● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2011年6月21日 財政金融委員会 税制改正法案について、租税罰則の強化と税務署の任意調査について質問。また、被災地の二重債務問題に対する民主案の問題点について質問。
○大門実紀史君 大門でございます。
 法案に入る前に、二重債務問題で政府の認識を確認しておきたいことがございますので質問いたします。
 既にこの間議論があるように、二重債務の問題の政府の与党案では幅広く被災地の中小企業を救えないという点で、お手元に資料を用意いたしましたけれども、この政府・与党案の中にある中小企業再生ファンドをつくると。そのファンドが債権を買い取って企業を支援するというふうな話ですけれども、このスキームの対象になるのはほとんど何億円以上の売上げの中堅企業クラスが対象と。
 なぜそうなるのかはこの一枚目の資料にございますけれども、この再生ファンドというのは実際に運用するのは投資会社でございまして、投資会社は企業再生で成功報酬、管理報酬を受け取るわけでございます。この報酬を受け取るリターン、三%から一〇%取ると言われておりますけれども、それを考えますと、どうしても一定以上の収益性のある中堅企業を支援するということにならざるを得ないわけでございまして、したがって、収益を出すような仕組みでございますから中小零細企業は対象にほとんどなってこなかったと。よほどの特別な企画力とか商品力を持っているところは例外的にありましたけれども、ほとんどこのスキームの対象になってこなかったということでございます。
 私は、被災地の復興を考えるときに、このスキームも幾つかの一つであってもいいと、これを全て否定するわけではございません。これで救済できるところがあればすればいいわけでございますが、これだけでは多くの中小企業は救えないという点を申し上げてきたわけでございます。政府の与党案にはこれしか入っていないので、これだけでは難しいということを言ってきたわけです。
 実際に、三陸の被災地は、調べてみますと、一億円以下、売上高でいいますと三千万から五千万クラスの中小零細企業が圧倒的でございます。こういう方々を支援しなければ町そのものの復興ができないわけでございまして、何億円以上の中堅企業だけ点で救っても、面としての町の復興ができないわけでございます。
 したがって、我が党だけじゃなく自民党や公明党さんも、公的なもう少し幅広い買取り機関が必要だということで提案をしているわけでありますが、ところが、前回のこの委員会で自民党の佐藤ゆかりさんの質問のときに経済産業省の松下副大臣が、この中小企業再生ファンドで小さい企業もたくさん支援してきたと、いかにもこのファンドで広く中小企業を救えるかのような答弁をされましたので、まだそんな認識なのかと思いますのでちょっと確認をしたいと思いますけれども。
 資料の二枚目にございますが、松下副大臣が、彼は余り御存じじゃないから官僚が書いた答弁読まれただけだと思うんですけれども、言われたのは、このファンドは、投資先企業の特性の下の方にございますが、従業員数というのがありますけれども、従業員二十人以下が四十五社で三割も、全体百五十六社で少ないんですが、三割は従業員二十人以下のところも救ってまいりましたと。そういうことをこれを基におっしゃったんだと思いますし、右の一番下の枠にはわざわざ「比較的従業員規模の小さな企業にも積極的に投資が行われている。」というふうなことが書かれておりまして、意図的に従業員数を持ってきて、いかにも小さい企業を支援しているかのようなことを言われましたので、言わなきゃ一々質問しないんですけど、そういうことを言ったんで確認したいんですけど、この四十五社の平均売上高は幾らですか。

