● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■ 2010年9月9日 財政金融委員会 円高対策について質問。円高を招いた「デフレ」克服の鍵は賃上げにあると主張。
○大門実紀史君 大門でございます。昨日までヨーロッパにおりましたので、この十分の質問のために戻ってまいりましたので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 現在、今日もありましたけれども、為替相場を決定する、まあいろいろあっても一番の条件は金利の金利差の問題だというふうに思います。要するに、金利の高い国の通貨は買われると、だから通貨高になるというようなことが、いろいろありますけれども、この間は特に円とドルでいえばその点が大きいのではないかなと思います。
 更に重要なことは、実質金利の差だと。御存じのとおり、実質金利というのは物価上昇率を加味した金利でございます。幾ら金利が高くても物価上昇が高いと相殺されてしまうということで、実質金利が焦点になってくると思いますけれども。その点でいきましたら、日米間の実質短期金利差、これはいろんなデータがありますけれども、大体今もう日本の方がアメリカよりも高くなっていると、実質の短期金利差ではですね。名目の場合はほとんどもう変わらない数字になっていますけれども、実質短期金利差では日本がむしろ高くなっていると。これはもう取りも直さず、物価上昇率がアメリカはプラスですけれども、日本はデフレでマイナスということにあるんだと思います。したがって、この円高対策問題は、当面の金利政策だけではなくてやはりこのデフレの問題、物価そのものの問題が根幹にあるといいますか、その方が重要ではないかと思っております。
 この点で、私もちょっとヨーロッパへ行っていろいろ聞いたことも含めて質問したいと思いますけれども。デフレですね、すなわち消費者物価指数、CPIが恒常的に下落しているのはこの先進国の中で日本だけの現象でございます。確かに今、欧米も景気後退局面でございますけれども、デフレではないという状況ですね。ですから、不況一般とデフレというのは分けてきちっと議論しないといけないんではないかと、混同した議論が今日もされているんではないかと思います。
 じゃ、なぜ日本だけ長期にわたってデフレが続いているのかと。ヨーロッパでも話聞きましたけれども、グローバル化の進行とか中国やアジアの安い商品が入ってくるというのは、これはヨーロッパも同じです。ですから、その辺の条件は別に日本だけで起こっているものではございません。要するに、日本特有の、じゃ原因は何なのかということで、これはヨーロッパ行って詳しく聞いてよく分かったんですけれども、日本だけが賃金が傾向的に下がり続けていると、これがほかの国と日本との先進国の中では違いでございます。
 ですから、ヨーロッパでメガバンクの関係者等にも聞きましたけれども、日本のこのデフレというのは、これは共産党が言うんじゃないんですよ、メガバンクの人が言うんですけれども、賃金の減少、購買力の低下、それが価格が下がる、そうするとまたコスト削減して賃金をまた下げる、この物価の下落と賃金の下落のスパイラルが起きている、ヨーロッパではそこには歯止めが掛かっていると、だからそういうスパイラルにはならないというようなことをおっしゃっておりました。
 したがって、私は、この円高、株安の当面のいろんなあれこれの議論もありますけれども、根本的にはやっぱりこのデフレ克服、そのためには日本特有の事情であります賃金のこのずっと下降をたどっている、これに手を打たないとあれこれやってもまた同じことを繰り返すんではないかと思いますけれども、財務大臣の認識をまず伺いたいと思います。

○国務大臣(野田佳彦君) 円高の一つの原因というのは、委員もおっしゃったように、欧州、これは景気減速というか、後退というよりは先行きの不透明感が強いということだと思います。それから、アメリカの回復が思ったより遅れていると、そういう海外経済要因があってリスク回避から円を買うという傾向と、それからもう一つは、やっぱり金利差の問題、これは特にドル・円においては縮小傾向があるということが大きな原因だと思いますし、委員が御指摘のとおり、その中でのデフレというのは、貨幣の実質価値の相対的な上昇を通じて、これは円高の一つの要因にはなっていると、そういう認識はやっぱり共有できるというふうに思います。
 その中で、賃金のお話しされました。賃金というよりも、私はもうちょっと幅広く雇用の問題としてとらえて、それが今の厳しい状況が続いていることが一つの要因になっているのではないかなというふうに認識を持っていますし、需要と雇用をつくっていくという意味でも経済対策を短期的にも中長期的にも打ち出していくことが必要だというふうに思っています。

