● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■156-参-財政金融委員会-23号 平成15年07月24日
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
 資料を配っていただけますか。
   〔資料配付〕

○大門実紀史君 今お配りしている資料は、五月の二十九日の予算委員会で竹中大臣に御質問した資料でございまして、ただ、そのときは時間が短かったんで、私、これ大変重要な日銀の資料だと思っているんですけれども、この問題だけで詳しくは聞けなかったんです。それで今日は、日銀福井総裁を含めてじっくりお聞きしたいと思いまして、配付をさせていただきました。
 日銀が作られた資料なんですけれども、日銀が作られた資料を基にグラフにしただけなんですが、日銀の資料を日銀の質問で私が説明するのも変なんですけれども、ちょっと私の説明がもし違ったら正確にしてもらうという、補足もしてもらう意味で私の方から説明をいたしますけれども、何を表しているかといいますと、日本の大手行の今年の三月決算時点までの自己資本の内訳でございます。
 まず、公的資本というのは何かといいますと、これは公的資金のうち優先株の部分だけの数字です。民間資本というのは何かといいますと、これはティア1、中核自己資本ですね、それから公的資本と繰延税金資産を引いたというふうな逆カウントで出てくるのが民間資本。そして税の、繰延税金資産と、その三つの推移を表したグラフでございます。〇〇年度、これは具体的に言えば十三年三月末から〇二年度末、すなわち今年の三月末までのものをグラフにしたということですね。
 何を表しているかということで申し上げますと、全体として大手行の自己資本というのは縮小していると。これはもうそのままの数字です。中でどういうふうなことになっているかといいますと、この間問題になってきました税の繰延資産が、ずっと数字も増えておりますけれども比重も増している。公的資本、この数字は変わりませんが、比率としてはずっと自己資本に占める比率が増えてきている。つまり、今、純粋な民間資本というのが非常に限りなくゼロに近づいていって、大手行の自己資本の内訳というのは、公的資本と税の繰延資産、まあ言わばかりそめの自己資本ですけれども、そういうものだけになっているというふうなことです。
 これ、計算上は、例えば今年の〇二のところですけれども、今年の三月末は民間資本、マイナス二・〇になりますが、これはバランスシート上のマイナスという意味です。つまり、何といいますかね、非常に異常な日本の大手行の自己資本の中身はなっているということですね。
 こういう状態だということを踏まえて公的資金の議論を私はすべきだということでこの資料を予算委員会のときにお配りしたわけですが、日銀が作られている、これはあれですよね、毎年作られている、八月ごろですかね、全国銀行の決算でしたっけね、それに基づいて作られているのを並べただけと。ただ、今年の三月末については、まだ今年の八月ですから、こちらの方で計算方法をお聞きして、計算してグラフにしてというだけだと思いますけれども、まず、このグラフの見方、それでよろしいかどうか、補足があればちょっとお願いしたいと思います。

○参考人(三谷隆博君) お答えいたします。
 ここにある数字、それぞれそれの正確な数字ではございますが、ただ、この民間資本というものの出し方が、全体の資本合計額から公的資金を引いて、かつ繰延税金資産を引いたものが民間資本というふうにここでは定義されているわけでありますけれども、これはちょっと私どもとしてもおかしいのかなという感じがいたします。
 今あります資本勘定は、基本的に公的資金があり、また民間資金があり、それと別に、その資本勘定をどういう資本が入っているかということとは別に、繰延税金資産として、これは別に資本注入されているわけではなくて、繰延税金資産に見合ったものとしてどの程度の額があるのかということが本当は議論されるべきだという意味では、そういう意味では、民間資本をもし定義するとすれば、全体から公的資本の六兆円を引いた額を一応民間資本として、その全体の中で繰延税金資産がどれぐらいのウエートを占めていると、そういうふうに考えるのが適当ではないかというふうに思っております。

