● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2008年6月3日  財政金融委員会(金商法改正・参考人質疑)
ファイアウォール規制緩和問題
○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。
 今日はお二人とも大変御苦労さまでございます。特にフェルドマンさん、よく国会にいらっしゃいました。一度直接お話を伺いたいと思っておりましたけれども、竹中平蔵さんとはお友達ということで、私もある意味ではお友達でございまして、大臣辞められて議員辞められた後、じっくりお話をいたしましたけれども、立場はもう百八十度違いますが、なかなかおもしろい議論をした記憶がございます。
 そういう点では、フェルドマンさんの御本も二冊ぐらい読ませていただいたことがございますが、恐らく私とは労働から農業から会社の在り方からすべて立場は違うと思いますけれども、大変刺激的な、すっぱりとしたいろんな御意見をいただいているところで、本当はこんな法案よりも経済全般とかそういうお話でまた参考人に来てもらえればと思いますが、今日は法案の関係なので幾つかお聞きするしかありませんが、先に斉藤参考人にお伺いいたします。
 私は、今回の法案、どうしても賛成というわけにいかないのが、先ほどもございましたが、ファイアウォール規制の緩和のことなんです。特に金融被害の問題を投資信託の押し付け販売から保険会社の不払から金利スワップ等々の優越的な濫用から、そういう問題ばかりやってきたものですから、どうしてファイアウォール規制を今回やらなきゃいけないのかという疑問がありまして、この前の質問でも申し上げたんですが、審議会の第一部会のところで、斉藤さん御出身の野村証券の田中さんが大変いい御意見をおっしゃっております。
 話はもう尽きるんですけれども、別に、ファイアウォール規制やれば顧客サービスにつながるというけれども、今だってお客さんの同意があればグループ内の情報の共有はできるし、役職の兼職させてくれと。これは、アメリカでは実は役職規制されていないけれども、アメリカのメガバンクは規制されていないけれども兼職はしないと。なぜかというと、お客さんから疑問を持たれたくないから、規制はしていないけれども実はしないんだと。何でこんなものをわざわざ今入れる必要があるのかという大変いい御意見をおっしゃっていて、私も全く同感でございまして、先ほどファイアウォール規制、もしやるならばかなり厳しい自己規律をとおっしゃっていましたが、私はまず、わざわざやる必要はないと、今、これだけの不祥事がまだ続いている中でというふうに思うんですけれども。
 このファイアウォール規制がなぜ国際競争力の向上になるのかとか、余り関係ないんじゃないかと。だから、今回特に必要ないんじゃないかと私は思うんですが、もう少し踏み込んだ斉藤参考人の御意見があれば伺いたいと思います。

○参考人(斉藤惇君) 私、たまたまこの作業部会の委員に指名されたときに、東京在住のヨーロッパの何か団体があるんですね、金融の人たちが集まる。イギリスも入っていたかと思いますが、中心はフランスですが、結構二十人ぐらいいらっしゃった。そこへ呼ばれまして、我々の最大の関心事はこのファイアウオールであると、こういう、いきなり言われました。
 それで、まさしく先生がおっしゃったような問題点もこちらもいろいろ出しました。これは先生よく御存じのとおり、アメリカは今少しずつウオールを変えてきていますが、元々分離を強制していた国でありますから、このファイアウオールに関するユニバーサルバンク的な考え方というのはヨーロッパが非常に強いんですね。ヨーロッパ人から見ると、ヨーロッパの金融を見てごらんと、あなたが言うような不正は起こっていませんと、こういうふうにおっしゃります。
 それで、どちらかというと利用者の立場をあなたは考えてない、要するに、証券会社だ、銀行だというような形ばかりで物を言っていて、例えば地方のおじいちゃん、おばあちゃんが、何か国債も買いたい、投信も買いたい、預金もしたいというような人に、これは人は変わらなきゃいけません、これは店を変えなきゃいけませんというようなのは余りにもおかしいというのが彼らの意見だったんですね。私はそれを聞いていて、消費者という立場でいくとそうなのかなと。
