● ● ● ● 大門実紀史 Daimon Mikishi  ● ● ● ●

「これからの街づくりとマンション問題の課題」(「議会と自治体」2001年9月号)
〔特集〕マンションの政策課題と実績
 マンション問題が、ここ数年クローズアップされてきています。わが党のマンション問題にたいする基本的な位置づけととりくみ、今後の課題ついてのべたいと思います。
 
一 分譲マンションの現状
 
 分譲マンションのストックは、二〇〇〇年末ですでに三百八十六万戸に達しています。今年末には四百万戸にせまり、居住者も近々千二百万人をこえることは確実です(データファイル 資料1)。
 分譲マンションが普及してきたのは、ここ四十年くらいのことです。その背景には、自民党が公共賃貸住宅の建設より持ち家政策を推進してきたこと、都市部への人口の集中と地価の高騰による住宅の立体化・共同化の促進があります。
 かつては土地つきの一戸建てに住むまでの一時的な仮住まいとして位置づけられていた感のある分譲マンションですが、最近では定住志向が高まっています。これには二つの理由があります。
 一つは、バブル崩壊以降の地価の下落です。マンションの売却価格よりローンの残債のほうが多くなり、住み替えがむずかしくなっています。さらに雇用や将来への不安が重なって、いまのマンションでの定住を考えざるをえない勤労者が増えています。
 二つめには、勤労者のなかに、長い通勤時間を敬遠し、職・住接近や都市居住の利便性をもとめる傾向が強くなっていることです。借家の条件も悪化するなかで、平均的な所得の勤労者が都市部に家を持とうとすれば、分譲マンションを選択せざるをえません。また最近では、老後を便利な都市部で過ごすために、郊外の一戸建からマンションへ住み替える高齢者世帯や一部の富裕層による超高層豪華マンションの取得も増加しています。
 さらにこの分譲マンションの普及に拍車をかけているのが、大手不動産会社やデベロッパー(開発業者)の販売攻勢です。分譲マンションは大手企業にとっては、大変魅力的な商品です。同じ戸数の戸建て住宅を販売するのにくらべ、投下した資金の回収効率がよく販売のスケールメリットが期待できます。マンションの維持管理にも、大手企業の関連子会社がかかわることができ、販売から管理まで、長期的に収益をえられるうまみの大きい商品になっています。大手各社は「頭金なしでも購入可能」、「ローン支払いは家賃なみ」など、連日の新聞折り込みに見られるような大量宣伝で、勤労者の持ち家志向をあおっています。
 一方、深刻な不況のもと、住宅ローンの滞納者やローン破産に追い込まれる勤労者が増加しているのが現状です(表)。

二 分譲マンションの特質

 分譲マンションには、戸建て住宅とは違った特質があります。
 第一に、所有形態の特殊性です。分譲マンションは、各居住者が所有する専有部分と廊下や階段など居住者全体で所有する共有部分からなっています。居住者は自分の好みにあわせて部屋の内装を変えることはできますが、共有部分や基本構造を改造することはできません。マンションは、戸建て住宅とくらべると「半持ち家」といった性格が強いと思います。
 第二の特質は、共同管理がもとめられることです。分譲マンションは、建物が大規模で複雑な設備をもっており、その管理と維持には専門的な知識が必要です。管理会社に依頼することもできますが、管理会社にすべてまかせきりというわけにもいきません。建物の修繕も、居住者の合意にもとづき計画的にすすめる必要があります。素人である居住者がこれらのことを共同でおこなわなければならないところに、マンション管理のもっともむずかしい点があるといえます。
 第三に、分譲マンションは共同生活を基礎にした居住形態であるという点です。「面倒なことはすべて管理会社がやってくれる」、「マンションは近所づきあいのわずらわしさがない」と思って入居する人が多いようです。実際、「隣は何をする人ぞ」といった近隣関係のマンションもあります。
 しかし一つの建物、敷地に共同生活しているわけですから、管理や維持はもちろん、ペットや生活音、水漏れのトラブルなど、居住者同士が話し合いで解決しなければならない問題が必ず発生します。また、災害などの緊急事態や防犯では、居住者間の協力が欠かせません。むしろこれからは、マンション居住の共同性を長所として前向きにとらえ、その集住単位を都市の暮らしのなかで、お互いに助け合えるような住民組織に発展させていくことが重要になっていくでしょう。