○政府参考人(高原一郎君) 今、大門委員御指摘の従業員二十人以下の中小企業が四十五社、その平均の売上高は約三億八千六百万円でございます。
 以上でございます。

○大門実紀史君 そういうことなんですよ。二十人以下といったって、そういう規模、四億円の規模なんですね。
 ちなみに、従業員六人で六億円の売上げの企業もありました。つまりこれは、従業員六人で六億円というのは、もう想像できるとおり、相当の販売ネットワークを持っているか商品力のある特別な企業でございます。そんなことがここに入っているわけでございまして、何も二十人以下だから小さな企業を助けているという話にはならないわけでございます。
 資料の三番目にも、ちょっと私、中小企業基盤整備機構のこの資料そのものがうさんくさいなと。いかにも、かつてからあったんですね、基盤機構のこのファンドについては中堅企業以上しか救っていないじゃないかという批判があったんで、わざわざ小さいところも助けていますというような資料をこれ作られているわけですが、中身が本当にイカサマででたらめでございます。
 この三枚目には、売上高で見ると五割弱が五億円以下の企業、ここにも「比較的売上規模の小さな企業にも積極的に投資が行われている。」と、小さな企業ということを強調しているわけですけれども。じゃ、聞きますけど、この五億円以下の七十社ですか、平均売上高は幾らですか。

○政府参考人(高原一郎君) 今御指摘のこの七十社の平均売上高でございますけれども、約二億六千三百万円でございます。
 以上でございます。

○大門実紀史君 そういうことなんですね。
 それから、ついでに聞きますけど、先ほど申し上げました被災地は大体五千万円以下の中小零細といいますか中小企業がほとんどで、相当な被害を受けて支援しなきゃいけないわけですけれども、このファンドが救済した百五十六社のうち売上高五千万円以下は何社ですか。

○政府参考人(高原一郎君) 御指摘の売上高五千万円以下の中小企業の企業数でございますけれども、五社でございます。
 以上でございます。

○大門実紀史君 パーセントでいえばたった三%ですよね。
 もう一つ、資料、これは改めて出してもらったんですけれども、今まで公表していなかったんですけど、もう中小企業基盤整備機構のこんな資料を出しちゃ駄目ですよ、もっとちゃんとしたものを出さなきゃ。例えば売上高三千万円以下は何社かというと、たった二社です、百五十六社のうち。一%ですよね。しかも、この売上高五千万円以下の五社というのはちょっとやっぱり特殊な会社で、特別なケースでございまして、何か小さな企業も救ってきたなんというのは全くのでたらめでございます。レアケースでございます。
 この機会にちょっと申し上げたいんですけれども、経済産業省、中小企業庁に、こういう不正確な資料、いかにも過大宣伝するような資料はもう出すのをおやめになるか、あるいは出すならもっと正確にね。私は、このファンドそのものを全面否定しているわけではありませんので、これはこれの役割があるんだと、中堅企業以上はこれでやるんだという点では何も全面否定しているわけではありませんので、逆にこの小さな企業まで救っているみたいなこんなでたらめな資料はもうおやめになった方がいいんじゃないですか。

