● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●



■2004年11月2日 財政金融委員会(日銀半期報告に対する質疑)
○大門実紀史君 大門でございます。
 今日は量的緩和政策が何をもたらしたかという点について、舛添委員とは全く違う立場で御質問を、いなくなっちゃいましたけれども、したいというふうに思います。
 資料をお配りいたしました。一番、一の表でございますけれども、国庫納付金が、見てもらったとおりずっと、この十三年度に比べて、十四年、十五年と極端 にマイナスになっております。十三年度から十四年度で八千八百五十億、十四年度から十五年度に比べると四千五百八十億、二年間で合わせて一兆三千四百三十 億ぐらいですかね、マイナスになっております。この原因を簡潔に説明をしてください。

○参考人(小林英三君) お答えいたします。
 ただいま御指摘いただきましたとおり、国庫納付金というのはここ二年ほどの間に相当なピッチで減少しております。その大半の理由は剰余金が減少している ということでございますが、剰余金につきましては、これを十三年度の対比で見てみますと、一つには私どもの資産の運用利回りが低下いたしまして、経常収入 が減少傾向にあると、こういった点がございます。
 それから、二つ目には為替相場が円安になりまして、外国為替関係での収益が十三年度にはかなり上がったわけでございますが、ここ二年間は円高によりまし てこれが逆に損失を計上していると、こういうことになっております。加えまして、十五年度におきましては長期金利が反転したということで、国債関係での損 失が拡大していると、こんなようなことが背景にございます。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 表に示したものがその原因ということで、資料を用意しました。要するに、この当期、表一の当期剰余金が減っている、そのものの原因が今言われた私の表で いくと三番目の外国為替の損失、為替損ですね。二番目の長期国債の評価損、償却損ということですね。これが主な原因、もちろん利回りのこと、ありますけれ ども、加えて言うならば、法定準備金の積立率が十四年度から五%から一五%に引き上げられております。
 国庫納付金の仕組みというのは、この当期剰余金から法定準備金を積み立てて、残ったものが国庫納付金になるということでございますから、この積立率が上 がるとその分差し引いて剰余金が下がるというふうになります。大きく言えば、この当期剰余金ががばっと減ったということと、法定準備金の積立率が引き上げ られた、この二つになるんではないかと思います。
 一つずつ、その原因についてお伺いしたいと思います。
 まず、法定準備金の積立率が五%から一五%に引き上げられました。時間がないので、私の方でどうしてこうなったか説明をして、お聞きをしたいと思います。
 法定準備金をなぜ引き上げなきゃいけなかったのかというのは、そのときの説明にもあったと思いますが、日銀の自己資本比率を維持するためということだと いうことですね。日銀の自己資本比率というのは分母が、先ほどございました銀行券の発行残高が分母にあって、分子の方に資本と法定準備金と引当金と、こう なるわけですね。先ほどありました銀行発行残高、分母の方の銀行券発行残高というのは、たんす預金等もありまして、ゼロ金利ですから、市中に出回っている お金がずっと増えてきたと。つまり、分母が増えますと日銀の自己資本比率が低下していく、これを防ぐために分子である法定準備金を積立てを増やさなきゃい けないと。
 こういうことから、法定準備金の積立てが五%から一五%に引き上げられて、それが差し引かれて当期剰余金が少なくなって、国庫納付金もその分、まあこの 分だけでいくと六百億、十四年度で一〇%分ですから、六百億ぐらいですかね、十五年度は大した金額にはならないと思いますけれども、そういうふうになると 思うんですね。
 これ背景を考えてみますと、要するに、その量的緩和政策、ゼロ金利政策、これが、そのたんす預金といいますかね、市中に出回っている銀行券の残高を増やして、それがつながっていって国庫納付金を減らしたということは言えると思いますが、いかがですか。

○参考人(白川方明君) お答えいたします。
 日本銀行の自己資本比率でございますけれども、今委員御指摘のとおり、最近数字、若干落ちております。
 この背景は、先ほど来御説明しましたとおり、日本銀行が今、量的緩和で潤沢に資金を供給していく、その中で当座預金も増えていく、それから銀行券はもっと増えていくということで、分母が拡大しているということも一因となっております。
 日本銀行としましては、長い目で見た中央銀行としての政策の能力を十分に維持するということから、自己資本比率に一定のめどを設けております。日本銀行は、現在、一〇%プラスマイナス二%というのを一つのめどとしまして自己資本比率の運営を行っております。
 この数年間の剰余金の動きでございますけれども、自己資本比率の水準等を勘案し、自己資本の充実を図ることが必要という判断の下で、過去の自己資本増加額の実績等を勘案しつつ、この一五%という積立てを行った次第でございます。