○大門実紀史君 それ、よく分かります。例えば、やっぱり今年の三月末のところで、表示的にマイナス二・〇になってしまうというところで、やっぱりちゃんとした、分かりやすくしないと誤解を与えるという意味ですよね。
 つまり、それまではこのグラフどおり、毎年日銀が出しておられたそのままですから、今年の時点でちょっと誤解を与えて、何か民間資本がマイナスになっているのかという意味で今説明があったんじゃないかというふうに思います。
 ですから、あれですね、グラフの作り方を今度変えられるということをお聞きしていますけれども、これだと何か、要するにマイナス二・〇、民間資本がもうマイナスになっているのかと思われるという、誤解を与えるという意味でね、それはよく分かるんです。
 そういうふうに、今年の〇二のところですね、三月末は見ていただくという前提ですが、いずれにせよ、私これ、二〇〇一年の、二年前の秋だったと思いますが、速水総裁にこの質問をいたしまして、速水総裁がそのときに、つまり、速水総裁のときは一番左の〇〇年度の、まだ民間資本が十一・四兆円ある時点でお聞きしたんですが、そのときに速水総裁が、この時点でいきますと、アメリカ並みの計算をしてみると、仮にですけれども、アバウトなところあります、確かに。ただ、アメリカ並みの計算、つまり公的資金を抜いて繰延税金資産を一年分、アバウトなところありますけれども、仮に一年分だけ計算に入れてみると、日本の大手行の自己資本比率はどれぐらいになりますかとお聞きしたら、七%台ですと、八%割っておりますというふうな、速水総裁言われたんですね。それを非常に危惧されておりまして、それで本当に、取りあえず見かけ上は一〇%超えたり当時はしていましたけれども、いいんだろうかと、海外の評価、市場の評価含めてね、そういうことを速水総裁は非常に心配されていたわけです。
 ちなみに、今年の三月末、そういう速水総裁の計算、つまり公的資金抜いて税の繰延べを一年分だけカウントした場合、何%ぐらいの自己資本になりますか。つまりアメリカ並みに見ると。

○参考人(三谷隆博君) 申し訳ございません。
 ちょっと計算をあらかじめしておりませんので、答えがちょっと正確な数字は申し上げられませんけれども、この三月末、大手行、総じて平均してみますと大体九%台半ばの水準でございます、自己資本比率が。この三月末の自己資本比率ですね。そのうち公的資金が資本勘定の約半分を占めておりますので、仮に同じような計算をするとすれば、その九%台半ばの半分ぐらいというのが一応の答えになるだろうと思います。

○大門実紀史君 それは違うんじゃないですか。私、日銀に出してもらった資料手元に持っているんですけれども、二%台と。これ、日銀の資料でいただいているんですよ。計算の仕方も全部中に書いてあって、それで計算すると二%台。速水総裁言われたときは、確かに七%台と。

○参考人(三谷隆博君) 失礼いたしました。
 今、繰延税金資産一年分というところをちょっと忘れておりましたので。繰延税金資産を仮に一年分しかカウントしないということであれば、おっしゃるような数字になるはずでございます。

○大門実紀史君 私、今日はちょっとじっくり、今の現状をどう見るかということで見解なりお伺いしたいという意味で、何も二%だといって騒ぐとか、そういう意味で申し上げているのではないので、数字的に正確にした上で質問したいと思うんです。
 ちなみに、このグラフでいきますと、十四年三月、つまり〇一のところですね。〇一のところでもう三%台にその計算でいくとなっているんですね。速水総裁は、七%台、この〇〇年度のときにもう七%台で、これじゃ、名目といいますか、見掛け上は八%クリアしているけれども大変心配だとおっしゃっていたのが、今おっしゃったとおり二%台ですね。
 これは福井総裁としてどういうふうに評価、まずされておりますか。

