● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2005年3月17日 予算委員会
○理事(阿部正俊君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。

○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
 先日、竹中大臣と景気の話で、企業利益が賃金、家計に波及しない最大の理由の一つが、先ほどもございましたけども、非正規雇用の拡大の問題だという議論 をいたしました。今も山本議員がしっかりした主張をされましたので繰り返しませんけども、ただ、一言申し上げておきますと、先ほど竹中大臣言われた、正社 員がこの間増えていると言われますけども、その三倍の数で、三倍の数で非正社員が増えておりますので、非正規雇用の流れは全然止まっていないし、むしろ加 速しているということを御認識いただきたいと思います。
 今日はその議論ではなくて、その非正規雇用の中身そのものの実態を是非御理解いただきたいと、その議論をしたいと思いますが、この非正規雇用は、派遣労 働とか、この前も取り上げました請負労働という形で若い人たちがたくさん働かされているわけですけれども、先日もエコノミストがこの「娘、息子の悲惨な職 場」ということで特集を組んでおります。非常に社会問題化しているという点も御認識いただいた上で、幾つか問題点を指摘したいと思いますけれども、私はま ず、この人材派遣業界がもうこの若い人たちあるいは女性を物扱いにしている、そういう風潮が非常に強まっているということに非常に憤りを感じております。
   〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
 例えば、今急成長していますけれども、テレビのコマーシャルでやっていますね。オー人事オー人事とやっているあのスタッフサービスですけれども、あそこ は派遣スタッフの無料お試しキャンペーン、化粧品みたいな無料お試しキャンペーンとか、納期の短縮化とか、人間を納期の商品のような、こんなことを社長が 言っているとか、あるいは後で取り上げますが、請負業者最大手のクリスタルグループ、このクリスタルグループというのは、なかなか秘密の会社といいます か、全貌が明らかにならないんですけれども、そこのパンフレットを手に入れました。これは特定の企業にしか、特定の企業の人事担当にしか回さないというの を手に入れましたけれども、この中では女性化推進しましょうと、女性化推進というのがあるんですね。何のことかといいますと、女性は低賃金だからもっと女 性を増やしましょうと、こんなことを会社に売り込んでいる会社ですね。
 こういうことが今人材派遣業界の風潮になっていると。若者と、あるいは女性を何だと思っているのかというふうに思います。
 これは尾辻労働大臣にお聞きしたいんですけれども、こういう人材派遣業者の風潮そのものを大臣としていかが思われますか。
 大臣。

○委員長(中曽根弘文君) 後から。

○政府参考人(青木功君) 労働者派遣あるいはその他のパート化、その他雇用の多様化が進んでおります。
 厚生労働省といたしましては、労働者派遣事業を営む皆様に、法律を遵守した、そして労働者を尊重した営業をしていただくというふうに要請をしておるところでございます。

○大門実紀史君 そんなこと聞いてない。

○国務大臣(尾辻秀久君) もう一言でお答えいたしますが、好ましいことではないと考えます。

○大門実紀史君 まあ本当に機会があれば注意をしてもらいたいと思います。
 こういう中で社会問題化しているのが、業務請負の問題でございます。人材派遣と業務請負の違いを簡潔に説明してくれますか。

○政府参考人(青木功君) 労働者派遣は、自己の雇用する労働者を他人の指揮命令を受けて当該他人のために労働に従事させることと言っております。また、請負は労働者派遣のように労 働者を他人に供給するものではなく、単に労働の結果としての仕事の完成を目的とするものであるというふうに理解しております。

