● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2007年11月1日  財政金融委員会(日銀報告に対する質疑)
過剰融資防止に関わる改正貸金業法政省令の問題点を追及、ヘッジファンド規制とトービン税について
○大門実紀史君 大門でございます。
 日銀の金融政策についてはもう午前中から様々な議論がございました。特に、田村委員からさすが国際派と思える鋭い指摘もございました。まだ証券税制を言っていらっしゃいましたけれども、田村さんと私は育ちが違うといいますか、やはり裕福な御家庭でお育ちになりましたので、どうしてもそういう株とか何かだと思いますが、まあもう論争するつもりはございませんが、全体を見てもらいたいと思います。
 金融政策の議論は本当に今日いろいろあってもう出尽くした感がありますので、余りやり過ぎると金融政策というのは空中戦になってしまいますので、端的に一つ、二つだけ日銀にお聞きしたいと思います。
 本日も若干議論がありましたけれども、サブプライムローンとヘッジファンドの影響等々、前回も、日銀相手ではありませんが、この委員会で議論がありました。ヘッジファンドについては金融・証券界を活性化したという議論ももちろんございます。ただ、時々といいますか頻繁に問題を起こすのがこのヘッジファンドでございまして、そういう中、先ほどもありましたけれども、二月と十月のG7でもヘッジファンドについて議論ありましたし、五月のサミット、これはG8ですかね、そのときにはヘッジファンドの監視宣言というふうなことも出されました。
 そういう流れになってきていると思いますが、総裁はG7の方を御参加されていると思いますので、世界の流れとして、簡潔に、どんな議論でこのヘッジファンド規制がなってきているか、ちょっと教えてもらえればと思います。

○参考人(福井俊彦君) ヘッジファンドにつきましては様々な意見が交錯し、現在も交錯し続けている状況に変わりはないと思っておりますけれども、やはりヘッジファンドというその名前のごとく、人々が市場で金融資産を売るときに逆に買手に回ると、人々が売るときに逆に売手に回るというふうに、市場の中において人々が物を売るときに必ず買手が現れると、買いたいときに必ず売手が現れる、これが市場の流動性があるかないか、あるいは流動性が高いか低いかということであって、今のグローバル化された経済の中でクロスボーダーで資源の最適配分を図ってそれぞれの国が最高の経済のパフォーマンスを上げていく場合に、こうした資源再配分機能が最大限発揮される金融市場を持つということが不可欠になっていると。
 そういう意味では、ヘッジファンドのいい方を取れば、市場の流動性を高めるというポジティブな役割を果たしているという評価になっています。これはG7で何回議論してもそういうふうになっています。しかし同時に、やはり欠点も多いと。特に、不透明な行動をする場合があり、場合によっては市場の振れ、振幅を大きくするリスクがあり、人々に大きなけがを負わせることもあるというふうな欠点の面も強く指摘されています。
 したがって、G7の議論は常に欲張るわけですけれども、欠点はなるべく少なくして、長所は傷付けないでそのまま生かしたいと。さらには、もっとイノベーションを人々がやっていきたいという気持ちをエンカレッジする要素はやっぱり摘み取りたくないと、こういう議論でやっているわけなんで、そうしますと、欠点があるからといって規制の網をかぶせるということになりますと、イノベーションの芽も摘み取るということになりますので、直接的な規制というのはなるべく避けようと。
 言わば、遠巻きに監視を強化することによって、ヘッジファンド自身が自らその浄化作用を施していくインセンティブをいかに身に付けるかという工夫を、回りくどいんですけれども、重ねてやってきている。それがだんだん、幾らか成果も上がってきているんではないかと、ちょっと疑問符が付いていますが、ないかというのが前回のG7でも議論されたところなんです。
 と申しますのは、今回のサブプライム問題をきっかけにして、市場、夏に混乱が起こって以降の動きを見ていますと、結構、ヘッジファンドも欠点をあらわにしたところが幾つかあります。しかし、総じて言えば、今回はヘッジファンドは意外にパフォーマンスが良かったということになっておるわけですね。つまり、監視の目を早くから強めてきたところは、それだけに自浄作用も少しは効くようになってきているねという自覚があるわけでございます。
 したがって、このサブプライム問題を始め、証券化市場の問題をFSFがこれから検討すると今申し上げましたけれども、SFFは一歩先駆けて、ヘッジファンドを中心とするこのハイレバレッジドな金融活動についていかにモニタリングをすればいいかという活動を少し前からやってきていて、その成果が多少出たとすれば、今回のヘッジファンドが意外に傷が少なかったというところに結び付いていると。ここの教訓を更によく引き出しながら、この証券化商品の今後のモニタリングの仕方について新しい指針を作りたいというんですね。これ、一つの連続作業としてやっています。
 したがって、ヘッジファンドは今後とも更に浄化していかなきゃいかぬと思っていますけれども、余り短兵急ではなくて、やはり段階を経て、この目標は達成されていくものではないかというふうに思っています。

