● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■ 2010年3月23日  財政金融委員会
○大門実紀史君 大門でございます。おはようございます。今日は、ほかの委員会とちょっと重なっている関係で、順番を自民党、公明党の皆さんに配慮してもらって先に質問させていただきます。感謝を申し上げます。
 この間、問題になっている都市農業の再生の問題、税制の在り方について質問をいたします。郡司副大臣にもわざわざ来ていただきまして、ありがとうございます。
 都市農業の重要性が、食料の問題だけではなくて環境問題も含めて叫ばれるようになって、予算委員会の参考人でもJAの代表の方がこの都市農業問題に集中して御意見、御要望を述べられたところでございます。
 まず、ちょっと資料をお配りいたしましたが、一枚目に農地の課税上の区分を表示してございます。都市農業で問題になるのは市街化区域の農地でございますが、その解説といいますか、分かりやすい図になっております。農地とみなされる生産緑地の中の農地、一般市街化区域内にある農地、三大都市圏の特定市街化区域にある農地ということで、それぞれ評価と課税の仕方が変わるというのを図にしてございます。要するに、宅地並み評価、宅地並み課税になると大変重い負担になるということでございます。
 二枚目の資料に、そういう市街化区域内の農地の面積が激減しているという資料でございます。これ、都市計画法上、既に市街化を形成している区域はおおむね十年以内に優先的に市街化を図るべきというふうなことがございまして、そういう地域では農業振興地域の指定を行うことができないということで、要するに市街化区域内の農地というのは農業施策の対象から除外されてきたと。これが農業をしていても固定資産税が農地課税ではなく宅地並みになっている根拠でございますし、そのこともあってこれだけ農地面積が減少していると。十五年間で約半減しているということでございます。
 三枚目の資料は、三大都市圏の特定市における農地面積ですけれども、これも同様に十五年ぐらいでほぼ半減していると、農地面積がですね、ほぼ半減しているということでございます。
 大変危機的な状況になっていると思うんですけれども、まず郡司副大臣にお伺いいたしますけれども、こういう都市農業、農地が減っている、激減した原因として農水省はどういうふうにお考えかをまずお聞かせいただきたいと思います。

○副大臣(郡司彰君) 今、大門委員御指摘になされましたとおり、いわゆる都市農地というものは減少をしているわけでありますけれども、これまた御説明の中でございましたように、市街化区域といいますのは、十年以内に計画的にあるいは優先的に市街化を図るべき地域ということでございますので、その原則からいたしますれば、農地が減少をするということは結果として導き出される数字なのかなというふうに思っております。
 ただし、そこの自治体と生産者の方で契約を結んで農業を続けていこう、生産緑地に指定をした、その地域について見れば保全をされている状態が一方では続いているのではないか、このように分析をしているところであります。
○大門実紀史君 おっしゃるとおり、生産緑地のところは減ってはいないというのがこのグラフにもあるとおりでございます。
 問題は、全部生産緑地にできるわけではございませんので、非常に基準がございまして、簡単ではないというところでこの市街化区域の農地が減っているということでございます。要するに、土地利用政策の結果減ったということが言えると思います。
 具体的な話で、資料四枚目に埼玉県の川口市の、県全体で、川口市の状況の表を載せておきました。
 ここでは、川口の中でいえば、どんな議論がされているかといいますと、これは埼玉新聞に川口の農業を考えるという市長対談というのがございましたけれども、そこで市長さんがおっしゃるには、埼玉県川口市でいえば、昭和四十五年当時千五百ヘクタール以上あったものが、平成十七年には四百七十五ヘクタールに減っている、このままでいくとあと二十年後には完全にこの町から農地がなくなってしまう、これでいいのかということで、何とか農地を維持したいということで、最大の問題は、農業の生産額よりも固定資産税の方が高く、なおかつ相続にしてもかなり厳しい制約があると、こういう点を緩和してもらいたいということをおっしゃっております。
 この市長対談で、税理士さんも、農家の経営は大体赤字だと、農産物の出荷で経費で一番大きいのは固定資産税だということをおっしゃっております。農業をやりたくても土地を手放さざるを得ないというふうなことが続いているということで、税の負担がかなり重いということになっているわけでございます。
 この点で、税の問題を含めて、農水省として各省庁に御要望されることがあったらお聞かせいただきたいと思います。