○参考人(福井俊彦君) 大手銀行のいわゆる資本的厚みの中で非常に、何と申しますか、不良債権の処理額がここ数年非常に大きくなっている結果として、公的資本のウエートが上がり、繰延税金資産のウエートが上がりという状況になってきております。
 これが意味するところは、やはりこれから先、不良債権の処理の手心を緩めるというんではなくて、やっぱり引き続きなるべく早く不良債権を処理しながら、一方で民間としては資力を付けていかなきゃいけない、つまり収益力を上げていかなきゃいけない、こういう課題により厳しく直面してきているという意味だと私どもは理解しています。
 これは、新しいビジネスでどんどんもうけるという話が最終的なゴールなんですけれども、不良債権処理の問題にいたしましても、いわゆる企業再生というふうな努力をもっと重ねた場合には、企業の中で将来有望な部分と将来有望でない部分、これをはっきり切り分けて企業再生を図れば、企業も収益力が回復するし、金融機関もつれて収益力が回復する、それで当該企業の分類上の基準が上がることによって不良債権も消える、こういうプロセスが実現できるわけでありますので、実際、いろいろな金融機関においてこういう方面の努力の姿勢が今強まっているという状況でございます。私どももそうした金融機関の姿勢を強くバックアップしていきたいと、こういうことでございます。
 非常に難しい課題でありますけれども、自己資本が落ちてきていることは不良債権の処理が進んでいるということと同義でございますので、どんなに厳しくとも、ここでひとつ折り返しをして金融機関の収益力を高めていかなきゃいけないということだと思っております。

○大門実紀史君 それは今後どうするかというので、私お聞きしたのは、今時点で、海外の、速水総裁心配されたような、格付の問題も含めて、そういう今の時点でのマーケットの評価といいますか、いろんな評価について今はこの現状をどう思われるかという意味でどう思われますか。

○参考人(福井俊彦君) 海外の日本の金融システムないしは個々の銀行に対する評価は依然として厳しいものがございますけれども、しかし、ひところに比べますとやはり不良債権問題の処理が進展している、しかもその局面が、やっぱり企業再生の段階、更には金融機関の収益力そのものの構築というふうに局面変化もだんだん伴ってきているということは、海外の目から見ても、決して早いとは言えないけれども、やはりそれなりの進展をしてきているという評価が加わってきているような気はいたしております。

○大門実紀史君 じゃ、こういう現状は海外のマーケットを含めて知られていますよね。知られた上で、これは良くなりつつあるというふうに今見てくれているというふうな評価をされているということですかね。もしあれば。

○参考人(福井俊彦君) 決してまだ十分だという評価を受けているとは思いません。しかし、以前に比べてそれなりに前進が見られるという評価にはなってきているというふうに思います。

○大門実紀史君 竹中大臣も、予算委員会のときにはもう短い時間でしたのでぱっぱっとしかやり取りできませんけれども、もしお考えといいますか、まずどういう評価されるか、お考えあればお聞きしたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君) 何度も申していますように、不良債権問題の終結に向けては三つのことをやらなければいけないと。資産査定の厳格化、自己資本の充実、コーポレートガバナンスの強化、すなわち収益力の向上、それぞれをどれ一つ欠かせることなくバランス良くやっていかなければいけない。
 この図で、今、自己資本のことを議論していただいていますが、必要があればもちろん公的資金、りそなの場合そのように行ったわけですけれども、そうした我々が持っている政策のツールを活用しながら、今申し上げた三つの点をバランス良く解決に向かって進めていきたいというふうに思っています。

