、いろいろもうやってもらって情けない状況にあるんじゃないかという質問をしたんですけれども、山本会長そのものがそうかもしれませんとおっしゃるような状況に実はあるというふうに思うんです。
 竹中大臣にお聞きしたいのは、まず、今の日本の銀行の状況、本来やっぱり私は自力で不良債権処理もやっていくべきだというふうに考えております。ところが、こういろいろやってもらって本当におんぶにだっこですね、手とり足とりやってもらっているという状況は非常に情けないというふうに思うんですけれども、その辺をどうお考えになるかということと、それに対して今回、発議者の方々に対して本当に私思うんですけれども、そういう銀行のていたらくといいますか、私に言わせれば本当にていたらくだと思うんですが、そういう銀行をさらに助けてやろうと。国民の皆さんみんな、先ほど浜田議員からもありましたけれども、みんな自力で頑張っているわけですね、この不況の中。ところが、銀行だけはさらにまた助けてやろうと。こういうことを提案する政府・与党の姿勢そのものが、私は国民に対して恥ずかしくないのかと思うぐらいなんですよね。
 竹中大臣はそもそも、やはり銀行であっても自力で、自分で市場経済の中でやっていくべきだというお考えだったと思いますけれども、そういうことを含めて、今の日本の銀行の状況をどう見られるか、御所見を伺いたいというふうに思います。

○国務大臣(竹中平蔵君) 大門委員の御指摘の中に、銀行は情けないじゃないかという御指摘がありました。
 やはり銀行というのは、そもそもリスクを管理するということを仕事としているんだと思います。期間変換のリスク、金利変動をかぶるリスクをとって、さらに経済発展のために金融仲介の機能を果たしていくというのがまさに金融機関、銀行の役割だと思います。残念ながら、そういったリスクをとって果敢に金融仲介機能を果たすという機能がなかなか果たせなくなってきている、果たしづらくなってきているというのは、これはもう私は御指摘のとおりだと思います。そのことは、政府もそのように認識しているし、銀行部門の皆さんも認識しておられるのではないかと思います。
 それに対して、しかし一方でモラルハザードを起こしてもらっては困るわけで、その秩序の中で、今弱体化していますけれども、それをしっかりとした機能を果たしてもらえるように自力再生してもらわなければいけない、これがやはり政府として考えなければいけない最大のポイントではないかと思います。
 政策の体系、いろいろあるわけでありますけれども、決してこれは銀行を助けるということではなくて、銀行というのは決済機能という非常に大きな社会的な機能を負っているわけでありますから、この社会的な機能が損じないような範囲で、その意味では公的資金を投入したわけでありますけれども、それ以外のものについては、今回のRCCの問題も含めて、決して銀行を助けるということではないというふうに認識をしています。
 それなりに、例えば企業の再生、銀行の不良債権の裏側には企業の過剰債務があるわけでありますから、銀行の再生に資する仕組みをつくる、ないしは十分な機能を果たさなければいけない銀行の経営が株価の変動に左右されないような仕組みをつくる、そういうやはり仕組みづくりの中の話であろうかというふうに認識をしております。
 その意味では、繰り返し言いますが、リスク管理機能を十分に果たして、果敢に金融仲介機能を銀行が担えるようになるための環境づくりを、今申し上げたようなモラルハザードを起こさせないという範囲で政府は努めてその環境整備をしていると、そのように理解をしています。

