● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■158-閉-財政金融委員会-02号 平成16年01月15日
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 今日はお二人、御苦労さまでございます。私が最後でございますので、よろしくお願いします。
 まず、日向野参考人にお伺いしますけれども、私、昨年十二月に足銀の本店お訪ねしてヒアリングをさせてもらいました。先ほどから述べられている皆さんの無念な気持ちというのは十分承知しているつもりです。
 要するに、経営努力の途中だったと、もう少し時間が欲しかったという声を直接お聞きしたところです。また、栃木の中小企業あるいは旅館、ホテルの社長さんにもお会いしました。皆さん足銀を頼りにしてきたと、また足銀を支えようとみんなで努力してきたんだということを異口同音におっしゃっておりました。そういう地元挙げて頑張ってきた努力を途中でぶった切られたような印象を私持っているところでございます。
 しかも、会計基準という物差しなんですけれども、言ってしまえば、私ずっとこのことは議論してきましたけれども、ころころ変わるんですね。ころころ変わってきているんです。そんなものでぶった切られたというのが、私も非常に疑問に思っているところです。
 それと、この参考人質疑をずっと聞いていますと、足銀の方、旧経営陣の方は監査法人に突然の判断変更をさせられたと、監査法人側は足銀が金融庁の三月検査を受け入れたからだと、お互い何か責任をなすり付け合っているようなところがありますが、大本は金融庁だと私は思うんですね。ぶった切ったのも金融庁で、張本人は金融庁で、その執行役を監査法人がりそなに続いて今回もやらされたということではないかと思います。ですから、そういう監査法人と足銀が対立しているというのは金融庁が一番喜んでいるんじゃないかなと、自分たちのところに責任が来ないで喜んでいるんじゃないかなというふうにずっと聞いているところです。
 その点で、破綻後のいきさつについても、私、金融庁の関与について非常に疑問を幾つか持っていますので、少しその点でお伺いをしたいんですけれども、日向野さんは、先ほどの話でいけば、監査法人についてもう裁判を起こしたいくらいだと、訴訟を起こしたいくらいだということを発言されてきましたけれども、なぜ訴訟を実際に起こされないんですか。

○参考人(日向野善明君) この預金保険法百二条が決定になって、すぐ私は代表権を返上しました。そして、新しい経営陣が来るということになりまして、訴訟を行うとすれば新しい経営陣が行うのが筋だろうと、こういうような話もございまして、私は訴訟をする立場ではない、暫定で新しい経営陣が来るまでのつなぎだということで、それで新しい経営陣にそれでは訴訟の検討をお願いしたいと、こういうふうに思っております。

○大門実紀史君 実際に訴訟の準備はされてこられたんですか、日向野さんとして。

○参考人(日向野善明君) 私のときは物理的にも時間的にも切迫しておりました。それから、十二月一日以降、お客様に謝りに行ったりとか、時間的なものもございませんので、弁護士の見解等は若干聞きましたが、具体的な作業には入れませんでした。

○大門実紀史君 弁護士さんと実際に相談されたことがございますね、その中でも、長谷川弁護士さんと。その長谷川弁護士さんの見解は、訴訟の準備まで行かなくても御相談はされたと思うんですが、どういう見解で言われましたか、弁護士さんは。

○参考人(日向野善明君) やはり従前から言っておりますように、弁護士の方も、やっぱり説明義務がなかったと、こういうふうに、善管注意義務違反ではないかと、監査契約を取り交わしているにもかかわらず、前の日まで千二百八億で走るという、同じ方向性を持って一切の説明がなくてこれで来たということに対してやはり責任があるんではないかという見解をいただきました。

○大門実紀史君 確認しますが、それは民法の六百四十四条の受任者の注意義務に監査法人が違反する疑いがあるという見解を弁護士さんが示されたんじゃないですか。

○参考人(日向野善明君) そのとおりだと思います。

○大門実紀史君 先ほど新経営陣に任した方がいいという話もあったというふうに言われましたけれども、具体的には金融庁の監視チームに訴訟について御相談をされたんじゃないですか。

○参考人(日向野善明君) 私どもはもう暫定内閣、暫定組織になっておりましたので、新経営陣が来ることが分かっていましたので、監査チームの方にお話を差し上げました。そうすると、やはり今の暫定の経営陣ではやはり今後の長い裁判にもいろいろ影響が出てくるだろうから新経営陣に任せるべきだと、こういうような見解でした。

