● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2008年11月20日  財政金融委員会(金融機能強化法案審議)
 Jリートなど不動産バブルと地銀・信金マネーの流入促進を後押しした銀行業界と金融庁の責任を明らかに。国民負担の銀行への公的資金資本注入を批判。
○大門実紀史君 日本共産党、大門でございます。
 今日は地域金融機関と不動産投資の関係について質問したいと思いますが、ちょっと本題に入る前に、今日、大臣は今回の法案が年越し対策という言い方をされて、急にリアリティーのある話になったなと私は思ったんですけれども。
 つまり、年越しの中小企業の貸し渋りを防ぐとしたら、当然、年内にといいますか、早くその予防注入があり得るのかなと。当初はこれはすぐの話じゃないと、いざというときのためだという話だったんですけれども、今回九月決算が、中間決算が今出始めておりますが、それを見て、もう少し緊急性のある法案になってきたというふうな御判断の発言でしょうか。

○国務大臣(中川昭一君) 確かに主要な中間決算はほぼ出そろいましたが、まだこれからというところもあるわけでありますが、やはり正直申し上げて、アメリカの実体経済の影響、状況を見ますと、これは相当アメリカ経済が厳しい状況にあるなと。
 昨日のGMの株が三ドルを割ったとか、フォードが一ドル二十何セントとか、もう本当に厳しい状況になってきていると、これはもう実体経済としてですね。それから、クリスマスというのはアメリカでは個人消費の三分の一ぐらいを占めるんだそうでありますけれども、さっきも申し上げましたが、そのやさきにアメリカを代表する家電量販店が倒れたとか、これはかなりアメリカは実体経済に影響が出ている。これは世界的な影響にもなっていくんだろうと思います。
 日本は元々中小企業の資金需要が必要ですから、この法案を一日も早くということは前から申し上げていたところでありますけれども、それに加えて、年末の資金需要というのはこれは毎年非常に大事な資金繰りということになるわけでありまして、そういったものが幾つか、特にアメリカの急激な目に見える形での実体経済のいろんなニュースを判断したときに、日本の経済を支えている中小企業が、ふだんの資金繰りもそうでありますけれども、とりわけ越年資金というものが、万が一この法律ができるかできないかでその会社の運命が変わってしまうということがあっては、私も国会議員として、また閣僚として、担当大臣として、これはもう大変申し訳ないことだという責任を持っているわけで、今日何回も申し上げたのは、まさに年末という一つの大きなタイムリミットとの闘いになってきているなという感じを率直に持っているわけでございます。

○大門実紀史君 よく分かりました。
 あともう一つ、昨日参考人質疑がございまして、なかなか私にとっては興味深い答弁があったので大臣に御見解をお聞きしたいと思いますけれども、前にも議論させてもらったように、我が党がこだわっているのは、最終損失が出たときに国民負担になる仕組みにこの法案はなっているという部分でございます。
 昨日、農林中金の代表が、私がお聞きしましたら、そういう最終損失が出た場合でも農林中金全体で負担をしますというふうにきっぱりとおっしゃいました。私は、農林中金がああ言うならば、信金中金も信組連も、あるいは全銀協も聞けば同じことを言うんじゃないかと。みんなで頑張って最終損失も国民の負担にしません、頑張りますと、返済しますと言うんじゃないかというふうに思うんです。そうなると、この法案というのは何だろうと。
 各それぞれは最終損失、頑張って、昨日の農林中金みたいにきっぱりとやると言っているんですから、そうしたって、この法案をそう変えたっていいんじゃないかなと。そうしないと、みんな、自分たちは返すと、ちゃんと最後まで責任持つと言っているのに国の方がいいんだ、心配しなくていいんだと、そういうときは税金で負担するんだと言っているような、そういう形の法案になってしまうんじゃないかというふうに思います。
 もう一度そういう業界の決意も、意向もきちっと聴かれて、この法案を、最終負担は業界だと、あるいは団体だというふうに修正されたらどうなんでしょうか。そうしたらうちも賛成の方向で考えてもいいかなと思うぐらいでございますので、まだ今からでも遅くありませんので、いかがでしょうか。