○大門実紀史君 そういう一般的なことではなくて、不良債権を骨太方針で一気に処理しなさいという中で、銀行の自己資本が毀損しないようにということで公的支援という流れですから、やっぱり支援は支援だというふうに私は見ているわけです。
 竹中大臣、私、六月に大臣に質問したときに、この不良債権の問題というのは、一部の分野の特定の企業というふうなおっしゃり方をされたと思うんですね。その後、三十社問題というのも出てきましたけれども、そういうところが、四月の緊急経済対策からいたしますと半年以上たっているんですが、ほとんど手をつけないで、銀行にとってはそういう大口を処理するというのは大変時間がかかるということがあるかもわかりませんが、もう半年以上もたっているのに、とにかく実績を上げるために中小企業が先にどんどん整理されているというのが実は実態なんですね。
 そういう点でいきますと、大臣言われた特定の分野の特定の大企業の問題だと。これになぜ手がつかないのかというところはいかがお考えでしょうか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 銀行監督行政そのものを私お答えする立場にはありませんけれども、基本的な日本経済のマクロ運営を担当するという立場の認識としては、現実問題としては、やはり春以降のフォローアップの検査、さらには今回特別検査を実施することになって、御承知のように銀行の償却引き当ても一気にふえるという状況が進行しておりますから、環境はやはり目に見えて、これは金融庁の努力によるところ大でありますけれども、私は変わりつつあるというふうに思っております。
 その間、大手についても、マイカルの問題等々、現実問題としてそういう破綻処理のところも出てきているわけであります。これはやはり多くの関係者がいる大変難しい問題であるというふうに考えますけれども、そういう意味では、新しい枠組み、フォローアップ検査でありますとか特別検査を決めることによって、私が申し上げたような方向に現実問題にはかなり急速に進展していっているのではないか。その間に、今回、経営者の責任の問題等々もはっきりと姿をあらわしてきたということも含めまして、私はやはりそれは進展しているのではないかというふうに認識しています。

○大門実紀史君 私は建設関係出身ですので、実はゼネコン関係の知人がかなりいまして、この間も話を聞くんですが、今のゼネコンというのは、公共事業削減に対する危機感はあるけれども、不良債権処理による危機感というのがかなり薄いんですね。それはやっぱり政治的な、特に与党の方々だと思いますが、政治との結びつきが強いような部分はソフトランディングを今考えているというような状況が伝わっているというのを、実は私非常に感じたりするんです。
 その一方で、中小の方は、きょう取り上げる時間があるかわかりませんが、かなり先に整理されているという点でいきますと、本来、始まりの話がどうも後になってといいますか一向に見えないで、中小企業の方が先に整理されているという状況が続いているんではないかということをとりあえず指摘したいというふうに思います。
 竹中大臣にお聞きしたいのは、先ほど浜田議員からもありましたけれども、何でよりによってこの不況のどん底のときに、骨太方針、改革先行プログラムで不良債権だけはもう周りがどんな状況であろうととにかく急げと、一気にやれというふうになるのかというところなんです。これはそもそも論に戻りますと、骨太方針、あるいは四月の緊急経済対策でも二つの理由で不良債権を一気に早くやらなきゃいけないんだと出ておりますけれども、一つは仲介機能ですよね、クレジットクランチといいますか、大きな広い意味でのクレジットクランチと。
 ただ、これはもう私がいろいろ指摘するまでもなく、いろんなエコノミストの方も含めて、別に今銀行の貸し出し抑制ということが起きているんではなくて、むしろ不況のために資金需要が停滞しているんだというふうな実態。マクロのデータも、例えば不良債権比率と貸し出し量とか、金利の推移とかあるいは日銀短観による貸し出し態度なんかを見ていますと、不良債権があるから貸し出しを抑制しているというデータは実はあらわれてこないんですね。つまり、貸そうと思っても借り手がいないと。つまり不況で、新しく商売をやろうと思ってももうからないからお金を借りないとかいうふうな状況。
 ただ一つ、銀行が貸し出し抑制をしているのはありますけれども、例えば中小企業に対して新たにお金を貸してくれと言われても、これも銀行の方が不況でその商売がうまくいくのかどうかわからないということで渋るとか、あるいは、もう倒産しかけている会社に対して、今までだったら運転資金を貸してあげたのをストップしてしまうというふうな、そういう意味の貸し出し抑制はありますけれども、全体として不良債権によって貸し出し抑制になっているという、私はマクロデータでは出てこないというふうに思うんです。
 そういう点でいきますと、この前、予算委員会でかなり大議論をさせていただきましたけれども、今、物すごく急げと言われているのは、よく考えてみると、竹中大臣の言われている経済論といいますか、低成長分野に資源が焦げついている、それを早く生産性の高いところに回さなきゃいけないんだということが、どうもそれしかないんではないかと、急ぐ理由が。というような気がしているんですけれども、骨太方針の流れでいきますと、今の時点でいいますと、早く処理しなきゃいけない最大の理由というのは、産業構造転換といいますか、そういうふうなことでしょうか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 実はきょう、たまたまでありますけれども、内閣府から経済財政白書というのを出させていただきました。これは今まで経済企画庁が経済白書を出していたものでありますけれども、内閣府になって第一回目の経済財政白書を出させていただいたわけです。
 実は、その中でまさにかなり多くのスペースを割いて、なぜ不良債権処理というのが大変重要な問題なのか、日本の経済停滞の非常に大きな足かせにこの不良債権問題がなっていると考えるのはどうしてなのか、かなり詳細な分析をさせていただいております。ぜひそれをごらんの上、また御批判をいただきたいというふうに思うのでありますが、基本的には、今不況である、需要不足であると。しかし、需要の増加は確かに低いわけでありますけれども、その割に、詳細な計測をしてみると、いわゆる需給ギャップ率は拡大していない、それほど拡大していない。これはとりもなおさずやはり供給の伸び率が低いからである。じゃ、どうして供給の伸び率が低いのかということを成長会計に基づいてさらに数量的に分析してみると、これは圧倒的に全要素生産性の伸び率が下がっている、近年になって下がっている、経済の非効率性が顕在化しているということになります。そういった一つのマクロ経済の動きを背景にして金融の問題を考えていくと、やはり金融仲介機能の低下というのは私は否定できないと思います。
 これは大門委員御指摘のようないろんな側面はあろうかと思いますけれども、現実問題としてやはり銀行のリスクテーク機能というのはさまざまな指標で見る限り低下しているし、現場で、私が知っている現場というのは非常に限られておりますけれども、やはり後ろ向きの仕事に銀行全体が追われていて前向きの仕事ができないというのは、現場感覚としても私は金融機関にはあるのではないかと思います。
 さらには、金融部門がそういう大きな債務を抱えていることによる消費者心理全般への不安の広がりというのがある。これはアンケート調査をこの白書の中にも載せておりますけれども、不安の原因というのを聞いていくと、もちろん雇用の不安とかも大きいわけでありますけれども、金融に対する不安というのもかなりのウエートをもって出てくる。
 そういうことを総合的に考える場合に、やはりこの不良債権の問題、その不良債権の裏側には企業のバランスシートの問題というのがあるわけですけれども、これ全体が日本のリスクテーク機能を低下させて、供給サイドを弱体化させて経済低迷を招いてきた、私はやはりそのように診断するべきではないかというふうに考えるわけです。
 骨太の方針で我々が議論したことを、今度の白書では幾つかの数量分析で裏づけるという結果になっております。きょう出たばかりでありますので、これはぜひ皆さんにお読みいただいて、御批判もいただきたいと思います。

