● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2009年3月24日  財政金融委(所得税法改正審議)
○大門実紀史君 大門でございます。
 分かりやすい話をしたいというふうに思いますが、今日は働く女性、中でも家族経営の中で働く女性やお母さん方の処遇、特に税にかかわる問題について取り上げたいと思いますけれども、まず大臣に伺いたいと思いますけれども。
 自営業者の多くというのは家族経営で成り立っているケースがほとんどといいますか、多いわけですね。大臣も、与謝野さんは東京一区でございますから、特に新宿とか港区にはもうお父さん、お母さんでやっているお店というのはたくさんあると思いますし、そういう自営業の方も多いと思いますけれども。
 私は、本当に働くお母さん方というのは、お父さんを支えながら大変御苦労をされていると、そういう姿も与謝野さんも御覧になったことあると思いますが、案外、余り日の当たらない、焦点にならないところがありますけれども、こういう業者婦人といいますか、そういう方々、事業主あるいは家族従業員を含めて今三百万人を超える方々でございますけれども、私は経済全体に対する役割、果たしている役割とか、あるいは社会的位置付けというのは決して小さいものではないと、大変大きなものがあると思いますが、与謝野さんはふだんからどういうふうにお考えか、まずお聞かせをいただきたいと思います。

○国務大臣(財務大臣与謝野馨君) 今、私の地元では、商店等は従業員はなかなか来てくださらないんで、御主人と奥様ないし家族の方が商店、中小企業をやっておられるということで、そういう意味では、私の選挙区でもはや商店とか中小企業で従業員を雇える人というのはほとんど実はいないということで、家内労働的に商店も中小企業もやっておられるということが実情でございます。
 したがいまして、おやじさんが亡くなるともう後継者がいない、店を閉じるというケースが非常に私が遭遇しているケースでございます。

○大門実紀史君 私も大臣と同じ認識でございますので、今日はそういう方々の長い間の希望になっていることについて、是非改善の方向でとらえてほしいということで取り上げたいというふうに思います。
 資料の一枚目に、所得税法第五十六条廃止を決議したあるいは意見書を国に上げた地方議会と税理士会を地図の中に落としてございます。所得税法五十六条については初めてお聞きになる方もいらっしゃると思いますので、委員の中にも、とにかくこれをやめてくれと、廃止してくれという要望が物すごい出ているわけです。ここに書いてある税理士会だけではなくて、全国商工団体連合会、全商連の皆さんも長い間要望してきている事項でございます。
 まず、ちょっと財務省、簡潔に、この所得税法五十六条というのは何なのかと、何の目的で定められたのか、ちょっと簡潔に説明してもらえますか。

○政府参考人(財務省主税局長加藤治彦君) お答え申し上げます。
 所得税法第五十六条では、事業主から生計を一にする親族が事業に従事したこと等により支払を受ける対価については、その事業主の事業所得の計算上、必要経費に算入しないこととしております。また、その親族の必要経費については、その事業主の必要経費に算入する旨、規定されております。
 ちょっと具体的に申しますと、まさに事業主、事業主が御主人で、奥様が一緒に働いておられる、生計を一にする親族を奥様といたしますと、だんな様から奥様にその事業に従事したことによる対価を仮にお支払いになった場合に、その支払ったものは事業主の所得計算上は必要経費に算入しない、つまり、それはあくまでも事業主の事業所得として計算をいたしますという規定でございます。
 これは、昭和二十四年のシャウプ勧告において所得税の課税単位を個人単位とするように指摘がされましたが、その際あわせて、家族従業員を雇用することによって所得分割を抑制する措置を併せて導入すべきという指摘がございましたので、この制度が昭和二十五年度税制改正において導入されたものでございます。

○大門実紀史君 要するに、家族従業員の給料は経費に認めないと。その理由は、お父さんの所得を分割して課税を低くする目的で使われる可能性があるということを、民主的なシャウプ税制ではありましたけれども、そういう提案をしたときに、当時の国税庁といいますか、そういう心配があるということで認めないということになってしまったわけですね。
 シャウプ税制そのものは、それまでは、戦前は家族単位、世帯単位に課税するのを個人単位に課税するという点では、先ほどありましたけれどもちょっと進歩的な改革だったんですが、個人単位といってもこれだけは認めないというふうなことが、もう六十年以上前ですか、定められたわけでございます。
 これについて、先ほどありましたとおり、もう廃止してくれとそろそろ、もうやめてくれとこんなものはと、税理士会からもいろんな団体からも出ているわけですけれども、どういう実害が出ているから皆さん廃止してくれとおっしゃっているのか、財務省は把握しておりますか。