○政府参考人(高原一郎君) 御指摘を踏まえて、正確な資料を作るよう心掛けたいと思います。
 以上でございます。

○大門実紀史君 ですから、そういう答弁書を、よく分からない副大臣に読ませるなんということもやめてもらいたいというふうに思います。
 中小企業庁は、実はこの基盤機構もいろいろ被災地支援でいいこともいっぱいやっていらっしゃるわけでございますし、中小企業庁は研究としてはいろんなことを研究されていると思いますので、是非高原長官にお願いしたいのは、与党の案というのがあると思いますし、今ほかの党もいろいろ案を出しているところでございますけど、中小企業庁はやっぱり事務方としては更に幅広く救うスキームはどういうものがあるのかと研究だけはしておいてほしいと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(高原一郎君) 今の大門委員の御指摘は、現行の再生支援協議会あるいは再生ファンドの体制、スキームだけでは被災された多くの中小企業あるいは零細、小規模の企業の方々の二重ローン問題に十分対応できないんではないかという御指摘だと思います。
 御指摘も踏まえながら、中小企業の、あるいは小規模企業の二重ローン問題をめぐる状況でございますとか、あるいは地方の自治体あるいは金融機関の御要望も踏まえながら、真摯な検討を続けていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 与党案もいろいろみんなの意見で変わっていくと思いますので、研究をきちっとしておいてもらいたいと思います。
 野田大臣にもお伺いしたいんですけれども、これは予算委員会でも総理に私伺いましたが、このスキームでは幅広く救えない、やっぱりみんなの意見を聞いて、各党の意見を聞いて本当に被災地に役立つスキームを考えてもらいたいと申し上げました。
 実は、これは内閣官房の方で与党案を事務的に取り仕切っている中で分かったんですけれども、財務省から来ておられる方が、この買取りスキームについては実は中小企業庁かなと思ったらそうじゃなくって、財務省の来ている役人の方が、仕切ったと言ったら言い過ぎかも分かりませんが、取りまとめのところにおられたということで、大変気になったのは、このスキームというのは、先ほど申し上げたように、万が一損失が出たら税金を使うとかそういうことではなくて、この中で完結するというか、むしろ収益を上げる仕組みでございます。つまり、税金を投入しない、何があっても投入しない仕組みですね。そういう点で、この買取り機構を考える上で税金を投入しないというふうな財務省の考え方が与党案の中に入っているんではないかと私思ったりしたわけですけれども。
 私、必ずしも何でもかんでも税金使えばいいと思いませんし、国民負担は最小限に抑えるべきです。しかし、あの住専から不動産バブルのああいう企業の不始末のときは税金プラス公的資金で一兆円ぐらい入れたわけですから、被災地のときに出し渋るとは何事かというふうに思いますし、あるいは預金保険機構にあるお金とかいろいろ活用しながら国民負担は最小限にしながらも、やはりあれだけの大被害でございますから、税金を投入してでも復興していくという決断をしないとやはり難しいと思いますし、復興しないと、予算委員会で申し上げましたけど、税金もあの地域から入ってこなくなりますから、ここはまず出し渋りしないで思い切って支援して、そしていい循環の中で財政的にも返してもらうということを考えるべきだと思いますが、野田大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(野田佳彦君) 二重債務問題について、政府内での検討をして、六月十七日に基本的な方針をまとめさせていただきました。それ、ちょっと財務省がどこまでそういう主導したかはいろいろ解釈はあるかと思いますけれども、関係省庁で協議をさせていただきながらまとめさせていただいて、今、政党間の協議も行ってきて、第一次合意案みたいなものはできました。
 今現段階で合意できるものについては今回の第二次補正の中にしっかり反映していきたいと思いますが、まだ検討すべき課題として宿題が残っているものもございます。それは委員御指摘の問題も含めてでございますので、引き続き二重債務の問題は、今回限り、二次補正だけではなくて、きちっと対応をこれからも続けていきたいというふうに思います。

○大門実紀史君 これは大変急ぎますので、二次補正で取りあえず、三次でまた秋ごろというわけにはまいりませんで、もう被災地は間に合いませんので、本来ならもっと早くこの公的な買取り機関をつくっていなければ、もう気持ちが折れそうなんですよね。(発言する者あり)もう折れているという話もありますけれども、本当にもうぎりぎりのところでやっていますので、そんな秋以降に国の支援がはっきりするようではもたないので、急いでやってもらいたいと思います。
 ちょっと時間が短くなりましたが、法案について幾つか確認をしたいと思いますけれども、今回、故意に申告書を提出しないで税を免れる行為について、新たな脱税犯といいますか逋脱犯というんですか、そういうものを創設するということでございます。その意図はどういうことなのかということと、どういうものを想定しているのか、簡潔に説明してください。