三 いま、なにが問題になっているか

 分譲マンションのこうした特質を十分考慮した供給システムが整備されないまま、建設、販売だけが増大することによる、さまざまな問題がおきています。
 第一に、分譲会社とのトラブルです。
 分譲会社が工事費を安くあげるために、施工業者に工期の短縮や不当に低い単価を押しつけているもとで、欠陥マンションの問題が全国各地でおきています。
 また、分譲会社が建物の保証期間や責任範囲を自分に有利に設定し、あとで雨漏りや結露などがおきても責任をとらないというトラブルも、多く発生してきました。将来の計画修繕に困難をもたらすことがわかっていながら、修繕積立金を著しく低く設定して、物件を売りやすくしているケースも、まだ多くみられます。
 さらに分譲会社は、所有形態の特殊性や共同管理の重要性など、購入者に面倒と思われるようなことはほとんど説明せずに、ともかく早く売ろうとします。これが最初の段階で居住者の管理への自覚を損ない、あとの維持管理に大きな困難をもたらしています。
 第二に、管理会社とのトラブルです。管理会社も、居住者の無知につけこんで、不当に高い委託費を押しつけたり、空き住戸の管理費まで居住者に負担させているところがあります。なかには、建物の損害保険の受取人を管理会社にしていた、という例もあります。修繕積立金の口座名義を管理会社にして、恣意(しい)的な運用や使い込みがおこなわれたケースも発生しています。
 第三に、共同管理上の問題です。
 マンションの管理に責任をもつのは、具体的には居住者全員で構成する管理組合です。ところが、管理組合そのものが結成されていなかったり、いちおう結成されていても事実上、機能していないところが少なくありません。居住者に、共同管理の意義が十分理解されていないことが原因ですが、このことが企業につけいるスキをあたえ、結果的に居住者の利益を損なっています。
 管理組合が主体的に活動しているマンションでは、トラブルのあった管理会社を別の会社に変えたり、修繕を施工業者と直接契約にして出費を大幅に減らすなど、居住者の利益をまもるとりくみがすすんでいます。
 しかし、ふだん仕事を持っている管理組合の役員が、居住者間のトラブルを解決し、居住者の合意をえながら建物の維持管理をすすめるのは、大変な苦労をともないます。管理組合が主体的に頑張ろうとすればするほど、役員の負担が重くなっているのが現実です。
 第四に、戸建て住宅との負担の不公平です。分譲マンションでは、給排水設備、変電室、ガス配管の維持管理や更新費など、戸建て住宅なら、企業が当然負担している部分の費用が、居住者の負担となっているケースがあります。固定資産税においても、マンションは建物自体の評価額が戸建て住宅にくらべて割高になっているだけでなく、一部の自治体をのぞき、共有部分や公開空き地の公共性が認められず、一般私有地なみに課税されています。

四 行政のはたすべき役割と責任

 分譲マンションの特質と現状を考えると、行政のはたすべき役割と責任は、次の点にあります。

消費者保護、居住者保護
  第一に、マンション購入時に、企業の不当行為から消費者(購入者)を保護することです。多くの勤労者にとって住宅の取得は、一生に一度の大きな買い物であり、もっとも慎重に消費者保護がはかられるべきものです。また、マンション購入における消費者保護は、ハード(建物)だけでなくソフト(管理)の面でもなされるべきです。
 建物の購入における消費者保護という点は、戸建て住宅も分譲マンションも同じです。中間検査制度の確実な実行や、住宅品質確保推進法の運用を充実していくことがもとめられます。とくに住宅品質確保推進法は、法案作成の段階で「瑕疵(かし)推定規定」の制度化がマンション業界などの反対で見送られた経過があります。トラブル解決のガイドラインの内容もふくめ、消費者の保護に有効にはたらく制度にしていく必要があります。工事の「丸投げ」や下請けへの低単価の押しつけなど、大手企業の不当行為を正していくことも、建物の品質を確保するうえで重要です。
 分譲マンションの場合は、建物を買うだけでなく「管理も買う」といわれているように、維持管理計画がしっかりしているかどうかが、資産価値の維持に大きく影響します。入居後の管理・維持計画が適切なものになっているかどうかも消費者保護の内容にふくめ、行政が点検し、指導をおこなうしくみが必要です。
 第二に、管理会社の不当行為から、居住者を保護することも行政の仕事です。昨年、「マンション管理適正化法」が制定されましたが、管理会社への監督・指導を強化し、業務の適正化をはかる必要があります。
 
