● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■156-参-財政金融委員会-5号 平成15年03月26日
○大門実紀史君 今の話、もう少し聞きたかったところあるんですけれども、私は予算委員会の理事をやっておりますので一言申し上げたいんですが、今の話は国会審議とは余り関係ないようにお聞きしました。それと、余り国会の審議のせいに最初からされるというのはどうも違うんではないかと思いますし、どんな大臣でも大臣は大臣ですから、出てもらわなきゃいけない場合もあるわけですから、余り簡単に国会審議ということにはならないと、私はそういうふうに思いますので、特別な場合、どうしてもこういう場合ということで提案はあると思いますけれども、いてもいなくてもということが簡単に口から出るというのはいかがかということを御指摘しておきます。
 もう一つ、今日の私の質問に入る前に、昨日、私、質問いたしまして、最後の質問ですが、政策投資銀行が民間企業への出資、この半分は国民の税金が入っておりますので、少なくともその出資については情報公開あるいは説明責任の努力をすべきじゃないかというのを、ちょうどもう時間切れの間近なところで質問いたしまして、小村総裁からよく分からない、意味不明の答弁がありましたので、改めて御答弁をいただけますか。

○参考人(小村武君) 昨日の大門先生の御質問に対する私の答弁につきましては、御質問の趣旨に沿って十分行き届いた説明ができなかったことを申し訳なく思っております。
 御案内のように、我が国の事業再生ファンドにつきましてはいまだ揺籃期にありまして、私どもの基本的考え方にお示しをしましたガイドラインも必ずしも十分なものではありません。今後、各種の事業再建を通じましてそうした経験を深めていく中で、先生御指摘の説明責任、透明性の確保等につきましても基本的考え方を適時適切に見直すなど、工夫を凝らしてまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 はい、よく分かりました。引き続き中小企業の再生のために御努力をいただきたいと思います。
 今日はどうもありがとうございました、わざわざこのために。
 それでは本題に入りたいと思いますが、今日は二つお伺いしたいと思いますが、一つは中小企業問題、もう一つはテナントの問題です。
 竹中大臣のこの「あしたの経済学」を自腹で買いまして読ましていただきました。じっくり読ましてもらって、大変感動いたしました、一点だけですけれども。この中の二ページだけですが、二百十四ページから二百十六ページに、中小企業の倒産が悲惨なのはなぜかと。その最大の問題は個人保証にあると。この部分、私も非常に同感です。全部読み上げてもいいんですけれども、この趣旨をできれば大臣から説明をお願いします。