○大門実紀史君 僕、読まなくても大体わかるんです。この前、予算委員会で大議論をさせてもらいました。
 それで、需給ギャップに触れると切りがないんですけれども、需給ギャップの見方も、やっぱりデフレギャップなんですよね。だから、ちょっともう根本的に何かいろいろ違うんですけれども。
 きょうは時間の関係で不良債権問題に絞ってお話ししたいんですけれども、例えば九六年は、あの九六年のときだって不良債権はやっぱり問題になっていたんですけれども、それでも三・五%ですか、GDPは成長したんですよね。だから、私も、不良債権はもうない方がいいのは当たり前ですし、マイナスのことはあってもプラスのことはないというふうに思っています。
 何度も申し上げるとおりですけれども、何で今一気にやるのかと。このデフレ状況のときに一気にやるのかということを申し上げているわけで、それをどうしてもやるという理由がもう一つわからないということをずっと申し上げているわけですね。
 それで、今の何とか白書でも恐らく言われているのは、成長分野に資源を移動しなきゃいけない、結論はそういうことだと思うんですよね。ところが、この不況のどん底の状況で、先ほど浜田議員も非常に鋭い指摘をされたと思うんですが、骨太方針の部分に書いていますけれども、「創造的破壊」と。だから、創造と破壊ということですね。つまり、生産性の低いところは破壊して、新しい生産性の高いところを創造するという意味だと思うんですが、これはやっぱり、同時に行われれば、少なくとも大量の失業だとかいろいろ心配されることは起きないんですけれども、今そういう状況じゃないと。ですから私は、この不良債権処理をこの状況で急ぐともう破壊だけが先へ進んでしまって、日本経済は立ち直れないところに行くんじゃないかというふうに思うんです。
 その辺の産業転換論はまた別の機会にしたいと思うんですが、いずれにせよ今不良債権が、先ほどの柳澤大臣の御答弁の中にもありましたけれども、どんどんふえている状況ですよね。このふえるメカニズムを放置したまま、減らす方だけに幾らRCCを使おう、何を使おうとかいろんなことをやっても、私は、かなり楽観的な話といいますか、なくならないんではないかというふうに思うんですけれども、その辺はいかがお考えですか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 白書は読まなくてもわかるとおっしゃらないで、ぜひ読んでいただきたいというふうに思うのであります。私も勉強になりましたので、読んでいただきたいと思うのであります。
 委員御指摘の点は、要するに、経済に新しい需要創出分野を生み出すにはどのぐらいのダイナミズムがあるんだろうか、そのダイナミズムを本当に引き出すことができるんだろうかと。これは本当に大事な問題だと私も思います。ですから、決して、不良債権の処理だけをやってくれ、それをやれば日本経済は万々歳になるなどとは全く考えていないわけで、やはりこの間からの経済財政諮問会議の集中審議でも、非常に重要な問題があるということを我々は再認識しています。
 一つは、物価が下がるというデフレ現象ですよね、これに対して歯どめをかける政策はどうしても必要でしょうと。これは繰り返し言いますけれども、それをまた日本銀行だけにやってもらおうというようなことを考えているわけでは毛頭ありません。政府には政府の役割、新しい需要を創出するための規制の改革が必要であろうし、さらには、第二次補正に象徴されるような、場合によっては財政の対応も必要であろう。そういう需要の創出をダイナミックにやっていくということは、これは一方で政府の役割だと思っております。さらには、それに加えて金融政策との役割分担というのも当然に出てくるだろうというふうに考える。
 もう一つは、やはり新しい産業を、日本をリードしていけるような産業分野をどのように生み出していけるか、ここはやはり大変重要な問題であって、これも基本的には市場のメカニズムを活用して、頑張る者が報われるシステムをつくるわけでありますけれども、それだけでまたすべてうまくいくかというと必ずしもそうでもない。やはりそれなりの戦略性を持った産業への対応というのも必要であろうというような意識を私たちは持っております。
 しかし、これをどうするかというのは、はっきり言いまして、今の時点でそんなに明確に見えているわけではありませんで、これは経済産業省は経済産業省で以前からずっと議論していることでもあるし、経済財政諮問会議でもそういった発想をさらに追加してこの問題に対応していこうと、そういった意味での健全な危機意識は持っているつもりであります。

