● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2009年4月28日  消費者問題に関する特別委員会
○大門実紀史君 大門でございます。
 今日は事故調査の問題について取り上げます。
 この問題が鋭く問われたのがエレベーターの事故の問題でございました。エレベーターの事故の問題については衆議院でもさんざん議論がございましたし、昨日もこの委員会でございました。国交省の言い分を聞いておりますと、いろいろあったけれどもこれからは頑張りますというようなことでございますが、本当にそんなものなのかと思います。
 答弁も、もう繰り返し国交省言っていますけれども、実地調査が遅れたと、事故から二年半もたっているわけですけれども、これは反省していると。そして、常設の昇降機等事故対策委員会を設置しました、警察との連携も強化しております、事故調査も素早く対応します、だからこれからは安心ですというようなことを繰り返しこの間言われておりまして、国会審議的にも何か一件落着のような雰囲気があるわけですけれども、本当にこの程度の対応で、事故で亡くなられた市川大輔さん、そしてお母さん来られておりますけれども、そういう方々に胸を張って報告できるような対応なのかと、様々まだ問題が残っているんじゃないかというふうに思います。
 そもそも、既に使われているエレベーターはどうするのかという問題も残っておりますね。私は、決算委員会で子供のおもちゃに含まれている鉛の問題を取り上げましたけれども、野田大臣も聞いていただきましたけれども、法改正をされましたけれども、それ以前に輸入されたり製造されたものはもうそのまま野放しになっているんですよね。厚労省に対応しろと言ったら、渋々必要があれば対応しますと認めましたけれども、その問題はこのエレベーターでも同じですよね。
 衆議院の参考人質疑で日弁連の中村弁護士がおっしゃっておりましたけれども、安全装置のブレーキを二重にするとか修理マニュアルを申請時に出させるという改正も九月以降の適用ですよね。したがって、新規に設置するエレベーターはどうなるのか、既に全国で七十万台使われていると、これが抜け落ちているわけでございます。消費者目線に立つというならば、法改正以前とか何だとか言っていないで、今あるものをどうするかという視点が重要ですし、放置できないはずだというふうに思います。
 今日、今申し上げましたが、このエレベーター事故で最大の教訓とすべき事故調査の問題を取り上げたいと思いますけれども、何を教訓とすべきかということも国交省はいまだ全く分かっていないんじゃないかと思います。
 衆議院の議事録を読んでびっくりいたしました。三月三十一日の衆議院の消費者特ですけれども、民主党の議員から、なぜ事故から二年半もたってから実地調査に入ったのかという質問に対して、小川審議官、今日来ていますか、小川さんはこんなことをおっしゃっているんですね。この本件事故につきましては捜査当局による捜査を優先してきたところでございまして、捜査の結果、新たな検討事項が生じた場合には、改めて事故対策部会等におきまして再発防止等の対策の検討を行うと。しかしながら、捜査の結果が明らかにならないまま二年以上が経過したことを踏まえて、去年の六月から対応して警察庁に申し入れて、十二月にやっと実地調査を行った云々ということを答えておられるんですけれども。
 この小川さんの答弁に出ている、表れているものが最大の問題じゃないかなと私は思うんですけれども、要するに小川さんがおっしゃっているのは、まずは警察の捜査、犯罪捜査を優先してもらうと。そして、その結果を待つと。待った結果、その結果に基づいて新たな対策が必要なら検討しようと思っていたと。ところが、二年たってもさっぱり音さたがない、何も教えてくれない、だから焦って自分たちもやるしかないということで相談して始めたと、こんな話ですよね。
 そもそも、国交省というか小川審議官に聞きたいんですけれども、事故調査と犯罪捜査との違いというのを御理解されているんでしょうか。ちょっと犯罪捜査と事故調査の違い、説明してくれますか。

