● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2009年6月2日  財政金融委員会
金商法改正案で、商品市場への投機マネー流入を批判
○大門実紀史君 大門でございます。
 この法案はなかなかいい法案だなと、七割ぐらいはいい法案だなと思いますが、三割ぐらいのところがいかがなものかというふうに強く思うところでございます。
 具体的に言いますと、金融商品保護ではかなり改善がされているというふうに思いますが、今も少しありましたけれども、今日余り取り上げられませんでしたけれども、この金融商品取引所と商品取引所の相互乗り入れ、これはよく考えてやらなきゃいけないことをよく出してきたなというふうに思うところでございます。
 ここを中心に質問したいと思いますけれども、まず、法案の内容に入る前に、政府といいますか、与謝野大臣の認識を伺いたいんですけれども。
 資料を配りましたけれども、今、国際商品相場が急騰しております。去年夏までは原油とか穀物が上がって大変な事態でしたけれども、その後ざあっと下がって、原油では一バレル百五十ドルが三十ドルぐらいまで下がったんですけれども、今また急騰しているわけですね。
 この事態の原因を、なぜこうなっているのか、与謝野大臣はいかがお考えか、まず認識を伺いたいと思います。

○国務大臣(与謝野馨君) 商品の価格が上がる場合は、一つは実需が増えるという場合がございます。これは例えば中国がたくさんの穀物を買うとか、たくさんの鉄鉱石を買うとか、石炭を買うとか、そういう実需によるものがあります。
 それからもう一つは、思惑で上がる場合がありまして、多分この商品は上がるだろうということで投機的に上がる場合があります。これは割に普通なことでございます。それからもう一つは、例えば金が上がったような場合は、いわゆる金の実需があるわけではなくて安全なものに資金が逃避するという、逃げ先としての商品相場の高騰というのがあります。それからもう一つは、過剰流動性が発生することによって投機資金の行き場所がないということで、商品市場があっという間に上がる。また、世界全体が景気回復基調にあるという期待感から商品市況が上がると。
 いろんなケースがあると思っております。

○大門実紀史君 大臣、違うんですよ、そういう学習会やってもらうつもりはないんですよ。今なぜ上がっているかを聞いているんですね。
 今もう、私が言うまでもなくいろんな識者の方が指摘していますけれども、要するに上がり方はすごいでしょう。WTIの原油なんか今年初めから二倍ですよ。トウモロコシは二割、大豆が四割ですよね。これは何かというと、金融危機がありましたけれども、米国債などのドル建ての資産から、ファンドなんかもリスクを取る許容量が増えたので、現物資産に移動しているということが中心に指摘されているわけですよね。
 実際に、四月末にG8ですか、G8の農水大臣の会議があって、御存じじゃないのかな、ちょっと心配なんですけれども、そこでは、この間の投資資金といいますか投資マネーといいますか、この日経新聞にも出ていますけれども、これが入り込んでいると。だから、それに対する監視が必要だということをわざわざG8の農水大臣会議で共同宣言で出されているんですよね。
 だから、この間上がっているのはそういう、もちろん一般的なセオリーはそうかも分かりませんが、この間上がっているというのは、投資マネーが、債券市場が危ないと、つまり各国とも経済対策を物すごいやっていますよね、債券を発行していますよね、そこにはちょっと懸念があるので実物資産に入り込んでいると。だから、これだけ上がっていると、今大変な事態になっているというふうに認識をしていただくのが今の原因としては正しいと思うんですよね。
 その上で、したがって、私申し上げたいんですけれども、何でこんな事態になるかというと、一昨年からのガソリンの高騰とか大問題になってきましたですね、原油の高騰が。まさに今回提案されていることなんですけれども、世界の商品先物市場というのはもう金融市場と一体になってきちゃっているわけですよね。それで、生活物資の値段がそういう投資マネーによって左右されて、生活に大打撃ということが実際起こったわけですよ、原油にしたって、食料にしたって。
 そういう中で、しかも今また、あのときはまだこんな大不況じゃありませんでしたけれども、この大不況の中で原油とか食料が上がると、これこそもう消費が回復しない、するどころじゃなくなって大変な事態になるわけですよね。そういう認識で今の商品市場の高騰をとらえなきゃいけないというふうに思うわけでございます。
 そういう点でいくと、商品市場に投資マネーが入ってくるということに関してはかなり監視を強めなきゃいけないと、監督しなきゃいけないというふうに、私はそういうときだと思うんですけれども、大臣の御認識はいかがですか。