○大門実紀史君 竹中大臣とはきょうはこれぐらいにしておきたいと思います。お約束の時間ですので、忙しいところありがとうございました。
 それでは、RCC法案そのものについて幾つかお伺いしたいと思いますが、本法案の問題点は衆議院での議論あるいはきょうの今までの時間での質疑で大体もう明らかになっているといいますか、いろいろ指摘がされているというふうに思います。
 私は、大きく絞って二つの点でいろいろ懸念されていると思うんですけれども、一つは新たな国民負担が発生するんじゃないかという点です。これはもう中身を申し上げません。時価買い取りの関係で発生するんではないかと。
 二つ目が、これは衆議院で特に議論されましたけれども、中小企業のRCC送りが増大するんではないか、このことによって清算される中小企業がふえていくんではないか、倒産に追い込まれる中小企業がふえるんではないか。つまりこれは、企業再生をやるといっても、本当にできるのかという保証が余りない、はっきりしないという面と、送られる量が今まででさえ中小企業が大半なわけですけれども、もっと送られたら非常に心配が起こるという点で、この二つの問題だと思うんです。
 この両方に共通する問題として、私一つだけ御指摘して発議者の方々にひとつ聞きたいのは、アメリカのRTC方式の話がよく出てきます。全く同じではありませんけれども、それを参考にしたとか、そういう話が出てきますが、私、そもそもそのRTC方式、SアンドLのときに使われたRTC方式を日本の今の不良債権処理問題に適用することそのものにかなり無理があるのではないかというふうに思うんです。
 例えば、一つ目の国民負担の点でいきましても、RTCのときは、アメリカの債権全体からするとほんのわずかの数%の不良債権という規模の処理の話だったわけですよね、SアンドLの場合は。今の日本の不良債権というのはもうそんな規模じゃない、けたが違うだけの不良債権がある。それを同じような方法で処理しようとすると相当無理が出る。その無理が出る一番はやっぱり国民負担だと私は思っているんです。
 そのSアンドLの処理のときに大体一千三百億ドルぐらいですか、公的、つまりアメリカの国民の税金負担がふえたということがあります。短期間で一気にと言われる方法をやりましたから大きく出たというのもあるかもわかりませんが、いずれにせよ、あの不良債権の額であれだけの国民負担が出た。
 日本はもっと大きな規模の不良債権を、このRCCを一つの器にして、道具にして処理しようとすると、当然私はどう考えても国民負担が生じないわけがないと。
 これについては、RCCの中のもうける部分もある、損だけじゃない、やりくりするんだというようなあいまいな答弁でありますが、規模から考えて、私は、このRCCを決め手にして日本の不良債権処理をやろうとすると相当の国民負担が出ないわけがない、出なかったとしたらRCCの今回の法案が機能しなかった場合だけだ、つまり買わなかった場合だけではないかというふうに思います。
 もう一点は、中小企業のRCC送りの問題も、やっぱりアメリカのRTCを持ち込もうとするところに私は無理があるというふうに思っておりまして、なぜかといいますと、SアンドLというのは主に住宅ローンとかのそういう部分の、しかもそういう金融機関の破綻処理に使われた方法なんですよね。ところが、今の日本の抱えている銀行の不良債権というのは生きている銀行の不良債権であり、その不良債権の裏側には生きている企業があるわけですよね。つまり、RTCのようなやり方できれいに一遍にやるといったら、一緒くたになってやっぱりつぶされる企業が出てくるのは当然のことでありまして、そもそも、このRTC方式を全く導入するわけではありませんが、そういうものを持ち込もうとすること自体にいろんな指摘されている問題点があるんではないかというふうに思いますが、その辺の認識はいかがでしょうか。