○政府参考人(加藤治彦君) お答え申し上げます。
 地方議会や税理士会の方から所得税法第五十六条の廃止についての決議や要望があることは承知いたしております。この御要望の内容につきましては、私ども、幾つかの論点を承知しております。
 一つは、白色申告者も生計を一にする配偶者が事業に従事している場合、その就労形態は青色事業専従者と何ら変わることがないのではないか、税法上では青色申告にすれば給料を経費にすることができるが、同じ労働に対して青色と白色で差を付ける制度自体が矛盾している。それから、ドイツ、フランス、アメリカなど世界の主要国では、自家労賃を必要経費としている中、大きな見直しも、声も出ていると、こういったことを御主張されていることを私ども承知しております。

○大門実紀史君 つまり、もっと具体的にもいろいろ実害出ているんですけれども。
 外国と比べて、例えば韓国から日本に来て日本人の方と結婚した女性がお父さんの仕事を手伝って、自分の給料が経費に日本ではならないというのを聞いてびっくりして、何と遅れている国だというふうに言われたそうでございます。
 更に言えば、例えば、今ありましたね、二枚目に資料を付けてありますけれども、青色申告を届出をして青色専従者ということならば一定のものがそのまま経費にできるというふうにしているわけですね。そうじゃない白色事業専従者控除だと、もう定額の、奥さんの場合だと八十六万しか引かないよと、こうなっている、こういうふうな今現状になっているわけです。
 その中で、例えばこの白色の方なんかは、こういう八十六万の控除しかありませんから、保育園にお子さんを預けようと思ったときに、所得証明が取れないと、働いているという証明が出せないと。それで、民生委員の方に頼んでわざわざ働いているという証明をしてもらわなきゃいけないとか。
 例えば人の保証人にもなれないと。働いているんだけれども、この八十六万ということだけですから、所得がないということで人の保証人にもなれないし、御自分が、お母さんも一緒に仕事したりして車を運転したりするわけですよね、運んだりするわけですね、いろんなものを。そのときに事故に遭ったりすると、死亡したときだってそうなんですけれども、休業補償だって低い金額でカウントされると。例えば、専業主婦だったら一日五千幾らの補償になるんですけれども、この白色専従者給与のお母さんの場合だと、今の時点だと二千三百五十六円しか休業補償の金額として認めてもらえないと。こういういろんな不公正といいますか、不利益が実際出ているわけでございます。
 この二枚目の表でいくと、大体今青色専従者給与にすると二百万ぐらいが平均みたいなんですけれども、例えばあるお店でお父さんも含めて事業所得が一千万ぐらいだとします。奥さんが一緒に仕事をやっていると。控えめで二百万だけ奥さんの給料を青色専従者控除で引いた場合と、それができなくて白色で八十六万しか引けなかった場合、この税額を比べてみると、青色の場合だったら奥さんの分、二百万円引けますので、税金は約八十万円ぐらいです。白色のままだと、白色だと百十五万円、三十万円ぐらい差が付いてしまうんですね、払う税金も。同じ仕事をやっていてですよ。同じ仕事をやっているのに、申告制度でこういう差が付いてしまうと、これはやっぱりおかしいんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか、財務省は。

○政府参考人(加藤治彦君) お答え申し上げます。
 事業所得につきましては、個人事業者が売上げ及び必要経費を適切に記録、記帳しまして、適正申告を行うということが大変重要でございます。
 ただ、我が国におきましては、すべての個人事業者について記帳、帳簿等保存義務を課すのではなく、帳簿書類を基礎として適正な申告を奨励する観点から青色申告制度を設け、青色申告者については、正確な記帳と帳簿書類の保存を求めまして、その申告には各種の税制上の優遇措置の適用を認める、こういう税制の構造になっておりますので、その点はまず前提として御理解いただきたいと思います。
 このような所得税の構造の下で、青色申告者につきましては所得税法第五十六条の例外といたしまして、労務としての対価として相当と認められる範囲内の専従者給与について実額での必要経費算入が認められ、この青色事業専従者給与については、その専従者の給与所得として取り扱われることになります。
 他方、青色以外の一般の個人事業者、白色の方は、青色申告者と異なりまして、記帳、記録等保存の程度が十分ではなく、対価の支払の実態について確認ができないことから、家族従業員に対する給与について必要経費算入を認めることについては種々問題があるということで、現状、五十六条によって税法上給与収入とは認められないことになっております。
 是非、青色申告者以外の方も所定の帳簿等を整備していただきまして、青色申告によって適正な記帳、帳簿保存をしていただく、それによってこの青色専従者の給与制度の適用を受けるということを是非ともお願いしたいと思っております。

○大門実紀史君 青とか白とか、その前提が私間違っていると思うんですよ。この問題をどう考えるかといいますと、そもそも実際に働いている人がいて、税法上、その人の人権を、人格を存在すると、働いているという事実を認めるかどうかという、これは人格とか人権という税法上の概念の問題で、申告でどうのこうのはその後の話なんですよ。まず、働いているということを税法上認める。その人が働いている、つまりその人の人格を認めるかどうかというのが大前提の話でございまして、これを青だったら認めてあげるとか白だったらどうのこうのというのは、これは勝手に財務省というのか、元々大蔵省といいますか、国税庁が勝手にそんな、本当に非常に大事な基本的な権利にかかわることを勝手に制度で分けちゃっていると。これは越権行為であり、もうおごりなんですよ。やっちゃいけないことなんですね。
 だから、本来そういうことで考えたら、そういう制度によって人が働いていることを働いてないと、認めないというようなことはあっちゃいけないというのが基本的な考えだと私は思うんですけど、与謝野大臣、いかがお考えですか。基本的な話として、まず。