○大門実紀史君 要するにですね、製造メーカーで業務請負というのが今百万人を超えて請負労働者が使用されているわけですけれども、メーカーのメリットは何かといいます と、簡単に言いますと、人材派遣の場合は派遣会社が社会保険に加入させなければいけない、メーカーも入っているかどうか確認しなきゃいけない。ただ、この 業務請負では、社会保険に入っていようが入っていまいがどんどん使えるわけですね。あるいは、人材派遣の方では、製造業には一年未満という、一年以内とい う派遣の期限がありますけれども、業務請負だと幾らでも期限がなく使えると。派遣よりも人件費が安いと、仕事がなければいつでも首が切れるというふうなこ とで、ほとんど働いている方の七割は二十代、三十代の方なんですけれども、そういうことで、いいように使われているのがこの業務請負の実態でございます。
 竹中大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、この業界の最大手、この業界そのものが一兆円規模と言われています。今一兆円規模のもう大変な業界になっているわけですね、請負業というのは。その最大手がクリスタルグループです、先ほど申し上げました。
 この会社は京都に本拠地を持っていますが、やみ夜のカラスと言われています。つまり姿が見えないんです。なぜ姿が見えないかというと、全国に物すごい数 の子会社をつくって、それに業務請負をやらせているということで、大変いろんな問題を起こしておりますけれども、私、例えばここの名古屋にある会社の登記 簿を手に入れました。
 これがそうなんです、実物なんですけれども、もう二か月に一遍登記を、社名を変えている、この子会社は。つまり、いろんなトラブルを起こして、あるいは 監督署の検査来るんじゃないかと、こんなことで、どんどんどんどん登記を、社名を変えているんですね。ただ、相手先のメーカーの方はそれを承知で、会社の 名前変えても引き続きそこからの請負労働を受け入れていると、これがやられております。それがクリスタルグループのいろんなところでやられている実態で す。
 さらに、資料をお配りいたしましたけれども、これは許せないなというのが、先ほど、パンフレットを手に入れた、中にあるクリスタルの出向転籍システムです。
 これだけ見ると何のことかと、分かりませんと思いますが、いろんなところで実際に行われたシステムですので、簡単に言いますと、ある企業がリストラをし ようとすると、その対象者をまずクリスタルグループに、工場で働いている人を出向、転籍させるわけです。ですね。このクリスタルグループはその取引先のA 社、B社、C社に更に出向させるわけです。更にやられるわけですね。その過程で、今までと違う仕事、あるいは全然条件の違う仕事をやらされて、たくさんの 方がもう脱落していく。辞めていきます。で、残った人をクリスタルグループが引き取って、これを請負労働者としてまたその会社に送り込むとか、ほかのとこ ろに労働者として送り込むと、こんなことが平気で行われております。これはもう、会社がリストラやりたいと言ったら引き受けますと、社員の整理と最後に 残った人間まで引き受けますというふうな、もう全くリストラと結託してうまみを吸おうという、そういうシステムでございます。
 ひどい場合は、あるメーカーをリストラされて、こうやってぐるぐる回されて、結局、派遣、請負労働でまた同じ工場に仕事させられると。同じ仕事をすごい 低い賃金で、労働条件も非常に悪くやらされると。元自分が働いていたところに、今度は請負労働者として送り込まれると。こんなことが一杯事例として今起き ています。これは実際に大手電機メーカーのリストラ、大手スーパー、名前を言えばすぐ分かるような大手スーパーや、大変有名になりました百貨店の破綻のと きにこういう仕組みが使われました。
 竹中大臣にお聞きしたいのは、竹中大臣も、企業は構造調整必要だということを奨励もされてまいりましたけれども、幾ら何でも、竹中大臣でも、ここまで来るとちょっとひどいんではないかというふうに思われると思いますけれども、いかがですか。

○国務大臣(竹中平蔵君) この会社の名前、今初めてお伺いしまして、それでシステム等々もこの会社について私はちょっと、全く承知しませんので、ちょっとコメントはできる立場にはございません。
 ただ、いずれにしましても、企業は経営をしっかりとやらなきゃいけない。その場合に、当然、労働に関しては、これはしっかりとしたルールがあるはずでご ざいますから、これが労働監督に基づくルールなのか、それを逸脱している場合は、例えばそれは労働者の権利として訴訟等々が起こってしかるべきだと思いま すし、そういう中に私たちの社会はあるわけですから、そこにやはり担当部局、それぞれあると思いますが、しっかりとやはり見ていただくということだと思い ます。