○大門実紀史君
 G7あるいはサミットでも、ドイツと、ドイツは監視強化の姿勢でございますが、イギリス、アメリカ、日本はちょっとスタンスが違うというのが続いているわけですが、ただ、アメリカの国内では、まあイギリスもそうですけれども、ファンドに対する課税強化と、これはイギリスでそういう方向に入ります。
 アメリカでも、アメリカの議会で公聴会をやられて、投資ファンドというのは税制上、一般企業より優遇されているということになって、超党派で、法人税が向こうは三五%ですが、株式譲渡益が一五%なものですから、アメリカ議会では、上場するファンドに対しては一般企業並みの課税という方向が超党派で提出されております。
 この税による、まあこれは一つの監視にもなりますけれども、税による規制、監視が一般的な規制に消極的なイギリスでもアメリカでも今進んでいるわけですけれども、そういうことも踏まえて、日本で、日本の中で何か手だてを打つ必要があるかどうか、総裁はいかがお考えでしょうか。

○参考人(福井俊彦君) 私、税の問題もあるかもしれないと思っております。思っておりますが、やはりヘッジファンドとか、こういうハイレバレッジドな活動をするファンドあるいは金融機関の動きについては、やはり市場の中で規律ある行動をすると、より透明性の高い情報を投資家あるいは監督当局に示しながら行動をするという、そのプラクティスの向上の方がやはり先決じゃないかと、今の段階ではそういうふうに思っています。
 税制については、他の金融活動とのバランスを取りながら、公平な税制ということが望ましいと思います。今どういうふうになっているか、私もそこのところはちょっと知識が欠如しておりまして、よく勉強したいと思っています。

○大門実紀史君 ファンドの課税問題はこの委員会でも取り上げていきたいと思いますが、一つの考え方として、今実は参議院の中で、超党派ですけれども、トービン税を研究しようというような動きが始まっております。
 トービン税というのは、御存じのとおり、アメリカの学者のジェームズ・トービンさんが、通貨取引税と言った方がいいんでしょうか、世界じゅう動き回るマネーですね、特にファンドが大きいわけですけれども、それに税金を掛けて投機取引を一定、規制しようということと、その税収を途上国の貧困解決とか、そういうものに使おうという発想でございます。
 これ、何でそんなことを考えるかというと、このグローバルに動き回るお金が途上国に累積債務つくったり貧困を増やしたりというふうな、そういう考え方の下に、それだったら、そこからお金取って途上国に回せばいいじゃないかということでございまして、今のところ、カナダとフランスとイギリスで、ほかの国が協調すれば採択しましょうというところまでなっております。
 こういう国際的な投機マネーの規制というのは、日本がむしろ物を言わないぐらいで、何も考えないぐらいで、ほかの国ではいろいろなことを考えておりますが、さっきは国内の話しましたけれども、国際的にこの投機マネーあるいはヘッジファンドの問題に税で対応していくという考え方はいかがお考えでしょうか。

○参考人(福井俊彦君) トービン・タックスというのは、あらゆる為替取引に課税を行うと、短期的な為替取引に繰り返す投機的な資本移動を抑制しようと、そういう発想のものだということを随分以前から勉強させていただいたことがあります。国際金融市場の安定を図ろうという提案であることは、今のヘッジファンド等に絡んで物を考える場合にも共通するところがあるということは確かだと思っています。
 ただ、この問題は、正にクロスボーダーで頻繁に行き交う資本の移動に対して、これを税という面から捕捉しようということなんですけれども、現実にそれが可能かどうかという問題について税の素人である私の立場から見ると、やはり大きな疑問符がどうしても残るわけでございます。
 タックスヘーブンを根拠地にしたり、あるいはそこを経由する取引も結構多いわけでありまして、主要国だけが手を握ってもこれはもう完全に抜け穴だらけになるというふうに思いますし、タックスヘーブンを含め、そういうネットワークが一体張れるのかということと、それから、短期の取引ですから、もう非常に頻繁に高速で動くすべての取引を完全に把握できるかと。できなければ、非常に逆に言えばアンフェアなことが起こって、必ずこれはまた抜け道ができてしまうということがありますので、大変難しい課題でもあるなというふうに同時に感じます。