○国務大臣(中川昭一君) 昨日の様子は私存じ上げておりませんけれども、大門委員の御質問に対してでございますか、仮にそういうやり取りがあったとしても、今御指摘あったように、信金とか労金とか、ほかのところがどうなるかという御発言は私は知らないわけであります。
   〔委員長退席、理事円より子君着席〕
 いずれにしても、最初から特定の金融機関を外して議論をするという必要も私はない。この目的に合致するような金融機関が仮に手を挙げてきたときには一定のルールで審査をするというのが前から申し上げている我々のこの法制度であり、我々のその法ができたときの行政であるわけでございますので、もう最初からこの金融機関だけは外せという議論というのは法律論として私は成り立たないのではないかというふうに考えているわけであります。

○大門実紀史君 私はそんなことは聞いてないんですけど。この法案、どことか、何か外せなんて言ってません。何か勘違いされているんですか。
 そうじゃなくて、何度も申し上げますが、要するに最終負担の問題でございます。私、非常に建設的な提案をしていると思うんですけれども、検討されたらどうかなというふうに思いますが、いかがですか。

○国務大臣(中川昭一君) 昨日の大門委員の御質問で、農中が公的資金を受けた場合、自ら返済するつもりか。それに対して農中側だと思いますが、現時点で公的資金が必要とは思わないが、仮に公的資金を受けた場合、JAバンクとして返していくつもり。これは、注入したものはいずれの時期に返すのは当然ではないかというふうに今読んだところでございます。

○大門実紀史君 まだサミットのお疲れが残っているのか、全然、何といいますかね、どうしてそう違うことばっかり言われるのかな。ちゃんと最終損失と聞いているんですよ。
 要するに、私、今確かに中小企業、貸し渋りとか貸しはがし心配です。そういう点では必要になることがあるかも分かりません。しかし、最後のところで何か返ってこないという場合は、やっぱりきちっと業界負担にすべき、団体で負担すべき、そうするって言っているんですから、わざわざそうしなくていいなんてことはすべきじゃないと。
   〔理事円より子君退席、委員長着席〕
 万が一ですね、今はまだ分かりませんよ、しかしどこかに公的資金を入れると、で、具体的に返ってこないところがあったとしますね。それが税金負担になるということになると、必ず私はそのときに国民の声が出てくると。何だと、何であそこの何とか中金とかなんとかというところの経営のミスを何で自分たち、国民が税金を払わなきゃいけないのかと、税金で埋めなきゃいけないのかというのが必ず起こるんで、そうならないように法の仕組みを作った方がいいんじゃないかなということを度々申し上げているわけです。
 今までも返ってこない税金の問題で、この前も言いましたが、新生銀行の問題にしろその前の問題にしろ、やっぱり国民から相当の怒りが沸いたわけですね。だから今回も、業界負担にしておけばいいんじゃないかということを繰り返し申し上げているわけでございますが、趣旨がお分かりになったでしょうか。

○国務大臣(中川昭一君) 以前から大門委員は、特定の金融機関に限らず、注入した資本が毀損した場合、損が出た場合には、税金で穴埋めするのは、つまり国民にツケが回るのはけしからぬという御指摘であることは私も承知をしております。
 他方、これは九〇年代の資本注入のときも幸いにして益が出たわけでございまして、これは損が出るか益が出るかは文字どおりその金融機関の経営状態、あるいはまたそのお金を返すときのタイミング等々いろんな要素で変わってくるんだろうと思います。
 いずれにいたしましても、冒頭、多分、大門委員と認識が一致したであろう現在の中小企業の対応、厳しい状況、あるいは年末に向かっての、今はらはらどきどき中小企業を経営されている皆様方に少しでも早く、この資本注入を通じて、金融機関を通じて全国の中小企業に資金が渡って、それを有効に経営に使っていただければいいなというふうに思っております。