○大門実紀史君 そこで、その雇用というのは何にも否定しません。今、円高で企業が厳しいですから、企業に必要な支援をするということも重要です。雇用を生んでもらうと。ところが、今までもそれは何度も言ってきたことであるんですが、その雇用の次なんですね。ここがヨーロッパとの違いでございまして、ヨーロッパは非正規雇用にしたって同一労働同一賃金というのが基本的に確保されていますから、コスト削減の手段として非正規雇用が雇われているわけではないという、つまり雇用を増やす、守るということは賃金を増やすことにもつながるわけですが、日本の場合は雇用が増えたからといって、非正規雇用が増えたからといって賃金上がらないというのはこの間続いてきたことでございます。それが二〇〇二年から二〇〇七年のいわゆる景気回復のときも一向に賃金が上がらなかった理由はそこにあるわけでございまして、大臣おっしゃる雇用まではもうそのとおりなんですが、その次の賃金のこともやらなければいけないんじゃないかというのが私先ほど聞きたかったことでございます。
 その点で、企業の回復ももちろん重要ですが、同時に賃金の問題、雇用と賃金の問題を並行して今度はやっていかないとデフレ克服につながらない。したがって、こういう議論は何度もこの十年間ここでやってきたわけですが、一向にデフレが克服されないところは、光が当たっていないのはそこだけですので、やっぱり賃金に注目した政策が必要ではないかという点で、最低賃金を引き上げるとかいろいろありましたが、企業にも配慮しなきゃいけませんが、やはり踏み込んだ賃金を上げる政策が必要じゃないかと思いますが、その点、簡潔に一言お願いします。

○国務大臣(野田佳彦君) 賃金、そして雇用含めての総合的なイメージは共有できると思います。その意味でも最低賃金の引上げ等で我々も努力をさせていただいているところでございます。

○大門実紀史君 白川さんにも同様の趣旨で聞きたいんですけれども、要するに、こういう円高・株安対策の議論というのは、この委員会ではこの十年間もう何回も何回もやられて、同じような議論があります。毎回、日銀にあれやれこれやれとか、打つ手が遅いとか、後手に回っているとか、もう毎度のように言われてきたんじゃないかというふうに思います。
 今日も、銀行券ルールを外せとか、あるいはマイナス金利ですか、もういろんな話が出てくるんですけれども、私は、既に日銀はもう何年も前から撃つ弾はもう撃っちゃっていると。打つ手がほとんど、正攻法の手はほとんどもうなくなっているのではないかと思います。それなのに、毎回こうなるとあれやれこれやれと言われる。どうしても政府・与党、与党が替わったりしますけれども、いろんな圧力とかがあって、最後の規律は守られていると思いますけれども、どんどんイレギュラーなあらぬ方向の手を打ってこられたのではないかと。
 今回の成長分野への直接資金供給ですか、あれはいいことだと思いますが、中央バンクがやることなのかというふうに私は思っておりまして、そういうふうにやってどんどんどんどん供給するのはいいですけれども、その金余りが実体経済には供給されないで、結局、海外に回ったりバブルをつくる手伝いをしてきているというようなこともありますので、本来的な役割を日銀が果たすために、やっぱりどこかで適正金利に戻していって手段を持つしかないと、私は基本的にそう思っております。それにはやっぱり実体経済を、もちろん日銀何もやらなくていいという意味じゃないですけれども、実体経済を良くしないでこのまま日銀にいろいろやれやれと言っても、どんどんどんどんあらぬ方向に行ってしまうのではないかということを前から思って、ここでも申し上げていたところですけれども。
 その点で、今申し上げたデフレ賃金の問題、白川さんの見解で結構ですが、簡単にお願いしたいと思います。

○参考人(白川方明君) 先ほど日本に固有のデフレの要因は何かということでございまして、私は、一つは賃金の伸縮的な動き、賃金が下がっているということ。それから二つ目には、日本の成長期待が下がっているということだと思います。
 前者についてのみ申し上げますけれども、欧州と日本を比較した場合の大きな特徴は、日本の賃金は欧州対比下がっているということであります。このことが、欧州は賃金は下がっていませんけれども、逆に欧州の高い失業率の原因にもなっているということでございます。日本の場合は、労使が協力して最終的に雇用を守っていく、そのために賃金の伸縮的な調整を受け入れるという決定をしたというふうに認識しております。
 いずれにしても、大きなショックが加わったときにどちらの対応が望ましいのか、これは先見的にどっちがいいかというふうにはなかなか申し上げられませんけれども、しかし、日本はそういう選択をした結果賃金は下がり、その分はデフレの圧力になっているということだと思います。
 もう一つの大きな要因は、これは成長期待の低下ということで、これは成長基盤を強化していく、今先生がおっしゃったそうした努力をしっかりしていくということが大事だと思っています。

○大門実紀史君 一言だけ。いま一言だけ。
 ヨーロッパは確かにそうですけれども、社会的なセーフティーネットがあって、失業しても所得が保障されるというのがあるから購買力が落ちなくてデフレにならないというのがありますので、その点は踏まえていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
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