○大門実紀史君 それは十二月十二日に金融庁が示した判断ですか。

○参考人(日向野善明君) ちょっと日にちは覚えておりません。済みません。

○大門実紀史君 私が入手した資料によりますと、十二月十二日に皆さんが監視チームに訴訟について相談されたことについての見解として、一つは、足銀は特別管理銀行になっているから訴訟を継続できないと。二つ目に、訴えるかどうかは新経営陣の判断によると。この二つのことを監視チームが皆さんに示されて、ただ、これは監督官庁としての、何といいますか、権限から皆さんに言うわけではないけれどもというふうな言い方も含めてそういうことをお伝えになったと、そういうことじゃないですか、確認の意味で。

○参考人(日向野善明君) そのような経緯だったと覚えております。

○大門実紀史君 つまり、この金融庁の監視チームのその判断によって訴訟を取りやめたということになりませんか。

○参考人(日向野善明君) 監視チームの承認を得ないで暫定の組織として裁判をするわけにはいかない、それから財産保全命令も出ているような状況では裁判費用の問題もあると、こういう判断からやむを得ず引き下がったわけでございます。

○大門実紀史君 やむを得ずと言われますけれども、この金融庁の判断が、金融庁がそういうことを、要するに訴訟するな、しても続かないよ、あるいは新経営陣がやればいいんだということを金融庁が、これはまた委員会で金融庁に聞きますけれども、そういう判断を示して、皆さんが訴訟をやろうと弁護士さんとも相談した、しかし金融庁の監視チームにそう言われて断念したというふうな流れではないかというように思うんです。
 これは、要するに新経営陣が訴訟を起こすかどうかなんですけれども、起こすわけがないと私は思うんですよ。これは、金融庁、竹中大臣の息の掛かった人たちが新経営陣に入るわけだから、訴訟を起こすわけがないですね、一つはね。ないです。そう思いませんか。

○参考人(日向野善明君) 私には分からない判断でございます。

○大門実紀史君 もう一つ、皆さんが訴訟まで持ち込もうと思われたのは、私、そんなきれい事ばかりではなくて、二つあると思うんですよね。
 一つは、やっぱり監査法人のやり方に憤りを感じて、こんなこと許されるのかと。これは全国のほかの地方銀行にもかかわりますから、そのためにもと思われたのが一つあって、これはそのとおりだと思うんですが、もう一つは、皆さん自身が株主から今度は損害賠償を起こされる可能性もまたあったわけですよね、先ほどもちらっと一部そういうのを仄聞していますと言われていましたけれども。ところが、皆さんが株主から損害賠償責任を、訴訟を起こされるという可能性は実はないということもそのとき金融庁に教えてもらったんじゃないですか。

○参考人(日向野善明君) いや、そういうことはありません。我々はやっぱり経営責任があるものだと思っていますので、株主代表訴訟などあればいろんな形で訴訟の対象にはなり得ると。そしてさらに、新しい経営陣の下で調査委員会が開かれますので、そこにおいても、我々を含め過去の経営陣においてもいろいろ調査が行われるんではないかと。責任はどこまで行っても免れないものだと、そういうふうに思っております。

○大門実紀史君 皆さんの覚悟はそれで結構なんですけれども、具体的に言いますと、あしぎんフィナンシャルグループは会社更生法の適用会社になったわけですね。これは株主訴訟を起こそうとしてもその対象ではないわけですよね。かなり株主訴訟を起こすのは困難になると思いますが、その辺は、金融庁から言われたという意味ではなくても結構ですけれども、どういうふうに思われておりますか。

○参考人(日向野善明君) フィナンシャルグループが会社更生法を適用したのは、これは定款の目的とそぐわなくなってきて、フィナンシャルグループは五つの会社を子会社として持っていましたが、その中核を成す足利銀行が、預金保険機構、百二条によって預金保険機構の方に株が移動しました。これによってフィナンシャルグループの大多数を占める足利銀行が抜けたということで、残りの四つの会社では立ち行かなくなってきたということで会社更生法を申請したわけでございます。銀行持ち株会社として銀行若しくは銀行関連会社の経営管理という定款の目的が果たせなくなってきた、そして子会社の四つでは先行き行き着かなくなると、こういうことから別途判断して会社更生法になった次第でございます。

○大門実紀史君 その経過は分かるんですけれども、ですから株主訴訟を起こすのは実際には難しいんじゃないですか。そういうことはお聞きになっていませんか。

○参考人(日向野善明君) 何も聞いておりません。

○大門実紀史君 じゃ、話を戻しますけれども、弁護士さんと相談して訴訟は可能だという、民法の六百四十四条に監査法人は違反する可能性があると。しかし、金融庁の監視チームによれば、あなた方がやることではない、新経営陣が判断することだと。で、皆さんは断念したと。どうしてそこで、そうではなくて旧経営陣として訴訟をやるというふうに判断されなかったんですか。