○大門実紀史君 例えば、これはりそなが数字、この公的資金、資本に入っていませんから、これが更に深まる結果になると思うんですよね。
 そういう点でいくと、予算委員会のときには厳しい言い方申し上げましたけれども、本当に公的資金漬けになっちゃっていて、これは福井総裁言われたように、収益力回復していつこれが解消できるのかというのが非常に危惧されるわけですけれども、当然こうなったのは、不良債権処理に伴う処理損もありますけれども、株価の問題とか、いろいろ複合的にこうなっているというふうに思います。
 まず、公的資金の、これから、例えばりそなにすぽっと入れられましたけれども、今の竹中プランだと更に公的資金が入る銀行が出る可能性はないとは言えませんですよね、率直に言って。だから、引き揚げる方向といいますか、解消される方向というよりも、まだ公的資金がこういう入っていく、こういう流れの中に私あると思うんですけれども、その辺はちょっといかがですか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 例えば、今の時点で、今後公的資金の注入がどのぐらい必要であるかとか、そういった予見、予断を持っているわけでは全くありません。企業には、銀行にはしっかりと資産査定をしていただきたい。そのための枠組みは作ったつもりであります。自己資本充実のためにはまず自ら努力をしていただくというのが当然の原則であろうと思います。
 しかしながら、何といっても重要なのは、コーポレートガバナンスの強化、それによって収益力を高める、それによって公的資金、注入された公的資金をどのように回収するかに関してはいろんなパターンがあると思いますが、例えば剰余金を蓄積していっていただいて回収する場合もあれば市場で売却する場合もあるでしょうが、いずれにしてもその前提になるのは、収益力を高めてその内部にしっかりとした余剰を持っていただくということでありますから、そうした方向に向かって引き続き努力をしていただかなければいけないと、この点は変わらないと思います。

○大門実紀史君 まず、返せるかどうかということなんですけれども、金融庁の方から各銀行の経営健全化計画いただきまして、これは公的資金の返済も計画もこの中にあるわけですけれども、相当甘いんじゃないかなと。今の時点でですね、これ以上入れないと。今まで入れられたものを返すだけでも相当厳しいんじゃないかと私思います。
 といいますのは、これからまだ不良債権処理、大手行だけで十兆円規模のオフバランスしなきゃいけない、景気の見通しもそんなに良くなるとは思えないという中で、この経営健全化計画、一々一つ一つ言いませんけれども、大手行だけにしたって厳しいような気がいたしますけれども、これは返せるというふうに判断されていますか、金融庁。もし御見解あれば日銀の方もお聞きしたいと思いますが。公的資金、今まで入ったのが計画どおり返せるかどうかと。

○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほども言いましたように、公的資金については、利益をもって償却する場合、さらには、しっかりと内部蓄積をしていただいて、それが株価に反映されて、これはりそなの場合は普通株で入れておりますから、それで市場で売却する場合、いろんな場合があろうかと思いますが、それを可能にしていただくような基本的には経営健全化計画を作っている。我々としては、そうした経営健全化計画がしっかりと実行に移されるように、このフォローアップは、これはしっかりとしていかなければいけないと思っております。
 そうした観点からも、それぞれの決算期については、その収益の状況をしっかりと把握しながら、例えばいわゆる三割ルール等々を我々は作っておりますから、そうした点、金融再生プログラムないしはそれに基づいて作られたガイドラインに基づいてしっかりと監督をしていくというつもりでいます。

○大門実紀史君 今度、あれですか、業務改善命令を出してでも三割ルールをクリアしろというような、それぐらい厳しくやっていかれるということですか、いわゆる収益を求めるという意味では。新聞報道でありましたけれども、ちょっと確認だけ。

○国務大臣(竹中平蔵君) 新聞報道は承知をしておりますけれども、今、我々まだ決算の数字を精査している段階でありまして、今の時点でどのような監督上の措置を取るかということを決めているわけではありません。ただ、いずれにしても、我々としては幾つかのルールを持っております。そのルールにのっとってしっかりと監督をやると、これはやっぱり我々の務めだと思っています。

○大門実紀史君 この経営健全化計画が、各行の、大手行のやつが甘いとかいろいろ今言っても仕方ないとは思うんですが、頑張ってもらうしかないというのも、返してもらうしかないというのもありますから、ただ、ちょっと前提として、銀行によって違うのかも分かりませんが、それぞれ経済見通しというのを立てているんですね、各行。これ、何%か御存じですか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 済みません、ちょっと御質問、その点はいただいておりませんでしたので、正確な数字を個々に記憶はしておりませんが、基本的には、政府経済見通しなり政府の中期的な経済の枠組み、それに沿っている、ないしはそれとは最低限矛盾のないものになっているというふうに思っています。