分譲マンションを街づくりのなかで位置づける
 とくに都市部では、マンションをこれからの街づくりの重要な要素として位置づけることが必要です。この点では、次の三つのことが認識されなければなりません。
 一つは、マンションの良好な維持と更新をはかることなしに、これからの街づくりは成り立たないということです。さまざまな困難や特質をかかえる分譲マンションを、居住者だけの責任にして放置すれば、老朽化したマンションが街づくり全体の大きな障害になったり、スラム化する恐れさえあります。維持、更新にかんする行政の適切な指導が、どうしても必要です。
 二つめは、分譲マンションの共有・共用スペースを「公的空間」としてはっきり位置づけることです。分譲マンションが、戸建て住宅より重い負担となっている点をすみやかに改善し、公平性の確保をはかるのは行政の義務です。共有部分の管理・維持・更新について、その公的性格におうじて必要な助成をするのは当然です。
 三つめには、街づくり計画全体のなかで、マンションの建設をコントロールしていくことです。マンション建設は周辺環境に大きな影響をあたえます。とくに最近、高層マンションの建設がふえ、景観や居住環境にマイナスの影響を与えている例が増えています。企業のもうけ本位の開発にたいし、自治体がストップをかけられるようにすることが必要です。
 
新しい都市型コミュニティーとして発展を
 分譲マンションのさまざまな問題点がクローズアップされてきているのは事実ですが、マンション居住には、都市における新しい共同性、コミュニティーをになう可能性があります。現在の問題点を克服し、マンション居住を、明るい希望のもてる二十一世紀の新しい都市型コミュニティーとして、前向きに発展させることが大切です。
 そのために行政は、積極的に管理組合を支援すべきです。分譲マンションの良好な維持・更新をはかるのも、マンション居住を新たな都市型コミュニティーに発展させることも、具体的には管理組合のとりくみにかかっています。
 都市部では、いままで町内会や自治会がはたしていたコミュニティーや住民組織としての機能を、管理組合がはたす方向にならざるをえなくなると考えられます。
 行政が、管理組合の社会的な役割と可能性を認識し、建物の維持・管理はもちろん、日常活動のうえで直面するさまざまな問題における相談やアドバイスなど必要な支援をおこなっていく必要があります。

五 日本共産党のとりくみと今後の課題

 日本共産党は、二十年以上も前から、マンション問題にとりくんできました。
 電力会社に変電室の使用料を負担させる、ガス会社にガス管の維持・管理の責任を果たさせる、小規模受水槽の定期検査を自治体負担でおこなわせる、共用部分の固定資産税を減免させる、大規模修繕や駐車場の新・増設、専有部分のリフォームなどにたいして自治体に融資あっせんや利子補給をさせるなど、切実な住民要求をとりあげ、数多くの成果をかちとってきました(詳細は日本共産党発行のパンフレット『よりよいマンションライフのために、、分譲マンションでの活動のガイド』参照)。
 またマンション相談会や懇談会・シンポジウムも各地で活発に開き、つねに住民とともに考え、住民と一緒に地道なとりくみをすすめています。
 わが党のとりくみの基本姿勢は、「住民が主人公」、「住宅は基本的人権」という立場です。企業の横暴から居住者を守り、不公平な負担をただすこと、マンション居住を都市の新しいコミュニティーとして発展させ、明るいマンションライフの実現を支援することにあります。
 これまでの実績と経験をふまえながら、今後の課題についてふれたいと思います。
 