○大臣政務官(尾立源幸君) 今回、刑事罰と行政制裁の両方を科す故意の申告書不提出による逋脱犯というものを御提案をさせていただいておりますが、これは税務を取り巻く環境の変化、また脱税犯に準じて処罰すること、その必要性が高くなったことによります。具体的に申し上げますと、例えば、電子商取引が今普及しておりまして、外国為替証拠金取引、FX等で多額の運用益を得ながら税を免れる意思をもって申告をしないという方がおられまして、そういうことに対応するために必要になったということでございます。
 今の現行法で、じゃ、そのような方にどのような処罰ができるかといいますと、本来なら脱税犯として処罰したいところなんですけれども、所得秘匿のための積極的な工作を行っていないということで、この脱税犯には当たらない。じゃ、何が適用するかということなんですが、秩序犯である故意の申告書不提出犯として一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金として処罰できることしか道がないということなんです。
 したがいまして、悪質な脱税犯に準ずるような刑事責任を問わなければいけないということに対応して、脱税犯と申告書不提出犯の中間的な犯罪類型として今回提案をさせていただいたというものでございます。そして、この法定刑につきましては、先ほどの両法定刑のバランスを取って、五年以下の懲役若しくは五百万円以下、情状により脱税額以下ということに決めさせていただいております。

○大門実紀史君 今ございましたように、例えばFXの取引で十億も何億も無申告と聞くと、これはもう誰でもけしからぬと、もう当然意図的故意だろうと思いますから、そういう場合ならばという感じはあるんですが、一旦法改正をされますと、そういう極端な場合以外でも適用されることは十分考えられるわけでございます。
 実際には、この故意に無申告をしたということの認定とか立証はかなり難しいところがございまして、これは昭和三十七年ですか、当時の国会でも議論があり、見送られたという経過がございますし、昨年の税調でも、法務副大臣や総務副大臣から、民主党の副大臣から慎重意見が出ているところでございます。
 いずれにせよ、今回の改正で刑罰を適用するに当たっては、万が一にも自白とか強権的な調査に頼るということはやっぱりあってはならないと思いますので、その点、やっぱり慎重にきちんとした証拠で立証をするということを貫いていただきたいと思いますが、いかがですか。

○大臣政務官(尾立源幸君) 今回の創設に当たりまして、私も六十年前の税調やまた国会答弁等勉強させていただきました。そのとき、やはりまだ申告納税制度が導入僅かだったということや、また、この犯意のある無申告か犯意のない無申告のその線引きが非常に難しいといったような問題、さらには、刑事犯全般の中で議論しなきゃいけないというようなやり取りがあったというふうに承知しております。
 そういう意味で、今回、議員御指摘のように、税を免れる故意の立証についていかに詰めて立証していくかということを政府内、また法務当局、さらには政府の税制調査会の中でも議論をさせていただきまして、例えば金融取引に関して言えば、多額の利益を得ている、これは例えば通帳などで今確認ができます。また、金融商品の販売会社の担当者から利益を申告する必要について説明を受けていたかどうか、これも様々なパンフレットや、またやり取りの中で、また担当者に聞くことで立証できる、情報収集等で立証できるということが分かりましたので、このような法と証拠に基づいて立証していくということになりました。

○大門実紀史君 そこは厳格に本当やってもらいたいと思います。
 最後に確認したいのは、今回の改正というのは通常の任意調査に影響を及ぼすものではないと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(野田佳彦君) 先ほど政務官から御説明ございましたとおり、今回の故意の申告書不提出による逋脱犯規定というのは、FX取引等で巨額の所得を得ながら税を免れる、故意をもって納税申告書を法定申告期限までに提出しない、こういう人たちに対する罰則でありまして、この本規定は国税犯則取締法に基づく査察調査において適用されることを予定をしております。
 査察調査は、脱税者を告発し刑事責任を追及することを目的として、逋脱犯の法律上の構成要件に該当することを立証し得る見通しがあるか、悪質性が高いなどを慎重に検討した上で行われるものでございまして、委員御指摘の税務調査は、各税法に規定されている質問検査権に基づき、適正公平な課税を行うことを目的として行われるものでございますので、したがって、査察調査と税務調査は、調査の根拠法令あるいは調査目的などを異にすることから、税務調査において今回創設する規定は適用されません。したがって、故意の申告書不提出による逋脱犯のこの規定の創設によって、御懸念の税務調査が厳しくなるといったことはないものと考えております。

○大門実紀史君 ありがとうございます。その点よろしくお願いいたします。
 終わります。
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