○大門実紀史君 そうしたら確認してください。
 例えばみずほなんかは二%で見ていますし、かなり高いんです、経済見通しそのものが。だから、ちょっとそれが前提だと違ってくるんじゃないかというのもありますし、いずれにしても剰余金を出す計画ですから、経済見通しがどうであろうとこれだけ出してもらわなきゃいけないという意味ではいいのかも分かりませんけれども。少し、どういいますか、なかなかそんなに簡単に返せるというふうには普通には思えませんので、是非この点は点検をしてもらいたいというふうに思います。
 さっきの話、この表に戻りますけれども、ですから私、申し上げたいんですけれども、公的資金を入れてでも不良債権を一気に処理しろとか、いろんな議論があります、率直に言って。いろいろあると思いますけれども、入れて、入れた後どうなるのかと、これ以上入れた後どうなるのかということも考えながらやらないと、不良債権はなくなったけれども、みんな公的資金漬けの銀行になってしまったという、化け物みたいなのを一杯作っちゃったということも、その寸前まで私は行っているというふうに思いますので、公的資金の議論は、そういうふうに、性格、入れた後どうなるかということも含めてしていっていただきたいと思いますし、それは引き続き取り上げていきたいと思います。
 もう一つは、これはちょうど速水総裁のときに御質問したときに併せて聞いたことなんですけれども、田谷さんでしたか、田谷審議委員、田谷理事さんでしたっけ、今もうおられないんでしたっけ、田谷さんだったと思うんですけれども、済みません、ちょっと手元に資料なくて記憶だけなんですけれども、いわゆる負債を伴う、負債になるような、簡単に言えば返さなきゃいけないような公的資金、公的支援というのはこういうふうにどんどんどんどんこういう事態になるので良くないんだと、私質問したんですね。そのときにちょうどRCCに日銀が支援をするという話が出ていましたので、そうしたら、直接銀行に入れるのじゃなくてRCCを通じてやるとか、そういうことなのかという質問をしたら、具体的にそんなことは考えておりませんという話が確かにあったんですけれども。
 例えば先ほどの株買取りの問題。日銀が株を買い取るのもそうですけれども、何か直接注入するとこういった事態になるので、ほかの迂回して公的支援をやるというような、そういう枠組みがずっと出てきているような気がしてならないんですけれども、そんなことを考えておられますかと言って、そうですと言うわけないでしょうけれども、何かほかのところから公的資金を入れるという枠組みがずっとこの間出てきているんで気になるんですけれども、絶対そういうことはないですよね。

○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと具体的に委員は何を御指摘になっておられるのか。例えば、これは公的資金そのものも預保を通じてもちろん入れるわけでありますけれども、それ以外、例えばもう見えない形で公的資金が入るとか、そういうようなものは基本的にはあってはいけないというふうに思っております。
 これは例の、この国会でも御審議をいただきました、地域の金融機関を主として対象とした組織再編の特措法とか、こういうものもこれは直接念頭に置いておりますし、これは非常に国民から見てもやはりビジブルなものでなければいけない。なぜならば、やはり公的資金の注入、これは委員御自身もおっしゃいましたように、お金を入れるだけでは駄目で、その後のガバナンスがきっちりと整うということをもって初めてこの公的資金注入の意味も出てくるわけでありますから、そのガバナンスの強化と一体になっているという意味では、やはりビジブルであって、ガバナンスの強化を伴っているような、そういうシステムでやらなければいけないと思っております。我々としてはそういう観点から常に制度設計をしているつもりでございます。

