● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2009年3月30日  財政金融委員会(IMFへの増資法案)
欧米中心のIMFの改革求める
○大門実紀史君 大門でございます。
 IMF改革について質問いたしますけれども、IMF改革が叫ばれてしばらくたちますし、特にこの間、IMF改革、改革という言葉が出てくるわけですけれども、日本政府はこのIMF、今後どうあるべきかという点、どうお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

○政府参考人(玉木林太郎君) IMFは国際金融システムの中核的な国際機関として機能してまいりましたが、現時点では改革すべきテーマとして、一つにはガバナンス、そしてもう一つ融資制度、この二点が重要であると思います。
 IMFのガバナンス改革については、昨年十一月のサミットでの合意を踏まえまして、先般ロンドンで開催されたG20、これは財務大臣・中銀総裁会議ですが、ここで、新興国、途上国は、最貧国を含め、より大きな発言権と代表を有するべきであり、次回のIMFクオータの見直しは二〇一一年一月までに、これは前倒しでという意味ですが、二〇一一年一月までに結論を得なければならない旨合意されております。
 また、今回お願いしております増資と併せまして協定改正も行われることになっておりますが、そこでは、小国の発言権を確保するために、現在一国当たり持っております基本票、基礎票を二百五十票から七百五十票に増加させ、今後、この総投票権数に占める基本票の割合、これは約五・五%ですが、これを維持するための協定改正が行われるということになっております。
 それから、コンディショナリティー、融資については、その迅速性、規模、融資条件等についての改革が行われております。IMFが対処する国際金融危機の性格が変化していく中で、IMFが効果的な加盟国支援を行えるよう、融資制度についても常に見直しをしてまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 そういう技術的な中身じゃなくて、今途上国とか新興国からIMF批判あるいは改革しろというのが出ているのはなぜなのかと。どういうふうに認識されていますか。

○政府参考人(玉木林太郎君) 近年急激な成長を遂げた新興国経済ですが、こうした新興国の成長が特にIMFという経済の担当機関として正確にガバナンス構造、具体的には発言権に反映されていないということが最大の問題点だと考えております。

○大門実紀史君 それは全然違いますね。この間、新興国が言っていることはそういうことじゃございません。玉木さんに私が言うのも変なんですけれども、大体、IMFの仕事というのは、国際収支が悪くなった国に緊急融資をするというのが一つですね。もう一つは、先ほども出ていましたけれども、加盟国の通貨、為替政策の監視、サーベイランスですね、この二つが主な仕事なんですけれども、その二つをやって世界的に良くしていこうという話なんですが、この二つとも何をやってきたのかというのがこの間問われているわけです。
 一つは、先ほど水戸さんからありましたとおり、あの東アジア通貨危機あるいは南米の経済危機のときに構造調整政策を押し付けて緊急融資をやると。つまりこの背景には、もう私が言うまでもありませんが、当時のアメリカのウォール街といいますか、金融資本の、金融自由化の流れを世界につくるというような、そういう政策が入り込んじゃったわけですよね。これは痛烈に批判されていると。しかし、それだけじゃありませんで、この間の問題なんですよ。今回の金融危機、百年に一遍と言われる金融危機にIMFは一体何をやってきたのかと、これは今一番出ているIMF批判といいますか、だからこそ改革を急げという声なわけでございます。
 つまり、今回の金融危機は、アメリカの金融通貨政策が推し広げられて、それが破綻を起こしたと。それに対して、さっき言ったIMFが本来のちゃんとした国際機関ならばちゃんと監視をしていくべきだったと、何もやっていなかったからこうなったんじゃないかという意味の批判でございます。例えばブラジルの財務大臣は、IMFというのは途上国ばかりに口出しをして、しかもろくなことをやらなかったと、先進国の、アメリカのマーケットこそちゃんと監視すべきだったんではないかなという厳しい批判をされているわけですね。
 ですから、さっき申し上げましたIMFの主な仕事、緊急融資においても、サーベイランスにおいてもきちんとした役割を果たしてこなかったんじゃないかと、だからなぜそうなったのかと、だから改革しろということが今強まっているんで、そういうふうな認識をきちっと日本政府としても持たないととんちんかんな話になるんではないかなというふうに思います。その辺、与謝野さん、どう認識されていますか。

