● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2010年10月25日 予算委員会 最低賃金引き上げで内需拡大を。管直人総理に「内需主導経済に重要」「魅力的な提案」答弁させる。
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
 本日は十分しかございませんが、経済問題の核心に触れたいというふうに思います。
 現在の深刻な経済危機を打開するためには、企業サイド、特に大企業にため込まれている巨額の内部留保、どう経済全体に還流するかということが重要でございます。この点は幾つかのシンクタンクも指摘しておりますし、菅総理も国会でもう既に言及されている点でございます。問題はその具体的な方策でございますが、我が党は、派遣などの非正規雇用の正社員化を進める、もう一点は最低賃金の引上げを進める、この二つが重要だというふうに考えております。今日は、その点で、最低賃金の問題について、内需拡大、経済対策として最低賃金問題を総理に質問したいというふうに思います。(資料提示)
 パネルを御用意いたしましたけれども、御覧になって分かるように、日本の最低賃金は、引き上げられたといっても全国平均でまだ時給七百三十円、先進国の中で極めて低い水準にございます。ちなみに、時給七百三十円ですと、一か月フルタイムで働いても十一万程度の収入にしかなりません。今、時給七百三十円以下で働く人は全国で百二十万人もおられます。したがって、ワーキングプア、働く貧困の解決のためには、この最低賃金を早期に引き上げるということが重要になっております。
 同時に、今日申し上げたいのは、この最低賃金の引上げというのは有効な内需拡大、経済対策でございます。イギリスやアメリカなど諸外国の例を見ても、アンチビジネスという言い方もされておりますけれども、アンチビジネスどころかプラスビジネスになっている。企業にとっても結果的にプラスに働いております。つまり、賃金が底上げされる、国民の消費購買力が引き上がる、物が売れる、内需に依存している中小企業あるいは小売やサービス業にプラスに働くわけでございますし、従業員の方々のやる気も増して個別経営にもプラスになるということでございます。したがって、経済団体とか御用学者の方々が、最低賃金引き上げると失業が増えるというふうなことは諸外国では確認されておりませんので、この点ははっきり申し上げておきたいと思います。
 その上で総理に伺いますけれども、最低賃金の引上げというのはもちろんワーキングプアの解消に役立つわけですが、同時に内需拡大策としても経済対策としても非常に大事なことだと思いますが、総理の御認識を伺いたいと思います。

○内閣総理大臣(菅直人君) 賃金の引上げは、労働者の生活不安を払拭し、内需主導経済につながる重要な政策と考えております。そういう意味で、今、大門さんがおっしゃった最低賃金の引上げそのものは内閣も積極的に取り組んでいるところです。
 多少ニュアンスが違うとすれば、私はよく雇用を言うわけですけれども、つまりは雇用が例えば介護とか保育とかいろんな分野で拡大し、そして失業率が下がってくると、結果として給与がだんだんと上昇してデフレがなくなると。ですから、大門さんの方は、ある意味では制度的にこの最低賃金を引き上げることがスタートになるという、これはこれで私たち否定するものではありませんけれども、同時に雇用そのものを増やすことからそういう好循環に持っていく。かなり似たような考え方ではあるけど若干の重点の違いがあるかなと、そんな感想を持ってお話を聞いておりました。