建て替え問題をどう考えるか
 最近、マスコミでマンションの建て替え問題が頻繁にとりあげられるようになっています。国土交通省は、建築後三十年をこえるマンションが、二〇〇〇年には十二万戸に達し、今後は毎年十万戸以上のレベルで増加する(データファイル 資料2)、だから建て替え問題への対処を急ぐべきだとし、「マンション建て替え円滑化方策検討委員会」を発足させ、年内に答申をまとめる予定です。公明党も、「建て替え促進法」の制定を提唱しています。
 しかし、この建て替えをあおる議論には注意が必要です。そもそも、鉄筋コンクリートのマンションが、本当に三十年程度で老朽化し、すぐに建て替えを考えなければならないものかどうか疑問です。構造的には、少なくとも六十年以上はもつはずです。
 「三十年建て替え説」には、依然として日本の建設生産にスクラップ・アンド・ビルドの風潮があるだけでなく、大手デベロッパーなどの要求が色濃く反映しています。新規販売の伸びが今後は頭打ちになると予想されるなかで、毎年十万戸以上もの建て替えは、デベロッパーにとっては大いに魅力のある事業です。
 また小泉内閣の「都市再生」政策で、容積率を緩和して建て替えを促進しようとする動きが強まるものと考えられます。さらに法務省も、区分所有法における建て替え要件を緩和する方向で検討を開始しています。
 しかし、建て替えを扇動することは、二つの点で問題です。
 一つは、資源の膨大なムダづかいという点です。マンションが三十年で建て替えられていくなら、大量の解体コンクリートを発生させ、建設廃材のなかでもっとも多いコンクリート塊をいまの何倍にも増やすことになります。産業廃棄物問題をさらに深刻化させ、資源の多大な浪費につながることは明白です。
 二つめは、建て替えは居住者の負担が相当重くなることです。容積率に余裕があり、等価交換方式(建て替えによって戸数をふやし、その売却収入を建て替え費用にあてる)ができるケースは少数で、大抵は居住者に高額の負担をもたらし、その力のないものは所有権を手放さざるをえない場合もでてきます。とくに、やっとローンを支払い終えた(まだ残っている場合もある)高齢の居住者にとっては、耐えられない大きな負担になります。
 安易な建て替えを前提とするのではなく、マンションの長寿命化(少なくとも五十年以上をめざす)を、行政施策の基本にすえるべきです。そのために、耐久性の高いマンションの供給を促進すること、長寿命化をはかるための積極的な維持管理とリフォームの計画的な実施を誘導、支援することに、行政は力をいれなければなりません。
 そのうえで、本当に老朽化したマンションや、設備上の問題など他の理由で居住者の多くが建て替えをのぞむケースについては、原則的に、つぎのような対応が必要であると考えられます。
 第一に、建て替えの必要性について、居住者全員の合意形成がはかられるようにすることです。マンションの建て替えは、住宅にたいする要求や資金負担能力が異なる多数の居住者の合意をはからなければならないという特別の困難があります。
 現在、区分所有法では、居住者の五分の四以上の多数決で建て替え決議ができるようになっていますが、実際には全員の合意をめざさないと事態はすすみません。現在まで全国で六十九の建て替え(阪神大震災での建て替えは百八)がおこなわれましたが、裁判になっているものをのぞき、すべて全員の合意によっておこなわれています。
 なぜ建て替えなのか、なぜ補修や更新(リノベーション)ではだめなのか、あらゆる情報が公開されたうえで十分に話し合い、居住者全員の合意形成を追求することが大切です。
 第二に、容積率の緩和をどう考えるかという点です。建て替えを促進するために、安易に容積率をアップするという方法はとるべきではありません。野放図な容積率の緩和は結局、居住環境の悪化を招き、街づくり全体にマイナスの影響を与えます。
 一方、容積率の緩和が、総合設計制度による既存不適格物件(容積率が改定されて厳しくなり、建て替えで従前の床面積が確保できない)の救済などに必要な場合もあります。
 容積率の緩和の問題は、周辺住民の合意形成をふくめ、個別に慎重に対応していくべきだと思います。
 第三に、建て替えの費用負担と公的支援の問題です。本来、建て替えの資金は、容積率のアップで捻出するのではなく、建て替え積立金制度などをつくって準備していくべきものです。もちろん、そこに利子補給などの公的支援をすることは必要です。
 現在、建て替え費用の共用部分について、国と自治体があわせて三分の二を補助する優良建築物等整備事業制度がありますが、共用部分についての特別融資の拡充など、公的支援をさらに充実していくことが必要です。また、高齢者世帯など費用の負担ができない居住者にたいし、資産保全や住居の確保などの支援策をとることも行政の役割です。
 