○国務大臣(与謝野馨君) それは、今回の危機の発生の原因は何かという問題と同じく問題を提起されているんですが、やはりアメリカ経済、言わば過剰消費というもの、これは一見、世界を潤すことができたんですけれども、一瞬の夢でしかなかったんだろうと思います。これは長い間、アメリカの双子の赤字、財政赤字とそれから貿易上の膨大な赤字、この双子の赤字はいつかはデイ・オブ・レコニングが来ると、これはいつかは神様が何らかの審判を下すということは言われていたんですけれども、そういう日がなかなか来なかった。しかし、世界経済全体としては、均衡点は崩れたというのが今回の世界経済の危機だろうと私は思っております。

○大門実紀史君 おっしゃったような危機を、何といいますか、危機が進行するのをIMFはきちっとチェックしてこなかったという批判が今出ているということでございます。
 要するに、IMFというのは世界の為替通貨安定というのが重要な仕事でございますけれども、つまり今財政経常収支の赤字を垂れ流しながら、アメリカが世界中にお金を回して、環流させて利ざやを稼いで自国の消費を賄っていくというゆがんだのがずっと来たわけですよね。これはやっぱりドルが基軸通貨であるということが基本にあるわけですね。自分のところでドルを刷るからできる話でございます。そのドルというか通貨のきちっと政策を監視すべきIMFが何やってきたのかという意味で、つまりアメリカのマクロ政策全体を容認したIMFが問われているという点で、私が言っているんじゃないですよ、そういう人たちが新興国、ヨーロッパからも声が出ているということを御紹介しているわけでございます。
 ただ、そうはいっても、今のIMFがそういうアメリカがやりたいこと、アメリカの利害に抵触すること、あるいはアメリカを諭すなんということができるわけがないと私は思います。それは事実上、このIMFでアメリカが拒否権を保持しているからですね。玉木さん、その拒否権、事実上の拒否権の仕組みについて今回どうなったかも含めてちょっと説明してくれますか。

○政府参考人(玉木林太郎君) アメリカが事実上の拒否権を持っているといいますのは、今回の増資前そして増資後もアメリカの投票権シェアが約一六・七三%ある、そして、総務会あるいは理事会で決定します際に幾つかの項目については特別多数決として八五%が要求されているということからきております。例えば、今回の増資のようなクオータの変更であるとかSDRの配分、協定改正というようなことは八五%の賛成が必要となっております。今回、その八五%の協定上の地位に変更はございません。

○大門実紀史君 そういうことなんですね。今回も、新興国と低所得国の発言権はちょっと上がりましたけれども、結局アメリカのこの事実上の拒否権は変わらないと。
 実は、新興国やヨーロッパの幾つかの国の間では、このアメリカの拒否権をどう包囲するかと、これをやらない限り、またアメリカ主導の何かやらかすんじゃないかという危機感があるわけですね。ヨーロッパ、例えばフランスなんかの、フランスのサルコジさんが言っているのは、このIMFに金融機関に対する強力な監督規制機関を持たせるとか金融市場の規制をさせるとかいうことを考えておるわけですけれども、どうしてもこのアメリカの拒否権があると、アメリカはまだまだ、まだその規制それほどやるなという立場ですからぶつかるんじゃないかということを心配されていますし、イギリスのシンクタンクがこの前出しましたけれども、もうIMFそのものをスリム化して世界経済委員会に改組したらどうかとか、つまりイギリスやフランスでさえ、今のIMFの在り方だと、今のままの形だと結局どこかでまたアメリカの思うような方向にIMFが利用されるんじゃないかという危惧を持っているわけですね。
 さらに、途上国、新興国で、特に中国は、三月十五日に新華社が社説を出しましたけれども、IMFにおける新興国、途上国の発言権は高めるべきだということとIMF専務理事の選出の方法も変えるべきだというような提案もしていますし、もっとすごい提案として出てきているのが、例のSDRの活用範囲を広げるというのを中国人民銀行の周総裁が提案をされております。
 つまり、何をみんな心配しているかといいますと、このドルが基軸通貨になっていてドルがこれからどうなるか分からない、危ないという中で、さらにIMFが今のままだと、今のままだと、まさにドルが下落する、崩壊していくというところに次の世界経済の危機が来るのではないかと。そのために、IMFそのものを改革しなければいけないということとドル一極体制を変えなきゃいけないという提案をしているわけですね。つまり、このIMF問題というのはガバナンスとか発言権とかそういうことだけじゃなくて、このドル一極体制をどうするかと、そしてIMFそのものがどう変わっていくかということは表裏一体で議論されている問題でございます。
 こういう例えば中国の対応なんかについてどういうふうにとらえておられますか。