○副大臣(郡司彰君) 埼玉県の事例を申し述べられましたけれども、埼玉県は独特の体系をつくりながら農業を維持をしてきたところでございます。里山があって、水田があって、畑があって、そこで堆肥を作りながらというものがこれまでの形でしたけれども、それがなかなか思うような形で残せない、こういうような現状が続いてきたんだろうというふうに思っております。
 そのような中で、私どももこの都市農地というものが多様な役割を果たしているのではないか、そのような観点から、これまでも都市農地に対する相続税の納税猶予といった税制措置でありますとか、あるいはまた都市農業の振興に必要な市民農園等の支援等を行ってきたところでございます。
 これに対しまして、先ほど指摘がございましたJAの皆様方あるいは生産者の皆様方からは、この相続税の納税猶予というものを続けていただきたいということと、あるいはまた、今後の都市計画法などの計画の中で、例えば本人が生産を続けられなくなったときにでも、貸すことによってその農地を保全できるような税制の在り方というものも検討していただけないか、そのような意見を伺っているところでございますけれども、ただこれ、御指摘のとおり、私どもだけで判断をするものではございませんので、省庁とまたがった形でこれからの課題として検討していかなければいけない、そのように思っているところでございます。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 資料の五枚目に、JA、農協中央会の税制改正要望をそのまま載っけてございます。下の方にございますけど、都市農地については、三大都市圏特定市では、宅地並み課税の実施、その他の市町村では負担調整措置の実施など、固定資産税の引上げが行われて、その結果、都市農地の面積の減少が続いていると。このままでは都市農業、農地の果たす多面的機能の発揮が損なわれかねない状況にあるということで、このような中で、見直しが検討されている都市計画法において、都市農地を都市政策の中に明確に位置付け、関連する税制について見直しを行うことが必要だという要望を出されております。
 先ほど申し上げました、この固定資産税の重さを数字で申し上げますと、資料の六枚目でございますけれども、これは一般農地と特定市街地農地、一般市街化区域農地のそれぞれの一平米当たりの固定資産税の税額を計算したものでございます。要するに、一般農地の場合は一平米当たり〇・九五円、特定市街地区域農地が百八十二・九九円、一般市街化区域農地が五十三・五二円ということで、つまり特定市街化区域農地は一般の実に百九十二倍と、一般市街化区域農地は一般農地の五十倍以上ということになります。これは先ほど申し上げました川口市などでは、実に数百倍の課税額になる部分もございました。つまり、農業生産物でこんなに高い固定資産税を払い続けることはもう到底不可能でございまして、農業所得の数倍の固定資産税というのは、もう農業やめろと言っておるようなものでございます。
 こういう中で、先ほど郡司副大臣からあったとおり、今都市計画法の抜本見直しという方向が進められているのも事実でございます。こういう大本には都市計画の問題があるわけですから、国交省に伺いますけれども、この都市計画法の見直しの中で、この都市農地の問題はどういう方向で議論されているのか、少し教えてもらえますか。

○政府参考人(花岡洋文君) お答えいたします。
 私どもでは、昨年の六月に都市政策の基本的な課題と方向検討小委員会の報告といったようなものを取りまとめております。その報告におきましては、都市内の農地の多面的な機能といったものを都市が将来にわたって持続していくために有用なものとして、都市政策の面から積極的に評価をいたしまして、農地を含めた都市環境の在り方をより広い観点で検討していくべきとしているところでございます。
 今後、人口減少や高齢化といったものが進みまして、また地球環境問題への対応も求められるといったことを考えますと、効率的でコンパクトな町づくり、私どもではこれをコンパクトシティーといったふうに呼んでおりますけれども、こういった町づくりを進めていくことが肝要でございまして、その実現を目指す観点からも、都市内の農地の在り方につきまして、引き続き重要な課題として考えていく必要があると考えておるところでございます。
 なお、こうした都市内の農地の在り方につきましては、都市行政のみならず農業政策、税制など関係省庁との連携が不可欠でございますので、今後とも関係省庁と協力いたしまして総合的な観点から検討してまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 要するに、今までの都市計画でいきますと、市街化区域というのはできるだけ宅地にしなさいというような流れがあったわけですよね。人口減少もありますし環境問題もありますし、農業の多面的機能もあるから、必ずしも宅地にしろ宅地にしろじゃなくて、違う方向で考えていくというような方向に議論はされているということで、議論の方向はしっかり見守りたいと思いますし、そういう視点を都市計画法の改正に具体的に反映してもらいたいと思います。
 もう一つ、この都市農業をやっていらっしゃる方の強い要望がございまして、これは予算委員会の参考人の方もおっしゃっておりましたけれども、平地林、屋敷林の問題でございます。
 私は、埼玉県三芳町の三富新田という現地を見てまいりましたけれども、畑がございましてその隣に林があるわけですね。その林の落ち葉とかを堆肥にしてその畑で使うというふうな、農地と平地林というのは循環型の非常にいい役割を果たしているわけですけれども、この平地林に関していえば、相続税の納税猶予制度、普通の農地ならば二十年間納税が猶予されるということですけれども、平地林とか屋敷林にはそういう措置が、制度がないと。したがって、相続のときに相続税を払うためにその平地林を切り売りせざるを得ないというのが今の実情です。
 どんどんどんどんその平地林が都市部では減ってきておりまして、これは環境問題にも大きな影響を与えると。あるいは、平地林の部分に産廃施設とか倉庫を建てるとか、そういうことでないと税金の問題が負担が堪えられないというような状況になっておりまして、この平地林もどんどん減っているところでございます。
 都市農業サミットというのがございまして、これは平成二十一年十月十九日でございますが、これは三大都市圏の特定市が参加した都市農業サミットですけど、この共同宣言の中でこういうふうに言っております。農業生産に必要不可欠な施設用地や都市における貴重な緑地空間を提供する屋敷林について、相続税の軽減措置を講じられたいと、さらに、水の循環や生態系の保全に重要であり、農用地と密接な関係にある山林、平地林についても相続税の軽減措置を講じられたいというふうな要望が出ております。
 今まで財務省はこういう要望に対して、農地と平地林は違うんだと、何が違うのか説明抜きに、ただ違うんだということの一点張りでございましたけど、どうなんでしょう、そろそろこういう循環型の農業とか環境を考えると、そうかたくななことを永久に言い続けるのではなくて、若干こういうことも検討せざるを得ないんじゃないでしょうか。
 ちょっと、峰崎さん、お考えございましたら。