○国務大臣(竹中平蔵君) 経済の運営をする中で、倒産とか失業とか、もちろんこれはもうない、ゼロにこしたことはないわけでありますが、残念ながらどの国、どの社会、どの時代にも失業、倒産というようなケースがやはり出てくると。しかし、そうした中で特に日本の状況、特に今日の状況が大変やはり国民にとって苦しいのは、その倒産とか失業とかが決して単なる経済的な出来事ではなくて、自分の人生を懸けた出来事になってしまっているという現実があるからであるというふうに思っております。
 その要因は幾つかあります。これは、失業の場合は、年功序列、終身雇用の雇用システムの中でそういうところから外れてしまうということがあるわけですが、倒産の場合は、特に中小企業の場合、銀行から借入れをしていて、その借入れの際に個人保証を取らされる。今、個人のお店でも有限会社とかにしているところ多いわけですから、本来、有限会社、株式会社というのは、これは正に有限責任であるはずだと。しかしながら、個人保証をしたその瞬間に、有限責任であるはずのシステムが無限責任を負わされたことになってしまって、ここはやはりその制度、会社法や商法に規定されている制度と全く違ったシステムになっているということだと思います。
 この点をやはりしっかりと、これは経済問題であると同時に、むしろ非常に重要な社会的な側面を持っているというふうに思うわけでございます。ここはもう、私自身、父親が中小企業で保証させられて大変いつもおびえていたことを小さいころから思い出しますし、そこのシステムそのものを、経済問題と同時に、その社会のシステム、法体系、法風土そのものを変えていかなければいけないと、強い思いを持っております。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 警察庁の調べですと自殺者がずっと三万人を超えておりますけれども、経済的理由の自殺というのが三割と、自営業者の自殺が四千百四十九人になっているんですね。
 そういう点で、その中身としてこの個人保証の問題があると思うんですが、朝日新聞に有名な経営コンサルタントの岩井義照さんが書いておられますけれども、ニューヨーク・タイムズの記者から質問を受けたと。そうしたら、日本の経営者の自殺が多いのはなぜか、会社が倒産したからといってなぜ死んでしまうんだという質問を受けて、それは倒産だけで普通は死なないんだと、日本には個人保証があるために、会社だけでなく自分の周囲も財産も失うからだというようなことをこの岩井さんは答えておられまして、そのニューヨーク・タイムズの記者が、現代の日本でそんな野蛮な制度がまだ存在するのかと大変驚いたと。政府はなぜそんな銀行の横暴をすぐやめさせないのかと首をかしげたと。同時に、アメリカでは一部の州で禁止されて以来、この個人保証ですね、事実上なくなってきていると。ほかの先進国でも多くが法律で禁じていると。だから、法律でこの個人保証を禁止するというようなことをやるべきじゃないかというのをこの朝日の「私の視点」というのに書かれておりますし、ちょうど日本商工会議所も、平成十五年度の中小企業・小規模事業対策の拡充強化に・u條ヨする要望という中で、多くの中小企業経営者は金融機関から融資を受ける際に個人保証を行っているため、倒産時に基本的な生活権すら侵されるケースも見受けられることから、個人保証の在り方を見直し、一定の個人財産が確保され、再度事業に挑戦できる仕組みへ改善を図るべきであるというふうに、かなりこれも問題が社会的に意識化されていると思うんですけれども、大臣としては具体的にどうやっていけばというふうにお考えか、考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君) 今、大門委員から一部海外の事例の御紹介がございましたが、私たちも一生懸命海外の事例を今勉強を更にしております。ただ、いろいろ今の時点で我々が調べたところでは、どうもやはりアメリカにも個人保証はあると。これは、融資をするときはやはりそれを一種の、特に中小企業の場合、その経営をしっかりしてもらうという経営責任、経営保証という意味で取るというのが原則であると。ただ、第三者保証のようなものは、これはアメリカのような場合は少ない、そのように認識をしております。日本の場合、やはり銀行貸付けのウエートが非常に高いから、その分個人保証が社会全体として大きな問題になっているという面があろうかと思います。
 これを解消するための方策としては、やはり二つのことを考えていかなければいけないと思います。
 個人保証というのは、これは今も申し上げましたようにアメリカ等でも現実にはあるわけでございますけれども、できるだけ金融機関等に対しては個人保証に過度に依存しないで相手の与信、与信をする場合の相手の経営力とかそういうものを判断して、それに応じた、正にいつもこれはよく申し上げて大門委員から御反対を受けますが、リスクとリターンをきちっと評価して、そういうふうな担保や保証人に頼らない事業の評価を、正に金融機関の目利きをしっかりとした融資、そういった制度を作ってもらう。これは、一部ではありますけれども、そういう方向には銀行は銀行で努力するように我々要請しておりますし、そういうような保証制度も少しではあるけれども生まれ始めているというのも事実だと思います。
 もう一つは、これは融資、金融の話ではなくて、やはりこれは正に法律の枠組みだと思います。万が一にも破産、倒産した場合でもある程度自分の生活が支えられるような資源は確保してくださいよ、これは破産法等々の問題になります。日本の場合、よくこれはちまたで言われるのは、日本では破産すると仏壇と布団しか残してもらえないと。やっぱりそれではやはり困るのだと思います。これに関しては、我々経済財政諮問会議でもそういう議論をしました。それで、今法務省の方でそうした問題についてしっかりと検討していただきたいというその根本的なところのお願いはしているところであります。