○政府参考人(玉木林太郎君) 先ほど申し上げましたガバナンスの問題は、単に投票権とおっしゃいますが、やはり機関が自分たちの使命そして果たすべき機能を議論していく上での基本となるものでございますから、アジア危機以降、我が国は今回の増資に向けてやはり途上国、新興国の発言権を増やすということが問題の根本的な解決への一つの道だというふうに考えて努力してまいりました。
 その中で、中国も当然のことながら経済規模が拡大してきておりますので、発言権を上昇させ、そしてIMFの中で、IMFの在り方についてそれぞれの立場から発言していただくのが、そして各国と議論していくのが、それはIMFの在り方を議論する上で極めて健全な道だと考えております。

○大門実紀史君 じゃ最後に、与謝野大臣にお聞きいたします。
 今申し上げてきたとおり、IMFの問題というのは、単に一つ、一つのというか大きな機関でありますけれども、国際機関一つの問題じゃなくて世界経済の在り方を問い直すという形で各国はとらえて、いろんな提言をしているところでございます。その点、ヨーロッパ、中国は大変積極的な提案をしているわけですね。
 日本はどうもいつも、今までもそうですが、アメリカの追随と言われてきておりますし、アメリカの顔色を見ながら、今ちょっと新興国の応援をやろうというのがございますけれども、アメリカとやっぱりこれは、例えばオバマ大統領、今何を言っているかというと、内政政策ではなかなかだなと思いますが、この世界金融政策、対外政策、対外経済政策でいくと強いドルということをおっしゃっていますね、オバマさんは。そうすると、さっき言ったヨーロッパの動き、中国の動きと違って、依然ドル中心の、ドル中心のこのシステム、スキームを堅持していくという形にオバマさんはなると思うんですけれども、その点では、日本が本当にどういうスタンスで動くかが問われるというように思うんですよね。
 何も中国の言うとおりとかヨーロッパの言うままにする必要はないんですけれども、幾ら何でもアメリカの言うとおりにしてきた今までのIMFにおける日本のスタンスというのは是非変えるときに来ていると、明確なポリシーを持って臨むべきだと思います。ただ、そんなポリシーはお聞きすると何もないようでございますけれども、せいぜい新興国のちょっと応援ぐらいですけれども、そういう大きな変化のときだということを認識して対処していってもらいたいと思いますが、与謝野さん、いかがお考えですか。

○国務大臣(与謝野馨君) 多分、直観的には基軸通貨というのは一つの方がすべてが効率よく動いていくんだろうと思います。ただ、基軸通貨のドルというのはやっぱり大事だとしたら、それを出している米国の責任ももちろん言うまでもなく重要なことだと思っております。
 それから、世界経済全体を運営していく上では、IMFを始め数々の国際機関はこれからも重要性を増していくと思いますが、やはりそういう中でアメリカ、日本、ヨーロッパの諸国など、経済力の大きいところはそれなりの負担と責任を持ってやっていく。それと同時に、新興国経済とか発展途上国とか、そういういろいろスコープの広い物の考え方をやっぱりIMFはしていかなければならない時期がもう既に到来しているというふうに思っております。

○大門実紀史君 終わります。

○委員長(円より子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○大門実紀史君 本改正案に反対の討論を行います。
 現下の金融危機、世界的な景気の悪化を招いた主な原因は、アメリカ主導の野方図な金融の自由化とドルを世界に還流させることで自国の経済を維持するというアメリカの通貨政策にありました。その一翼を担ったのがIMFであります。IMFは、東アジア通貨危機や南米の経済危機に対する対応でも、アメリカの金融業界や当局が求める構造調整政策を各国に押し付け猛烈な批判を浴びましたが、今回の金融危機においても、アメリカの金融通貨政策を容認してきたことに対して、途上国、新興国を始め世界の国々や有識者から強い批判を浴びています。
 今こそ、アメリカの利益を優先するのではなく、世界の国々の為替の安定と経済発展に真に貢献するIMFに改革することは、焦眉の課題となっています。そのためには、アメリカの拒否権にメスを入れること、途上国、新興国の投票権の大幅な拡大とガバナンス面での民主的改革がどうしても必要です。
 我が党は、IMFの民主的改革に対する日本政府の主体的で明確な提案と増資は表裏一体のものとして進めるべきであると考えます。今回、低所得国、新興国などの投票権シェアが一部改善されるものの、依然アメリカの拒否権は強く存在し、またそのことに対する日本政府の問題意識が十分でない下で、増資に賛成することはできません。
 以上。
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