● ● ● ● 大門実紀史 Daimon Mikishi  ● ● ● ●

小泉「構造改革」で破壊される地域金融をどう立て直すか(「月刊学習」2002年10号)
 中小企業を経営する方々にとって、金融機関からの融資は、事業を継続するうえでも発展させるうえでも、必要不可欠なものです。事業が軌道にのり、発展の見込みがあるときは、新たな融資をうけて設備投資(機械の購入など)をおこない、さらに事業を大きくしていきます。また、不況で苦しいときは、運転資金を借り入れながら当面の資金ぐりを手当てし、会社と従業員の生活をまもっていきます。
 こうして日本の中小企業は、景気の荒波を幾度となく乗りきってきたのです。まさに金融は「経済の血液」であり、不況期には中小企業の「いのち綱」となってきました。
 ところがいま、多くの中小企業が、不況で売り上げが減少したうえに、金融機関からの高金利の押しつけや、貸ししぶり・貸しはがしによって、融資の道を断たれるという苦境にたたされています。
一、中小企業への貸ししぶり・貸しはがしが頻発
 この間、日本共産党の国会議員団にも、中小企業のみなさんから、融資にかんする相談がたくさん寄せられています。「長い間、取り引きをしてきた銀行が、新たな融資に応じてくれなくなった」「急に高い金利を要求された」「今まで苦しいときには返済条件の変更に応じてくれたのが、応じてくれない」「返済が滞ったとたん、一括返済を迫られ、担保の家や土地を競売にかけられた」など、とくに大銀行の貸ししぶりや貸しはがしの事例が目立ちます。
 貸ししぶり・貸しはがしがひどくなっていることは、政府や関係機関の調査でもはっきりと示されています。
 今年二月、中小企業庁が発表した「地域金融情勢に係る調査報告」でも「中小企業の資金ぐりは、全般的にきわめて悪化」「業況の悪い企業には融資を拒絶、良い企業へは貸し出し競争という『選別融資』が激化している」という調査結果が出ていますし、同庁の七月の「中小企業への貸出姿勢に対する実態調査」でも、「金融機関の貸し出し姿勢が厳しくなった」「今後厳しくなることを懸念する」と答えた企業は、合わせて全体の七割ちかくにのぼっています。
 表1、2の日本銀行「企業短期経済観測調査」、中小企業金融公庫の「中小企業景況調査」のグラフでも、二〇〇一年から今年にかけて、中小企業にたいする金融機関の貸し出し態度が厳しくなっていることがわかります。
 また東京商工会議所のアンケート調査(一〜三月期調査)では、五割をこえる企業が「銀行から金利の引き上げの要請をうけている」、約三割の企業が「金融機関の貸ししぶりで経営に深刻な影響が出ている」という深刻な実態があきらかになっています。
 日本銀行の貸出先別貸金調査(四半期・国内銀行、六月末)によれば、銀行は、企業にたいする貸出残高を前年同月比で七%減らしていますが、その内訳は、大企業にたいする貸し出しがマイナス二・四%であるのにたいし、中小企業への貸し出しは八・二%も減少させています。不況による資金需要の落ち込みだけでなく、貸ししぶり・貸しはがしが反映しているのは間違いありません。
 とくに大銀行の中小企業にたいする貸し出しが減少しています。
 金融庁は七月三十一日、公的資金の注入を受けた銀行が提出した「経営健全化計画」にたいする、二〇〇二年三月期時点の達成状況を示した「経営健全化計画フォローアップ」を公表しました。公的資金の注入をうけた銀行は「経営健全化計画」で中小企業向け融資を増額するよう義務づけられていますが、この資料をみると、横浜銀行をふくむ大手七銀行・グループのうち五行が計画を下回り、前期末にくらべて貸出残高を五兆円以上も減額させています(表3)。中小企業への融資を増額させるどころか、貸ししぶり・貸しはがしを強めているのです。
二、小泉内閣の支離滅裂な金融政策
■「超金融緩和」で銀行には「ジャブジャブ」の資金
 銀行には企業に貸し出すためのお金が不足しているのでしょうか。
 表4は、マネタリーベースとマネーサプライ(通貨供給量)の伸びをグラフにしたものです。
 マネタリーベースとは、「日本銀行が供給する通貨」のことです。具体的には、世の中に出回っている現金通貨(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と、各銀行が日銀に預けている当座預金(「日銀当座預金」という)の合計です。