○大門実紀史君 私申し上げたのは、例えば今日の株買取り、事実上、銀行の損を公的資金で埋めるような枠組みになっていると。ところが、銀行に直接公的資金入れるわけじゃないと。こういうような仕組みが結構出ているという意味で、そういう危惧を申し上げたということで、透明性という意味じゃないんです、間接的支援という意味で申し上げたわけです。
 日銀報告、日銀に対する質問に話は戻りますけれども、資料の二枚目に、日米の長期金利についてグラフにした、これも日銀からいただいた資料で、作っていただいた資料です。
 前回の日銀報告のときに福井総裁に、私、日米の資金循環といいますか、マネーの流れのことを御質問いたしました。具体的に言えば、イラクの戦争支援につながる、つまりアメリカの財政を支えるようなお金の流れになっているということを指摘したわけですけれども、今回は、それと関連するんですが、日米の長期金利の金利差をグラフにしたものです。これ、よく言われるんですけれども、写真金利と。見たとおり、もう影で映したように、ずっとアメリカの方がとにかく高くなるように見事に動いていると。これについて、よく経済学者の方々が写真金利だという言い方をされているわけです。
 これはもう時間がないので幾つかまとめてお聞きして終わりたいというふうに思いますけれども、まず一つは、なぜ見事にこういうふうになっているのか。ただの偶然では私ないと思います。もちろん私申し上げたいのは、何もアメリカに言われたから金利を下げていると、低金利だと、こんな単純なことを申し上げているわけではありません。日本の独自の、何といいますか、低金利政策を取った理由がもちろんあります。ただ、アメリカとの関係も私一つの重要なインパクトだと思っておりまして、そういう点で、なぜこういうふうに見事に絶えず日本の方が低くなる。
 カントリーリスクという言い方、御存じだと思いますが、日本から、例えば日本からアメリカにお金が流れる場合、為替とか、いろんな国の事情が違う、いろんなリスクを考えると二%以上の差がないと資金が移動する理由がないというので、カントリーリスクと言われています。ですから、アメリカの方が二%以上金利が高くないと日本からわざわざアメリカに投資をする、お金が流れるということはないという意味でカントリーリスクと言われているのは御存じだと思いますけれども、そういうものは大体クリアして、一時近づいていますけれども、近づいたときには必ずアメリカからもうちょっと金融緩和してくれという要請が来たりしておりますけれども、今日はそこまで取り上げる時間はもうなくなってきましたが。
 ですから、日米の資金の流れ、前回、福井総裁にお聞きした、日本マネーが、総裁言われたとおり、貿易黒字を解消するために結局はアメリカの国債を買うというふうな流れが、資金循環があるわけですけれども、そういう中でも起きていると思いますが、まず、どうしてこういう見事な金利差が、こういう構図になっているか、御認識をお伺いしたいと思います。

○参考人(福井俊彦君) 恐らく、今お示しいただいたのは日本とアメリカの金利の動きでございますが、仮にヨーロッパの金利をもう一枚加えてみましても、やっぱり三者は同じような、少なくとも金利の方向性としては同じような方向性を示しているというふうに思います。
 これは、恐らくここ十年ぐらいの間にこの傾向は更に強まっているのかなと私は思いますが、まず実体経済の面で、やっぱり経済のグローバル化の中で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、各国経済の景気の同時性といいますかシンクロナイゼーション、景気のいいときは同じように良くなる、悪いときは同じように悪くなるという、実体経済が同じ方向に動く傾向がより強まっているということ。それに加えまして、物価の面でも、最近ディスインフレーションという言葉で御承知のとおり、価格形成メカニズムの変化の下で同じような物価の傾向を示す度合いが強まっていると。
 そういうふうなことが反映しているのに加えまして、資本移動の自由化の下に国際的な資本移動が非常に活発に行われて、そういう意味では、この国際的な金利裁定が働きやすくなっていると。これらの要因によって金利の動く方向性というものがかなり一致するようになってきていることは事実でございます。
 ただし、ごらんのとおり、金利水準という点ではそれぞれかなり格差があるわけです。この開きというものは、それぞれの国の、あるいはその地域の先行きの実体経済の予想、それから物価の予想、併せて見れば名目経済成長率の予想の違いというふうに、長い目で見て、それぞれの国ないし地域の実体経済の相違というものも同時に反映しているというふうに考えております。

