● ● ● ● 大門実紀史 Daimon Mikishi  ● ● ● ●

「建設不況から中小建設業者、労働者を守る緊急対策」(2001年6月1日発表)
日本共産党国会議員団・建設産業対策委員会
 小泉内閣がすすめようとしている「構造改革」の中心である「不良債権の最終処理」とは、銀行が債務の相手先企業に社員の解雇や下請中小企業の整理を条件として債権放棄をおこなう、また不良債権の大部分をしめる中小企業には融資を打ち切り法的整理(倒産)に追い込むということに他なりません。こんな強引な手段をとれば、今でさえ過去最悪の水準となっている中小企業の倒産と失業をさらに激増させ、不況をますます深刻にし新たな不良債権を発生させるばかりです。
 日本共産党はこういう国民に痛みを押しつけるやり方ではなく、消費税の減税で家計を直接あたため、国民の雇用、社会保障への不安を取りのぞくことにより、個人消費を拡大し経済を立て直すことを提案しています(「緊急経済提言」)。
いま中小建設業者、労働者は仕事の激減、倒産、賃金・単価の切り下げによってかつてないほど苦しい状況におかれ、自殺者も続出しています。さらに、銀行のかかえる不良債権の四割以上が建設、不動産関係に集中していることから、倒産、失業がいっそう増えるのではないかとの不安が広がっています。
日本共産党国会議員団・建設産業対策委員会は、深刻化する建設不況と小泉自公保内閣の悪政から中小建設業者、労働者の仕事とくらしを守るため、次の緊急対策を発表し、国や関係団体にその実現をせまる行動に取りくみます。

建設不況から中小建設業者、労働者を守る緊急対策

1、 中小建設業者の仕事をふやし雇用を守るために

(1)消費税の減税によって住宅建設などの仕事をふやす
 消費税は、建設工事ではとくに税額が大きくなることから、需要の足を引っ張る大きな原因になっています。消費税の引き下げは住宅や店舗、事務所の建設、改築など中小業者が受注しやすい仕事をふやし、地域への経済波及効果も大きいものがあります。この点からも消費税をただちに三%に引き下げることを求めます。
(2)公共工事の中小企業むけ発注をふやす
 公共事業の中身を、大手ゼネコンむけの大型事業中心から地域住民の要求にこたえた生活、福祉型にきりかえます。このことによって、財政再建や社会保障の充実のために公共事業費を段階的に削減しても、中小企業への仕事をふやし建設労働者の雇用を守ることができます。
 また、官公需の地元中小企業への発注率をひきあげます。すでに一部の地域で実施されている一定規模以下の公共工事を地元中小業者に限定して発注する制度を普及させます。

2、中小企業にたいする強引な融資回収(貸しはがし)や不当な新規融資の停止をやめさせるために

 銀行の不良債権(破綻懸念先債権)のうち中小企業にたいする債権は約七割をしめます。しかし、これらの債権のほとんどは景気が回復すれば正常債権に転化しうるものです。
にもかかわらず不良債権の「最終処理」の名のもとに一気に債務を清算させようとすれば、多くの中小企業が倒産に追い込まれることは自明です。こんなやり方を認めるわけにはいきません。
中小企業にたいする強引な融資回収(貸しはがし)や不当な新規融資の停止をおこなわないよう強く要求します。

3、下請中小企業の連鎖倒産を防止するために

(1)元請け倒産時に、下請債権、労働債権を優先的に保護させる
 建設業は下請の施工や労務の提供が生産の大部分を担っています。ところが、元請企業が倒産した場合、銀行や国が担保を先に差し押さえ、工事代金の未払い分など下請業者の債権が確保されず連鎖倒産に追い込まれるなど、一番被害を受けるのは下請中小業者です。
 しかも下請債権は労働者の賃金が大部分をしめます。下請企業の労働者の未払い賃金を労働債権として認めるべきです。そしてこれらの労働債権については「労働債権の保護に関する厚生労働省報告」でも述べられているように、「特別に保護すべき債権」として優先的に確保させることを求めます。
(2)倒産防止特別融資の拡充
 倒産件数の約三割を建設業が占めており、倒産防止の特別な方策が必要です。中小企業倒産対策貸付制度など現行の倒産防止特別融資は、一次下請企業しか使えないことから、二次以下の下請業者の連鎖倒産を防ぐことができません。重層下請けになっている建設業の実態に即して、二次下請以下の企業にも使えるようにすべきです。

4、賃金不払いを防止するために

(1)国土交通省、地方整備局、都道府県などに調停、指導機能をもった「相談体制」を拡充する
賃金不払いや元請の不当行為に関する現在の国土交通省、地方整備局、都道府県の相談体制は人員も少なく、指導内容もきわめて不十分です。必要な人員を配置し、調停と指導の役割をはたせるよう体制を拡充させます。
また悪質な例にたいしては、建設業法にもとづき元請けにたいする「勧告」をおこなうことを要求します。
(2)賃金確保法をひろく建設労働者に適用させる
 建設業では手間請けと呼ばれる雇用形態がふえています。企業が倒産した場合、手間請労働者はその労働者性がなかなか認められず、賃金確保法の適用を受けにくいのが実態です。
 労基研報告(「労働基準法研究会労働契約等法制部会報告」九六年)でも、手間請労働者の労働者性について、一定の条件を満たせば労働基準法第九条の「労働者」であるという見解を明らかにしています。
手間請労働者の賃金を労働債権として認め、社員労働者と同じように賃金確保法を適用すること。また賃金立替の上限を引き上げるよう要求します。

5、「公共工事適正化法」にもとづき、下請への適正な賃金・単価の支払いを確保させるため

 昨年成立した「公共工事入札・契約適正化促進法」では、契約の透明性の確保や不正行為の排除とともに、その付帯決議で元請・下請の契約関係の適正化につとめること、建設労働者の賃金・労働条件の適切な確保がうたわれています。
国、公団、自治体など発注官庁は、同法および付帯決議にもとづき、下請への適正な賃金・単価の支払いが確保されるように元請への指導、監督を強化すべきです。
とくに現在、元請からの一方的な低単価の押しつけである「指値発注」や下請への前払い金の未払いが横行しています。これらの不当行為については特段の行政指導をおこないただちに是正させることを求めます。
さらに同付帯決議の趣旨、精神を準用し、民間工事における発注者責任を明らかにし、大手不動産会社などに下請工事代金、賃金の不払いの解決に努めさせることを要求します。
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