○国務大臣(与謝野馨君) お金を監視するというのは非常に難しいことだと思います。
 商品市場は、基本的には実需に基づいて商品の相場は決まってくるわけですけれども、過大なお金が流入しますと、ガソリン、石油も穀物も本当にあっという間に上がると。それで、例えばニューヨークの石油市場の規模というのは十兆円ぐらいの規模だったんですが、そこに五十兆、百兆という投機資金が流れ込んできて、あっという間にニューヨークの石油市場百五十ドルを超えると。全く実需とは関係ない、言わば賭博的な、カジノ的な商品市場になってしまった。これはやっぱり少し反省しなきゃいけないところだと私は思っております。

○大門実紀史君 そうなんですよ。だから、なぜそういう認識なのにこういうものが出てくるのかなということが、私、もう時期尚早というか、一遍元に戻して見直して、商品取引所の問題、商品市場を活性化するにしても、簡単に、これ一年半前ですよ、この原案が出たのは、だから金融危機の前ですよね、前に考えられたことをそのまま今出してきているというこの神経が信じられないんですけれども。
 この法案そのものをちょっと触れないと意味が分からないかも分かりませんけれども、要するに、内藤局長、ちょっと伺いますけれども、この相互乗り入れというのは、金融庁の文書でも、目的としては、利便性の高い市場にして市場規模を拡大すると、それで収益基盤の強化につなげることにあるというふうに書かれておりますけれども、要するに、利便性が高まってそういう投資資金を呼び込んで規模を大きくすれば、だれの利益か分からないけれどもとにかく収益が上がるということをおっしゃっているわけですから、これは当然、そういう投資資金を、投資マネーといいますか投機マネーといいますか、投資資金を呼び込む法案じゃないんですか。

○政府参考人(内藤純一君) 今回のこの法案の中に盛り込まれております相互乗り入れの考え方でございますけれども、これはまず、各国の取引所、世界の取引所あるいは取引所グループが非常に今競争状況にございまして、日本の市場の競争力というもの、これは短期的には様々な問題がございますけれども、中長期的な課題としては非常に重い課題だというふうなことでこれまで検討してまいりまして、この言わば相互乗り入れを可能にすることによって日本の市場の中長期的な競争力の強化を図っていくというのがまず第一でございます。
 第二は、先ほど先生御指摘のような問題ももちろん我々常に心掛けていく必要がございますけれども、利用者利便の向上でございますとか、あるいは、こういう相互乗り入れをする中で問題のある取引、不公正な取引あるいは投機的な資金の流れといったことについては、金融商品取引所と商品取引所の相互の連携、あるいはそれぞれの当局の緊密な連携を通じて監視をより強めまして、そうした不公正な取引がないような、あるいは健全な資金の流れが行われるような対応をしていく必要があるということで、これは商品取引所法の中にも措置されていると考えておりますし、私どもも今後の運営の中でも気を付けていかなければならない問題だと考えております。

○大門実紀史君 そんな何か気を付けるとかじゃなくて、呼び込むことそのものを今よく考えた方がいいと。日本は、日本の商品市場は確かに使い勝手が悪くて狭いから投資マネーが入りにくかったわけですよね。そのおかげでかなり日本の市場は混乱しなかったわけですよ、ニューヨークのWTIとかシカゴに比べて。それは何だったんだろうと。それは良くなかったことなのかどうか。
 もうGMが国有化されるような時代なんですから発想の転換をして、競争力競争力というのは何のことを言っているのか分からないですよ、今。その競争力をみんなで追い掛けて金融危機を起こしちゃったわけでしょう。大崩壊したわけでしょう。一遍元へ戻して考えるべきだし、特に商品市場というのは大臣言われたように小さいんですよね。それに金融が入り込むと、前の原油高騰とかのときに言われたんですけれども、池の中で鯨が泳いでいるという言い方をされたんですよね、金融が入り込んだものですから。狭いところに金融という鯨が入って泳いでいると、こんな表現されたわけですよ。そこのところをよく考えないと、こんな金融危機の前に作った案をそのままずるずると惰性で出してくるというのはよく考え直された方がいいと思うんですけれども。
 せっかく経済産業省来てもらっているので。経済産業省のこの文書、二枚目の資料に、よくまあ、これ二年前だからこんなことを書いていましたけれども、恥ずかしくないのかと今思いますけれどもね。要するに、上の方の文章は、こういう相互乗り入れして、ETFですか、こういうものを、投資家からのニーズがあると、ETFをやってくれというニーズがあると。こんなものにこたえているからこんなことになったんですよね。商品先物市場の流動性の増大をもたらすと。流動性の増大ってあれでしょう、売買契約金額を増やすということでしょう、ですよね。それだけじゃない、目的。下の方には更に、リスクテーカーを増やすと。ファンドですよね、ファンドまで入っているわけですね。こういうものを呼び入れたいと。
 これは二〇〇七年の十二月ですからちょうど金融大崩壊の一年前の文章でございますけれども、こんな認識のまま今回経産省も、商品取引所法案、提案されているんですか。

