● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2011年3月28日 参議院予算委員会 福島原発の避難者補償 農水相が農家への仮払い検討/東京電力は内部留保2兆円を補償にまわせ
○委員長(前田武志君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。

○大門実紀史君 私も昨日まで福島県に入って、この原発災害と言ってもいいと思いますが、苦しむ方々のお話を伺ってまいりました。
 まず、農水大臣に伺います。
 農産物の出荷停止でとうとう自殺者が出ました。福島県の須賀川市でキャベツを作っていた、仮にTさんとしておきますが、六十四歳の方でございますけれども、先週の二十三日にキャベツなどの葉物類が出荷停止になったと。この知らせを受けて、それを知って、その翌の二十四日の朝に自ら命を絶たれました。関係者の話では、Tさんというのは土地改良とか有機農法とか工夫を重ねて、地域の農業のリーダー格の方だったと。ところが、放射能汚染となるともうキャベツは作れなくなるというふうな、今まで長い間築いてきたものを一遍に壊されるというショックがあったんだろうというふうに思います。とにかく深刻な事態が広がっているわけでございます。
 出荷停止だけでなく、今日もありましたが、風評被害も大変農家に大打撃を与えております。今、小熊さんからもありましたとおり、私も聞きました。福島県では、津波、地震、原発、風評被害、四重苦だという声が上がっております。このままではもう、ほっておくと立ち直れるものまで立ち直れなくなるという事態になっているわけでございます。
 午前中の質疑でもございましたけれども、これらの損害は原子力損害賠償制度の対象になり得るんですが、その損失の補填というのは時間が掛かる。緊急の立替払を地元も願っているわけですが、午前中、塚田議員に対する副大臣の答弁で、農水省として仮払い制度を検討しているという御答弁がございました。副大臣の答弁、信用しないわけではありませんけれども、農水大臣からきちっと答えてほしいと思います。

○国務大臣(鹿野道彦君) 今先生からの御指摘の件につきましては、官房長官から、出荷制限に対する補償が行われるまでには時間が掛かるということから、それまでの間のつなぎ資金等の手当てを検討するようにと、このような指示を受けておるところでありますけれども、現在多数の農家が出荷制限の対象となりまして、現に現金収入が途絶えているというような実態も配慮した支援の仕組みを考えておるところでございますけれども、仮払いのような仕組みというふうなものも検討しているところでございます。

○大門実紀史君 それはあれですか、後から損害賠償を受けることを前提に立替えという考え方ですか。

○国務大臣(鹿野道彦君) そのとおりでございます。

○大門実紀史君 是非具体化を急いでもらいたいと思います。
 あと、風評被害の防止も一刻を争う問題でございますが、これはもう現地の福島のJAや農家の方々から出た要望をそのままお伝えいたします。
 第一に、安全なものは積極的にアピールをしてほしい、打ち出してほしいということで、県が検査をして安全と判明したものについては安全シールとか安全確認証とか、そういうものを付けて出荷をできるようにしてほしいということでございます。
 二つ目は、先ほどもございました、出荷制限を掛ける場合は県単位ではなくて地域単位にしてほしいと。そうするとそれ以外のところが安全だということになりますので、その手だてを取ってほしいということでございます。
 第三は、販売ルートの問題ですけれども、これは農水省が小売業界あるいは卸売業界を指導していただいているのは聞いております。つまり、スーパーとか小売がもう福島のものは要らないと、それだけで拒否していると。これは、具体的にどこの会社がそういうことをやっているというのは情報が入ってきております。そういう通報があった場合、個別にその企業に対して、これ法律違反でございますから、そういうことをやるなということを農水省や県が指導をしてほしいと。この三つが特に強い要望で出されておりますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(鹿野道彦君) 三番目のことでございますけれども、今先生から言われたことにつきまして、適切に行動していない事業者の存在ということになりますならば、具体的な通報を受けた場合には、事実関係を確認の上、個別に指導をしてまいりたいと、このように考えております。
 それから、きめ細かく設定すべきだと、こういうことでございますけれども、これは御承知のとおりに出荷制限、摂取制限を総理大臣、本部長から指示が出されたわけでありますけれども、この件につきましては、対象県において農産物が出荷された地域を満遍なく対象地点として選定をいたしまして調査をした結果、複数の地点でホウレンソウ等々が暫定値を超えたと、こういうようなことでありまして、県全体として暫定規制値を超えていることが想定されたというふうなことから県単位で出荷制限することにしたものでございまして、そのようなことを御理解をいただければと思っております。
 また、アピールというふうなことでありますけれども、このことにつきましては、これからも引き続いて、消費者の安心につながる農産物の安全性につきましては、科学的な客観的な根拠に基づいて正確な情報というものを消費者なりあるいは市場関係者なり小売業者に対して提供していくことが大事でございまして、このことを農林水産省を挙げて徹底してまいりたいと思っております。そのことによって風評被害というものを少しでも防ぐことができればと、こんな考え方に立っておるところでございます。