○大門実紀史君 私もこの間ちょっとアメリカの方を調べてみたんですが、州によって少し違うようなんですが、個人保証はあることはあるんですけれども、例えば住居だとか家財道具、衣類、その他個人使用のものとか、生命保険だとか車だとか、こういうものは保全されるといいますか、取られないで済むと。金額に限度を設けている州も、フロリダだとかアイオワ、カンザス、サウスダコタ、テキサスでもありますけれども、個々で言えば、自宅に関しては幾らの自宅であろうと取らないと。だから、豪華な豪邸であっても最初に取られないということまで定めている州もあります。いずれにせよ、先ほどおっしゃいましたけれども、今法務省マターで検討されている日本とは本当雲泥の差でしてですね。
 日本の場合は、破産法で一切取るというのがまず決められておりまして、その上で、民事執行法の方で取っちゃいけない物として衣類とか寝具ですね、布団だとか枕、家具、台所用品、畳とか、あと二か月間の食料、二十一万円の一か月間の生活費、あと実印取っちゃいけない、仏像、位牌は取っちゃいけない、義手、義足、当たり前ですけれども、こんな物は取っちゃいけないと。そんなレベルですよね。本当にもう水準が低いといいますか、遅れているといいますか、だと思います。
 もう一つは、ちょっと気になって、竹中大臣に是非お伺いしたいと思ったのは、今、中間試案ということで検討されている中で、最低生活費二十一万円を引き上げようという程度の議論しかされていないんです。自由財産とかいろいろありますけれども、焦点はそこのようなんですが、これでさえ、これでさえ、経済産業省の方はこの二十一万というのは余りにもひどいと。一か月だけの生活費やって、あとはもう全部取っちゃうというのは余りにもひどいということで、経済産業省の方はこの引上げを要望しているようですけれども、金融機関がこれに反対をしているということなんですね。
 ですから、本当にアメリカに比べて相当遅れているにもかかわらず、わずかこの生活、最低生活費さえ引上げに金融機関の反対の声が多いというところをいかが思われるかということと、できれば、金融庁ですから、そういういろんな懇談会とかありましたら改善の方向に持っていくような指導をしてもらいたいというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 法律の審議の経過について詳細は私必ずしも十分承知をしておりませんが、もう一つ、金融機関が反対しているかどうかについても私ちょっと、いろんな金融機関があるのかもしれません。
 ただ、これはやはり一般社会の常識の感覚として二十一万とかそういうレベルの話では全くないと、これは私は考えております。よくこれは、こういう議論に必ず出てくるのは、やっぱり借りたものは返すんだと、借りたものを返すのが金融のモラルであるという、規律であるという議論がよく出てきます。私はこれはこれで正しいと思います。しかし、返ってこないような貸付けを行った側にも責任はあるわけでありますから、それをやはりそういう人たちにも責任を負ってもらうというのが、これは一面の金融のモラルであろうかと私は思います。
 ここは正に社会の合意の問題でありますけれども、恐らく今言っているような二十一万円とかそういうところではない。私としては、やはり法務省の方でしっかりとこれは多くの国民が納得できるような結論を出していただきたいというふうに思いますし、引き続き諮問会議等々でもそういう議論を深めたいと思います。

○大門実紀史君 是非、先進国並みの基準に引き上げられるように努力をお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。
 もう一つは、これも中小企業問題ですけれども、大手流通破綻に伴う中小のテナント問題について、私、この委員会で二、三度取り上げてまいりました。長崎屋問題、寿屋、マイカル問題ですけれども。
 要するに、大手の今申し上げたようなスーパーが破綻して、そこに入っている中小テナントの皆さんが、もう店閉めるから出ていけと。ところが、預けた敷金、保証金を返してもらえないと。この金額は相当大きいんですね。数百万から四、五千万になる場合もあると。店は出ていけ、金は返してもらえないで、みんな倒産、廃業あるいは自殺の例も出たりしている話なんですけれども、全国で、特にマイカルの場合は全国で数千店ありましたから、テナントが入っていましたので、社会的な問題になっておりまして、今その方々が全国連絡会作られて、私も一緒に今、これはもう何党関係なく頑張らなきゃと思ってやっているところです。平沼経済産業大臣にも何度かお話をしまして、かなり御努力をいただいて、取りあえずセーフティーネットの適用では中小企業庁の事務方の方が物すごい努力をされて、私、本当に敬意を表していますけれども、頑張っていただいているところです。
 これは今後の大問題になってきているというところなんですけれども、経済産業省で昨年からこの問題の根本的な解決のためにいろんな御努力をされておりまして、研究会を作って検討されてこられました。それは、ちょうど今年の一月に中間報告が出たと思います。私、最初に結論を言うとなんですけれども、大変いい報告だ、よく頑張ってもらったというふうに思います。
 時間の関係で簡潔で結構なんですけれども、経過と問題意識と趣旨、ちょっと簡潔に述べてもらえればと思います。

○政府参考人(小川秀樹君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のテナント保証金の問題でございますけれども、御指摘のとおり、そもそもテナントの負担が重くて財務体質悪化の要因になるということがあるわけでございますけれども、特に昨今、流通業の、以前と違いまして、破綻リスクが高くなっているという状況下では、ディベロッパーが破綻した場合に保証金が返還されないという事態が生じているということでございます。
 こういう問題の認識の下に、当省としては、昨年七月から、専門の方々によりますテナント保証金問題研究会を設置いたしまして、一月まで六回の御審議をいただきました。本年一月に中間報告書を取りまとめていただいております。
 内容のポイントでございますけれども、将来の方向性としては、基本的にテナント保証金は廃止をして、もっとすっきりした敷金に一本化すべきであるということでございます。ただ、現時点におきましては、一部ディベロッパーサイド、またテナントサイドにも保証金のニーズがある場合もありまして、そういう場合には当事者間の合意により保証金を残す場合もあるわけですけれども、こういう場合にあっても、問題をできる限り改善するため業界ガイドラインを設定いたしまして、これに沿った内容とすべきであるというのが内容の骨子でございます。