○大門実紀史君 私は、そういう国民の批判が起こるようなことが実は私は想定されるんじゃないかというふうに思いますので申し上げておるわけですけれども、大臣はガルブレイスの大暴落というのをお読みになっていたと言っていましたが、読み終わりましたか。
 あの中に、悪い予言は嫌われるというガルブレイスの言葉があります。私、悪い予言をしているのか分かりませんけど、やっぱりそういう、あのときもみんなが、一九二九年ですね、株バブルに酔っているときに、きちっと次のことを見て、このままでは危ないと、こうすべきだと言った学者や研究書があったわけですね、あの本にも書いてあったと思いますが。そういう点で、いろんな意見をきちっと聞かれて一番いい法案を作る努力をされるべきだと、まだまだ審議続くようですので時間はあると思いますので、その修正も考えてほしいというふうに思います。
 それで、本題に入りますけれども、日本の金融機関の損失の問題がずっと議論されていますが、もちろんサブプライムもあるし、リーマンの破綻の影響もありますが、私はそれだけではなくて、むしろ今、今回の九月の中間決算が出ているので見ると、もちろん外的要因もありますが、一番大きいのはむしろ地銀レベル、地域金融機関でいえばむしろ日本独自の問題、不動産投資、そのツケが回ってきたのではないかというふうに思いますので、その問題を何かすぐ外的な要因にしちゃいがちなんですけれども、日本の金融機関自身の責任があるという点で不動産投資の問題を取り上げたいと思います。
 地銀の三割が赤字で純損失を出したということで、特に都市部の地銀とかいうところで大変な不良債権も出ております。この最大の要因が不動産投資の、まあ局地的かも分かりませんが、都市部と全国的にも中心部ですね、そういうところで起きた不動産バブルが崩壊をしたという点があるというふうに思います。それで、これは金融機関だけじゃなくて、不動産・建設業界の連鎖倒産が物すごく起きておりますね、地域でもですね。実体経済を直撃するものになっております。この不動産バブルを引き起こし、崩壊させた元凶の一つがJ―REIT、不動産投資信託だというふうに思います。
 ちょっと資料を御用意いたしましたけど、一枚目はちょっと飛ばしてください。これは今日やりませんので見なかったことにしてもらって、二枚目からでございますが、資料がありますが、金融庁、簡単にJ―REITについて説明をしてもらえますか。

○政府参考人(金融庁総務企画局長・内藤純一君) いわゆるJ―REIT、不動産投資信託という商品がございますが、これは、投資家から資金を集めましてオフィスビルや賃貸マンション等の不動産に投資をし、そこから得られる賃料収入や売却益を投資家に分配、還元する仕組みの商品でございます。J―REITは、金融商品取引所、例えば東京証券取引所等に上場されておりまして、投資家は株式同様、取引所を通じて売買を行うことが可能であるという商品でございます。

○大門実紀史君 もう少し分かりやすく申し上げますと、J―REITというのは、投資家から集めたお金でマンションとかオフィスとかに投資をすると、その賃貸料とか売却益を得て、それをまた投資家に分配をするということですね。その証券化されたJ―REITは取引所で上場して売買されているということでございます。
 投資信託といっても、以前は投資信託というと株とか公社債でしたけど、不動産にも投資ができる投資信託というふうなイメージでございますけど、これが平成十二年ですかね、投資信託法の改正で、J―REIT日本版、アメリカに元々あったわけですけど、日本版のJ―REITが売買されるようになったということでございます。
 資料三に、どれぐらい売買されているかということで、不動産売買に占める割合ということで載っけてありますけれども、要するに不動産売買の買主別割合でいきますと、もうJ―REITが半分を占めるぐらい不動産投資に大きな比率を占めているわけです。
 このJ―REITですけれども、去年が最高値だったと思いますが、今年の十月末でどれぐらい値下がりしているか教えてもらえますか。

○政府参考人(内藤純一君) 東証におきますJ―REIT指数というのがございますが、これを見ますと、昨年五月に二六一二・九八ポイントの最高値を付けた後に、直近の本年十一月十九日でございますが、七四二・六五ポイントとなっておりまして、昨年の最高値と比較をいたしますと、七一・五八%の下落となっております。

○大門実紀史君 もう七割以上、すごい下落になっているわけでございます。これが今の不動産不況、不動産バブルの崩壊ということに深刻な影響を及ぼしているわけですけれども。今年に入って倒産した上場企業の大半は不動産関係、建設関係でございます。既に三年ぐらい前からこのJ―REITを含めて不動産投資の問題点、バブルじゃないかということは取りざたされてまいりましたけれども、もう発火したといいますか、爆発したということになると思います。
 資料四に、不動産投資というのは今は昔と違ってかなりややこしいんですけれども、お金の流れがどうなっているか、ちょっと私なりに図解にしてみました。もう全部説明すると非常に複雑になっているんですけれども、要するに左の上の大手不動産、新興不動産とあります。都市再生ということで、この間この大手不動産、新興不動産が大型商業施設の建設とか都心部のタワーマンションとかそういうものを、あるいは郊外のマンションブームですね、こういうものをつくってきたわけです。右側にありますのが私募ファンドと不動産投信、今申し上げたJ―REITでございます。このファンドとJ―REITがこの不動産市場の新しいプレーヤーといいますか、担ってきたわけです。その下に資金を提供している部分を書いておきました。
 申し上げたいことは、金融機関の部分ですけれども、ちょっと線が引けなかったんですが、この国内の金融機関というのはファンドにもJ―REITにも投資をしております。もうこういうお金の流れでバブルを引き起こして崩壊したと、連鎖倒産という大変な深刻な事態になっているわけでございます。このファンドにしろJ―REITにしろ、この間の不動産取引の基本になっている手法が鳴り物入りで導入されました収益還元法、DCFですかね、ディスカウント・キャッシュ・フローだったわけです。これはどんな手法なのか、収益還元法というのはどんなことなのか、簡単にちょっと金融庁、説明してくれますか。