○副大臣(峰崎直樹君) ちょっと済みません。今、私の──あっ、そうですか。

○国務大臣(菅直人君) いや、私が。実は四十年前に私が最初に取り組んだ市民運動がよりよい住まいを求める市民の会という、実はこの市街化、いわゆる農地の宅地並み課税を、当時、自民党から共産党まで全部反対する中で、市民運動の立場ですが、やっぱり住宅を安くサラリーマンが入手するにはしっかりやった方がいいんじゃないかという運動をやったものですから、実はもう古い話まで全部頭の中に思い出しております。それを全部言うと三時間ぐらい掛かりますので、二、三分にとどめたいと思いますが。
 つまりは、日本の土地政策の大失敗が私は根底にあると思います。ドイツなどでは、ここは畑とか緑というのは完全に守られます。その代わりここは住宅を造っていい。それは都市計画が非常にしっかりしていますから、自治体のいわゆる地区詳細計画で決められるわけです。しかし、日本の場合は、基本的には土地所有者が自分の土地をどう使ってもいいというのが原則でありまして、例外的にこれはこうしちゃいけない、あれはああしちゃいけないと。
 そこで、一九七〇年代の初めに、今言われたように市街化区域という制度を導入して、ある意味では農業に使うところと、それから都市的利用するところをちゃんと区分しようと。これは下水道など、私の選挙区の三多摩は典型的ですが、下水道などを引く上で、スプロールが広がると下水道を一キロ引いても、家が極端に言うと十軒しかないと。これじゃ困るので、やっぱり駅前のある範囲内はもう十年以内に道路や下水道を全部整備する、そこは市街化区域という形で位置付けよう、それから外は市街化調整区域なり一般農地で保全しようと、そういう建前でやったわけですが、御存じのように、最初のうちは農業をするためには市街化区域内に入らないという動きもあったんですが、市街化区域内に入らないと宅地転用がしにくいということで、猛烈に市街化区域内に入ってしまったんですね。ですから、その辺りからして、実は非常に根源的な矛盾が起きてしまって、約四十年が経過してしまいました。
 私も、原理的にはドイツのようなしっかりした都市計画の下でやるべきだと思っていますが、四十年たった今日の段階で今からどうするかというときには、今もう人口増も止まりましたし、あるいは都市への流入も止まりつつありますので、これからはいろんな経緯の中で残った農地はしっかりと守っていかなきゃいけない、このように考えております。これは考え方を変えたというよりも、四十年前の失敗が、あれこれ言うともう長くなり過ぎますからほどほどにしますが、実は土地バブルを招いたのもこういう、一般的に保有税をめちゃくちゃ安くして、そのために地価税なども導入したんですけれども、間に合わなかったんですけれども、日本の土地バブルが起きたのはそういう背景があります。
 それから、今、大門さん御存じだと思いますが、農地については収益還元価格で固定資産税も相続税も評価していました。だから、三多摩で坪五十万するところが収益還元価格だと相続税で一反でたしか八百円ぐらいじゃなかったでしょうか、相続税でですね。ですから、そういうふうに収益還元で見るのかいわゆる売買価格で見るのかで、元々何百倍という差が特に大都市においてはあったということも御存じだと思います。
 余り長くなってはいけませんので、今の状況の中で私が考えますと、やはりその農地というものをいかにして緑地として、あるいは防災的な観点も含め、さらには都市に新鮮な野菜を供給する、そういう意味を含めてどのように位置付け直すかということが今改めて問われている段階だと思います。
 そういう意味では、市街化区域に入りますと、もう今は建設省、つまり国土交通省の管轄に入って農水省の管轄から事実上外れておりますけれども、もう一度、今日は農水省も国土交通省も来られていますから、そういう皆さんがいろいろ協議をされて、そういう都市に住む人たちと、そして都市で農地で耕している人たちとの合意ができる新しい形を見出す中で、そういう中では、場合によっては財務省という立場といいましょうか税制という立場でもそれに見合った税制の在り方を考え直さなきゃいけないのかなと、こんなふうに思っております。

