● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2011年6月10日 予算委員会 被災企業の二重債務問題に対する民主党案では中小零細企業が救えない問題点を追及。
○委員長(前田武志君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
○大門実紀史君 前回の総理質問に続いて、二重債務の問題を取り上げます。
 被災地の中小企業は、地震や津波でお店や工場を失うなど大きな被害を受けているわけでございますが、しかし、事業を再開するにも過去の借金が足かせになって新たな借入れができない、したがって事業の再開ができない、事業の再開ができないと人を雇えない、雇用が回復しないということになっているわけですけれども、二重債務の解決は、個々の中小企業の問題だけにとどまらず、被災地全体の復興の鍵を握っているわけでございますし、緊急に解決しなければならない問題でございます。
 五月十三日のこの予算委員会で、私は総理に、公的な機関が幅広く債権を買い取る二重債務解消のスキームを御提案させていただきました。総理からは、しっかり検討するという答弁をいただきまして、実際に関係部局に検討するように指示されたことは承知をしておりますけれども、もうあれから一か月がたとうとしております。いまだに何の政府案も出てこないというのは余りにも遅過ぎるんではないかと思います。現在、どうなっているんでしょうか。
○委員長(前田武志君) 野田財務大臣。(発言する者あり)
○国務大臣(野田佳彦君) 済みません、じゃ、私からちょっと御説明した上で……
○委員長(前田武志君) まず担当に。(発言する者あり)
○国務大臣(野田佳彦君) はい、分かりました。
 総理からの御指示もございまして、関係省庁集まって今協議をしています。また加えて、民主党の方でも復興ビジョンチームによって対応策がまとめられました。その中には、再生に向けたファンドの創設と相談窓口の強化、過去のローンを抱えている方が生活を再建できるような私的整理ガイドラインの策定、無税償却など、金融機関が債権放棄などをしやすくするための措置などが提言をされています。
 こういう御提言なども踏まえまして、二重ローン問題について関係省庁でよく連携をしながら成案をまとめていきたいというふうに考えています。
○委員長(前田武志君) 総理から総括的な御答弁求められますか。
○大門実紀史君 時間ないので。ただ、私が総理に聞いたときは総理が答えてもらいたい、時間ないのでね。野田さんはまだ総理じゃございませんので。お願いしたいと思います。
 改めて総理に基本的な立場をお伺いしたいんですけれども、被災地の状況を見ますと、もう面としての大被害でございます。そういうときに一部の企業だけを救うということでは全体の復興はできません。やっぱりみんなに頑張ってもらわなきゃいけないというふうに思います。その点で、この二重債務の問題でも、中堅企業とか一定の規模のところだけを救うようなことはあってはならないと。復興の意欲のある、再スタートの気持ちのある中小企業、中小業者は全て支援をすると、これが当たり前のことだと思いますが、そういう姿勢で臨むべきだと思いますが、これは総理のお考えを聞きたいと思います。
○内閣総理大臣(菅直人君) 委員からの何度もにわたる御指摘を私なりに内閣の中で真摯に検討するよう指示をして、今財務大臣の方からもありましたように、ファンドの創設、私的整理のガイドライン、無償償却など、少なくともある程度踏み込んだ対応を、検討が進んでおります。
 ただ、さらに、委員からありました国による、債権放棄とか、国や機構による金融機関の債権の買取りといった問題はまだ必ずしも案が出ておりません。更に検討を進めて、政府としても進めてまいりたいし、今党の方でも議論をしていただいておりますし、また御党からもいろいろ言われておりますので、更なる努力をいたしたいと考えております。
○大門実紀史君 パネルを御用意いたしましたけれども、これは一昨日、民主党、与党の復興ビジョンチームが発表されました二重債務への対応スキーム案でございます。(資料提示)これが正式の与党案、今日ですか、になって二次補正に組み込まれていくというふうに聞いておりますので、御質問をしたいわけでございます。