○大門実紀史君 私どもも雇用を増やすことは否定しておりません。ただ、低賃金の非正規雇用が増えるだけでは賃金全体の下請圧力になってしまって、このデフレが脱却できない最大の原因でございますので、雇用と賃金の引上げを両立して今進めることが非常に重要だということを申し上げたいわけでございます。
 その最低賃金の引上げは、世界の例を見ても内需拡大の経済対策として大きくとらえていただきたいというふうに思います。問題は、そういう経済効果が出るまでの間、実際に企業の支払う賃金は増えるわけですから、それはもう事実でございますので、そこのところの措置をしなければいけないと。大企業は巨額の内部留保をため込んでおりますから十分負担能力がございますが、問題は中小企業でございます。
 最低賃金の抜本的引上げに際して、いろんな国でいろんなことが行われておりますが、パネルにいたしました。例えば、アメリカでは二〇〇七年に大幅な最低賃金引上げを決定いたしました。三年間で日本円にすると一気に二百円引き上げるというような措置をとりました。抱き合わせで中小企業向け減税を約八十四億ドル、当時の、換算すると八千八百億円程度でございます。これは五年間でございますから年間にすれば一千七百億円の中小企業向けの支援措置をとったわけでございます。
 下に書いてありますフランスの方ですけれども、フランスも二〇〇三年に最賃引上げに大変強力に取り組みました。そのときに企業の社会保険料負担の軽減措置をとりました。何と金額が日本円にしますと二兆二千八百億円、これは三年間ですから年間にしますと七千億円以上の支援措置をとったわけでございます。これは特に中小企業に軽減されるという措置でございます。
 これらの国に比べて、日本の政府が来年度予算に向けて発表された中小企業支援措置というのは、もう率直に言って何かの間違いじゃないかと思うほど大変お粗末な政策でございまして、書いてございますが、最低賃金が今六百八十円以下の十九の県に限って八百円に上げたときに支援措置をとるということでございます。ちなみに、この十九の県というのは、以外に、例えば北海道とか栃木とか群馬とか茨城とか北陸の各県とか六百八十円に近いところは、どういうわけか線を引かれて対象外になるというふうな措置でございます。
 総額も何とわずか六十二億円。しかも、下の方に書いていますが、相談窓口の開設とかそういうものを除くと、中小企業への支援、直接支援措置というのはわずか四十一億円でございます。しかも、中身を書いてございますが、業務改善等助成金十億円というのは設備投資をしたら助成してあげると。その下の賃金改善奨励金というものも、九千の、その十九の県の九千の事業所に十五万円から七十万円の奨励金を出すという制度でございますけれども、実はこの十九の県には四十七万という会社がございます。わずか二%だけにもう先着順で予算のある範囲で早い者勝ちで出してあげるというような、しかも賃金助成としても支払総額の数分の一にもならないというような非常にわびしい施策でございます。
 なぜアメリカとかフランスがこれだけの規模の取組をしたかというと、貧困の解消だけではなくって、これが経済対策になると、景気対策になると、そう位置付けたんでこれだけの規模の取組をしたわけでございます。ところが、日本はちまちましたこういうものしか出てこないというのが今の限界でございますが、民主党は、二〇〇九年のマニフェストでは、何とこの最低賃金引上げで二千二百億の予算措置が必要だと。当時は一応本当に真剣に、まじめに考えられておられたわけですね。それがなぜこんなことになってしまうのかということを大変残念に思っております。経済対策として位置付けた場合、今度の補正予算五兆円規模だというレベルでございますから、もっと規模も中身も思い切った対策が打てるんではないかというふうに思います。
 是非、来年度予算作成までまだ時間がございますので、外国の例も勉強していただいて、経済効果も勉強していただいてもっと見直してほしい、もっと抜本的な対策を取ってほしいと思いますが、総理にお考えを……

○委員長(前田武志君) 総理の前に海江田……

○大門実紀史君 いや、指定していません。総理しか指名していません。どうぞ。

○内閣総理大臣(菅直人君) おっしゃることは大変魅力的な提案だと思っております。
 先ほども申し上げましたが、私も介護とか保育のところにある程度財政出動しても、そこで雇用が生まれればそこから波及的に成長し、あるいは給与をもらった人はそこから税金を払うと。そういう意味で、こういった分野で中小企業を支援することがそういうものに好循環になっていくということについては、私たちも十分その可能性はあると思っております。
 ただ、それが現金で、いわゆるばらまきという見方もされるもんですから、そういう点での経済効果については、今の提案をいただいて、私の方でもどの程度の効果があるのか、そういう議論をしてみたいと思いますので、もし具体的にこの程度の費用を掛ければこの程度の効果が生まれるということの提案があれば、またお聞かせをいただきたいと思います。

○大門実紀史君 是非、提案もしていきたいというふうに思います。
 それと、賃金助成じゃないんですよ、ほかの国はですね。日本は賃金奨励金という形の賃金助成なんです。賃金助成という形より難しいんです、実務負担も含めて。もっと違う形の抱き合わせ措置が必要だと、それが世界の取り組んできた例だということ。また具体的に御提案をしながら、御一緒に最低賃金を早期に引き上げるということに日本共産党として取り組んでいきたいと思います。
 終わります。
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