○大門実紀史君 そういうことも事実、テーマになっておりまして、そういうことも研究していこうということで、世界でいろいろな動きがあるところでございます。
 日銀の皆さんにはお聞きすることがもう全部なくなりましたので、別のテーマで、ちょっと急ぐ課題がありますので、質問をさせていただきたいと思います。
 貸金業法が昨年、全会一致で成立をいたしました。関係者の方々も大変喜んでおられるわけですけれども、しかし具体化していく中で、幾つか、ちょっとどうかなと、何なのかなという問題が幾つか出ております。
 サラ金のATMの利用料という問題もございました。これ、当初、一回六百三十円と。とんでもない、これはもう高金利と同じになるわけですけれども、これは自民党の森まさこさんが大変頑張られまして、自民党の部会の中で、金融庁の案に対して駄目だということになって引下げになったわけでございます。このときも、私は、六百三十円という発想が何で、どこから出てくるのかと、金融庁のどこから出てくるのかというふうに思っておりましたけれども、去年の議論を本当に聞いていたのかというふうに思うようなことでございました。
 これだけではございませんで、今度は貸金業法改正政府令案が十月に出されまして、十二月十九日に政省令として実施ということで、時間がないので今日質問させていただきますけれども、この中に幾つか、ほかにもあるんですけれども、特に私が思うのは、顧客の利益保護に支障を生ずることがない貸付けの内容を規定するという名目で、配偶者と合わせた年収三分の一以下ならば貸付けを可能とすると。分かりやすくいいますと、夫が年収三百万円があって、妻が主婦で収入がゼロ。その妻にも、収入ゼロの妻にも、夫の同意書があれば、三百万ですから三分の一の百万円まで、その妻に、主婦に貸せるというふうにしようという規定が盛り込まれております。
 これは私、ずっと議論してきて、何を考えていらっしゃるのかなと思うわけですけれども、多重債務者の相談の、いろんなところからデータを新たに取ってみましたけれども、埼玉夜明けの会という被害者団体がございますが、多重債務の相談のうちの二六%が主婦の方でございます。熊本のクレサラ被害者の会のデータでいきますと二三%が主婦の方の多重債務相談です。多重債務全体の四分の一からデータによっては三分の一がこの主婦の方々が多重債務に陥っているという問題でございまして、もうこれはいろんな被害事例、三國谷さんよく御存じだと思うんですけれども、夫に内緒でサラ金から借りて、それが積もり積もって大変なことになったと。その借りる理由も、夫の収入が少なくて、夫に言えないで、おむつ代に困る、生活費に困るということから借り始めて多重債務になって、夫に最後まで言えないで自殺した人、自殺未遂した人、一杯出ているわけですね。
 ですから、こういうことを夫の同意書があればという、何かいかにもという感じがしますが、実態として、こんな規定を設けると運用次第によっては同じ被害が、同じ悲劇が起こるんじゃないかと思います。大体、サラ金借りる人は、夫の場合は妻に内緒、妻の場合は夫に内緒、これが普通といえば普通なんですよね。その世界ですので、非常にこれを危惧しているわけでございます。
 大事なことは、そういうことを乗り越えて、私はもうそもそもサラ金から借りないのが一番いいと思いますけれども、借りる場合でも御夫婦で相談をして、二人で、どちら、当然収入のある人が借りるべきだと思いますが、どうしてこんな変な規定が盛り込まれたのかと、非常に疑問でございます。
 更に言えば、主婦といってもパート収入があれば、九十万の収入があれば三十万まで自分で借りられるわけですよね、サラ金から。だから、つまり無収入の人に、無収入の主婦にも貸してあげるようにしようと、サラ金が貸せるようにしようというふうな規定なわけでございます。
 サラ金にとっては、今までも、先ほどのデータもそうですが、主婦の人っていうのはかなりターゲットとしては大きい存在です。若者と主婦が非常に大きい存在でございます。そこに、今度の法改正でいくと、そのままいくと収入ゼロだと貸せないと。困るから、こういう規定があれば貸せるようになるというふうに、私はどう見ても業界のためにこういう規定が盛り込まれたとしか客観的に言っても考えられないわけでございますし、事実、業界はこの夫の同意書も要らないと、それも不要にしろというような意見を出しているわけですね。こういう点からいくと、この規定どうかなというふうに本当に思います。
 普通、収入がゼロの妻でも、その家に預金があれば銀行からカードローンが発行されたり、キャッシングもできます。サラ金まで普通、手出さないですよね、普通の御家庭でしたらね。サラ金に出すというのはよほどな場合でございます。そういう点でいくと、何もサラ金が貸さなきゃその方は一切お金、世の中から借りられないというわけではないんですよね。そういうことも含めると、サラ金が主婦であれだれであれ収入ゼロの人に貸付けができるようにするというこの規定は、私は要らないというふうに思います。
 具体的に、どうしてこんなものが盛り込まれたのか、この趣旨をちょっと具体的に説明してもらいたいなと思いますが。