○国務大臣(与謝野馨君) 同じように働いている人、同じ税制が適用されるというのは、先生のおっしゃるとおりだと思いますが、やっぱり税務署が見てある程度の確信を持てなきゃいけないわけでして、そういう意味では帳簿とかそういうものを整備していただくかいただかないかというのが、やっぱり差が出てしまう。これはやむを得ないことだと私は思っています。

○大門実紀史君 ですから、与謝野さんね、税務署が見てという考え方が間違っていますよと申し上げているわけでございます。
 じゃ青色申告なら、なぜこういうふうにしたかというと、帳簿を付けてもらう人だけ、昔ですよ、今は白色だって付けろとなっていますけれども、昔ね、人だけ、所得を分割して課税逃れといいますか、低い税金で済まそうとするおそれがあるから帳簿を付けてもらおうと。何かそこが飛躍しているわけですよ。
 例えば、じゃ青色申告だって、帳簿に付けたって実態と違う給与を書いちゃったらどうするんですか。結局は調査でしか分からないでしょう、そういう悪意な人がいた場合としても。同じなんですよ、白色でも青色でも。そうでしょう。書いてあるからといって、行ってみなきゃ分からないわけでしょう。税務署はだから疑って調査しているわけでしょう。だから、そういうことなんですよ。関係ないんですよ、青とか白というのは。分割して課税を低くしようということを防ぐには関係ないんですよ。まずそこが基本なんです。その上で、だから青色申告だってそういうふうになるわけですよ。
 考えてみると、そんなことじゃなかったと私は思うんです。今おっしゃったとおり、税務署が見て、あるいは税務署が行って調べてと、このときに帳面を付けてくれていれば調査がスムーズにいくと、これだけの話ですよ。資料を保存しておいてくれれば調べやすいと。そのインセンティブとして、あめとしてこの青色だけ専従者給与を認めるということを続けてきた以外に今となっては何の意味もないというふうに思います。
 三枚目に資料を付けましたけど、これはもう恥ずかしい話で、ほかの先進国は大体もう認めているわけです、家族従業員の経費を。これはもう時代遅れといいますか、ほかの国では認めておるわけですから、日本でもそろそろ改めたらどうかと。もう遅きに失しているのではないかと私思いますけれども。
 多分、今まで、先ほどのお話だと、ほかの国は記帳義務がありますと、日本は青色はありますと。しかし、ここに書いてあるでしょう、財務省。白色だって昭和五十九年から記帳義務になっているわけです、なっているわけです。ですから、私から言わせると、昭和五十九年から、もう白とか青とか言わないで、全部必要経費に認めるべきだったと。百歩譲って皆さんの理屈に従ったとしても、昭和五十九年の白色申告者も記帳義務、資料保存を義務化したわけですから、これはアメリカとかイギリス、ドイツ、フランスは、こういう青色とかないですよ。韓国は緑色申告というのをつくりましたけれども、普及しないのでやめちゃったんですよ。だから、日本だけなんです、この青色とか白色とかこうやっているのは。
 あえて、そういう記帳をしてほしいと、記帳した人にはやっぱり負担掛けているから何らかのメリットを与えようと思うならば、こういう人にかかわる、人の給与とか税法上の人格にかかわることではない特典を、今でもありますね、青色申告特別控除とかありますよね、別の特典で、帳簿を付けていただいたこととか資料をきちっとそろえてもらったと、青色申告の方だけ特別に負担掛けていることについてはほかのことでインセンティブ、特典を設けるべきであって、人格にかかわるもので差別をするというのはもうおやめになるべきだと。私は、そういう時代、もうそんな、当たり前の話をしているわけですけれども。
 大体、有識者の方々、よく、いろんな今の意見を見てください。もうほとんど、どんな立場の方であれ、この五十六条はもう所得税法の中で本当に化け物みたいなものだと、いまだに残っていると、これはそろそろもう変えるべきだ、考え直すべきだという意見が非常に多いんですよね。そういう点でいきますと、これを置いておく根拠は何もないですから、青色とか何だとか言うならば、ほかのことで特典付けなさいよ。人にかかわることは本当に検討すると、研究、検討すべきだというふうに思いますが、大臣、いかが思われますか。

○国務大臣(与謝野馨君) 少し研究してみます。

○大門実紀史君 そうおっしゃってもらうと、もう聞くことはありませんので、これで終わりたいと思います。
 非常に時代遅れになっているということは財務省全体でよく認識してもらいたいと思います。
 ありがとうございました。
戻る▲