○政府参考人(国土交通大臣官房審議官小川富由君) お答えをいたします。
 建築基準法を中心といたしました建築物に係る制度全体、規制の在り方ということになりますと、いわゆる個別の建物の事故につきまして個別にそれの使用禁止でありますとか是正などを実施をいたしますのは、これは行政庁がやるわけでございます。それといわゆる犯罪の責任関係あるいは事故の責任関係を追及するものとは違うと、それはそれぞれ建築基準法の求めているものと犯罪捜査とは違うというふうに認識しております。

○大門実紀史君 だったら、なぜ犯罪捜査の結果を待ったんですか、違う内容だと御承知なら。全然違うんですよね。もうちょっと、あれですか、通告したからそうやって調べてしゃべっているの。昨日まで分からなかったわけ。
 犯罪捜査というのは、これはもう特定の個人、狭い意味の責任追及ですよね、特定の個人の刑事責任を立証すると。だから、限定的なところでもいいから犯罪が立証できればいいわけですね。だから全然違うわけですよ、その事故調査というのは。再発防止であり、被害の拡大を防ぐ、安全性の向上ということだから、もっと広く調査してやるのが事故調査ですよね。その違いを本当に分かっていたら、何でずっと待っていたの、警察の捜査を。

○政府参考人(小川富由君) お答えをいたします。
 その点につきましては、私どもも非常に反省をしているところではございます。
 私ども、事故が、これは平成十八年六月に起こったわけでございますが、その後直ちに社会資本整備審議会の中にワーキングチームを設けまして、再発防止策を検討し、これは安全装置に係る基準の強化あるいは維持管理についての手続の強化、こういったものを行ってまいりました。
 そういう形で、私ども考えられる範囲での十分な対応をしてきたというつもりではございまして、しかしながら、警察との連携が不十分であり、事故発生後に私どもとして実機調査を行ってこなかったというような不十分な点がある旨の指摘を受けてきたということで、先ほど委員御指摘のあったような形での常設の事故対策委員会を設け、今後警察とも連携をして迅速な対応を行うというふうにしたことでございます。

○大門実紀史君 本当に反省しているなら、その昇降機等事故調査対策委員会の在り方も全然違ってくると私は思っているんですけれども。
 具体的な話に入る前にもうちょっと、あなたといいますか国交省の見解を聞きたいんだけれども、あれですか、そうはいっても犯罪捜査の方が事故調査よりも優先するというふうにどこかで思ってはいるんですか。どうなんですか。

○政府参考人(小川富由君) お答えをいたします。
 事案の発生をした直後ということになりますと、実態的にいわゆる捜査の警察の方々が現場を押さえているというようなことがございまして、これは実は火事なんかの場合も同じなのでございますけれども、やはり行政庁の職員ということの立場で、残念ながら遠巻きに見ているというような状況があったということは、これは事実でございまして、私どもそこは非常に反省をしなければいけないという点だと考えております。

○大門実紀史君 何か反省ばかりしているんだけど。
 じゃ、具体的なところで聞きますけど、私はこう思うんです。警察が刑事責任を問うための犯罪捜査、これはもう重要ですよ、何もこれ否定するわけじゃありませんよ。行政庁はあくまで事故原因の解明と再発防止のための事故調査をやると。もちろんどちらも大事なんですけど、行政庁というか、行政庁どころじゃないな、人間としてどちらが大事かというふうに言いますと、だれか一人を懲役何年にすることよりも、新たな被害者を出さない、死亡者を出さない、これ以上人の命を失わないということの方が普通は大事だというふうに私は思うんです。私はそういう立場で思うわけですね。捜査はそれはやってもらっていいんだけれども、先に入ったからという問題は幾らでも解決できるんですけれども、スタンスとして反省されるべきはそこだと。
 それがまだ三月三十一日でこんなことを言っているようじゃ分かっていないんじゃないかなということを厳しくまず指摘した上で、具体的なことを申し上げますと、お配りした資料、ちょっと一枚目は今日使いませんので見なかったことにしてください。二枚目、三枚目でございますけれども、運輸安全委員会が、警察庁長官、国土交通事務次官で覚書を取り交わしております。大変立派な覚書だと思います。犯罪捜査と事故調査とは、それぞれの異なる目的の下に異なる法律上の手続、方法によって発動され、いずれもそれぞれの公益実現のために重要な作用であり、一方が他方に優先するという関係にあるものではないと。その下に、ほとんど同時に、一緒に調査をやるわけでございます。
 三枚目にあるのが、先ほどありました、今回反省していろいろやり始めたという資料でございまして、これは何かというと、国交省が各都道府県の、エレベーター等でございますから、建築主務部長あてに出した通達でございます。何のことかというと、各都道府県に対して国交省が警察に調査の協力をお願いしなさいと。お願いしなさいという協力要請ですね。立入検査をさせてくれと協力をお願いしなさいと。協力が得られない場合は、引き続き警察と連絡を密にして調整しなさいと。あくまでお願い、協力要請にとどまっているわけでございます。
 えらく運輸安全委員会とこの通達とが開きが大き過ぎると思うんですけれども、何でこんな卑屈な姿勢になるんですか。