○大門実紀史君 もう時間がなくなってきましたので、この議論、これもこれで私は大事な問題だと思っていますので幾つかだけお聞きしたいんですけれども、もちろん総合的な、総合的といえば総合的な要因で金利は決定されますからそういう面もあると思いますが、私は、その決定要因の一つとしてアメリカとの関係があると。ヨーロッパのは今日持ってきませんでしたけれども、こんな単純ではありません。ヨーロッパの場合は国によってまた違います。非常に単純です、日本の場合は。だから、写真金利と日本だけ言われるという事態です。
 時間の関係で二つだけ。この流れの中で、例えば今の低金利政策、これはいろんな副作用を起こしているというのはもう指摘してきたとおりですけれども、重要なきっかけになったのが私幾つかあると思っています。全部もう取り上げる時間ありません。
 この間のこの数年のことで行きますと、九八年四月にアメリカのルービンさんと宮澤会談というのが、例の有名なサンフランシスコの会談がありました。その五日後に無担保コールレートが、あのときは〇・二五ですかね、〇・二五に下げたと。これは二、三年ぶりに下げられたんじゃなかったかと思いますが、下げたと。このときの事情を話すと長くなりますけれども、要するに日本の金融不安が高まって、例の六十兆円の金融安定化法とか公的資金枠とかいろいろあったときですね。そういうときにサンフランシスコの緊急会談があって、その五日後に〇・二五に無担保コールレートを下げると。これ非常に重要なきっかけだったと思います。
 もう一つは、九九年の一月二十九日ですかね、ダボス会議、有名なダボス会議ですね。これはもう決定的だと私は思っていますけれども、そのときの資料、向こうの高官の発言も含めますと、ルービン、サマーズが日本に、日米金利差が縮まる傾向になってきたからもっと金融緩和してくれと。実はこのときに日銀の国債の購入を求めたという報道があります。これ私、分かりません。報道では言われています。そのときには、さすがに日銀は国債の購入なんかできないということで拒否されて、拒否されてといいますか、そういう話もあったけれども、結局は、二月ですか、二月の十二日にいわゆるゼロ金利政策を取られたと。
 私、重要な局面でやっぱりアメリカの強い要請というのはあったというふうに思っているんですけれども、前の速水総裁のときかも分かりませんが、福井総裁もそのとき日銀におられたと、──いらっしゃらないですか、そうですか。全体としてそういう評価はどう思われるか、お聞きしたいと思います。

○参考人(福井俊彦君) ひところコンテージョンという言葉が国際金融経済を物語る一つの象徴的な言葉になったわけですが、九七年の後半以降のアジア危機が、やはり経済及び金融両面から世界全般に悪い影響を伝播する。これに対して、それぞれの国が経済政策及び金融政策両面で協力しながら、そうした厳しい状況からいい局面へいかにして切り抜けていくかということが共通のテーマになったということだと思います。
 したがいまして、最初におっしゃいましたようなルービン・宮澤会談、これはやはりそういうアジア危機の世界経済への伝播というのがひときわ厳しく見られるようになった時期でありますし、その後それがロシアに飛び火したとか、挙げ句の果てにアメリカにさえ飛び火しかねない。で、象徴的にLTCMの事件というのが起こったと思います。そういう一連の連鎖の中で、やっぱりいろいろな国際的にこれを共同して防圧していかなければいけないということの協力の話合いが行われた。
 そういう一環のものでございまして、単に日本の経済金融政策のために何かアメリカと日本が話し合って協議して物事を決めたということとは、かなりそれは、何といいますか、バックグラウンドが違っているのではないかと。当時私おりませんでしたものですから正確ではないかもしれませんが、恐らく私は外から観測しておりましてもそういうことではなかったかというふうに思っております。

○大門実紀史君 ただ、……

○委員長(柳田稔君) 大門君、時間ですので。

○大門実紀史君 時間になりましたので、資料に基づいてまた質問したいと思います。
 ありがとうございました。
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