 これを作られた民主党のチームの方々、よく知っている方ばかりでございます、大変御苦労されて作られたのはよく分かっているんですけれども、しかし率直に言って、これでは被災地全体の二重債務が解消して復興にスタートが切れないというふうに私は思いますので、御指摘をしたいと思います。
 このスキームは、我が党とかあるいは自民党の皆さんも含めてほかの党が提案してきたようなスキームとは抜本的に違います。我が党などは、先ほど申し上げたように、公的な機関が幅広く債権を買い取って全面的な再建支援を進める、そういうスキームを提案してきたわけですけれども、これは、こういう中小企業再生ファンドというものを岩手県や宮城県に、県と金融機関、中小企業基盤整備機構、つまり国ですね、の出資でファンドをつくると。そのファンドが債権を買い取り、企業を支援する、そういう仕組みでございます。
 ただ、こういう中小企業再生支援協議会が支援する企業を選んで、選別して、再生ファンドに送って支援をするという仕組みは既に全国で行われてまいりました。今まで全国でどうなっているかといいますと、こういう再生ファンドが救済をしてきたのは一定規模以上の比較的大きな中堅企業クラスがほとんどでございます。例えば、中小企業庁の資料によりますと、昨年度、この協議会とか再生ファンドが支援した企業の九六%は売上高一億円以上の企業、一番多いのは十億円から五十億円の企業でございます。
 なぜそういうふうに中小企業といいながら大きなところだけ救うのかといいますと、資料の二枚目を御覧いただきたいんですけれども、このファンドは実際に運営するのは投資会社でございます。投資会社は当然成功報酬、企業再生でリターン、もうけを取るわけでございまして、大体最低でも三%から一〇%の間で利ざやを稼ぐわけですけれども、そういう運営をしています投資会社が効率よくもうけを出すためには、どうしても一定以上の収益性のある企業になるわけでございまして、ですから、中小零細企業は既にある中小企業再生ファンドではほとんど救われてこなかった、全くと言っていいほど救われてこなかったわけでございます。ですから、今回の与党案に入っているこのスキームというのは、中小企業全体を支援するというよりも、事実上、中堅以上の企業に限定した救済スキームになっているわけでございます。
 私は、こういう中堅どころだけ助けるような選別のスキームをこの大災害を受けた被災地に持ち込むこと自体大変な違和感を感じるわけでございます。また、既に新聞報道とかを御覧になって、昨日、今日報道されておりますので、現地の商工会議所の方などから、これでは地元の中小零細救えないと、救われるのはあそことあそこ、一つや二つだけだという声が私のところにも寄せられております。
 自見金融担当大臣に伺いますけれども、実際この与党案も最初から選別の流れになっております。恐らく金融機関などが最初判断するわけで、再生が可能か困難かというふうに判定をするわけですけれども、企業の再建を金融機関が、被災地というのはまだ瓦れきも片付いていない、復興のプランもまだ、町の計画もできていない、そんなときに金融機関の判断で、従来の物差しで再生可能かどうかを判断すると当然、店や工場を失った方々はどう考えても再生困難というふうに判定されるんではないかと、今の金融機関の物差しではそうなるんではないかと思いますが、自見さん、いかがですか。
○国務大臣(自見庄三郎君) 先生御指摘のとおりで、これは本当に被災地、本当にやる気のある中小零細企業が救われるということは必要でございますから、今衆議院を通過しました金融機能強化法、これによってやはりきちっと金融の、中小企業でもまさに金融の仲介機能が受けられるように、あるいは逆に言えば、個人の住宅ローンの場合、債権放棄をよりしやすいようにと、そういう方向性でやっておりますので、基本的に中小零細企業を、それはもうまさにそのやる気、それから企業の将来性、そういったこと、幅広く、従来よりも幅広く判断できるようにということをこの金融機能強化法でも目指しているわけでございますから。
 今、中小企業のファンドという話がございましたが、これは民主党の案でございますから、政府としてもしっかり、政権与党でございますから、しっかり今私たち、総理から指示をいただいておりますので、きちっとそしゃくをさせていただいて、そういうことが、心配なことが起きないようにしっかりやっていきたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 ちょっともう自見さんとはいつも会話が成り立たないんですけれども、聞いたことに答えてくださいね、本当に、予算委員会ですから。