○大門実紀史君 今言われたこと、是非具体化してほしい、具体的に手を打ってほしいと申し上げておきたいと思います。
 資料をお配りしましたが、資料の二枚目にございますけれども、原発事故の避難地などにある事業所が休業状態に入って、そこで働く労働者の賃金補償の問題ですけれども、これも原子力損害賠償制度の対象になります。しかし、これも時間が掛かるわけですね、補填されるまでに。その間、是非厚労省として雇用保険の失業給付制度の特例措置を拡大するということで救済を図ってほしいと思いますが、厚労省、いかがですか。

○国務大臣(細川律夫君) 原発の放射能により休業を余儀なくされましたそういう方に対しては、これは雇用保険の特例措置を対象にいたしまして、原子力災害補償法の先にこの雇用保険法を適用させてまいりたいと思います。

○大門実紀史君 もうちょっとはっきり、大塚さんの方がいいですかね、説明してもらえますか。

○副大臣(大塚耕平君) いや、今大臣が申し上げたとおりでございますが、朗読をさせていただきます。
 原発の放射能の影響により休業を余儀なくされた避難民の方に対する生活の保障については、これらの方の早期の生活の安定が図られるようにするため、雇用保険の特例措置の対象とする旨、通知を出したところであります。
 また、原子力損害に対する補償と雇用保険の特例として支給した給付金との関係について、関係省庁との間で整理してまいります。

○大門実紀史君 ありがとうございます。先週金曜日に質問通告しただけで対応策が取られるという、厚労省にしては大変機敏な対応だと、これは全て大塚さん頑張ってもらいたいなと思います。
 私は福島県相馬市の原釜漁港に行ってまいりましたら、そこは全滅です。漁港がもう全壊です。漁師さんがおっしゃったんですけれども、漁師さんは漁に出ないと無収入です。雇用保険にも入っておりません。今の対象にはなりません。こういう方々が被災地にはたくさんおられるわけでございます。雇用保険に入っていない方々の対策も考えなきゃいけません。
 特に現地で言われたのは、とにかく仕事が欲しい、仕事があれば収入になるんだと、そういう点で相馬市の漁師さんたちが言ったのは、瓦れきがいっぱいもう大変な状態でございましたけれども、その撤去作業でもいいから仕事をくれということをおっしゃっておりました。私は大変重要なことで、これは何万人という人が無収入の状態になっているわけでございます。是非、瓦れきの撤去を含めて失業対策事業として、これは自治体もなかなか財政的な決断ができない状況でございますので、早く一〇〇%国が出すと、方向はそのようになりつつありますので、一〇〇%国が出すということをはっきりさせて失業対策事業として進めてほしいと思いますが、厚労省、いかがですか。