○参考人(日向野善明君) 先ほど来話しましたとおり、我々としては、新経営陣に判断をゆだねて、それから調査委員会が開かれますので、調査委員会に判断をゆだねて、そして新経営陣が長引くであろう裁判を続けるか続けないか、そして裁判をした方がいいのかしない方がいいのか我々とは違う立場で判断をして、訴訟をするなら訴訟にする、しないならしないという結論を出してもらうと、こういうふうに判断したわけでございます。

○大門実紀史君 この問題はもう終わりますけれども、要するに、あとは金融庁とやりますが、皆さんは、この監査法人のやり方、もう憤りを感じて訴訟まで起こしたいという気持ちあったけれども、そうすると、もうこういう場で物を言うだけで終わるということなんですか。

○参考人(日向野善明君) まだ引き続きどういう形が取れるか考えたいとは思っておりますが、新しい経営陣が経営会議などで検討していることも聞いておりますので、もう少し様子を見たいと思っております。

○大門実紀史君 私は、とにかく金融庁が皆さんの訴訟問題までやめろというような、ほとんどもうやめなさいというような指示までしたということを非常にまた後で問題にしたいというふうに思います。
 奥山参考人にお伺いいたしますけれども、私、会計基準というのはそもそも企業を生かすためにあるのが会計基準じゃないかというふうに認識をしているんです、素人なりに。例えば、アメリカの不正経理問題ありましたけれども、どちらかというと好況とか、景気のいいときとかバブルのときにこそ厳しい会計基準を当てはめて、浮かれないように、放漫経営に陥らないようにしてこそその企業が生きていける、生き延びられるというふうに思うんですね。
 ところが、この今の日本の不況でデフレのときにわざわざ厳しい、資産査定の厳格化、厳しい会計基準を当てはめていくのは、これは全く逆の、逆さまの話で、もうそんな放漫経営する余裕もみんな何もないわけですよ。かつかつでやっている中で厳しい基準をわざわざ当てはめるというのは、これはもう正に企業を殺す物差しになっているんではないかというふうな認識をこの間ずっと持っているんですが、まずその辺の基本的な点、いかがお考えですか。

○参考人(奥山章雄君) 私は会計基準は企業を生かすも殺すもないと思っています。あくまでも企業の実態を正確に示すことができるようにするものが会計基準だと、このように理解しています。

○大門実紀史君 そういう実務的な解釈じゃなくて、これだけの問題を起こしているわけですね、もう少し本来の意味といいますか、会計基準そもそもとは何なのかと。そんな技術的に判断して示すことだけなんですか、皆さんの役割というのは。今までそうしてこられたんですか、公認会計士というのは。

○参考人(奥山章雄君) それでは、もうちょっと原則的なことを申し上げますと、資本主義社会における企業の存在というのは、やはりこれは株主から資本を集めて、それを基にして活動していくと、こういうことが原型であるわけです。そうすると、その活動して集めた株主、あるいは企業が活動していく中で取引先、債権者、こういう方々にその企業の実態をお示しして、その企業がきちんとした活動をしているかどうかということを示すと、これが、その基になるのが会計基準だというふうに思います。

○大門実紀史君 分かりました。
 りそな銀行、足利銀行、両方とも、私、奥山さんにもりそなのときお伺いしましたけれども、監査法人がこの間、前面に、矢面に立たされる事態になっているわけですね。
 これは、私、ちょっとこの流れをずっと拾ってみると、どうも公認会計士協会あるいは監査法人と竹中プラン、竹中プランというのは元々主要行を対象にしているわけですが、竹中プランの中の資産の厳格化、この流れと、皆さん、監査法人の皆さんのこの役割が、それに沿ってずっと役割を果たされてきているような流れがずっと見えてきてならないんですけれども、その点で、私、奥山会長にお聞きしたいんですが、奥山会長、竹中さんのタスクフォースに入っていらっしゃいますね。
 私、どうなんでしょう、ちょっと疑問に思うんですけれども、その竹中プランを進めよう、資産の厳格化を進めようと、かなりそれには世論的には批判もありました。大手行は反発しました。私は竹中プランというのはずっと未来永劫続かないと思っています。
 そういうものの、今のたまたまの流れに、そういうタスクフォースに公認会計士協会の会長として加わられて、この間、度々こうやって参考人に呼び出されると、これはいかがなものかと思うんですが、どういう認識ですか。