 とにかく、このままですと多くの中小零細企業は再生困難というふうに判定されてしまうのはほぼ間違いございません。大変懸念されます。再生困難と判定されればどうなるかというと、私的整理か破産になるわけですね。今回、金融庁が私的整理のガイドラインを考えておられるのは承知しておりますけれども、たとえ私的整理といっても、どちらにしたって新たな事業資金は借りられないんです、ほとんどの場合、私的整理でも、破産はもちろんですけれども。そうなると、事業の再スタートはできないということです。したがって、上で救われる、ファンドに救われる以外は、時間が掛かって、いろんな判定はあるかも分かりませんが、このスキームでは、結局は時間の問題で私的整理や破産に追い込まれてしまうことになるということを言わなければなりません。
 総理に伺いたいんですけれども、いずれにせよまだ与党の案の、まだ案の段階ですから、是非今の段階から考えていただきたいのは、このままのスキームではほとんどの中小企業あるいは個人事業者などはもう救われないということになってしまいます。幾つかの企業だけ救ったって復興なんかできないんですよ。みんなをできるだけ支援しないと、面で支援しないと復興なんかできないんです。そんなこと明らかなんですけれども、こんな案が出てきてしまったわけでございます。
 いずれにせよ、もっと現地の中小企業あるいはほかの党の意見をよく聞いて、国会全体として本当に復興に資するそういう二重債務の機構買取りスキームを考えていくべきだというふうに思いますが、総理の方から是非みんなで考えろという指示を、党の代表でもございますから指示していただきたいと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(菅直人君) このスキームでは小さいところは難しいという御指摘、私的整理の場合も、ある程度の資金を残した形での整理を認めるといったようないろいろな工夫も聞いてはおります。それでどこの範囲が救われるのか、あるいは再生できるのか。確かにいろいろな可能性も含めて検討が必要だと思います。
 党の方がかなり議論を進めてくれておりますので、しかしこれで十分であるかどうか、今日の御議論も含めて党の方にもあるいは内閣の方にも、他の党の御議論も十分参考にしながら更なる検討をするように私なりに努力したいと思っております。
○大門実紀史君 最後に、野田大臣に一問だけお聞きいたしますが、なぜこういうスキームを出してきたかというと、赤字のところに書いてございますが、要するに二次ロスを生まない仕組み、つまり、ここのファンドに買い取った債権が焦げ付いて税金を投入しないということを前提としているからこういうことになるんだというふうに思います。
 実はこれは非常に財務省的な発想でございまして、この与党案を事務方で仕切っていたのは中小企業庁ではございません。財務省から官邸に出ている財務省の役人でございます。私は、大変そういう財務省の考えがここに反映されているのではないかというふうに危惧をしております。
 いずれにせよ、野田大臣にお聞きしたいのは、税金を使わないというようなけちな発想じゃなくて、今救わないと、復興しないと税収も入ってまいりません、ですね。だから、復興にお金を使って、そして復興してもらって税収も入れていけば、国の財政としても結局入ってくるわけですから、目先のお金をけちって支援しないということは万が一にもないように、ちゃんとした財政措置をしてもらいたいという点を、いかがでしょうか。
○国務大臣(野田佳彦君) せんだって衆議院の方で御党の委員からも御質問いただいたときに、この二重ローンの問題を解決するスキームを作り、成案を作った暁に、それに伴う必要な予算措置や税制措置があれば適切に対応するというふうにお答えをしています。
○大門実紀史君 いずれにせよ、本当に被災地を救うためにみんなで知恵を結集してやらなければいけないと思いますので、力を合わせてやっていきたいということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(前田武志君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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