● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2005年8月5日 郵政民営化特別委員会
             簡易保険、廃止されたら赤字地域で撤退必至
○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。
 私も、今日が四回目の質問になります。ただ、五回目もやらなきゃいけないんで、あともう一回竹中さんとありますが、いずれにせよ、この法案で竹中大臣と議論できるのはあと二回だけと。私は、もっといろいろお聞きしたいこと残っております。限られた時間であります。簡潔にいろいろお答えいただければというふうに思います。
 今、峰崎さんから簡保の問題ありました。私も、簡保の問題というのは案外議論されてきませんでした。しかし、大変大事な問題だというふうに思っております。余り専門的にならずに、基本的なこと、国民の皆さんが疑問に思っていることを中心にお聞きしたいというふうに思います。
 簡保は、資料を御用意いたしましたけれども、一枚目の資料にありますけれども、職業制限なしでだれでも入れるということで、以前も申し上げましたけれども、何といいますか、国民の命の公的な基本保障といいますか、セーフティーネットの役割を果たしてきているというふうに思います。
 資料に取り上げましたのは、金額ですね、保険金額の加入状況の比較です。歴然としているのは、民間の生保と違って本当に基本的な保障ということで、加入金額も平均としても低いですし、入っていらっしゃる層が、やっぱり多いのは一千万未満の、これ世帯ですからね、世帯ですから、複数世帯合計ですけれども、一千万世帯が六割だと。しかも、三百万未満も二割以上いらっしゃると。民間の生保の方はやっぱり一千万円以上が七割を超すと、こういうふうになっております。
 申し上げたいのは、何といいますかね、基本的な最低保障という性格を持っていると。それ以上望む方は高い民間の生保に入るわけです。逆に言えば、民間の高い生保にはなかなかちょっと難しいなと、金額的にも保険料難しいなと、いろいろ、まあ貯蓄もありますけれどもね、貯蓄性もありますけれども、そういうものでこういう簡易保険が今、国民の世帯で六割以上が入っていると、こういう役割を、大事な役割を果たしていると思います。
 まず、その点、竹中大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君) 確かに御指摘のとおり、簡保、非常に手近に加入できるということもあって、小口、しかも加入制限等々がないということも含めて大変重要な安心のよりどころになっているというふうに思っております。
 このような形、ビジネスのやり方というのは、民営化された後もこの保険会社の大変強いビジネスの強みになっていくというふうに思っております。

○大門実紀史君 その簡易保険がこの民営化でどうなるのかという心配が出ているわけです。
 もう一つ、前回、前々回ですか、御質問させていただきましたけれども、アメリカの要求とか日本の業界の要求ということも取り上げてきましたし、まだ取り上げるつもりですけれども、要するに簡易保険が、非常に突出して簡易保険がターゲットになってきていると。この前少しだけ申し上げて、時間がなくて詳しく触れませんでしたが、アメリカの要求という意味でいくと、非常に具体的で、突出して要求しているのがこの簡易保険の問題でございます。
 米国の生命保険協会がいろいろ出していますけれども、そもそも簡保は縮小、廃止しろというのが数年前からアメリカが折に触れて言っていることです。民営化の議論になってきて具体的なことを言ってきていると。一千万円の上限を下げろとか、イコールフッティングして、民営化実現しても、完全な民営化が実現するまでも含めてイコールフッティングを取れとか、新しい商品を出すなとか、もう具体的に言っているのはこのことでございます。
 フランク・キーティングさんという方はブッシュ大統領とも親しいと。小泉さんが国連総会のときに合間にブッシュ大統領と会談したときも、簡保の問題をブッシュ大統領の方から話が出るというふうに、これアメリカの報道ですけれども、されております。
 私は、こういうセーフティーネットを、この前もちょっとお聞きしましたけれども、外国の業界とか政府が日本の国民のセーフティーネットについていろいろ言うこと、私は、やっぱりこれは、いろいろあっても、経済の活性化とか外国からの投資とかいろいろな考え方あっても、これはやっぱりちょっと理不尽な気がするんですけれども、竹中大臣、その辺はどういうふうにとらえておられますか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 一九八〇年代に、前半から自動車問題を中心に日米摩擦というのがいろいろ激化をして、そういう形を受けて、一九九〇年だったと思いますが、いわゆる構造協議というものの議論が始まった。恐らくそういうころから、お互いの構造問題について、国内問題について、つまり水際のといいますか、輸出や輸入をどうするかという問題ではなくて、国内の制度についてお互いに意見を言い合おうというような新しい関係の日米関係になっていったんだろうというふうに思っております。
 それに対して、これはあくまでも国内の問題であるという面と、お互いに率直に意見交換することによってお互いの改革を進めようと、その両面は私はあったんだと思いますが、これは先般たしか外務大臣が御答弁をしておられるというふうに思いますけれども、我々としては、あくまでも自国のことは自国で決める、その姿勢は大変大事な貫かねばいけないことだと思います。同時に、オープンな議論をするということは、これは国際関係としても必要な側面を持っていると思います。