○衆議院議員(津島雄二君) RTCの問題について若干、今の金融再生法そのものが制定をされたときの事情に即してお話をいたしたいと思いますけれども、委員御指摘のとおり、アメリカのRTCは破綻をした金融機関だけから買ったと、それはもう御指摘のとおりですね。そうではあっても、当時は、今一千三百億ドルとおっしゃいましたが、そのとおりで一千億円を超える財政負担になるべしということで、しかも、あれを始めましたころ、つまり八〇年代の後半から九〇年にかけてはアメリカの財政、非常に悪うございましたから、だからそれなりにあれは驚くべき数字ではあったわけです。
 ここで一つ御指摘申し上げておきたいのは、それが思ったよりスムーズに解決をされた事情としては、アメリカの経済が立ち直ったということ、それに伴ってアメリカの財政が黒字基調に変わったということがございました。この点は御参考までにまず御指摘申し上げておきたい。逆に言うと、RTCの財政負担というのは当初はやっぱり驚くべき金額と思われていたということだけは申し上げておきたいと思います。
 次に、日本のこの再生法、私も提案者でございましたけれども、これを提案するときに、それじゃRTC法を参考にしたかと。参考にしなかったことはございませんけれども、しかし、それを日本に持ち込もうという考え方ではございませんでした。であるからこそ、破綻銀行ばかりでなくて、もう少し広い、存続をしている銀行からも不良債権に伴う債権あるいは資産を買い取るという機能を与えたわけでございます。
 その点だけ、再生法の提案者としてまず答弁をさせていただきます。

