● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2007年6月19日 財政金融委員会(電子記録債権法案質疑)
              電子記録債権が貸付債権の譲渡を促進することに伴う問題点を指摘
○大門実紀史君 大門でございます。
 鳴り物入りで登場した電子記録債権ですけれども、私はこの電子記録債権、余り使われないんじゃないかというふうに思います。せいぜいクレジット会社のローン債権等が先行するぐらいで、何年後かにまた改正をしないと使われないといいますか、その程度の法案じゃないかなと思っていますけれども、記録機関の専業の問題もそうですけれども、最も大きな目的であります中小企業の資金調達が本当に進むのかと、これ、よく考えなきゃいけないというふうに思います。
 そもそも手形、売り掛け債権流動化してほしいというのは中小企業の資金調達促進の上で大変強い要望でございました。その中でも売り掛け債権の方ですね、先ほどもありましたけれども、強い要望だったと思います。しかし、さっき経産省もありましたけれども、大企業といいますか親企業の方は、売り掛け債権の譲渡禁止の特約を付けることができるわけですね。いろいろ指導しているといっても現実には付けられているわけです。逆に言うと、元請の大企業というのは、いろんな業種ありますけれども、大抵は月末締めで翌月払いをやっていますから、長期になる場合もあって、手形とかがあるでしょうけれども、ほとんどはその次の一次下請といいますか、その一次下請と二次下請以下との関係で手形とか長期の売り掛けが発生すると。一番資金繰りに困る中小企業の部分ではそれを何とかしてほしいというところですけれども、ここも譲渡禁止の特約が付けられてしまうと、せっかくこの法案が意図した流動性が、つまり、現金に換える資金調達につながらないということになると思います。
 そういうことがそもそもこの法案、何も払拭されていないんじゃないかと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(三國谷勝範君) この制度の基本は、債権の流通性を高めるために自由に譲渡できることが基本でございます。一方、譲渡禁止特約につきましては実務上広く用いられておりまして、そうした実務慣行を尊重する方がより使いやすい制度となること、それから、譲渡禁止特約付きの債権を電子記録債権の対象とすることによりまして、多様な金銭債権につきまして電子記録債権制度を活用できるようになるメリットがあること、譲渡禁止の場合でも、譲渡に際して債務者の個別の同意があれば譲渡が可能であることといったことから、法案におきましては譲渡禁止特約を禁止せず、これは利用者の意思に任せることとしているところでございます。

○大門実紀史君 ですから、現実の現場の経済を考えてほしいんですけれども、その意思に任せるというところがあるわけですから、幾らこういうスキームをつくっても実際には使われないということが私は生じてしまうんではないかというふうに思います。ほかのメリットがあっても、肝心なのは取引の関係でございますから、その点を心配するわけでございます。
 元々、この電子記録債権は当初は電子債権という言われ方もしていましたけれども、最初は経済産業省が中心になって検討が進められてまいりました。検討が始まった当初は、今申し上げた手形や売掛金など企業間の商取引を原因関係として発生する債権のみが対象で検討が進められてまいりました。そこにクレジット会社とか銀行関係の要望も入ってきて、ローン債権とか貸付債権も入れようという流れになってきたわけでございます。
 我が党は、この貸付債権の譲渡促進には様々な懸念が伴うというふうに考えております。いろいろなことを今まで取り上げてまいりましたけれども、もちろん貸付債権の流動化全部を否定しているわけではありません。リスク分散を図ることによって資金調達が容易になると、将来そういう環境が整備されれば借りる方にもメリットになるという点を知らないわけではございませんが、今、実際に日本の経済の中で、現場の中で現時点ではこのことは懸念されることの方が多いというふうに考えているところでございます。
 まず、スキームの問題として伺いますけれども、中小企業の要望が強い手形債権とか売り掛け債権から電子記録債権化して、環境が整った後に貸付債権を入れていくと、当面貸付債権をこの電子記録債権のスキームから外すということは不可能なんでしょうか。

○国務大臣(山本有二君) 本法案では、中小企業者を始めとする事業者の資金調達環境を整備するため、電子記録債権につきまして、記録原簿により権利の内容を規定し債権の可視性を確保することとした上で、売買や貸付け等によって発生する原因債権とは別個の債権、無因債権とすることで取引の安全を確保しているわけでございます。
 仮に、貸付債権の一部は電子記録債権にできないことにするなど原因債権の内容を電子記録債権の成否の要件とした場合には、譲受人は電子記録債権の譲受けに当たって一つ一つ原因債権を調査しなければならないという事態になります。電子記録債権の流通をこれでは阻害しかねない結果となるわけでございます。
 こうしたことから、本法案では原因関係が貸付けであるかどうかを問わず、あらゆる金銭債権を電子記録債権の対象とすることを選択したところでございます。