 やっぱり禁ずるというのも、私自身もいろんなことを見てきましたのでそれなりの理由があったと理解しております。しかし、これはやっぱり一緒に入ってくるわけです、銀行側からも入ってくるし証券側も入っていくわけですから。まさしく先生がおっしゃったように、アメリカなんか、これもう宗教観なのか何か知りませんけど、結構規律は許していても、やるべきでないというのはやらないんですよ。これは欧米、結構そうなんですね。その後ろにあるのは時々宗教感覚だったりなんかするんですが、これは法律的にはやっていいんだけどやっちゃいけないんだよなというのは結構あるんですが、今日本は逆になってきているんですね。元々私は日本人はそうだったんだと思うんですが、日本はやり得というようなのがちょっと出てきているので、やっぱり規律、当事者のモラールというんですかね、プライド、自分は一流金融機関だというならばそういうことはやらない。そういう、あそこは規律、ルールが厳しいけれども、サービスが少しあれだけれども、やっぱりきちっとしているなということをむしろ売り出すというような、そういう経営者が育つ、育つといいますか生まれることを願っております。

○大門実紀史君 私もそういう心配をしておりまして、日本の場合、そういうことを緩めちゃうと何やらかすか分からないなというのが今の現状じゃないかと思っているところでございます。
 フェルドマンさんにちょっと大きな話をお伺いしたいと思います。
 今日も聞いていると、日本の金融市場は遅れていると、国際競争力高めなきゃいけないと。それそのものは否定するつもりはございませんが、何かもうみんながそんな話ばかり、同じ話ばかりして、猫もしゃくしも遅れているんだと、やらなきゃいけないんだと、リスク取らなきゃいけないんだと。どうしてみんなこんな同じ話ばかりするのかなと。そうじゃない意見もあってもいいのではないかと私は思っていて、例えば構造改革、まあフェルドマンさんは賛成でしょうけど、一時、国民が八割も構造改革必要だと言ったのが、やっぱり今その痛みで相当反発が起きているわけですね。あのときもみんなが、構造改革はいいことだ、いいことだと、遅れているんだ、やらなきゃいけないんだと。
 いい部分もあった、幾つか必要な部分もあったと思いますけど、何かそういう危うさをこの議論でも感じながら見ているところなんですけれども、今の金融市場そのものがまずどういう市場なのかと。活性化している、遅れているとか言う前に、そんなにまともな市場なのかと。
 この前、五月の下旬ですか、アメリカの上院ですかね、公聴会を開かれて、投機マネーのことでヘッジファンドの幹部の方が率直な意見を申されておりますけれども、石油でいえば、アメリカの備蓄の五年分の石油をそのヘッジファンドといいますか投機マネーが握っていたり、穀物でいえば、アメリカの国民の二年間の消費分を投機マネーのところで握られていたりと、もう異常な事態ですよね。そういうふうに、斉藤参考人の言葉で言わせると、バーチャルな取引所といいますかペーパー取引というか、投機マネーがこんな横行して、一人一人の生活に物すごく今響いているわけですね。
 金融市場そのものの在り方を問わないで、ただ、遅れている、活性化しなきゃいけないと、何か議論の仕方がちょっと違うのかなと。一般的な活性化とか、みんなが頑張るのは大事なことなんですけれども、もっと議論しなきゃいけないことがあるんじゃないかと思いますが。
 フェルドマンさんはこの今の、世界全体で結構なんですが、金融市場、この投機マネーのこういう市場の在り方についていかが思われますか。

○参考人(ロバート・フェルドマン君) ありがとうございました。
 大門先生と意見百八十度違うということをさっきおっしゃいましたけれども、そういうところもあると思いますけれども、一つ大事な共通点はあります。大門先生は映画大好きということをホームページ読みましたけれども、「カサブランカ」は特に好きだということを書かれて、私も大好き、一番好きな映画で、どこかで心理的に似ているところがあるなというところもあると思います。