○大門実紀史君  ですから、舛添議員と個人的に言いませんが、この間ずっと与党の方から、量的緩和やれと、もっとやれと、インフレターゲットもやれと、国債も買え、場合に よっては銀行保有株も買え、場合によっては不動産だって買えと。この何といいますかね、日銀に対する物すごい量的緩和を求める、インフレターゲットを求め るその流れの中で、私は、この国庫納付金、法定準備金を引き上げざるを得ないというところに来ているということを一つまず指摘しておきたいというふうに思 います。そのインフレターゲット論については私は強烈に批判をして、総裁とも議論をしたことがございます。
 そういうことの結果、こんなことを生んでいるんだなという点で、もう少し振り返って申し上げますと、日銀は、私はもう日銀の独立性を保ってほしいと。余 り、与党の議員あるいは一部のエコノミスト、学者が、最近少し静かになりましたけれども、相当ヒステリックに、日銀が悪いんだと、もう日銀のせいだという ような金融政策をかなり求めた時期があります。そういうことで、いろんなことが進んできました。インフレ目標のこともありましたし、日銀当座預金の残高 も、二〇〇一年三月は、先ほどもどなたかからございましたが、四兆円だったのが、今三十二兆円ですよね、十月二十日現在。物すごい量的緩和されておりま す。
 この二つ目の、この今回の剰余金を減らした大きな原因である長期国債ですね、これも日銀の国債買入れ、これも先ほどから御指摘ありました、大久保委員か らも鋭い指摘がありました。要するに、どんどんどんどん買え買えということで、今十月二十日現在で九十四兆円になっていると。九七年度末は五十五兆円でし たから、もう倍近くに膨れ上がっているわけですね。
 これは、総裁、何度も言われるように、財政をファイナンスするために買っているんじゃないと言われても、客観的に言って、国の方は、財務省の数字によりますと、十年後にはもう八百兆を超える国債出さなきゃいけないというふうなことまで出ている。
 つまり、どんどんどんどんこれから国債がまだ出ていく中で、日銀がもしもこれ以上買いませんなんということをアナウンス効果やったら、それこそ違う事態 を生むと。そこぐらい、それぐらいもう抜き差しならぬところまで日銀が国債を購入されているという点で、これはもう大久保委員から指摘があったんで触れま せんが、要するに、こういうふうにずうっと、私は踏み越えてはならないと思っていましたけれども、どんどんどんどんそういう、日銀に何でも買えというふう なものに譲歩されてきたように私はずうっと振り返って思うんですけどね。その結果がこの表にあります長期国債の損失を生んで、国庫納付金をこんなに減らす 大きな要因になっていると思うんですが、その辺の認識はいかがですか。

○参考人(福井俊彦君)  何かのプレッシャーに譲歩して金融政策を行ってきたという軌跡は一切ございません。あくまで主体的に判断し、デフレ脱却と申しますか、経済をより健全な姿 に持っていくために民間部門も大変なコストを払っております。政策的なコストというのはやはり払わないと、無コストの政策というのはないわけであります。
 これは、経済を立ち直らせることによってコストはきちんと回収していかなきゃいけないと。経済を元も子もない姿にするというのは政策ではありませんの で、異常事態から脱出するために異常な手段を取り、一時的に異常なコストを払うと、これは避け難い経路だというふうに私は思っておりまして、しかしコスト を無限に払っていいというわけではない。将来につながる政策でなければいけないし、将来歯止めが利く政策でなければいけないと。明確に歯止めを利かせなが ら、将来の政策運営をやりたいということでございます。

○大門実紀史君  客観的には、主体的にどうかは別として、客観的にかなり踏み込んでこられたというのは間違いないと思います。それがこの銀行保有株ですね、四番目のこれに 現れていると思います。これはもう当時、世界の奇策と、前代未聞と、日銀は正気かと言われたような政策でございました。
 これは買取り実績としては、この表ですと三月末ですか、今は二兆円超えているわけですね。二兆円超えているということですけれども、この部分は確かに含み益が出ていることになっていますね、六千四百六十四億。これは収入にできませんよね。
 ちょっと一言、簡単に答えてください。