○国務大臣(細川律夫君) 委員と同じような気持ちで、私も、地元の職を失った方に仕事を提供するということは大変大事なことだというふうに考えております。このため、各自治体におきまして、国からの交付金によります造成されました基金により、失業者のための一時的な雇用の場を創出をする事業である緊急雇用創出事業、積極的にこれを活用していただきたいというふうに考えております。
 この事業によりまして、災害により仕事をなくされた方々を雇用して、例えば避難所におきます高齢者への支援とか、あるいは被災した地域の安全確保のパトロールとか、あるいはまた被災地の復興のための支援に、いろいろな仕事があると思いますけれども、それらの支援にも活用することによって被災者の雇用創出につなげていただきたいというふうに考えております。
 加えまして、厚生労働省としましては、被災地域における雇用の状況あるいは既存の緊急雇用創出事業等の基金事業の活用状況を踏まえまして、更なる雇用対策について検討をしてまいりたいというふうに考えております。
 先ほどの瓦れきの方につきましても、これは、緊急雇用創出事業につきましては建設、土木は対象となっておりませんので、専門的な技能を持つ方については、重機を使った大規模な瓦れきの撤去作業はまず公共事業の中で実施をしていただくものというふうに考えております。
 したがって、瓦れきを撤去するについても、重機などを使う場合には、これは本来の公共事業で作業していただくということで、その他の瓦れきの方のちっちゃな問題については、これは緊急雇用の創出事業の基金で利用していただければと、こういうふうに考えております。

○大門実紀史君 分かりました。
 三月十九日に厚労省は災害救助法の弾力運用についてという通知を出されました。これは、そういう原発からの避難者が、その避難先が旅館、ホテルなどの場合、一日五千円程度の実費を支給するという弾力運用でございます。ところが、福島県ではこの対象を、避難者に対する財政支援は第一原発から三十キロ圏内の避難者に限るとか、そういうことで出しております。
 私は、災害救助法でいきますと、これは福島県全体が適用になっているわけでございますので、放射能被害というのは三十キロ圏だけとは限らないわけですね。ですから、たとえ三十キロ圏外でも、あるいは自主避難の場合でも差別しないでこの支援の対象にすべきだと、災害救助法の適用をされているわけですから、と思いますが、いかがですか。

○国務大臣(細川律夫君) 災害救助法の適用、福島県全体に適用をされておりますので、福島県からの避難者につきましては、これは二十キロから三十キロ圏とか、そういうこととは全く関係なく、福島県の方の避難者ということになればこれは国による財政支援が行われると、こういうことでございます。

○大門実紀史君 是非県庁の方に徹底をしてもらいたいと思います。
 午前中、財務大臣は、今回の原発事故の第一義的責任は東京電力にあると、当然損害賠償の金も第一義的に東京電力が支払うべきとお答えになりましたけれども、そういうことをもう一度確認したいと思いますが。

○国務大臣(野田佳彦君) まずは事態の収拾が最優先だと思います。その上で、これまだ紛争審査会もできていませんけれども、紛争審査会が設置をされて、原子力損害の範囲の判定等に関する指針などが出てきて具体的な被害額が明らかになってまいりますと、当然のことながらこの損賠法に基づいた対応になると思いますが、この原子力損害賠償法の枠組みは一義的には事業者、東京電力が賠償責任を負うと、無過失責任、責任集中となっております。これが基本だと思います。その上で、そこでは足りないというときには、政府として被害者が適切な補償を受けられるように万全を期すと。法の枠組みは第一義的にはこれは事業者となっております。

○大門実紀史君 しかし、実際はそういう仕組みになっておりません。資料の一枚目を御覧いただければ分かりますけれども、この政府補償契約というのは東京電力が第一義的に支払う仕組みになっているんでしょうか。文科大臣、いかがですか。

○国務大臣(高木義明君) 御指摘の点につきましては、午前中もお答えをしましたけれども、今お示しの資料のとおり、私どもとしてはまずは原子力事業者が賠償を行うものと考えておりますが、そういう考え方の中で、やっぱり被災者、被害を救済するということが一番大きな目的でございますが、全体的なことを考慮して、国としてもその相当の部分について考える必要があると、このように考えております。