○大門実紀史君 加えて言えば、加えて言えばといいますか、比較で言えば、あのときのアメリカというのはデフレの状況じゃありませんでしたし、今、大変日本は、先ほど申し上げたとおりかなり厳しい状況だという点もあるんで、そのまま持ち込んだというふうに私も思いませんが、参考にされたといいますか、あの仕組みそのもので早く処理しようというのは、やっぱりいろんな無理を日本の実情に合わせると生じると。
 ですから、こういう機構そのものが、RCCがこういう拡充することそのものが合わないんだということを私の意見として申し上げたいということなんです。
 柳澤大臣にお聞きしたいと思いますけれども、これは竹中大臣にも聞いたことと重なりますが、私は、株買い取りがあり今回のRCCがあり、公的資金の再注入については、改革プログラムには少しそういうこともあり得ると出ていますが、どうなるかまだわかりませんけれども、いずれにしても、柳澤大臣はもともと、銀行は自分の努力で不良債権を処理すべきだというお考えだったと思うんですけれども、この全体の、株買い取りからRCCに来ていることしの不良債権処理のこの流れについて、今の時点でどういうふうにお考えですか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、銀行という資本主義経済を運営する場合に最も重要な部門が国のいろいろ干渉を受け入れるような体質になるというのは、それだけで不健全だというように基本的に考えております。
 ですから、もう本当にぎりぎりのところで公的な資金が必要で、さっき申したようなデメリットを補って余りある、ここはもういたし方ないんだ、そういうような国家の資金を入れて国家の介入というものを受け入れざるを得ない状況をつくるとしても、それはもうやむを得ないんだというようなときでなければ安直にこういうことを、こういうことと申しますか、公の支援を入れていくというのはよくないことだというふうに基本は思っているわけです。
 そういうことで、各銀行にも自助努力ということを促しておりまして、ただ、力足らずでそれが十分な成果を上げていないということは極めて残念なんですが、基本的にそういうことを考えております。
 ここに来まして、今、大門委員が御指摘になられたように、株の取得機構とか、今回はRCCによる時価による不良債権の買い取りというようなことが行われるようになりましたけれども、これにつきましても、実はもう少し公的支援の色彩が濃いようなスキームもその過程で論議されなかったわけではありません。これは大門委員も御案内のとおりであろうと思うわけです。
 例えば、株式の取得機構についても、特に特別勘定の方だけを当初想定したスキームもありましたし、またこのRCCについても、銀行の実質簿価と申しますから、簿価マイナス引き当てというあたりで買い取ってしまえというような議論も率直に言ってあったことは御案内のとおりでございます。
 しかし、私どもとしては、やっぱりそういうことは、先ほど言った基本的な立場からいって余り適切ではないというふうに、しかるべき場あるいは機会に申し上げた記憶があるわけでございますが、でき上がったものについては、株の買い取り機構においても、一般勘定というか、そういうものが主流になっておりますし、また、今回のRCCについても時価ということで、そうしたことがイージーに行われないように、そういう仕組みが実現されているというふうに考えております。
 今大門委員は、公的支援じゃないかというようなことでございますけれども、それぞれにもうぎりぎりの、例えば株式の買い取り機構はセーフティーネットとして位置づけられておりますし、また今回のRCCについても、一種の不良債権の流動化というようなもののインフラということ、先ほど提案者のどなたかがおっしゃっておりましたけれども、RTCのいろいろなスキームが働くことによって実はアメリカでも債権の流動化の市場ができ上がったというようなことが言われておるわけでございまして、私どもは、RCCの今回のスキームというのはある種の債権流動化のためのインフラである、こういうように考えておりまして、そのものが公的支援を非常に念頭に置くというか前提にしたスキームではないということを御理解賜りたいと考えております。