○参考人(小林英三君) これは評価益ということでございますんで、フローの収入には関係ございません。

○大門実紀史君 ですから、ここに含み益が出ているといっても、それが何か剰余金を増やすわけではないということになります。
 これ、大体、私このときも相当質問させていただきましたけれども、これ二〇〇七年の九月までこの株式を持ち続けて、それから十年掛けて処分ですね、二〇 一七年の九月末までですね、十年掛けて処分されると。少なくとも、これから三年間はこの利益が出ても、含み益が出ていても何らかの収入に計上するといいま すか、そういうことはできないということでございます。
 私は、もうそもそもこの表を見て、これそのものがおかしいなと思うんですけれども、何か一般マスコミは含み益ができている、出ているから結果オーライみ たいなことを言っていますが、私は、これ変な話だと思うんですよね。これ、もし含み損が出ていれば、これが国庫納付金の減少につながって、国民にしわ寄せ が来ると。含み益ができている、出ているのもこれまたおかしな話で、これは本来、銀行が持っていた株式ですよね。それで、日銀に含み益が出て、日銀がもう けてどうするのかと。
 ですから、このスキームそのものが、私この当時申し上げましたけれども、踏み込んではならないといいますか、おかしいんですよ。含み損が出てもおかしい し、含み益が出てもおかしいし。だから、こういうものに踏み込まれるべきじゃないというふうに私は指摘をしていたわけです。そういう矛盾を持ったスキーム だということが、こういう数字が出てくるとますますはっきりしたんじゃないかと思いますが、その辺の認識はいかがですか。

○参考人(稲葉延雄君) お答え申し上げます。
 今回の株買取りのスキームは、金融機関の株式保有リスク削減のために臨時的に一時的にやったんですけれども、そして買い入れた株式については、これは日本銀行の財務の健全性を確保するということから、できるだけ保守的に経理すべきだというふうに考えられます。
 したがって、評価損が出た場合、その場合は引き当てを多く積むと、コストに立てる、一方、評価益が出た場合には収益には立てない、こういう計上の仕方が適当ではないかと考えた次第でございます。

○大門実紀史君  いや、だからそれは分かっているんですよ。だから、そういうことそのものがおかしな話じゃないかと。よく考えてみると、日銀がもうけても損しても、どちら にしたっておかしな話じゃないかという指摘をしているわけです。しかも、こんなことをこれから十年間にわたって日銀は公表していくと。もうかっていますよ とか、損していますよと。全くこっけいなことを踏み込まれたんだなということを改めて指摘をしておきたいと思います。
 要するに、私今日申し上げたいのは、ずっといろんな流れがありました。いろんなことがありました。インフレターゲット論で大騒ぎしたときもありました。 日銀としては歯止めを掛けながらやっていますというふうにいつも答弁をされていましたけれども、結果的にはこういう相当踏み込んでこられたと。そういうと ころが国庫納付金をもう一兆円もマイナスと。この一兆円あれば何ができたかと。今国の財政が苦しいときに国民の皆さんがいろんなしわ寄せが行っているわけ でしょう、国の財政がないということで。そういうことを考えると、この一兆円が国に入っていればどんなことができただろうと。今回もすごいですね、社会保 障の改悪から何からですね。そういう収入が減ったことによって、そういうことが国民の皆さんにしわ寄せが行っているということですね。しかも、先ほど西田 委員からもありましたとおり、ゼロ金利ということが国民の利子所得を毎年数兆円規模で奪っていると。
 ですから、よく見て政策を取られないと、私はやっぱりずっと御指摘してきたように、日銀がずっとずるずると、結果的に客観的に見てずるずるとこの異常な 量的緩和の踏み込んではならない部分まで踏み込んだことが、こういう一兆円を超えるマイナスを、国庫収入のマイナスを生んで、国民の皆さんに大きな負担を 掛けるようになっているということを指摘したいというふうに思います。総裁、いかがお考えですか。

○参考人(福井俊彦君)  今、日本銀行がいかにコストを負担し、リスクを取って金融システムを救済し、経済の健全な軌道への回復の努力をしてきたかという軌跡をたどっていただいた というふうに思います。その現れてきたメリットと負担したコストとの比較ということをみんなでよく吟味しなければいけない問題だと。私どもは常によりメ リットのある方向でと、コストは掛かっていると、でもそれを上回るメリットを実現するために努力してきているというふうに確信を持っております。

○大門実紀史君 ですから、そのメリットが、先ほども西田先生からありました、メリットがだれを受けて、デメリットをだれが受けているかという点と、本当にそのコストに見合う政策が効果を発揮したのかという点はよく吟味をされたいというふうに思います。
 私が申し上げたいのは、かねてから申し上げているとおり、日銀は一定、政府からの、あるいは与党からの独立性を確保していただきたいと。そうしないと、こんな変なことがこれからも続くということを指摘して、質問を終わります。

戻る▲