○大門実紀史君 ついでに、そのガイドラインに盛り込むべき内容についても簡潔にひとつ説明してくれますか。

○政府参考人(小川秀樹君) 御質問の業界ガイドラインの内容でございますけれども、まず基本といたしまして、テナント契約はディベロッパーとテナントとが対等の立場において締結する。双方の義務を契約事項として明確に書くということでございます。
 それから、その際の保証金契約を締結する場合の、具体的にこういうふうにしていった方がいいということでございますけれども、一つには、金銭消費貸借としての性格を持つことを明確に位置付ける。また、契約期間が現在ですと二十年ぐらいにわたるとか、非常に長いわけですけれども、契約期間の短期化、金額の低額化に努める。それから、片務的に、情報開示が十分じゃないということで、ディベロッパーとテナントは相互に経営情報を開示する。それから、可能であれば、保証金の返済を確実にするために担保連帯保証人を設定する。それから、中途解約時に、なかなか返済規定が明確じゃないので、十分返還が受けられないという場合もありますので、そういう場合の返還規定を明確にする。そういった内容がガイドラインの骨格になっております。

○大門実紀史君 そういうことが今既に決められていれば随分たくさんの方が助かったと思います。急いでそういう方向を実現してもらいたいと思いますけれども。
 今既に破綻して、私、申し上げましたマイカル三千三百店が今いつどうなるかといって不安な毎日を送っておられますけれども、今現在破綻しているところについてはどういうふうに対応されていくのか、教えてもらえますか。

○政府参考人(小川秀樹君) この研究会でございますけれども、基本的には今後のテナント契約における保証金の在り方を中心に御議論をいただいて報告書をまとめていただいたわけでございますけれども、御指摘のように、現在既に法的に破綻している企業についても一定の手当てをするべきじゃないかという御意見もあったわけでございまして、そういったことを踏まえて、報告書におきましては、「経済産業省は、本報告書を踏まえた問題意識を、裁判所、管財人等に伝え、破綻処理におけるテナント保証金の扱いに関して考慮を要請すべきである。」というようなことが明記をされております。

○大門実紀史君 既にマイカルの管財人等には、何らかのアクションをといいますか、働き掛けされているというふうに聞きましたけれども、もし、述べられる範囲で結構ですけれども、教えてもらえればと思います。

○政府参考人(小川秀樹君) 御指摘のマイカルにつきましては、正に現在更生手続中でございまして、既に閉鎖した店舗、閉鎖予定の店舗、存続店舗、ございますけれども、いずれもテナントの問題があるわけでございまして、当省といたしましては、この研究会の報告書を踏まえまして、マイカルの事業管財人であるイオン等に対しまして、この報告書に述べられました問題意識をお伝えすると同時に、こういうテナントの方々が非常に厳しい状況に置かれておるということを十分配慮をしてその更生計画、更生手続を進められることを累次要請をしておるところでございます。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 そういう努力でかなり現場の方では動きがあるようですので、引き続きお願いしたいと思います。
 急いでお願いしたいのは、そのマイカルの中で、もう敷金、保証金、返ってこないと、そうすると借金も払えないということでもう夜逃げをされた例が二件出ておりますので、そういう方向で経済産業省が努力しているということが伝わるだけでも皆さんの希望になりますので、急いでマイカルについては特にお願いしたいと思います。
 先ほど言われたガイドラインですけれども、いつごろ具体的にまとまって業界に普及するというふうになるのか、めどが分かれば教えてもらいたいと思います。

○政府参考人(小川秀樹君) このガイドラインでございますけれども、中間報告書の趣旨に沿いまして、具体的には、関係団体でございます社団法人日本ショッピングセンター協会と社団法人日本専門店協会の両団体が共同で今鋭意作業中でございますけれども、できるだけ近いうち、できれば四月中ごろまでには取りまとめるべく作業中であるというふうに伺っております。

○大門実紀史君 いい御答弁が多いんで、質問がなくなりましたので、これで終わります。
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