○大門実紀史君 ですから、理解できないといいますか、どう見たってこれは銀行支援の枠組みだと、それを新たに担保をつけるわけですから、これはもうどういってもそういう仕組みになっているんですよね。その点がずっと議論になっているということだと思います。
 私、思うんですけれども、いろいろこういう銀行、特に大きな銀行に対しては公的支援の策が手とり足とりとられる中で、今、信組、信金が、信組だけで二十一ですか、信金で七つですか、今年度に入ってどんどん破綻していると。これは次回の六日の日に詳しく実例を挙げてこの問題を取り上げたいと思うんですが、片や、つぶすべきところはつぶすといいますか、そういうことが行われている中で、特に主要行を中心としたところにはいろいろ手当てされているというところに、非常に私はゆがんだ金融行政になってきているのではないかというふうに感じます。
 きょうはもう一つ中小企業にかかわる問題を質問したいというふうに思うんですけれども、私は、この不良債権処理を早める方法は、もちろん各銀行が自力で努力することと、やっぱり景気の回復がどうしても必要だというふうに思います。ただ、それを待っていればいいというものではありませんけれども、具体的な努力のやり方として、その融資先の企業が今大変な企業があった場合、それを再建していく努力ですね、切り捨てるんじゃなくて再建していく努力というのが非常に今こういう時期だから重要だというふうに思います。
 そういう点では、四月の緊急経済対策の中に要注意債権等の健全化及び不良債権の新規発生の防止という方針が掲げられたわけですけれども、四月の緊急経済対策からもう半年以上たっていますが、この点についてどのように金融庁として努力されてきたか、どう取り組んでこられたか、お答えいただけますか。

○副大臣(村田吉隆君) おっしゃるとおり、四月六日の緊急経済対策におきまして、各金融機関に対しまして要注意先債権等の健全化及び不良債権の新規発生の防止のための体制整備を求める、こういう記述がございまして、私どもとしては、その緊急経済対策等に沿いまして、要注意債権の健全化及び不良債権の新規発生の防止のための体制整備と積極的な取り組みについて、あらゆる機会を通じまして各行に対して要請を行ってきたところであります。
 こうしたことを受けまして、ほとんどの銀行におきまして、本店に債務者の経営改善のための組織や専担者を置くと。これを通じまして支店にも、支店との連携も強化するということで債務者側の経営支援推進体制の整備を図っている、こういう実態を見ておるわけであります。それから、各行とも、債務者に対しましては経営改善計画策定に関する助言を一層強化しておる、銀行からの人材派遣、外部コンサルタント等への紹介や活用等を通じて再建のてこ入れを図っている銀行も多いと、こういうことでございます。
 これは、私どもの財務局を通じたヒアリングにおきましても、地域銀行においても積極的にこうした企業への支援の仕組みが強化されておりまして、私どもとしては、こうした取り組みが産業再生と金融再生を一体的に進めていく上で大変重要なことである、こういうふうに考えておりまして、一層その推進を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。

○大門実紀史君 地銀とか第二地銀など、地域銀行については専門の組織を設置したと。しかも、いろいろやっているというヒアリングをされているということなんですけれども、大手銀行の方は今の段階ではどういうふうなことになっていますか。もう少し、今もおっしゃったことを具体的に大手銀行では何をやっているか、かいつまんで教えてください。

○副大臣(村田吉隆君) 今もう既に指摘したところでございますけれども、例えば行内のそうした取り組みの体制整備の具体例といたしましては、正常先への格上げ支援を目的に企業コンサルティンググループを設置して専担者を置くとか、あるいは本店と営業店のそうした連携を強化したとか、それからコンサルタントを送ったというような例も大手行についても見られているわけであります。

○大門実紀史君 その数だとか何だとか、そういうものはまだ具体的にはヒアリングされていないわけですね。全大手銀行の中のどれぐらいそういう部署が設けられたとか、人数配置だとか、そういうところまでは行っていないわけですね。数わかりますか。