○大門実紀史君 時間ございますので、もっとしゃべってもらっても結構なんですけれども、いや、大変造詣深いなと、私よりも詳しいなと思ってびっくりいたしました。
 おっしゃった点をお聞きしたかったことでございまして、この前参考人の方も、加藤さんというJAの方来られたんですけれども、もう大臣が、菅さんが言われるとおりの方向でお願いしたいということをおっしゃっていました。
 つまり、今まで何度も、例えば固定資産税を下げてくれとか、財務省に相続税何とかしてくれと言っても、それぞれ省庁が自分の頭で狭いところで考えて、できません、できませんと。国交省も違う方向で考えていると。もう各省庁がばらばらで、幾ら言っても動かなかったという点が、まあおっしゃるとおり、元々都市政策がどうだったのかと、土地政策がどうだったのかというのはあるわけですけれども、それでずっと来て、JAの方々も、もう各省庁ばらばらでやるんじゃなくて、ちょっと都市農業、都市環境の問題も含めて、全体で考える何か仕組みといいますか、JAの方おっしゃったのは、都市農業基本法のようなものを作ってもらいたいと。それに基づかないと各省庁がやっぱりばらばらで動いてしまうと。
 都市農業基本法と言うかどうかは別として、私は本当に、財務大臣というよりも副総理としての菅さんに今日お聞きしたかったのはまさにその点でございまして、各省庁がばらばらに対応するんではなくて、都市農業、都市環境をどうするかという点で、ちょっと総合的な検討に入ってもらいたいというふうに思うわけですけれども、その点だけもう一度、菅さんのお考えをお聞きしたいと思います。

○国務大臣(菅直人君) 持論と立場で言えることと両面ありますが、先ほどもドイツの例を挙げましたけれども、ドイツの場合は自治体ごとに、この範囲は農地なり林で残そうと、この範囲は開発しようと、そういうのを自治体の条例で決める形になっております。私は何年か前、もちろん野党時代ですが、そういう趣旨の都市計画法改正案というものを国会に出したことがあります。そういうふうにして、守るべきものはしっかり守っていくという形が私は本来の都市計画の在り方だと思っています。
 ただ、残念ながら、日本はそういうしっかりしたルールができないまま都市化が進み、かつ今のような状況になっていますから、もう一度、いわゆる日本の土地が大ざっぱに言えば農林省管轄と国土交通省管轄に実は見えないところで国が違うぐらい実はその扱いが分かれている。このことを改めてもう一度、特に都市に存在する農地については考えた上で、今JAの方が言われたという紹介のありました都市農業基本法といったような考え方をどういう共通の理念でやればいいのか。
 特に、私も三多摩に住んでおりますので、農地は生産緑地で守られていても、屋敷があるものですからどうしてもその屋敷の固定、相続税が非常に高く付いて、結果としてはなかなか農地を保全できない。つまり、農地そのものは生産緑地に指定していれば固定資産税も相続税も減免なり猶予があるわけですが、宅地部分がどうしても屋敷林を含めてありますので、なかなかできないと。だから、場合によったら、中小企業の事業承継的な考え方も取り入れて、その代わり、その空間についてはある種のパブリックな利用というものをある程度認めるみたいなことも含めて、いざというときの防災的な機能も認めるということで、何らかの形で事業承継できるような考え方が導入できないかなと。
 こんなことを含めて、機会があればもちろん、農水省、国土交通省が中心だと思いますが、必要によってはそういった場をつくることに力を貸せる機会があれば貸したいと、このように思っております。

○大門実紀史君 是非もうその方向で御検討いただければ、今まで皆さんが御要望してきたことが、先が展望が見えてくるんではないかというふうに思います。
 これで終わります。ありがとうございました。
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