 現在、日銀は、このうち日銀当座預金の残高をコントロールすることを金融政策の柱にしています。たとえば、日銀が銀行のもっている手形や国債などを買い取り(「買いオペレーション」という)、その代金を銀行の当座預金に振りかえれば、当座預金の残高が増えます。各銀行は準備預金(預けることが義務づけられている)分をのぞけば、そのお金を自由に使え、企業への貸し出しにも回せることになります。
 この間、日銀は「景気対策」の名目で、日銀当座預金の残高目標を増やし続け、昨年十二月以来、十兆円〜十五兆円程度を目標にした「超金融緩和政策」をとっています。銀行が使えるお金を「ジャブジャブ」と言われるほど増やして、企業への貸し出しを増やしてもらおうというわけです。この「超金融緩和政策」によって、いま銀行には、お金がふんだんに供給されています。
 マネーサプライ(通貨供給量)とは、一口で言えば、企業や家計が所有する現金、当座預金、定期預金などお金の総量のことです。
 マネタリーベースが「日銀が供給する通貨」であるのにたいし、マネーサプライは「金融部門全体から実体経済にたいして供給される通貨」であると言えるでしょう。
 通常なら、マネタリーベースが増えれば、マネーサプライも増えるはずです。ところが、グラフでみてわかるように、日銀の「超金融緩和政策」によって、お金が大量に銀行に供給され、マネタリーベースが増大しているのに、マネーサプライはほとんど伸びていません。「超金融緩和政策」をとっても、資金は銀行に滞留して、企業に流れていないのです。
 なぜ、銀行には資金が豊富に供給されているのに、企業の貸し出しに回らないで、反対に貸ししぶりや貸しはがしが起きているのでしょうか。

■「収益第一主義」に走る大銀行
 この背景には、「収益第一主義」をかかげ、中小企業むけの融資を「非効率な取引」として縮小し、今後は大企業や大資産家との大口取引や国際的な投資を拡大していこうという大銀行の「経営戦略」があります。
 昨年十一月、三井住友銀行の西川頭取は「収益向上のため、国内貸出の大リストラをやる。一つ一つの貸し出しについて、リスクに見合った金利をとれるよう、従来のメインバンク制や取引慣行を思いきって見直していく」と発言しましたが(中間決算時の記者会見)、この方向はなにも三井住友銀行だけでなく、いまや主要銀行の「経営戦略」の基本となっています。UFJ銀行でも、すでに取引先を十段階に「格付け」し、それぞれの「リスク(貸し倒れになる危険性)に見合った金利」を設定しています。
 日銀の「主要銀行貸出アンケート調査」(今年七月)でも、「過去三カ月間における貸し出し条件の設定について、中小企業にたいしては『利ざや』の設定を厳しくしている」「今後三カ月間についても、さらに『利ざや』の設定を厳しくしたい」というのが大銀行共通の姿勢になっています。
 銀行法にさだめられた銀行の公共的使命を忘れ、営利主義をむきだしにした大銀行の「経営戦略」のもとで、中小企業には、一部の「優良企業」をのぞいて、「いやなら借りるな」といわんばかりの高金利が押しつけられているのです。

■支離滅裂の金融政策
 これでは、いくら銀行に資金が供給されても、本当に融資を必要としている中小企業にお金が回るわけがありません。
 そもそも、銀行に収益力を求め、リスクに見合った金利をとるよう奨励してきたのは金融庁自身でした(柳沢金融担当大臣、三月十八日参院財政金融委員会答弁)。
 さらに七月十二日には、柳沢金融担当大臣の私的懇談会である「日本型金融システムと行政の将来ビジョン懇話会」が、「金融システムと行政の将来ビジョン」という報告書を大臣に提出しました。
 この「ビジョン」では、「中小企業金融につき、これまでのリレーションシップがまったくそのままの形で維持される訳ではない」「当然、リスクに見合ったリターンは負担せねばならない」と明言しています。
 「超金融緩和政策」で企業への貸し出しを増やせと言っておきながら、その一方で、「リスク」のあるところにはできるだけ貸すなというわけですから、政府のやっていることはまったく支離滅裂です。
 こういう批判を意識してか、「ビジョン」では「リスクに応じた金利設定は、単に銀行の収益力向上のみならず、貸出可能な企業範囲を拡大する」とも言っています。