○大門実紀史君 ですから、訴訟が起きているんですね。だから、社名をどんどん変えて逃げているという実態があるわけです。
 更にひどいのは、このクリスタルグループの会社では、請負労働者に給料を前貸しをして、そして高金利を取っていると、この実態が、資料が手に入りました。
 これは徳島のあるクリスタルグループの子会社で、ちょっと資料を配るわけにいかないんで、ここに実物ありますけれども、給与明細です。仮払金ということで前借り金の清算がされていますが、金利が月四%引かれてやられています。
 もう一つは、これはクリスタルグループとの関連がまだはっきりしませんけれども、ここでは給料の前借りをさした者に対して週五%、毎週五%の利息を労働者から天引きしているとなっています。
 ちなみに、この徳島のところは、このクリスタルの子会社のダイテックというところですけれども、顧問弁護士が違法だということを認めて返却しますということになっているから、子会社も認めている事例でございます。
 これが、今手元に入っている資料はまだあります。いろんなところのクリスタルの子会社で行われている可能性があるというふうに思います。
 厚生労働省にお聞きしますけれども、そもそも労働基準法では給料から、給与から天引きできるケースというのは限られていると思いますが、いかがですか。

○政府参考人(青木豊君) 労働基準法第二十四条第一項では、賃金の支払につきまして、原則として賃金はその全額を支払わなければならないと定めておりまして、その同項ただし書によ りまして所得税法等、所得税等の源泉徴収あるいは社会保険料の控除など、法令に別段の定めがある場合、それからもう一つ、当該事業場の過半数で組織する労 働組合等との書面による協定がある場合には賃金の一部を控除して支払うことができるとされております。

○大門実紀史君 このダイテックには労使協定もありませんから、違法な天引きでございます。
 もう一つ、十七条には借金を給料で相殺してはならないというのがあると思いますが、いかがですか。

○政府参考人(青木豊君) 労働基準法第十七条では、使用者は前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権と賃金を相殺してはならないと定めております。

○大門実紀史君 なぜこのクリスタルグループがこんな前貸し制度で、またこれでももうけようとしているのかというと、請負労働者というのは、あちこちの地方の工場に急に派 遣されて、仕事がなくなったら派遣される。若い人ですし、賃金も安いし、仕事は切れるというところで、お金が足りない状況が続いているわけですね。それに 付け込んで、貸してやりますよと、で、金利を取ると。こういう、もうこれ今の豊かと言われている日本でこんなことが行われていいのかという事例だというふ うに思います。
 尾辻大臣、お聞きいたしますけれども、これはもう明らかに労働基準法、今回答ありましたとおり違反でございます。これは、クリスタルの子会社、調査に入るべきではないかと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(尾辻秀久君) お話しのように、労働基準法に反して、反す行為というのは、これは私どもとしては許すわけにいかない行為でございますから、そこのところはしっかり調べさせていただきます。

○大門実紀史君 後で必要な資料、必要でしたら資料をお渡しいたしますんで、調査に入ってもらいたいと思います。
 更に問題なのは、請負労働という形を取って実際には派遣をしているという形が横行しています。この偽装請負、つまり派遣法違反について、どういうことなのか、ちょっと解説をしてもらえますか。

○政府参考人(青木功君) いわゆる偽装請負、違法派遣でございますが、いわゆる偽装請負とは、形式上は請負契約であるものの、実態としては注文主と労働者との間に指揮命令関係が生 じている形態で就労させているものと理解されておりまして、この場合には労働者派遣に該当することになり、本来、労働者派遣法の適用を受けることになるわ けでありますが、いわゆる偽装請負のケースについては、労働者派遣事業の許可を受けていなかったり就業条件の明示が行われていないなど、労働者派遣法に基 づいた適正な労働者派遣となっていないことから、同法に違反するものとしていわゆる違法派遣というふうに私ども申しております。

○大門実紀史君  つまり、なぜそんなことが横行しているかといいますと、請負、業務請負ですと、その会社から監督者も一緒にメーカーならメーカーに送らなきゃいけない。と ころが、それをもう面倒くさいといいますか、その人件費ももったいないから人だけ送るわけですね。人だけ送っちゃうわけですね。これは派遣法に、本当なら 人材派遣なのにそういう形でやっているから違法になるということです。
 偽装請負の実態について、つかんでいるデータがあれば教えてください。