今後のとりくみ課題
●住民要求を基礎に地域活動の発展を
 各地で開かれている日本共産党のマンション相談会や「マンションだより」の発行は大変好評で、住民の方々に喜ばれています。さらにわが党の地方議員は、住民の要求を直接、議会でとりあげたり、自治体や企業と交渉するなど、住民といっしょに奮闘しています。
 今後のとりくみとして重視する必要があるのは、党と管理組合との定期的な懇談や要求集約の活動を広げることです。とくに、日夜苦労されている管理組合役員のみなさんの相談にのり、援助をしていくことがもとめられます。さらに団地、マンションの党支部が、主体的にマンション問題にとりくんでいくことも大切です。
●国にむけたとりくみ
 第一に、消費者保護、居住者保護の立場にたって、関連業界や企業への指導・監督責任をはたさせることです。
 「マンション管理適正化法」が制定されましたが、その主な内容は、管理業者の登録制度とマンション管理士の新設、管理業者団体を指定することなどです。従来からあったマンション管理業界のシステムを国が認知しただけという側面もありますが、業者の登録制度によって、悪質な管理業者にたいし行政が指導・規制をくわえるしくみができたことは前進です。今後の運用で、実効性を確保する必要があります。
 今後、急がなければならないのは、マンション購入時の消費者保護制度です。分譲マンションの分譲の段階で、建物の性能や保証内容が基準をみたしているか、管理規約案や修繕計画などの初期設定が適切かどうかについて、行政のチェックと指導がおこなわれていれば、現在のマンション問題の相当部分は解決されるといってよいでしょう。
 アメリカのカリフォルニア州では、州当局が分譲マンションの物件の状況と管理に関する事項を審査したうえで認可する「パブリック・リポート」とよばれる制度があります。この制度は、欠陥マンションや設備の不備なものが販売されることを防ぎ、入居後の管理や修繕をスムーズにすすめるうえで、大きな効果をあげています。日本でも、このような消費者保護制度が必要になっています。
 第二に、国の安易な建て替え促進の姿勢を抜本的にあらため、マンションの長寿命化をはかる施策をとらせることです。現在、修繕より建て替えにたいする補助制度のほうが手厚くなっていますが(優良建築物等整備事業制度における建て替えや解体費の助成など)、修繕についても支援策を強化すべきです。
 建物の長寿命化をはかるうえで大切なことは、定期的に建物診断をおこない、その結果を長期修繕計画に反映させ、適切な時期に修繕をおこなっていくことです。この点では、現在おこなわれている「定期調査報告制度」(建築基準法第十二条により、定期的に建築物を調査し、その結果を自治体に報告しなければならない)を土台に、劣化診断の検査項目を充実して、国と自治体からの助成をおこない、定期的な診断制度に発展させることが考えられます。
 第三に、マンション管理への支援立法が必要です。「マンション管理適正化法」における国の基本的な考え方は、マンションはあくまで個人の所有物、“私有財産なのだから、自分で保全しなさい”ということです。
 同法にもとづき、八月一日に国土交通省が発表した「マンション管理の適正化に関する指針」も、管理組合の「心がけ」を説くばかりで、国や地方自治体の役割については、情報提供や相談体制の充実など抽象的な内容にとどまっています。これではマンション居住の良好な発展はのぞめません。国、自治体の責務と建物の維持管理や管理組合の活動への支援を明確にした基本法を制定することが必要です。
●地方自治体にむけたとりくみ
 自治体の基本的な役割は、個別のマンション建設にたいする具体的指導、入居後の管理組合への支援にあります。地域内のマンションの現状を把握し、建物の維持・更新への適切な指導と援助をおこなうこと、管理組合を住民組織として位置づけ、その活動を支援することが必要です。
 これらのことをすすめるために、分譲マンションの位置づけと自治体の施策の方向を明確にした総合政策やマンション条例の制定をすすめる必要があります。マンション対策を専門的にあつかう担当部署(マンション課など)を設置するなど、具体的な体制をととのえることも重要です。
 管理組合間の交流をはかり、活動を発展させることにも、自治体は努力しなければなりません。
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