○大門実紀史君 そういう御答弁は何回も聞いているんですけれども、申し上げたとおり、非常に低額しか保険を持てない人たちがセーフティーネットでやっていると。これに対して、そこまで言うかと、はっきり言ってですね。ほかの規制緩和、いろいろやり取りするのはそれはあるでしょう、政府間で。しかし、このことまで言うかというところに、何というか、もっと素朴な怒りをお感じにならないかと。何かいろんなことの根源にそういうことがあるような気がするのでお聞きしたわけですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(竹中平蔵君) これも先般外務大臣がお話をされましたが、日本からも随分いろいろなことを言っているというふうに私は理解をしております。言いたいことを言い合うのは、これはそれなりの外交上の意味があるんだと思います。しかし、あくまでも我々は日本のために、日本の国益のために、国民の経済的公正のためにその制度設計をしていく、その姿勢を貫かなければいけないということだと思います。

○大門実紀史君 そういうことじゃなくて、もっと竹中さん自身のこういう問題での、簡保まで言われていることについての素朴なお気持ちを聞きたかったわけですけれども、前回ですか、私、竹中さんはアメリカそのものだという大変失礼なことを申し上げましたけれども、やっぱりそう思ってしまうような御答弁しか出てこないというのは残念でございます。
 具体的に、アメリカは例えばこの郵政公社出した郵政公社の簡保商品「ながいきくん」というのを新商品だと言って批判しているんですが、これは具体的には前からある商品で、ただ改善をしただけですね。こんなことまで政府間交渉でやり玉に上げると。私はもう常軌を逸しているなというふうに思います。
 これがこの民営化になったら、民営化になったら、民営化になったら、この簡保の新商品止めてくれと言っておりますけれども、民営化になったらどういうふうになっていくんでしょうか。そこの点。

○国務大臣(細田博之君) 私は、米側のこの簡保についての発言、要求を見ておりますと、実際は民営化してほしくないんだと思います。民営化民営化と言わないとアメリカの姿勢も貫けないから、だから民営化はしろと言いながら、しかし実際は民営化にして自由にやれと、やらせることに恐れを抱いて、それを、おっしゃるように、極力制限しようという意図が見え見えでございます。
 現に、外資系の生命保険は今はもう我が世の春を謳歌しているわけですから、そして、今巨大な簡保が民営化して、郵便保険が出て、あらゆる契約のものを、アヒルを使うか何を使うか知りませんがテレビ広告をして、どんどんどんどん巨大化することを極めて恐れておって、そして今新規契約で、御存じのように、今外資が、最も弱った、弱って、体質が弱くなったですね、バブルの崩壊によって、日本の生命保険会社のすきを突いてどんどん拡大しておる。
 したがって、私どもが生保について言いたいことは、今の簡保のままでいたんでは何もできない。上限の問題やら、もうありとあらゆる制約が付いている。これからも公社のままでは制約があって何もできない。かといって、民営化して、一部アメリカ側が主張しているような手を縛り足を縛ったことではとても駄目だと、そういう決意で臨んでおります。