○政府参考人(小川富由君) お答えをいたします。
 この通達に、通達といいますか、技術的助言という形で見ていただきますと分かりますように、基本的に行政庁、建築基準法の実施の責任を持っております特定行政庁に対して、これまで、先ほど申しましたように、捜査当局との連携について、非常に遠巻きで見るというような姿勢があったということでございますので、私ども、これは検査、調査等について積極的に特定行政庁から捜査当局への協力をお願いをするようにという形で示したものでございます。
 また、これに相当するものにつきましては、警察庁の方からも同じように警察の現場の方に連絡通っておりまして、この両省の連携におきまして、これまで私ども、建築行政の施行に当たっての原因究明、そういったことについて十分ではなかったという点について改めてまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 なぜこの違いが現れるのか、御存じないなら私がお教えしましょうか。
 警察庁に聞いてみたら、相手がこの運輸安全委員会だから、設置法に基づいての三条委員会だからこういう関係、対等の関係にしているわけではないと。関係ない、それはと。この昇降機、エレベーターの昇降機等事故対策委員会というのは八条委員会の下の下にある組織でありますけれども、この通達そのものは国交省の通達でございますし、相手は国交省の調査組織ですよね。ですから、警察にとってはそんなところで区別はしておりませんということなんですよ、実は。委員会の設置法の重みとか関係ないんですね。
 ちょっと警察庁に来てもらっていますから、これはもう一般論で結構なんですけれども、重大事故の場合、ほかの行政組織とのこういう対等のスタンスで資料提供など協力することというのは十分あり得るわけでしょう。警察庁、どうですか。

○政府参考人(警察庁長官官房審議官西村泰彦君) 警察におきましては、消費者事故を認知した場合には、その事故の発生状況やあるいは被害の程度などの情報を関係省庁へ提供しているところでありまして、今後とも引き続き緊密な連携を図りつつ情報共有を図ってまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 違うんだよ。僕が言ったの、聞いてないの。ちゃんと答えてよ。
 あり得るわけでしょう、別に。今後もこの運輸安全委員会みたいに、重大事故の場合は対等のスタンスで協力していくということはあり得るわけでしょう。そこだけ答えてください。

○政府参考人(西村泰彦君) 警察の捜査と関係行政機関の調査はそれぞれ独立、並行して行われるものであると認識しておりまして、そのそれぞれの目的が達せられるように密接な連携を取り、必要な情報交換を行ってまいりたい、また必要に応じて所要の調整を図っていくべきものと考えております。