○政府参考人(金融庁監督局長・三國谷勝範君) このDCF法でございますけれども、これは一つ将来発生する純収益それからもう一つは保有期間の満了時点における対象不動産の価格、これを発生時期に応じまして現在価値に割り引き、それらを合計することによりまして対象不動産の価格を算出する方法と承知しております。

○大門実紀史君 簡単に言いますと、不動産から得られる収益面から不動産価格を決めるというようなことでございます。ですから、同じ間取りのオフィスでも、高い家賃が得られるならばそのオフィスの価値は上がるということですね。家賃が低ければ価値が下がるということで、非常に合理的な方法のように思われますけれども、実はこれが私は大変な問題を引き起こしているという問題意識を持っているんですけれども、現時点で金融庁はどういう認識を持っておられますか。

○政府参考人(三國谷勝範君) このディスカウント・キャッシュ・フローにおきましては、この現在価値に割り引く割引率、こういったものも適正に算定する必要があると考えております。
 なお、不動産鑑定評価につきましては、これは国交省におきまして、不動産鑑定士がDCF法を用いた鑑定評価を行う場合には、還元利回り等の妥当性の判断根拠や積算内訳などにつきまして鑑定評価報告書に明記することとされているところでございます。

○大門実紀史君 いや、金融庁の問題意識の方を聞いたんですけれども。要するに、机の上の理論では、なるほどバブルを起こさないいい方法だとなりますけれども、実際お金もうけが絡みますと、そんなきれい事では済まないのがこの収益還元法でございます。
 資料の五枚目に、「不動産は「バブル」か」という、これは去年の三月十九日の日経金融新聞ですが、ここで当時金融庁の監督局銀行第一課長の遠藤さんがなかなか鋭い指摘をされております。要するに、収益還元法というのは必ずしも合理的とは言えない面があると、足下の賃料、家賃が据置きとか伸びていないのに、賃料の上昇期待があれば、期間の純収益がほとんど上がらなくても還元利回りが下がると、で、不動産価格が上がるというふうなことを言われております。まあ、ちょっとややこしいですけれども。要するに、願望を織り込んだら不動産価格を上げてしまうというものがあるので問題点を遠藤さん、遠藤さん大変優れた方ですね、貸金業法でも頑張られて私もよく知っておりますけれども、指摘されております。左側のモルガン・スタンレーの方は、今の事態を予想できずに大変のうてんきなことをおっしゃっているわけですね。
 このJ―REITの物件鑑定もこの収益還元法、要するに、難しい話抜いて、願望が入り込むと不動産価格を上げてしまうというようなものが内包している方法ですけれども、これが実際に還元利回りを低くするというやり方で時価を上げていくということに使われたのはもう今となればほぼ間違いないんじゃないかというふうに思います。
 更に言えば、J―REITとの関係でいきますと、不動産の転売、要するに転売ビジネスをさっきの表でいうとやっているわけですけれども、これ私募ファンドがかかわるわけですが、最後はJ―REITに売り抜けるというふうなやり方をするわけですね。このJ―REIT、ファンドというのは元々アメリカ仕込みのやり方でございますけれども、しかもそのJ―REITが上場されて売買されるということによって、実際の不動産取引のリスクが、もう証券化されておりますので、あっちこっちに転売されて、だれが最終リスクを取るのか分からなくなってしまっていたと。つまり、非常にサブプライムローンと似ているわけですね。私は日本のサブプライムローンじゃないかというふうに、問題じゃないかというふうに思っているわけでございます。
 今回の中間決算では、不動産投資、そしてJ―REITが大変な事態を引き起こしておりますけれども、金融庁は、この間の不動産投資全体、そしてJ―REITに対する投資が金融機関にどれぐらいの影響を与えているのか、把握されていますか。