 しかし、本当にそうでしょうか。この不況とデフレで、赤字の中小企業が七割をこえ、担保物件の価格も下がっています。こういうときに、業績の落ちた中小企業には高い金利を要求し、それに応じられなければ、融資を拒否したり貸金の回収にはいるとなれば、ますます中小企業の倒産・廃業を増やすのは明白です。そんなことに突き進めば、たとえ一時的に個々の金融機関の収益はあがっても、結局、金融機関全体としてみれば、貸出先を減少させみずからの経営基盤を掘りくずすという悪循環におちいるのではないでしょうか。
三、小泉「構造改革」がもたらした地域金融の危機
■不良債権の「早期最終処理」とはなにか
 さらにいま、小泉内閣がすすめている不良債権の「早期最終処理」が、この大不況のなか必死にがんばっている中小企業を苦しめ、地域金融を土台から破壊しようとしています。
 「不良債権」といわれる貸付先の約七割は中小企業です。「早期最終処理」というのは、金融機関のバランスシートから、これらの中小企業を「消滅」させることを意味します。
 具体的には、金融機関がそういう中小企業にたいして融資を打ち切り、強引な回収をかけて倒産に追い込み、担保物件を競売にかけて処分する、または保証人や信用保証協会の弁済をうけ最終処理するということです。
 七月の企業倒産件数は、千八百十四件、七月の件数としては戦後最悪を記録しました。そのうち、「モノが売れない」「焦げ付きが発生した」など不況要因によって倒産に追い込まれた企業が、全体の四分の三以上を占めています(帝国データバンク調べ)。
 いま、多くの中小企業が銀行への返済に苦しんでいるのも、おおもとは不況のせいです。この不況は政府のあいつぐ失政がもたらしたものにほかなりません。政府のせいで中小企業を「不良債権」に追い込んだのなら、それを救済するのが政府の責任のはずです。それをこともあろうに、政府あげて冷酷に切り捨てようというのですから、小泉内閣のやることはまったく逆さまです。
 しかも、こんなやり方では不良債権は一向に減りません。今年三月末の全国銀行の不良債権残高(金融再生法開示債権ベース)は、四三・二兆円、昨年三月末の三三・六兆円にくらべて九・六兆円も増加しています。増加したおもな原因は、いままで「不良債権」に分類されなかった正常な貸出金が、企業の業績悪化で「不良債権」に転落したことです。「早期最終処理」の大号令のもと、銀行が企業を追い込んで倒産・失業を増やす、さらにモノが売れず景気が悪くなり、新たな不良債権が発生してかえって残高が増える、小泉内閣はこういう愚かなことをくり返しているのです。

■信用・信組の連続破たん問題
 また、昨年来、金融庁の強引な検査によって、十三の信用金庫、四十三もの信用組合が破たんに追い込まれました。「ペイオフ実施(今年四月)にむけて、体力のないところは市場から退出してもらう」(柳沢金融担当大臣)という方針のもと、金融庁が勝手にきめたモノサシ(「金融検査マニュアル」)を信金・信組に機械的、恣意的にあてはめ、多数の信金・信組を破たんさせたのです。
 破たんした信金・信組の借り手であった中小企業は、受け皿となる金融機関が引きつぎを拒否した場合、RCC(整理回収機構)に送られます。この三年半の信金・信組の破たんだけでも、五万三千もの借り手がRCCに送りこまれ、新規融資の道を閉ざされて苦境のどん底におとしいれられています(表5)。
 それだけではありません。一連の金融庁の検査は、それまで地元の中小企業をささえるために努力してきた信金・信組の姿勢に、大きな方向転換を迫るものとなっています。
 検査で使用された「金融検査マニュアル」では、債務者を「正常先」「要注意先」「要管理先」「破たん懸念先」「実質破たん・破たん先」に区分し、このうち「要管理先」以下の債権を不良債権に分類します。金融機関はそれぞれの「リスク」に見合った貸倒引当金を積まなければなりません。
 しかし、大銀行と地域の中小金融機関では、当然、日常的な取引相手も取引慣行もちがいます。そのため、取引先を具体的にどう分類するかは、従来、一定程度、金融機関の自己責任で判断することができました。
 長引く不況のもと、信金・信組など地域金融の世界では、中小・零細企業が返済条件を変更してもらうことや、無担保でつなぎ融資をうけることは日常茶飯事の取り引きでした。信金・信組の側も、取引先の信用実績や社長の意欲、個人資産などを総合的に判断したうえで、さまざまな融資に応じてきました。苦しいときに中小企業をささえ、商売が上向けば定期預金を増やしてもらうなど、信頼関係をもとに、信金・信組と地元の中小企業は互いに発展してきました。