○国務大臣(竹中平蔵君) 丁寧な今御説明がありましたので、民営化してどうなるのかと、もう今の官房長官の御発言との関連でいえば、自由になるということです。

○大門実紀史君 自由になったら心配だという話をそもそもしているわけでございます。
 官房長官が言われましたけれども、アメリカがもっと、私これいろいろ読みましたけれども、官房長官、直接お会いになっているかも分かりませんが、結局、一番嫌がっているのは、公社のまま自由度が拡大する、これが一番嫌がっているわけですね、いろいろ新商品をどんどん出していくと、基本的には。そういうことを承知の上で質問しておりますので。
 そうはいっても、いろんなことをどうして具体的にいろいろ話を聞かなきゃいけないのかというふうに思います。郵政民営化準備室とアメリカの関係者との協議は十八回で、そのうち保険関係五回という、突出しているというのはこの前の質疑で答弁をいただきました。
 私は、民営化準備室にACLI、つまり米国生命保険協会が直接要請に来ているのかどうかと、これを準備室にお聞きしました。そうしたら、それを国会で答えていいかどうかACLIに問い合わせてみると。相手の了解なしに答弁できない、待ってほしいと言われて、まだ待っていますけれども、そんなこと問い合わせること自体、会ったということを証明しているんじゃないかと私は思うんですよね。相手に確認をしなきゃいけないという、案外準備室もとんまなことを時間掛けてやっているなと思いますけれども、とにかく日本にACLIが直接準備室に要請に来たということまでやっているということです。
 私は、日本の生保業界もこの簡保については長年にわたっていろんなことを言ってまいりました。準備室は実はアメリカだけに対応しているわけではありません。日本の業界団体にも対応されております。審議官以上が日本の業界団体と協議した回数、あと相手、分野別で結構ですから、ちょっと教えてもらえますか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 主な業界団体との面談等でございますけれども、審議官以上ということでございましたでしょうか。
 銀行三回、保険二回、証券二回、あと旅館、これは審議官以上かどうか分かりませんが一回、労働組合二回……

○大門実紀史君 業界団体じゃないですね。

○国務大臣(竹中平蔵君) 失礼、業界団体ですから旅館までですね。はい、失礼しました。

○大門実紀史君 今御答弁あったとおり、ここも保険関係が八回ということで断トツでございます。ですから、この郵政民営化をめぐって一番虎視たんたんといろいろ考えているのは日米の生保業界ということになると思います。
 民営化で簡保はどうなるかということですけれども、幾つかもう議論がありましたので、基本的なことをお聞きしたいと思います。
 簡易保険と民間生保とはかなり特色が違います。職業による加入制限がないとか、加入に当たり医師の審査が不要とか、あるいは保険金の即時払いが受けられるとか、災害時における非常即時払いとか、あるいは民間にないところで言えば、地震や戦争に、その他変乱による保険金支払の免責がないと、民間はみんな付いておりますけれどもないというふうな、いろいろ特徴がございます。こういう特徴がなぜあるのかと、こういう内容になっているのかと、私はもう簡易保険法そのものにあるというふうに思います。
 簡易保険法の第一条、御紹介含めて読んでいただけますか。

○政府参考人(鈴木康雄君) お答え申し上げます。
 今、委員御指摘の簡易保険法、簡易生命保険法第一条に法律の目的が記載してございまして、「国民に、簡易に利用できる生命保険を、確実な経営により、なるべく安い保険料で提供し、もつて国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」というのがこの法律の目的でございます。
 以上でございます。

○大門実紀史君 この前も言いましたけれども、もうちょっと格調高く読んでいただけないのかなと。これがすべての基本でございますんで、もっと自信持って読んでもらいたいなと思います。
 これが、この簡易保険法一条があるから、それに付随する法律があるから簡保のネットワーク、そして保険の内容も維持されているということなんですね。
 生田総裁に単純なことをお聞きいたしたいと思います。
 今、簡易保険事業で赤字の局があります。公社としても、経営のことだけ考える、黒字にすることだけ考えたら、その赤字の局に簡保事業を委託しないと、やめちゃえば単純に言えば黒字は増えていくと思いますけど、いかがですか。