○大門実紀史君 つまり、流動性か借り手保護かという点でいくと、法案そのものの性格がそうですが、流動性を取るという政策判断をされたということに尽きると思います。
 それでは、百歩譲ってですけれども、この電子記録債権に貸付債権を入れるとしても、例えば韓国の電子売り掛け債権制度がありますけれども、あそこでは一定流動性に制限を掛けるものも、貸付債権とかですね、そういう仕組みをつくっております。今度の中で、いろいろこれから心配されることが起きるかも分かりませんけれども、この貸付債権の流動性について、この枠内に入れたとしても一定の流動性の制限を付けるということは可能ではないかと私は思うんですけれども、今すぐという意味ではありませんが、そういうこともスキームとして可能だと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、今回の法案におきましては、流動性、流通性の安全の方にも配慮する一方で、一方ではいろいろな個々の事情に応じました債務者保護等の措置も講じているところでございます。
 この流通性の問題につきましては、例えば今回の法案におきましても、債務者が債権者に対抗することができる抗弁がある場合、この抗弁を記録原簿に記録することが可能とするなど、それぞれの選択に応じまして様々な措置が講じられることを可能にしているものでございます。

○大門実紀史君 もう一つは、この法案の大きな欠陥だなと思っているんですけれども、貸付債権というのはよくよく現場でどうなっているか見てほしいんですけれども、貸付債権を譲渡するという動機は二つでございます。一つは財産として譲渡する場合、もう一つは取立てのために譲渡する場合。現実社会はそうなっておりまして、現在はこの貸付債権の譲渡というのはもう九九%取立てのための譲渡になっております。これが現実なんです。今の現実なんですね。
 どうしても貸付債権を入れるというなら、きちんとした債務者保護が必要だということでございます。これは日弁連等の意見もあってこの法案には消費者については消費者の抗弁権を確保したと、つまり、住宅ローンとかクレジット契約で後で瑕疵が見付かったのにその金額だけ譲渡されて請求されてはたまらないということで抗弁できるようになりましたけれども、事業者の抗弁権は切断をされております。
 私はサラ金問題、商工ファンド問題を取り扱ってきましたけれども、例えば事業者ローン、商工ローンあるいは日掛けだってそうでしたけれども、違法な保証金とか違う名目で結局お金を取って、名目百万円貸した貸付契約にしていますけれども実際には五十万しか渡していなかったと、こんな例が一杯あるわけですね。実際に起こっているわけです。手を変え品を変え、起こるわけですね。
 ところが、この今度のところでは事業者のローンの場合は抗弁権が切断されます。ほかに譲渡されたら、実際には百万円もらってないのに百万円請求されて払わなきゃいけないと、抗弁権が切断されるようになります。これはやっぱり一番さっきの今回の目的である資金繰りに困っている中小業者が仕方なしに商工ローンに手を出してしまうと、これとの関係というのは大きな矛盾ですし、この電子債権が悪用される可能性も私は色濃いと思います。ですから、事業者についても抗弁権、貸付債権の中では抗弁権をきちっと確保すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(三國谷勝範君) 電子記録債権は両当事者の意思に基づいて債権者、債務者の双方が記録機関に請求することで発生するものでございますが、その請求に際しまして債務者たる中小事業者側に抗弁の切断を望まない事項がある場合には、当該抗弁を記録原簿に記載、記録する、人的抗弁の切断の規定を適用しない旨の定めを記録原簿に記録するといった対応が可能でございます。

○大門実紀史君 じゃ、なぜ法案の中にきちっとそういうことが明確にされてないんでしょうか。

○政府参考人(三國谷勝範君) これにつきましては、法案の第十六条におきまして、その二項の十一号というのがございますが、債務者が法人又は個人事業者であって、ちょっと前号に掲げる定めが記録されていない場合というのがございますが、債務者が債権者に対抗することができる抗弁についての定めがあるときはその定めという形で記載しておりまして、法案でも所要の手当てを講じているところでございます。