 ところが、昨年来の金融庁検査では、こういう地域金融の実態を無視して、「検査マニュアル」を機械的に適用し、赤字経営や返済条件の変更をした場合でも、つぎつぎと「不良債権」に区分を引き下げていきました。債務者区分を強引に引き下げられ、その分の引当金の積み増しができず、自己資本不足におちいって、たくさんの信金・信組が破たんさせられたのです。
 そもそも信金・信組は、地域の中小・零細企業の助け合いを目的とした協同組織・金融機関として設立されました。そういう信金・信組に、大銀行のように「赤字のところには貸すな」「担保のないところには貸すな」というモノサシを強要することは、信金・信組の存在意義そのものの否定につながります。一連の金融庁検査と「検査マニュアル」の機械的な押しつけが、いま、破たんをまぬがれた信金・信組をも、「これからは、貸したくても貸せない、貸さなければ自らの経営も成り立たない」という「袋小路」に追い込んでいるのです。

■「合併促進」でさらに地域金融を破壊
 さらに金融庁は、七月に地域金融機関の「合併促進策」の素案を発表しました。来年四月のペイオフ解禁にむけて、合併によって地域金融機関の「体力」を強化しようというのです。
 この背景には、合併による規模の拡大が収益力や経営基盤の強化につながる、という大蔵省以来の「合併信仰」があります。しかし、地域金融という観点に立てば、信金・信組など中小金融機関がただ合併して大きくなることが、本当に経営の強化につながるのでしょうか。
 地域に店舗網をもち、職員が地元の中小企業や住民と信頼関係を築きながらお互いの発展をはかる、そこにこそ中小金融機関の本来の役割も生きる道もありました。地域金融機関も経営基盤の強化につとめる必要があるのは言うまでもありませんが、単純に、合併によって規模の拡大や「体力」の増強だけを実現しようというやり方では、経営基盤そのものをかえって危うくする可能性があります。
 堀江康照・九州大学教授と川向肇・神戸商科大学助教授の共同調査によれば、「限られた都市部の信用金庫については、規模拡大によって収益率が高くなる『規模の経済性』が認められるが、地方都市の信金では『規模の経済性』は認められず、むしろ経費の効率性がさがってしまう」という結果がでています(九州大学経済学会『経済学研究』第六号)。
 地域金融機関が一律に規模の拡大だけで収益力をあげようとすると、店舗の整理統合、職員削減などリストラを推進しなければならず、そのことが、かえって地域金融機関の優位性と本来の役割を否定してしまうことになりかねないということです。
 こういう金融行政の根底にあるのは、大銀行であろうと地域金融機関であろうと、一律に「国際標準(グローバル・スタンダード)」を押しつけ、「健全性」と「体力」だけで金融機関を評価しようという考え方です。しかし、そもそも「グローバル・スタンダード」の本家であるアメリカでさえ、大銀行と地域金融機関の役割を区別したうえで、「地域再投資法」を制定して、金融機関の地域経済にたいする貢献度を高める努力をしています。また、日本のように金融庁が全部の金融機関を監督、検査するのではなく、大銀行と地域金融機関は別の指導監督体制で、それぞれの別個の検査マニュアルで実情に合った検査をおこなっています。
 ”木(「検査マニュアル」)”を見て”森(金融機関本来の役割)”を見ない日本の金融行政は、いま地域金融そのものを破壊する大変、危険な方向にすすんでいると言わなければなりません。
四、地域がささえ、地域経済に貢献する金融機関に――日本共産党の提案
■日本共産党国会議員団のとりくみ
 日本共産党国会議員団は、昨年十二月、「地域金融対策委員会」をもうけ、信金・信組の連続破たん問題を解明するため全国調査を実施。今年一月には「信用金庫、信用組合など地域金融機関の連続破たんから地域経済と中小業者を守る緊急要求」を発表しました。 
 この「緊急要求」のなかで、「金融検査マニュアル」による乱暴な検査を中止し、地域の融資実態をふまえた検査に改善すること、信金・信組などを地域の金融を守る要として位置づけ、必要な支援をしていくことなどを提案するとともに、地域金融を破壊する政府・金融庁のやり方を厳しく批判し、国会でもくり返し追及してきました。
 今年四月十二日、金融庁は、「金融検査マニュアル・中小企業融資編(案)」を作成し、パブリックコメントにかける(国民から意見を聴取する)ことを発表しました。あくまで運用上の改善をはかろうというもので、内容も不十分なものですが、金融庁の姿勢を、ある程度、中小企業の融資実態に配慮せざるをえないものに変えさせたことは、わが党の追及と金融庁の横暴を許さないという全国各地のとりくみ、運動が力を合わせた成果です。