○大門実紀史君 更に言いますと、ですから、別にこの昇降機事故対策委員会と運輸安全委員会、同じような取決めを交わすことは十分可能だということです。これをまず国交省知らなかったら承知してください。
 その後、もちろん鑑定依頼ということがございまして、具体的に言いますと、国交省とかにできる調査委員会というのは専門家集団ですから、そこに警察が証拠についての鑑定を依頼するということもあり得るわけですね。そうすると更に関係が深まるということもあって、それだって別に、昇降機事故対策委員会は専門家集団ですから、警察が専門的に分からないことを鑑定依頼することはあり得るわけですよ。そうすればもう本当に情報がオープンにできると、中ではできるわけですから、何もこんな卑屈な協力要請でやる必要はないということで、改めてもらいたいなというふうに思いますが、国交省、いかがですか。

○政府参考人(小川富由君) 運輸安全委員会が、これは資料にございましたように、長年にわたって捜査当局との間で積み上げたものがございます。私どもも非常に遅ればせではございますけれども、特定行政庁と一緒になって捜査当局との関係で改善を図っているということでございます。私ども、こういったものをしっかりやらせていただいて、また必要であれば、必要な改善を進めてまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 とにかく、本当に事故の再発防止だということはそこまでやっていただきたいと思います。
 要するに、勝手に、国交省はこんないろんなことを知らないで、思い込んで、犯罪捜査を優先して、事故調査後だと、遠慮しながらやるというのは、勝手に思い込んでやっているからこんな事態になっているということでございます。
 ですから、今実際、この昇降機事故対策委員会が警察に資料を要求しても出し渋られていると、こんな低姿勢でやっているからそういう関係になるんですよ。だから、幾らでもやれるんですよ、ちゃんと。それをちゃんと承知してください。
 最後に、時間がなくなりましたので、消費者庁との関係で野田大臣にお聞きしますけれども、そもそも、日本学術会議も提言を既にもう二〇〇五年に出しているんですけれども、是非後で読んでもらいたいなと思うんですけれども、要するに何が書いてあるかというと、日本では、今日申し上げたように、犯罪捜査が優先されて事故調査が後になっていると、このことによって再発防止とか原因の究明が遅れていると指摘をされていまして、このことがもっと早く徹底されていればこのエレベーター事故であんな対応にはならなかったと、したがって再発防止も原因究明もいまだされていないわけですから、進んだということを申し上げておきたいと思います。
 アメリカとかヨーロッパでは、むしろ刑事免責まですると、事故防止の方が大事だと、刑事責任を後に、免責すると。全体を考えるとその方が大事だということもやられたりしているわけですね。いずれにしても、これから消費者庁発足していろいろやっていく中で、この犯罪捜査、事故調査、私はいきなりヨーロッパやアメリカまで行かなくても、少なくとも対等で進めていくということでないと、また同じ事故が繰り返されるんじゃないかというふうに思うところでございますが、基本的な位置付けとして、消費者庁を進めていく上でそういう対等でやっていくべきだと私は思いますが、大臣の見解を聞いて終わりたいというふうに思います。

○国務大臣(野田聖子君) シンドラーの事故に遭われた市川君のお母さんとは自民党の調査会の場で会いました。そのときに、自ら御質問されて、国土交通省にどうして原因究明ができないんだというところで、実は資料が全部警察の方に行っていて何も答えることができない、そのようなことを言われて私も愕然としましたし、市川君のお母さんも大層傷つかれたということを今でも忘れることはできません。
 今先生のお話の中にあったように、命なんですね。市川君が犠牲になってくれたおかげで次の被害者を出しちゃいけないという、そういう熱い思いがやっぱり今の縦割り行政の中ではしっかりとつかまえてこなかったとするならば、消費者庁というのはまさにそこにあるんだと、魂が。それを肝に銘じてやっていくとともに、実は、国生審、国民生活審議会の方ではこのことを受けまして昨年の秋から、今先生がおっしゃったように、決して格差があるわけじゃなくて、並行して連携してやっているそういう例示もあるということを踏まえて、これからは消費者庁はそういうスタンスで取り組むべきであるというお話もいただいていますので、そういう方針で頑張っていきたいと思っています。
 ありがとうございます。

○大門実紀史君 終わります。
戻る▲