○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のように、例えば収入のない専業主婦の場合もございますけれども、こういった方々の場合でも、例えば事故等緊要の出費、これを自己名義の借入れで調達する道を選ぶことも考えられるところでございます。このため、今回はこの夫婦で合算した中でのそういった措置を措置しているところでございますが、この場合でありましても、御指摘のとおり、一つは配偶者の同意があるということと、それから夫婦合算でその年収の三分の一以下であると、こういった要件の下でのみ貸付けを可能な仕組みとしているところでございます。
 いずれにいたしましても、そういった資金ニーズがある場合において、また自分名義でそういった道を選ぶということにつきまして、こういった厳格な要件の下にこういった措置を講じているものでございます。

○大門実紀史君 三國谷さんも一緒にずっと議論してきたわけですから、よく具体的にどんなケースがあるか、もっとリアルに考えてもらいたいなと思いますし、ほとんど、だってそういう場合だったら別に夫が借りればいいわけでしょう、収入のある人が借りればいいわけですね。わざわざ同意書をもらって収入のない妻が借りると。余り考えられないケースでございます。
 もう一つは、さらに、私はだからこの規定は要らないから廃止にしてもらいたいと、撤廃してもらいたいというふうに思いますが、その上で申し上げますが、じゃ同意書を取ればという同意書ですけれども、今のところ紙切れ一枚の規定しかございません。これ、本当にその妻が夫に同意をもらって書いてもらう同意書になればまだいいですけれども、ならない可能性が実態として一杯あるわけですね、今までも。なかなかだんなさんに言えなくて借りたり、妻に言えなくて借りたりというケースが多いわけですから、実態としてそんなことが担保されるのかと思います。
 例えば、サラ金からこの紙にだんなさんの同意書を取ってくれば、奥さん、貸してあげますよといった場合、その奥さんは友達に、筆跡が同じだとあれだから、友達にだんなさんの名前を書いてもらって、家の判こ押して、サラ金に持ってきたらサラ金は受け取るでしょう、この規定だけだったら。知ったこっちゃありませんからね。じゃ、貸せるわけですよね、貸せなかった人が、年収三百万だと百万貸せるわけですね。こういうことになってしまうわけですね。だから、今までと同じことが起こるわけです、そうなりますと、実態として。穴が空いちゃうわけですね、ここからだあっと。で、また被害者が生まれるんじゃないかと思います。
 ですから、仮に百歩、二百歩譲ってこれをやるとしても、この同意書をそういう、つまり偽造ですよね、その場合は。そうした場合、そんなこと、それを使ったサラ金業者は厳格に行政処分をすると、これがまず立てられなければいけないと思います。今までどおり、何か書類取れば幾らでも貸すとやってきたわけですからね。まずやらないですね。
 もう一つは、その前提として、この同意書そのものが紙切れ一枚取ればいいですよだけではそういう可能性が広がりますし、後から分かってサラ金を処分しても手遅れでございますから、この同意書そのものを厳格なものにする必要があると思います。本人が本当に同意したということを担保する、何かもう、紙切れ一枚じゃない何かを付けないと、ここがざる法になるというふうに思います。
 まだ時間ありますので、この同意書の中身、在り方、規定、これそのものをもうちょっと研究して、絶対そういうことが起こらない歯止めになるようなものにしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(三國谷勝範君) まず、夫婦合算の場合でございますけれども、この適用を受ける場合には、その関係を証明する住民票などの提出、保存が必要となりますほか、配偶者の信用情報も確認することとなるなど慎重な手続が必要でございますが、私ども当局といたしましては、貸金業者が適切な確認を行っているかどうかにつきまして検査監督をすることとなるわけでございます。その在り方につきましては、御指摘の趣旨も十分に踏まえまして、潜脱防止の徹底を図るために、その同意書の取得方法やあるいは確認の仕方を含め、具体的な監督手法の在り方等も今後よく研究してまいりたいと思います。

○大門実紀史君 もうせっかくいい法案作ったんですから、金融庁自ら穴を空けるようなことをなさらないで、最後のところでございます、大事なところでございますので、最後まで研究してそういうことが起こらないように手を打っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
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