○参考人(生田正治君) お答えします。
 算術的に言えば、今おっしゃった九千局というのは全体損益方式ではじいた数字ですけれども、赤字ありますから、算術的に言えばそれをやめればその分、簡保の事業は健全化になりますけれども、だけども、トータルコストが一定、まあアバウト一定だと思うんですけれども、一定と置けば、その分がほかの郵便とか貯金に掛かってきますから、公社全体としては変わらないというふうなことになるかと思います。

○大門実紀史君 トータルのお話しているわけではございません。それは赤字のところを黒字で埋めているんですから、そういう話で。私は、収支方式の方でそれぞれ見て赤字のところはあると、単純に言って、簡保事業の黒字を増やすにはやめればいいと、単純なことをお聞きしているわけですね。
 ですから、時間がないんで申し上げますと、なぜやめられないのかと、なぜやめないのかと、公社はと。これは簡易保険法があるからですよね、そういうことですよね。ですから、ネットワークも維持されているというのも簡易保険法があると。
 竹中大臣は、ネットワーク価値論というのをこの間ずっと言われてきました。私はそれが非常に疑問でございます。それは、公社としての簡易法あるいは郵貯法に基づいたネットワークがあると、今。これは民間にとっても価値があるというならば、素朴な話、民間はなぜ撤退してきたんでしょうかと。民間はなぜ、生保も、生保の代理店もすごいんですよ。もう市町村の、全町村の七六、七七%で生保の代理店ありません。金融機関の話はもう度々出ております。
 そういう民間の金融のネットワークが、昔はもっと支店持っておりました、代理店持っておりました。全部撤退して今縮小しているわけですね。民間のネットワーク価値というのは、あくまで不採算のところは整理して収益の上がるところにある、その中のネットワークでございます。
 だから、公社のネットワークが民間でも価値があるというのは、かなり混同された議論をされているというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(竹中平蔵君) ネットワーク価値をどのように評価するかというのは、これは努めて、どのようなビジネスモデルでそのネットワークを見るかということなんだと思います。
 例えば、一部の、それこそまあ以前御指摘ございましたが富裕層だけを対象にするというようなビジネスをもし考えるんであるならば、ネットワーク価値というのは、全国津々浦々に巡らされたネットワーク価値というのはそれほど意味がないんだと思います。
 しかし、全国の正に地域密着型でビジネスをするんだという、そういうビジネスモデルであるならば、これは今のような公社のネットワークというのは大変価値があるわけでございます。これは、一概にネットワーク価値が永久不変の価値として決して決まってくるわけではなくて、それはどのようなビジネスを展開したいのかと、それに一に掛かってくると思います。現実問題として、今の郵貯や簡保のように、正に簡易な保険ですよね、小口の保険、そういうものに関してのビジネスを考えるならば、私はネットワーク価値が非常にあると思っているわけでございます。

○大門実紀史君 そういう抽象的な話じゃなくて、要するに、それじゃそういうネットワーク、世界で、物流とは別ですよ、私は、金融の話ですよ、金融でそういう不採算なところも抱えながらネットワークを張っているような金融というのは、世界のどこかにありますか、今。もしそれが価値があるものなら、どこかがビジネスモデルとして既にやっているはずです、既にやっているはずです。そうですよね。世界のどこかにそういう不採算なところを抱えながらのネットワークを維持しているような、金融で、そういう生命保険機構あるいは金融でもいいですけれども、世界のどこかにありますか、そんなビジネスモデル。一つもないんじゃないですか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、例えばドイツにもポストバンクというのがあったわけで、それはポストを活用して、ポストオフィスを活用して同じようなことを考えた。ただ、まあ日本の場合、規模が、これは規模が大きくなったのは、これはいろんな理由があると私も思います。郵便局の方が頑張られているというのもあるし、九〇年代を通して民間が余りに問題を抱えていたというのもあると思いますが、これはやはりその国によっていろんな事情があると思っております。

○大門実紀史君 もう終わりますけれども、要するに、申し上げたいのは、簡保法があるからネットワークも維持されている、商品の内容も維持されていると、簡保法なくなれば両方なくなるということを指摘して質問を終わりたいと思います。
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