○大門実紀史君 いや、この仕組みはそうじゃないでしょう。国民の税金を使って先に損害賠償をする仕組みじゃないんですか。

○国務大臣(高木義明君) この制度、申し上げますけれども、原子力事業者に無過失、無限の賠償責任を課しております。そして、その責任を原子力事業者に集中をしておると、これが一つの特徴でございまして、賠償責任の履行を迅速かつ的確に行うために、事業者に対し原子力災害賠償責任保険への加入等などの措置を講じることを義務付けておると。
 その上で、こうした厳格な責任と義務を事業者に課す一方で、さらに先ほど申し上げましたように、原子力事業者の責任と賠償能力を超える事態が発生し、かつ被害者の保護等、法律の目的を達成するために必要があると認められるときは、政府は原子力事業者に対して原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行うこととされております。

○大門実紀史君 どっちが先に出すんですか。国民の税金なんですか、東電なんですかとお聞きしているんですよ。

○国務大臣(高木義明君) まずは事業者の負担ということになります。

○大門実紀史君 この契約、説明できる人説明してください。違いますよ。大臣が分かっていないの。

○政府参考人(藤木完治君) 政府補償契約の仕組みについてお答えさせていただきたいと思います。
 先ほど大臣からお話ありましたように、原子力事業者に責任が集中しておりますので、まず原子力事業者は事故のときにはそれを義務を果たす必要がございます。この事故の場合には賠償金が相当多額のものになるということで……(発言する者あり)はい。この地震、津波の場合は政府補償契約を結んでおりますから、政府がその契約に従いましてその賠償金を払った金額の範囲内で政府から払うということになります。
 以上でございます。

○大門実紀史君 私は大きな勘違いがまだあると思うんですけれども、これ、あした、ちょっと総理に聞こうと思っているんですが、一義的には東電にあると言いながら、まず国民の税金で損害賠償するんですよ。東電は後になるんですよ。もちろん、規模が大きいから東電も後で払うことになると思いますけれども、そういう仕組みになっているんですよ。大臣、知らなかったんですか。

○国務大臣(高木義明君) 先ほど申しましたとおり、責任の一義的には事業者にあると……(発言する者あり)ええ、制度は今事務方が話をしたとおりでございます。

○大門実紀史君 ちょっと財務大臣にお聞きしたいんですけれども、国民の税金を使ってまず損害賠償をすると、後で東電がそれで足りない分を払うという、仕組みがそうなっているんですよね。こんなことは国民納得すると思いますか。

○国務大臣(野田佳彦君) 仕組みとしては、これは現存しています。おっしゃるとおり、国民感情からすると理解できるかどうかはありますが、ただ、文科大臣がおっしゃったとおり、一義的には事業者なんです。払う順番は違うということでありますが、そこは東京電力にしっかりと対応してもらわなきゃいけないというふうに思います。

○大門実紀史君 これはどういうことかといいますと、要するになあなあで、これは一応補償料を払っているんですよ、東電は、一年間に僅か三千万円ぐらいね。これを払っているだけで、いざというときは国が出してやるよという、そういう契約になっているんですよ。どうせこんなことは起こらないだろうと思って、こんなずぶずぶのいいかげんな契約を結んできたわけですよ。このとおりいったら、まず国民の税金で払わなきゃいけないということになるわけですよ。こんなのおかしいでしょう。こんなことを大臣が知らないというのはどういうことなんだ、文科大臣が。もういいです。あした総理質問ですから、分からない人に聞いてもしようがないから。
 これは絶対許されないことです。東電は内部留保を二兆円も持っております。まず、東電にちゃんと、もちろん東電を潰せと言うわけではありません。最大限自腹で払ってもらう、その上で国民の税金ということにならないと絶対こんなことは納得されないということを申し上げて、質問を終わります。

○委員長(前田武志君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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