● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■20101年11月22日 予算委員会 「ヨーロッパでは社会保障の財源は消費税」との宣伝の偽りを暴き、大企業に応分の負担を求める。
○大門実紀史君
 大門実紀史でございます。
 先月の予算委員会で総理に最低賃金の引上げを中小企業支援策と併せて内需拡大策の経済対策としてとらえるべきだという質問を申し上げました。総理はそれに対して、大変魅力的な提案だと、また経済効果について調べてほしいという御要請もいただきました。せっかくの御要請ですので、先週幾つかの資料を総理にお渡しをしたところでございます。
 時間の関係でその資料の紹介は省きますけれども、とにかく前回申し上げたように、アメリカやフランスでやったように、最低賃金引上げと中小企業支援策をセットで内需拡大策として行えば、総理が言われたようないい循環を、いい経済の循環をつくることができるというふうに思いますので、提出した資料などを参考に、是非とも最低賃金引上げについて積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(菅直人君) 大変いい資料をいただきまして、全部は読めていませんが、概略は読ませていただきました。
 実は今、前の松田議員の議論とこの問題、非常にかかわっていると思います。つまりは、自民党の皆さんは、最低賃金を上げるとこれはアンチビジネスだと言い、あるいは労働の非正規雇用が減ってくるとそれもアンチビジネスだという言い方をするんですが、私は必ずしもそうは思っていないという点では大門さんと共通ではないかと思います。
 つまりは、確かに異常に高い給与を決めてしまえばその会社はもちませんけれども、トータルとして給与が、例えば介護のところに少しお金が回ってきて、そこでこれまで働かなかった人が働くようになって、そしてサービスを生み出して、そしてそれなりの税金を払っていけば、そこには好循環が生まれるわけでありまして、そしてデフレに対しても、先ほど来申し上げていますように、失業率が下がれば賃金に対する上昇圧力が掛かりますから、そういう面でもデフレが解消していく。
 ですから、私も機械的に最低賃金を高く、水準上げたらそれですべてがうまくいくとは思いませんが、少なくとも失業率を下げるといったようなことも含めて積極的にやることによって最低賃金が上がり得る状況をつくるということによって経済が立て直ってくるという、そういう御指摘、たくさん参考例をいただきましたが、大変私は示唆に富んだものだと、こう受け止めました。