○副大臣(村田吉隆君) 数は具体的に集計しておりませんが、各行にヒアリングを行っております。

○大門実紀史君 私がいろいろ現場から聞いた話では、実際には、その担当部署を設けたぐらいのところはあるかもわかりませんけれども、逆の対応になっているんです、四月の緊急経済対策と。むしろ、要注意先になったところを正常化するどころか、あるいは正常化のところを要注意に落とさない努力をするどころか、どんどん切り捨てる方向の事例を幾つも聞いております。
 例えば、お名前出しますけれども、東京三菱は、ことしの三月決算で要注意債権となった企業に対して従来より高目の金利を求めると。応じられない場合は債務者区分を要管理先に落とすというようなこと、これは新聞でも報道されましたけれども、実際に行われています。三井住友銀行、これは旧さくらですね、ここは、一回でも延滞を起こした融資先を、これは問題与信ということで、それを管理するためのアクションプログラムまで御丁寧につくって、一応再建可能かどうかをまず見きわめるわけなんですけれども、その結果再建可能だとわかっても、場合によっては回収専一という選択をして回収に走ると。つまり、手をかすよりもいかに回収に走るかということをそういう要注意、要管理のところではもうどんどんやっているというのが実態です。
 これはほかの金融機関も幾つか事例ありますけれども、金融庁としてはこういう事例をつかんでおられますか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) これは実は背景がございます。どういう背景かと申しますと、私どもが要注意債権のうち条件緩和をした債権については、これを要管理債権ということにするわけでございます。しからば、この条件緩和とは一体何かということが問題になりました。
 実は、長期の貸し出しだということですけれども、いろいろな事情があって短期の手形をずっとつないでいくというような貸し出しがあるわけでございます。その場合に、手形の割引金利というものについて、今度の手形の期限が来たときに、貸し出しはずっと続けるわけだけれども、従来の金利に比べて今回の金利が仮に同じでも、これをその企業の状態によっては条件緩和債権とする、つまり要管理債権に分類すべきものとすると。こういう新しい基準というか、新しくないということを全銀協あたりは言ったわけでございますが、そういうことを明確化したということがございました。
 どういう債務者がそういう該当になるかというと、その債務者と同じぐらいの信用の程度であるところにもし新規の貸し出しをしたら、その金利は一体幾らかというものを想定しまして、その金利に今の手形の更改をする、この債務者に対する貸出金利が及ばないという場合には、それは条件を緩和した債権だというふうに認識すると、こういうことになったわけです。
 そこで、べた貸しと言うんだそうですけれども、このべた貸しをする先に、あなたのところの信用リスクというのはこれだけ上がりました、したがって、もしそこに新規貸し出しをするとしたらこのぐらいの金利をいただきますので、あなたのところからもこの手形の金利をそこまで上げていただかなければなりませんと、こういうことを求めたんだろうと思います。それに応じればこれは要注意のままでありますけれども、もし応じられなければこれは条件を緩和した債権ということになりまして要管理に区分されると、こういうようなことが行われまして、理屈からいうとそれに何も文句はつけられないということでございまして、これは我々の方針に基づいてむしろそれぞれの銀行がそうした措置をとったということでございます。
 したがって、それを批判なさっても、こういうことで厳格な債務者区分をしているということの私どもしては一つの例というふうに御理解をいただくほかないと、このように考えておるわけでございます。

○大門実紀史君 そうすると、今、大手行がこうやって要注意先に金利を高目に要求して、応じなかったら条件変更だということで要管理に落としているというのは金融庁の方針だということですね。そういうことですね。
 そうすると、四月の緊急経済対策で要管理先をいろいろ支援して正常先に持っていったり、そういう本来銀行が果たすべき役割を果たしなさいというのは、具体的にはどうやって実現していくわけですか、金融庁がそんなことをやっていたら。

○国務大臣(柳澤伯夫君) それは、貸出先企業が実態として経営があるいは財務状況が改善されていくということをお手伝いすることでございまして、債務者区分が変われば銀行がそれでハッピーかというと全然ハッピーではありません。何となれば、引当金をふやさなきゃならないからです。
 ですから、何も銀行が好きこのんでやっているということではなくて、それは債権のあるいは資産の査定というか、区分をより正確にしているということの努力の一環だということで御理解いただくほかないということです。

○大門実紀史君 じゃ、きょうは質問を終わりますけれども、次回、今言われました債務者区分の問題で、現場でどんなことが起きて、どれだけ中小企業を含めて倒産に追い込まれているかという話をしたいと思いますので、そのときにまたいろいろ問題点を御指摘させてもらいたいと思います。
 質問を終わります。
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