○政府参考人(大下政司君) お答え申し上げます。
 まず、ETFの関係で流動性が増えるということでございますけれども、一般的に商品の価格と株の価格は異なる動きをするということで、商品先物は株式の代替的な投資対象だというふうに言われております。したがって、ETFを上場することによって投資家にとって利便性があるというふうに言われております。また、このことによって国内の商品先物市場にも流動性が増す、資金が入ってくるという効果が期待されるということを書いております。
 それから、リスクテーカーのところでございますが、リスクヘッジャーだけじゃなくてリスクを取る人が参加することによって、一般的には取引が一方向の売買に偏ることなく、より安定性の高い市場が形成できるものというふうに考えております。その中で、しかし商品先物市場において価格形成がゆがんではいけませんので、過剰な投機についてはよく監視をし、必要な市場管理を適切に行っていくことが重要であるというふうに考えております。そのため、現在国会に提出させていただいております商品取引所法の改正案におきましても必要な措置等を盛り込んでいるところでございます。

○大門実紀史君 ここは経済産業委員会ではありませんから一々言いませんけど、全然そんな対策取っていませんよ、効果なんかありませんよ、こんなもの。異常な相場過熱のときには証拠金引き上げると。もう異常になったときは遅いんですよ。異常に過熱しているときは遅いんですよ、もうこれまでの経験でいくとね。何の役にも立ちませんから。
 私が聞きたかったのは、これ、金融危機が起きる一年前の今説明ですよね。それがこの金融危機を経ても、ただそういう、何ですか、何か小手先の対策取ればこういう投資マネーの流入とか高騰とか、商品価格の高騰というのは、ただマネーゲームをやっている人たちが遊んで、損して、もうけての話じゃないんですよ。生活にかかわるから言っているんですよ。ガソリンが上がったり、食料品が上がったり、パンが上がったり、小麦粉が上がったりするからね。そんなところをこういうマネーゲームの場にすべきじゃないという意味で申し上げているので。一年たってもまだそんな認識、金融危機の後でもそんな認識なのかというのは、私、大変驚くんだけれども。
 もう一つ、そういう、この市場を、商品取引市場を大きくした方が当業者もリスクヘッジになるというふうな昔からの理屈がありますよね。だから、市場規模大きい方が当業者も実需のやっている人にとってもいいんだと、この理屈がありますよね。これも実は私、この前の金融危機、その前の商品市場の原油とか穀物とかのあの高騰で崩れたと思っているんですよ、そのセオリーも。(発言する者あり)

○委員長(円より子君) 私語をお慎みください。

○大門実紀史君 だって、そうでしょう。ニューヨークのWTIにしたってシカゴの穀物にしたって、日本の何倍ですよね。だからこそ投機マネーが入り込んで全部ぐちゃぐちゃにしちゃったわけですよね。だから、規模が大きければその実需、当業者のリスクがヘッジされるなんという理屈は、もうあの金融危機以降成り立たないんですよ。そういうことを全部一から考え直してこういう提案をされているのかどうかを、聞いても考えていなかったということになると思うんだけど、もう一遍、どうですか。

○政府参考人(大下政司君) 商品先物市場において公正な価格形成を図るということは、先生御指摘のとおり大変重要な課題であるというふうに考えております。
 そういう中で市場管理を適切にどうやって行っていくかということが求められているということでございまして、現在提案させていただいております法律改正案の中におきましても、まず、取引所外の商品先物取引の状況を把握するための仕組みを設けて透明性を高めるという措置をとっていたり、相場が異常に過熱しているような局面におきましては主務大臣が商品取引所等に対しまして取引証拠金の金額等の変更を命ずるための規定を設けるなど、一層の規制の整備を盛り込んでいるところでございます。

○大門実紀史君 駄目だこりゃと思いますよね。要するに、何年か後、分かりません、来年かも分かりません、今年中かも分かりません。投機、投資マネーはあり余っていることはあり余っていますから、必ず動き回ってきます。この法案をこうやって通したことによって、来年か再来年か分からないけれども、日本のガソリンとか日本の食料が騰貴したときに、高騰しちゃったときに責任問われますよ。このことをよく考えた方がいいですね。既に経験あるんだから。ニューヨークやシカゴで経験があるんだから、よく考えた方がいいですよね。
 金融庁も、今は経産省がある意味で主体でしたので経産省の産構審の文書でやりましたけど、金融庁だって同じことを同じ時期に、ほぼ同じ内容を提案されているわけですよね、金融審議会の分科会で。だから金融庁も一蓮託生なんですけれども、ちょっとまだ採決まで時間あるようですから、お考えになったらどうかと。
 これは後で禍根を残すと思いますよ、私。日本の物価高騰、商品市場が高騰したときに国会が問われるというふうに思いますので、具体的に更に言えば、店頭取引の問題もありますから、それは次回指摘したいと思いますけれども、十分考え直してほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。
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