○大門実紀史君 総理と意見が合いそうなのはここまででございまして、今日は財政の集中審議でございますので、社会保障財源について議論をしたいというふうに思います。
 政府・与党は検討本部というのを設けて、今後の社会保障の財源をどうするかという議論を開始されております。年内に中間の取りまとめを行うということですので、その点について議論をしたいと思いますが、この点で私はヨーロッパの社会保障財源の在り方から正確に学ぶべきだというふうに考えております。(資料提示)
 パネルをちょっと用意いたしましたけれども、これは財務省が絶対作りたがらない資料でございます。私の方で作りました。ヨーロッパ各国の社会保障の財源が何によって賄われているかということを、その内訳を示したものでございます。
 消費税の増税を進めたい日本の大新聞とかあるいは学者の方々は、ヨーロッパの社会保障が充実しているのは消費税の税率が高いからだという宣伝をまことしやかにやっております。だから日本も引き上げようというような論法でございますが、そういう世論誘導もあってか、社会保障のためなら消費税の増税も仕方がないかなと思わされておられる国民の方々も多いんではないかというふうに思います。しかし、それが本当なのかどうかというのがこの資料でございます。本当ではございません。
 赤い部分が各国の社会保障財源に占める消費税、付加価値税の割合でございます。日本が八・八%、ほかの国はほとんど一〇パー、一割、一〇%前後でございます。イタリアはちなみに日本よりも消費税率はかなり高いわけでございますけれども、社会保障財源に占める割合は日本よりも低いという状況です。
 つまり、各国とも社会保障財源は消費税で賄っているわけではないということでございます。社会保険料負担やその他の税で賄われていると。したがって、宣伝されているような、ヨーロッパの社会保障が充実しているのは消費税の税率が高いからではないということをはっきり知っていただきたいなというふうに思います。
 また、パネルを御覧になって分かるとおり、じゃ何で賄っているのかというと、ヨーロッパの国々はほとんどは、社会保障財源の一番を占めるのは企業の社会保険料負担でございます。消費税が高いからではなくて企業、特に大企業はきちんと負担しておりますから、そういう大企業の負担も含めて企業負担がしっかりしているからヨーロッパの社会保障は充実した水準にあるということを示しております。また、その他の税というところもほとんど個人、家計の負担でございますから、消費税で賄っているというよりも、社会保障財源は企業がきちっと負担をしているからということでございます。
 もしも、この上、法人税を今言われているように五%下げて、自民党や民主党の皆さんが言っているように消費税を一〇%に上げたらどうなるかというのが一番左側のグラフでございます。
 社会保障財源に占める消費税の割合は現在の倍近くになってしまいますし、一方、税と社会保険料負担合わせて企業の負担は更に減ると、国民負担が増えるということになってしまうわけでございます。
 この法人税五%の引下げというのは、中小企業というよりも、ほとんど恩恵を受けるのは大企業。ですから、経団連、財界は法人税を下げて消費税を上げろと。つまり、社会保険料負担、社会保障に対する負担も低くなるからという意味も含めて要求をしているところでございます。
 私、社会保障の財源というのは国民、企業、みんなで負担をすべきだと、当たり前のことだというふうに思います。その際、やはり応能負担、今日の午前中も取り上げましたが、応能負担とか、あるいは企業の社会的責任、ヨーロッパは特に雇用者に対する責任はきちっと果たすというのが当たり前になっております。そういうものが重要だと思いますけれども、この消費税増税で社会保障を賄うという考え方は、結局企業、特に大企業の負担の社会保障に対する責任を免除して、国民の負担だけを増やすことになってしまうんではないかと、今の日本ではそういうことになってしまうんではないかと思いますが、総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(菅直人君) このグラフをこのまま見ると、今おっしゃるような立論が成り立つのかなと思います。
 ただ、一つは全体のボリュームが、例えばスウェーデンとかフランスなどは、多分GDPに占めるこの社会保障費そのものの割合がかなり……(発言する者あり)いや、財源にしても大きいわけでしょうから。
 それと、これちょっとどう読んでいいか分かりませんが、国債などで賄われているそういったものも、どの部分にこれで読めるのか、ちょっとここでは分かりません。今日、ほかの方の議論の中でも、現在の負担率も三十数%になっておりますけれども、国債などを潜在的負担率として計算すれば四〇をかなり超えております。
 そういったことで、もう少し私も勉強させていただきますけれども、この議論をするときに、そういったことを含めて議論をさせていただきたいと。ですから、これだけ見てそのとおりだということもちょっと現段階では申し上げられませんし、ここが違うというのも、率直に言ってもう少し検討させていただきたいと、こう思います。

○大門実紀史君 自民党政権のとき、よくこういう資料にけちを付けるというやり方をやったわけですが、これは言っておきますけれども、欧州委員会の統計局の資料をそのままグラフにしたわけですよ。その一々、細かいややこしい話を時間のないときにやらないで、正面から答えてくださいよ、正面から。間違いないんだから、この資料は。
 だから、いいんですかと、国民負担を増やして企業負担を減らす方向で議論されていますけれども、それでいいんですかという核心の問題を、総理だから聞いているわけですよ。いかがですか。細かいことを言っちゃ駄目ですよ、総理が。

○内閣総理大臣(菅直人君) まず、この間法人税の議論が盛んに行われていますが、私たちが言うのは、法人税が他の国に比べて高いと雇用が失われるということを心配しております。
 そういった意味で、その面はやはり考えなければならないと思っております。

○大門実紀史君 とにかく社会保障財源は余裕のある、総理も認められた余裕のある企業、特に大企業にきちっと負担させるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
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