 御質問ですけれども、なぜ、これだけみんな一方通行で一緒に動くのかと。心理学じゃないんですけれども、心理的な部分もかなりあると思いますが、私の政治経済モデルの中の一つでCRICサイクルというものがあります。これは、CRICという頭文字を取って使っていますけれども、クライシス、レスポンス、インプルーブメント、コンプレーセンシーという四つの言葉です。すなわち、危機、反応、改善、怠慢、こういう循環で社会が動くということが基本的な原因です。
 なぜこれがあるのかということですと、何か改革するときに経済が良くなりますけれども、それはちょっと時間が掛かります。例えば、携帯電話の保有を自由化したときに物すごいブームになりましたけれども、ちょっと時間が掛かりました。反面、経済が改革に反応するだけじゃなくて、改革のスピードももちろん経済に反応します。これは残念ながらマイナス関係ですよね。
 すなわち、景気が良くなっていけばいくほど改革が遅くなります。人間は人間ですから怠けてしまいます。そうしますと、右上がり、時間が掛かる関係と、右下がり、すぐ起こる関係。人間はすぐ怠けてしまうから。そういうのがあってこのCRICサイクルが発生します。そうしますと、何か大きなことが起きたときに、ああ、何かやらなくちゃということは当然人間的な反応ですので、すぐ、じゃ改革だということをみんな言った後、ああ、もう改革要らない、いいかなと、そういう循環が起きている、そういうことが基本的にあると思います。すなわち、経済原則と人間の心理原則が絡み合ってそうなっているんじゃないかと思います。
 今はどういう状況かといいますと、恐らくちょっと二年間ぐらいの怠慢の時期が終わりまして、危機の局面に入っていると思います。それに対して反応してこのような法律を作り直して、反応して良くしようと、そういう動きが始まっているのではないかと思います。
 日本の市場は良いか悪いかということですけれども、幾つかのことは非常に良くなっていると思いますよね。というのは、中小企業が物すごくいい、新しい技術を開発しているところはたくさんあります。
 この前ビッグサイト行きまして、いろんなちっちゃい企業が自分の技術を見せているところを見ましたけれども、今例えば唐揚げを揚げるときの油、高騰していますよね。これを長く使えるようにある中小企業が新しい技術を開発して、日本で売れないけれどもアメリカで売れている。これはもうすばらしい技術を開発している。
 だから、市場はすべて悪いわけじゃないんですけれども、ちょっと足りないところがありますね。じゃ、足りないって何がと言いますと、当然、投資家に高いリターンが得るような商品を開発してない、それが一つの問題ではないかと思います。
 じゃ、投機マネーとかそういう話ですけれども、私はそういう取引をやっている方々といろいろ話を聞きますと、計算は非常に難しいけれども、例えば今、原油の市場にそういう投機マネーは何割かということを聞きますと、まあ一〇%から一五%しかないという答えが出ます。それによって急騰して急落するということがあり得ると思いますけれども、穀物市場ももうちょっと少ないと言われていますけれども、動きはあることは事実だと思います。だからといってこれが悪いかというと、そうじゃないと思います。むしろ、これだけ原油が急騰したこと、穀物が急騰したことは、人類のとか、この地球の、惑星の持続性の観点からいいますと、願ってもないことだと思います。
 米国のガソリン代が四ドルになって初めて運転手たちが少なく運転することになりました。すなわち、腰を蹴ってようやく動き出したということです。穀物もそうですね。穀物十キロを使って牛肉一キロをつくります。穀物二キロを使って鶏一キロをつくります。何で牛肉、これだけ食べられているのかと。特にバイオフューエルとかバイオ燃料だとか、そういう必要なときに牛肉を食べ続けるということは、果たして地球の持続性の観点からいっていいのかと。価格体系が人類にメッセージを送って、米国国民に対してもっと合理的に運転しなさい、地球の人類、すべての人類にもっと合理的に食べなさい、そういうメッセージを送っているから、私はむしろ投機マネーが原油市場、穀物市場に入ったことは良かったという意見です。
 以上です。