○政府参考人(三國谷勝範君) J―REITを含めまして金融機関の有価証券投資の状況などにつきましては、必要に応じまして実態把握に努めつつ、リスク管理体制の構築、強化を促してきているところでございます。
 御指摘のJ―REIT投資の影響につきましても、その実態の把握に努めているところでございますが、J―REITの価格が低迷していることもございまして、足下では評価損が生じているものと承知しております。金融機関に与える影響につきましては、引き続き注視してまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 リーマンの影響とかは調べられたわけですから、至急このJ―REIT不動産関係、調べられた方がいいと思います。先ほど言われた、今回の法案早く通して、早くやりたいという前提の中で必ず出てくる問題でございますので、と思います。
 ただ、これは金融機関が一般の有価証券取引と違って勝手にやり出したわけではありません。
 資料の六枚目にお付けいたしましたけれども、全銀協通達というのが出されたわけです。これは〇二年の十二月に出されました。要するに何の通達なのか、金融庁、簡潔に説明してくれますか。

○政府参考人(三國谷勝範君) これは上場型投資信託、いわゆるJ―REITを含めましたものの経理処理につきまして明確化を図ったものと承知しております。

○大門実紀史君 ちょっと簡単過ぎるんですけれども、もうちょっと詳しく。
 では、私が説明します。
 この通達によって、J―REITを売った売却益の方ですね、売ったお金の処理が変わったんです。変えていいですよということになったんです。どう変わったかといいますと、J―REITの売却益というのは、〇二年の十二月までは国債等の債券売却益なのか株式の売却益なのか、どちらにするかがはっきりしていなかったんですよね。それを債券売却益として計上することを認めるというふうな通達でございます。
 じゃ、債券売却益に認められたら何が銀行にとって変わるのかといいますと、これは債券売却益の場合は銀行の業務純益にカウントすることができるようになります。銀行にとって、銀行の収益力を示す最大の指標が銀行の業務純益でございます。したがって、J―REITの売却益が自分たちの銀行の収益力を示せることにこの通達によってなったわけでございます。ですから、全銀協は、銀行は、この通達が出た後、J―REITにどんどん投資を増やしたということになりますし、信金、信組の方も、J―REITの決算処理というのがこの後出まして、信金なんかもJ―REITに投資を増やすということになったわけでございます。したがって、この全銀協通達によって地銀マネー、地域金融機関のお金がJ―REITに大量に流れ込んだということでございます。
 このことは、私が言っているだけじゃなくて、日銀の報告にも出てまいりますし、資料の七枚目に、もう国土交通省が、何でこういう、国土交通省ですから、こういう不動産市場を活性化したいということなんですか、いろいろ書いてありますが、下から三段目といいますか、平成十四年の十二月に全銀協通達によって業務純益に計上することが可能になったと、このことによって地銀マネーの流入が促進することができたというふうに位置付けているわけですね。
 ですから、全銀協通達というのは決定的に地域銀行の金融機関のJ―REIT投資にかじを切らせたものだというふうに思いますが、金融庁はそういう認識されておりますか。

○政府参考人(三國谷勝範君) 十四年のこの通達でございますが、これはそれまで、不動産投資信託証券の会計上の処理につきまして、全銀協会員行の中におきまして必ずしも統一した取扱いになっていなかったことから、会員行から全銀協への照会も相次いでおりまして、そのために明確化を図ったものと承知しております。

○大門実紀史君 私は、三國谷さん、よく聞いてくださいよ。私がお聞きしたのは、この通達が、別に私が言っているだけじゃなくてもう国土交通省もそう言っているわけですけれども、この通達が地銀マネーをJ―REITに投入させるきっかけになったんではないですかと。そういう判断、金融庁はされていないんですか。

○政府参考人(三國谷勝範君) 金融機関の投融資行動というのは様々な要因により左右されるものでございますので、こういった経理上の処理のみで、それだけの影響について確たることを申し上げることは困難かと思います。
 ただ、私ども、一般論として申し上げますと、金融機関におきましては、投資対象のリスク特性に応じました適切なリスク管理と投資を行っていくことが重要であると考えているところでございます。