 しかし、窮地におちいっている地域金融を立て直し、育成、発展させるためには、不良債権の「早期最終処理」方針の即時中止と、地域金融をさらに破壊しようとする現在の金融行政の抜本的な転換が必要です。
 日本共産党は、地域金融機関(地域で営業する大銀行もふくむ)が地元中小企業に安定的に資金を供給するという本来の役割をとりもどし、それを育成・発展させる金融行政への転換をはかるため、今年、七月六日、「地域金融活性化法(案)」(末尾資料)を発表、国会へ提出しました。

■日本共産党の「地域金融活性化法(案)」の特徴
 「地域金融活性化法(案)」の中心点は、次の三点です。
 第一に、地域金融機関(信金・信組、地方銀行だけでなく、地域で営業をおこなう都市銀行もふくむ)に、貸ししぶりなどの禁止はもちろん、地域の住民、事業者の金融上の要望にきめ細かに対応する責務があることを明確にします。
 第二に、国と都道府県が、地域金融を活性化する責任をもつことを明記します。信金・信組(複数の都道府県にまたがるものをのぞく)の監督・検査権限を、いまの金融庁から都道府県に移し、地域の現状をふまえた監督、指導、検査ができるようにします。このことをつうじて、検査と「マニュアル」のあり方についても、地域金融、中小企業融資の実態に合ったものに抜本的にあらためていきます。
 都道府県は、地域金融機関が、地域金融の活性化にどれだけ寄与しているか調査し、評価をくわえて公表します。また、都道府県は区域内における地域金融について、利用者などからの苦情の処理をおこないます。
 都道府県は、調査や評価の結果、または利用者からの苦情にもとづいて、必要があるときは、その金融機関や金融庁に改善措置をとるよう要請をすることができます。
 第三に、都道府県に「地域金融の活性化に関する審議会」を設置します。「審議会」は、地域金融機関への調査および評価にかんする事項、苦情の処理にかんする事項など地域金融の活性化にかんする調査をおこない審議します。
 「地域金融の活性化に関する審議会」の組織および運営については、地域の住民、事業者、金融機関等の意向が適正に反映されるようにします(条例で住民参加を位置づける)。
 この間、地方議会でも、地域金融の安定や「金融アセスメント法」の制定を求める決議、意見書の採択が相次いでいます。地方の商工会議所や中小企業家同友会などでも、同様の提言、アピールを発表しています。国会にも、各団体から同内容の請願が多数よせられています。
 また民主党も「地域金融の円滑化に関する法律案」を提出しています。
 日本共産党案の特徴は、第一に、地域金融機関の評価をおこなう機関を、民主党案では国としているのにたいし、日本共産党案では、都道府県およびそこに置かれる「地域金融の活性化に関する審議会」としていることです。
 これは、地域経済と金融の実態を一番把握しているのは国ではなく、都道府県であるという見地から、地域金融機関の評価などは、都道府県を主体におこなうのが適当と判断したからです。
 第二に、評価結果にもとづいて何をおこなうかという点では、日本共産党案は、都道府県が金融機関、行政機関(金融庁など)へ具体的な改善を要請することができるようにしています。
 このことによって、公表される数字(地域企業への貸出率など)の内容についても、具体的、直接的に改善をもとめることができます。
 第三に、日本共産党案では、信金・信組の監督機関を金融庁から都道府県に移すとともに、地域金融機関の経営安定という観点も国の責務として課していることです。もともと信用組合については都道府県の監督でしたが、信用金庫についても、その設立の目的にてらせば、都道府県の監督に移すのが妥当と考えます。
 第四に、都道府県および都道府県に置かれる「地域金融の活性化に関する審議会」に、地域金融にかんする紛争(苦情)処理の機能を持たせていることです。このことによって、預金者、借り手を守る機能が行政機関側にそなわることになります。
 日本共産党は、地域金融の活性化を野党にも呼びかけながら、地域からの運動、とりくみと力をあわせ、地域金融を立て直すために、ひきつづき全力をつくしていきます。
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