○大門実紀史君 やっぱり百八十度違うなと。投機マネーが神の摂理のように人類に何かを問いかけているとは到底思えなくて、やっぱり今日、明日、生活している父ちゃん、母ちゃん、大変な事態になっていますので、ちょっと違うなと思いますが、面白い意見を聞かせてもらいました。
 もう一つ最後にお聞きしたいのは、今回のプロの市場というのがあります。これ、おかしいなと思って私読むんですけれども、機関投資家と何か三億円以上持っているお金持ちでやるそうなんですけれどもね。これもうさんくさいなと私は思うんですけど、機関投資家だけでやるなら勝手にやってくれればいいんですが、大体、個人金融資産、一千五百兆円あって、それを貯蓄から投資へと。千五百兆の半分ぐらいが高齢者ですかね。したがって、お金持ちの、今貧富の差開いていますが、収入の少なくなったお年寄りもいらっしゃいますけど、非常にお金持ちになっているお年寄りもいらっしゃいます。
 それを思うと、三億円以上持っているというのは、結構高齢者の方が多いんじゃないかと思いますが、先日もこの委員会である方が、三億、十億持って死んでいくおじいちゃん、おばあちゃん、もったいないと、そのお金を投資に吸い寄せたらいいんじゃないかみたいな、とんでもないことを言われる方がおりましたけれども、そんなのは本人の勝手で、その分みんなに、子供たちに残せばいいわけだし、大きなお世話だと私は思うんですが。
 このプロの市場に三億円以上のお金持ちだけを引き込むというのは、しかもおじいちゃん、おばあちゃん多いなと思うんですけれども、これは何なんですかね。これ、どう思われます。何でこんなことが必要なんですか。先ほどからあった心配からすると、やりたきゃ機関投資家だけでやればいいじゃないかと。おじいちゃん、おばあちゃんのお金ねらって、それを引き込む、引き込んで、何かちょっとパイ広げるんですか。そんなことやらなくていいんじゃないかと思いますが、せっかくですから、フェルドマンさん、いかがでしょう。

○参考人(ロバート・フェルドマン君) ありがとうございます。
 基本的に、おじいちゃん、おばあちゃんは我々が守るよという考え方は、私はそもそも間違いだと思います。自己責任が大事なポイントですから、こういう商品もあるんですけれども、買うか買わないかということは自分で判断しなさい、これは活性力のある経済の基本的な原則だと思います。守り過ぎてみんな貧乏になってしまうということはありますから、これは考えないといけないところもあると思います。参加しろ、これを買いなさいということはだれも言っていないんですね。
 だから、私は、むしろ商売のやり方をきちんと見て、何ですか、スータビリティー、クライテリオンとありますけれども、適正かどうかという、こういうことをこの人に言っていいかどうかということですね。これを徹底すべきだと思いますけれども、それを徹底した上で、そういう商品は作った方がむしろ、お金が欲しい、投資をしたい、例えば養鶏設備を造りたい人たち、これから、それを造りたい人たちにとって非常にプラスの面もあると思います。この人たちだけを見てかわいそうだからこうだということは、ある意味で私は狭過ぎる考え方だと思います。
 例えば、そういうことをやった結果、若い人たちは職を得られない。これは大変ですね。あるいは国内の投資ができなくて海外へ行ってしまうと。例えばニュージーランドの債券、あるいはアイスランドの債券、いっぱい買った人がいるんです、損していますよね。だから、これはプロ市場かプロ市場じゃないかじゃなくて、スータビリティーと教育の問題だと思います。
 結局、すべて、官庁が守りますから大丈夫よということは、結局みんなが共倒れになって、国の生活水準が下がってしまうという結果になると私は思いますので、こういうプロ市場、むしろお金の使い方を良くする効果が大きいということではないかと思います。
 恐らく大門先生と意見がまた百八十度違うということだと思いますけれども、やっぱり私はおばあちゃん、おじいちゃんの将来を考えてやるべきだということではないかと思っております。
 以上です。

○大門実紀史君 終わります。
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