○参考人(奥山章雄君) 竹中大臣がどう思っているか知りませんが、私が自らタスクフォースに頼まれて入った動機は、やはり今銀行問題で会計基準が非常に大きなウエートを占めているという中で、会計士サイドから会計基準というのはこう考えるべきだということをやはり言わないと、やはり一方的になっては困るということで、私自身はかなり客観的に会計基準を守る立場で入っていると、そういう意識でございます。

○大門実紀史君 実際のいろんな流れを見ますと、時間ないんで簡潔に言いますけれども、要するに、二〇〇二年の十二月ごろですか、読売新聞で報道されて、私も質問でちょっと取り上げた記憶があるんですけれども、最初に金融庁がこの資産査定の厳格化については公認会計士協会に打診をしたといいますか、そういうやり方について相談をしたということから始まって、この前の参考人、りそなのときにお伺いしましたけれども、例の会長通牒、あれも一応プレスリリースに書いてありますけれども、金融庁の要請を受けてそういうものを出されたと。もちろんその前の委員会報告というのがあるのは存じていますけれども、流れがずっと沿ってきて、しかもこの地銀問題は、今年の八月の二十六日ですか、奥山会長が地銀と第二地銀の監査の担当者を、監査法人をお集めになって、これからは地銀も厳しくなるというのを八月の時点でもうそういう説明会されておりますよね。その後、足銀がこうなったと。
 何か金融庁の流れに沿ってといいますか、そういう情報が既にあったのかどうか知りませんが、ちょうどその八月二十六日の、地銀、第二地銀の担当者を集めて、これから地銀は厳しくなるからと奥山さん言われたことについては、そのときの竹中大臣の記者会見見ますと、既に知っていましたというふうに既にやり取りがあって、今度こういう説明会やりますというのも竹中大臣にも伝わっていたと。
 何か、二人三脚とは言いませんけれども、何か若干の情報のずれもあるようですからね、ただ流れとして、公認会計士協会はこの竹中プラン、いわゆる金融再生プログラムの資産査定厳格化の流れを、その先導役をやってきているような気がするんですけれども、どういうふうにとらえておられますか。

○参考人(奥山章雄君) 申し上げておきますけれども、私は竹中大臣の味方でも敵でもないというつもりでおります。
 今お話しの件ですけれども、これはよくそこの八月の時点のお話の中を聞いていただければ分かると思うんですが、私、二つ言っております。一つは、都銀と、言うなれば主要行と地銀とは服が違う、同じ服で査定をしてはならない、やはり地銀は地銀としての服があるんだから、その服に合っているかどうかを見ればいいのであって、都銀のような服を着せろということは必要ない、そのようなことを一つ言っております。ただ、服が違うからといってその服に合わなくていいというふうな査定はおかしい、やっぱり地銀は地銀の服があったとしたら、それにぴったり合うような、そういうことはすべきであろうと。
 それからもう一つは、繰延税金資産はどこであろうとこれは基準として計上した限りは同じだという意味では、主要行であろうと地銀であろうと、その厳格性においては変わりはないと、この二つをお話ししております。

○大門実紀史君 服のサイズ違う話も伺いました。今度の特に足銀の場合は、奥山さんも言われたとおり、あんな厳しい金融庁、検査結果出すと思わなかったという面もあったわけですよね。そこは服のサイズが違うと思ったのに、地銀もそういう服を着なきゃいけないのかと。それで今度は実態調査をやられて、その違いをなくす努力をされておるわけですね。そうすると、だんだんだんだん金融庁の厳しい方に、監査法人の検査がそれに沿っていくように私なって、これからますます大変になるんじゃないかなという気がしておるんですけれども、要するに公認会計士協会の立場としては、これもさっきの訴訟の問題とかかわるわけですが、一定の金融庁の方針に沿った、流れに沿った監査をやっておかないと、今度は監査法人が、今度は損害賠償訴訟を受ける可能性もあると。そのリスクを排除するためには、できるだけ金融庁の流れに沿って、必ずしも金融庁全部情報くれないから、先にちょっと厳しくやり過ぎて、こちら、監査法人が合わせると、そういうことを今やられているんでしょうけれども、そういう流れの中にあるような気がしてならないんですね。これは、私はそれが公認会計士の在り方かなと。そういう何か時の流れに、いつ倒れるか分からない、いつ辞めるか分からない大臣の、そういう流れに沿ってやることがいいことなのかと。もっと本当に企業を生かす方向で考えられるべきじゃないかなということを申し上げて、また来ていただくことあると思いますので、今日は終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。
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