○政府参考人(青木功君) 偽装請負の実態についてでございますが、平成十五年度の労働者派遣事業にかかわる指導監督におきましては、請負で行っていると称する事業主及び受入先に対して、全国で七百八十六件の指導監督を行い、そのうち二百四十八件については具体的に文書による指導を行いました。
 また、東京労働局でございますが、独自に、平成十六年十月と十一月の二か月間に派遣業務請負適正化のキャンペーンを実施をいたしましたが、この中では、 関係機関からの情報提供により偽装請負の疑いのあった七十一事業所に対して調査を行ったところ、そのうち五十七事業所が是正の対象となりました。また、是 正の対象となった五十七事業所に対し、指導の対象となったいわゆる業務請負契約以外についても自主点検を求めたところでございますが、約三万八千件の業務 請負契約について改善の必要がある旨の報告を関係者から受け、必要な指導を行ったところでございます。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 この氷山の一角にすぎないわずかな調査でそれだけの数が出てきたわけですからね。
 資料の二枚目に電機連合の資料が付けてありますが、「請負スタッフの指揮命令」というやつです。これはつまり、メーカーの社員が指揮命令をしているとい う部分が、これが違法になるわけですね。本当は請負会社からだれか行って指導、指揮しなきゃいけないのが、メーカーの社員が指揮していると。つまり、六割 以上が違法派遣が横行しているという実態を示す数字でございます。
 これが、労災事故が起きた場合、このメーカーの現場で労災事故が起きた場合、まず正社員と請負労働者、正社員、派遣労働者、どういう補償の違いがあるか、分かる範囲で教えてください。

○政府参考人(青木豊君) 労災保険はすべての労働者を雇用している事業場に適用がなされますので、したがって、正社員と派遣の場合で適用関係について変わるところはないと思います が、例えば事業場が違うことによって賃金、賃金に言わば反映して労災給付補償がなされるという面がございますので、そういったところの違いというのは出て こようかと思います。

○大門実紀史君 とにかく、同じ現場で同じ仕事をしていても命の値段に、死亡の場合でしたら差が付くと。正社員だったら会社からの弔慰金も出ますしね。
 こういう、今製造現場での労災事故の半分は請負労働者、派遣労働者でございます。その場合だとメーカーの方は労災保険というのはメリット制というのが あって、労災事故が少ないほど保険料安くなりますから、メーカーの方が保険料安く済むという点でもこういう労働者が使われているわけですけれども、日立製 作所の中で労災事故が九月に起きました。概要を説明してくれますか。

○政府参考人(青木豊君) 日立製作所日立事業所構内におきまして、平成十六年九月二十八日、やけどによりまして労働者二名が死傷いたしたものでございます。

○大門実紀史君 手元に、その日立製作所自身が出した請負構内重大事故報告書というのがございます。
 二人は、先ほどここで言いましたクリスタルグループの別の子会社から一人ずつ派遣されてその作業をしておりました。一人亡くなられて一人重傷です。三十八歳の方が亡くなられて、お子さんもいらっしゃるんですけれども、若い方も重傷でございます。
 これは、私は、この日立の報告書、手に入れてみたら、要するに、本来ですとメーカーの人間が指揮命令しなきゃいけないのにいない。あっ、ごめんなさい、 指揮、だれか指揮する、命令する人がいなきゃいけないのに請負会社からだれもいない。つまり、日立自身が指揮命令をしていたというのがこの報告書からも明 らかでございます。
 つまり、偽装請負の疑いが非常に濃い、非常に濃いわけですね。これ、日立が責任あるわけですけれども、日立は責任取らない。請負会社の責任だとすると、この日立が本来取るべき責任が不問に付されます。これは明らかに偽装請負だと思いますが、調査をされておりますか。

○政府参考人(青木功君) この労働災害につきまして、所轄の労働基準監督署において調査を行っていると承知をしておりますので、そちらの関係についても併せて調査されることになろうかと存じます。

○大門実紀史君 尾辻厚生労働大臣にお聞きします。
 この日立の偽装請負絡みの一人死亡された問題は、もう調査に入って半年掛かっております。幾ら何でも時間が掛かり過ぎだと思います。私は、幾らこの日立 製作所という世界の日立相手でもきちっとした調査をお願いしたいと、是非、大臣の指揮できちっと調査するように言ってもらいたいというふうに思います。お 願いいたします。

○国務大臣(尾辻秀久君) 私も、所轄の日立労働基準監督署において調査をしておるという報告は聞いておりますから、どういう調査をしておるか、これはきっちり報告を聞きます。

○大門実紀史君 まだここにクリスタルの内部資料が一杯ございます。全部厚生労働省に差し上げても結構でございますので、この際、このやみのカラスと言われていますクリスタルグループ、厚生労働省が全面的に調査に入られることを要望して、関連質問に譲ります。
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