○大門実紀史君 そうしたら、確認しますけれども、さっきのような場合、抗弁権は事業者にもずっと保障されるという解釈で明確になっているわけですね。

○政府参考人(三國谷勝範君) 当事者同士の請求がそのようなものとして記録原簿に記載すればそういったことが可能となる仕組みとなっております。

○大門実紀史君 そこが三國谷さんも商工ローン、サラ金問題をやられていましたからよくお分かりだと思うんですけれども、書かれていればということですね、書かれていればですよね。書かれていれば、書かれた時点でもうその金額もらってないわけですよ、その中身について抗弁権は保障されるわけですか、事業者は。消費者の場合はそうなっていますけれども、事業者の場合はそう明確になっていないと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、個人の場合にはこの法案で明確に書いているところでございます。それ以外の事業者の場合であれば、それを記録原簿に記載、記録することによりまして同じような効果が選択によって取れる仕組みとなっております。

○大門実紀史君 そこが危ないですので、政令なりなんなりで、今の見解は大事な見解だと思いますんでね、明確にしてもらいたいんです、そこは明確に。そういう手続を取っていただけますか、そしたら。

○政府参考人(三國谷勝範君) これにつきましては、法律におきまして、そのような発生記録に対抗することができる抗弁についての定めをするときは、その定めと、これを任意的な記載事項として記録することが可能となっております。

○大門実紀史君 じゃ、ちょっと実践的に見ていくしかないというふうに思いますが、個人の場合は明確になっていますが、今のようなところが本当にそこに適用されるのかというのは、金融庁の意思はそうかも分かりませんが、法文上、個人と同一になっておりませんので、懸念されるということでございます。
 もう一つは、この貸付債権の流動化促進で懸念されるのは、銀行と借り手の問題です。これは、我が党の佐々木憲昭議員が衆議院で質問をしたときに、大臣が、金融機関が不良債権化した電子記録債権を譲渡する場合でも、現行の金融機関の監督指針に従うことになると。ですから、とんでもないところに売り飛ばしたり、本人の理解、納得の説明なしに譲渡することはありませんということを、ですから心配ないとおっしゃいましたけれども、これは私あくまで金融機関の監督指針だと。ですから、民間会社には当たり前のことですけれども、適用されないという形になっていると思いますが、確認の意味で、いかがですか。

○政府参考人(佐藤隆文君) ただいま御指摘いただきましたように、金融機関が債権を流動化する場合、私どもの監督指針で次のことが重要であるというふうに明記をいたしております。
 一つは、債務者等を圧迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような者に対して貸付債権を譲渡していないかということで、原債務者の保護に十分配慮すること。それからもう一つは、これまでの取引関係や、顧客の知識、経験及び財産の状況を踏まえて、顧客の理解と納得を得ることを目的とした説明を行うこと。この二点でございます。
 そこで、このような監督指針の適用範囲でございますけれども、これは金融庁の監督対象である金融機関を対象とするものでございますので、電子記録債権が金融機関以外の一般事業会社に譲渡された場合には、新たに債権者となった当該一般事業会社は監督指針の適用対象には含まれないということでございます。

○大門実紀史君 佐藤さんに質問をするのは恐らく今日が最後かと思います。いろいろお世話になりまして、この場をおかりしてお礼申し上げたいと思います。
 今、お話あったように、銀行が電子記録債権化して、不良債権化したときには、そういう監督指針の下にある。ところが、銀行が不良債権化する前に今度は譲渡できるわけですから、ほかの民間企業に譲渡すると。その後不良債権化した場合、こういう監督指針とは関係なく、すぱっとドライに取立て、サービサーにしろ、あるいは本人に十分な説明もなしに譲渡することができると。これが問題なんですよ、問題なんです。銀行よりも、売られた後不良債権化した場合、そういう立場に追い込まれると。これがこの法案が持っているその取立てが厳しくなっていく方向に使われるんではないかという懸念の問題でございます。
 この点、大臣、いかが思われるか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(山本有二君) 御指摘の点、金融機関における監督指針でございますので、それから先への譲渡については、これは射程距離の外にあるわけでございます。しかしながら、この電子記録債権を導入されたことによりまして、その金融機関外に譲渡されたことが言わばかえって中小企業金融に支障を来したり、過度な取立てに追い込んだりというようなことのないように、今後この制度運用についてしっかりとした監督をしてまいりたいというように思っております。

○大門実紀史君 まあ本法案は意図した中小企業の資金調達が本当に進むのかどうかも不透明でございまして、むしろ貸付債権における、今の現場の経済を考えますと、貸付債権におけるその事業者の抗弁権が、先ほど何とかなるという話でしたけれども、非常にきちっと確立していないということと、このスキームを利用して、さっきのような譲渡、取立てという危険性があって、債務者保護が大変懸念されるところでございます。
 総合的に判断すると、なかなか賛成するには危ない法案だということで、今回反対をさせていただきますけれども、是非早く法改正をして、出し直していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
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