○大門実紀史君 三國谷さん、一般論はいいんですよ。私、聞いているのは、この判断をきちっとしてほしいんですよ。金融庁だけです、そんなこと言っているの。国土交通省もこの通達がきっかけだと。私、これがすべてとは言っていませんよ。これは大きなきっかけじゃないかというのを日銀だって言っているわけですよね。どうして金融庁は、いろいろあってそうかどうか分からないなんて中途半端なことを言われるんですか。これがきっかけになったのは明らかじゃないんですか。

○政府参考人(三國谷勝範君) 様々な評価があろうかと思いますが、それぞれの投融資行動というのが、それは様々な要因に左右されるものでございますので、この一つの要因につきまして、それだけで影響を申し上げることは困難ではなかろうかと考えているところでございます。

○大門実紀史君 恐らく三國谷さんは次の質問を想定してガードされているんだと思うんですよね。この全銀協通達の頭のところに、なお、本件につきましては、関係当局と協議の上取りまとめておりますと、金融庁のお墨付きをもらってこの全銀協通達を出しましたと。それで、地銀マネーがJ―REITに大量に入ったということを言われると自分たちの責任に及ぶからはっきりしたことを言われないんじゃないかと思いますが、違うんですか。

○政府参考人(三國谷勝範君) 本件につきまして、その当時、金融庁と全銀協におきまして具体的にどういうやり取りが行われたかということは確認できておりませんが、金融庁は全銀協も含めました各種業界団体との間では様々な意見交換を行ってきているところは御指摘のとおりでございます。
 なお、この通達の趣旨というのは、これまで不動産投資信託証券の会計上の処理につきまして、必ずしも統一した取扱いになっていなかったことから照会も相次ぎ、したがって明確化を行ったものと承知しております。

○大門実紀史君 私は金融庁だけ責めるつもりじゃないんです。実は、この通達が出る背景というのは、まだまだもっと広い奥深いものがございます。
 小泉総理が二〇〇一年五月に都市再生本部を設立されまして、都市再生プロジェクトを強力に進められました。私、この委員会で大手町開発の問題やりましたけれども。容積率を緩和して都市再生というのをぶち上げたわけですね。それが〇一年の五月でございまして、〇二年の十二月、ちょうどこの通達が出るときに、金融庁と国土交通省の許可を得て社団法人不動産証券化協会というのが発足しております。これは、要するに、大手町開発で出てきたような名前の不動産デベロッパーですね、三菱地所とか三井不動産とか住友不動産とか、そういう不動産大手と金融機関が一緒になってつくったのが不動産証券化協会でございます。その協会の、一々紹介しませんが、中の議論で、この全銀協通達によってすそ野が広がったと、J―REITの登場によって地銀マネーを呼び込むことができたというようなことは、もうその中で平気に議論されているわけでございます。
 つまり、不動産業界が資金を呼び込むために、金融庁と一緒に、国土交通省と一緒、が両方の許可を得た証券化協会がこの全銀協通達を求めて出させたと。その背景には、もっと大きな都市再生プロジェクトというような、まさに都市部のバブルを起こしてきた大きな国家プロジェクトがあるということでございます。
 私は、今ここに至って、九月の中間決算でこれだけ地銀がこの不動産投資で傷ついて毀損、損失を出していると、この大本には国の関与があったと、金融庁のお墨付きの全銀協通達があったということを今本当にきちっととらえられるべきだというふうに思ってこの問題を取り上げたわけでございます。
 中川大臣、コメントはございますか。

○国務大臣(中川昭一君) いつものことながら、大門委員の御質問は大変参考になると思っております。

○大門実紀史君 参考だけじゃなくて、ちゃんと受け止めてほしいんですけれども。
 ですから、もう一つ言わせてもらうと、こういうことで、こういう流れの中で地銀マネーをそちらに、J―REITに行くように金融庁も仕向けて、業界も仕向けて、それで損失が出て、公的資金を入れなければいけない状況がもし出たとして、それで、最初の話に戻りますが、最終損失が出て、それが国民の負担になるというのは、この構図からひとつ言ってもやはり国民は納得しないだろうと。やっぱりきちっと業界団体の責任、そしてこの問題でいえば国の責任もきちっと問われるべきだろうというふうに思います。
 今日は、このことを申し上げて、質問を終わります。
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