● ● ● ● 大門実紀史 Daimon Mikishi  ● ● ● ●

被災地・被災者の声にこたえて生活・地域社会の再建へ(「前衛」2011年6月号)
大門実紀史(党参議院議員)

困難に向き合い、一歩一歩前に進んで
当面する対策を機敏に、必要な施策の実現
復興は住民を中心にしてこそ可能、活力も生まれる
連携して、被災者・被災地の要望にこたえていく

困難に向き合い、一歩一歩前に進んで

 東日本大震災が三月一一日発生して以降、日本共産党国会議員団は、高橋ちづ子現地対策本部長を先頭に、各議員が被災地を訪れ、被災者、被災地の要望を聞き、その実現のために努力をつづけています。
 私も震災直後から福島県、宮城県、岩手県の被災地、群馬県、栃木県、埼玉県の避難所を訪れて要望等を聞き取り、すぐに国会でとりあげ具体的な制度、事業の実施を各省庁に迫りました。被災地の党組織、地方議員団、民主団体と党国会議員団の奮闘で、がれき撤去事業の遂行、農業、漁業への風評被害の対策、農家への損害賠償の仮払いのしくみや、中小企業、失業対策など、実現、前進したものも数多くあります。
 日本共産党の志位委員長は、三月三一日に東日本大震災にあたっての提言「被災者支援・復興、原子力・エネルギー政策の転換を」を菅首相に提起しました。「被災者救援、原発事故の危機収束――二つの緊急の大問題にとりくむ」「戦後未曽有の災害からの復興に、国の総力をあげてとりくむ」「原子力行政、エネルギー政策の抜本的な転換を」という三つの柱で、節々で政府におこなってきた要請・提案をふまえて、被災者・被災地の立場にたった、三月末の時点で必要なことを提起したもので、この実行がもとめられています。

□複合的な破壊のもとで復興へ

 東日本大震災がおきてから一カ月余りたちました。最初に三陸の大船渡、陸前高田、気仙沼、石巻から福島県の相馬、南相馬市など町々を訪れたとき、地域のインフラと産業と生活と文化まで破壊されたことに驚き、複合的な破壊が起きたと思いました。建物や漁港が破壊されたというだけでなく、それぞれの町の歴史や人々の生業がまるごと消えてしまったことが大変ショックだったのです。
 複合的に町が破壊されましたから、私たちが取り組まなければならないことにも、たんにインフラの復旧だけでなく、重層的、多面的な施策が求められると思います。
 被災地の方々も、最初は呆然自失という状態の方が多かったのですが、しだいに一歩一歩、前に踏み出そうという方が増えています。もちろん家族を失った悲しみ、家をなくした絶望感を必死にこらえながらの奮起ですが、いま目の前にある課題に立ち向かおうとされている姿に、人間の強さと勇気を感じます。
 三回目の現地調査で宮城県気仙沼市にいったとき、気仙沼漁協の代表専務の方は、「何としても六月一日から水揚げをやる」といわれました。漁港の状況や市場、水産加工や関連の工場の状況をみると、ほとんど不可能ではないかと思って見通しをうかがうと、「ふつうならできないことだ。もちろん従来の量の水揚げなど無理だが、少しでもいいから六月一日にやるんだと皆で決めた。決めたら皆、元気が出てきて具体的に動き出してくれた」と話されました。困難な時ほど目標をもって頑張ることが人を元気にするのだと、あらためて教えていただきました。
 政府の対応が後手にまわっていて、被災者、被災地になかなか展望を与えることができていない現状ですが、被災地では苦しい中だからこそ、明るい展望を語り、なんとか復興にむけて足をふみだそうとしています。政治がその気持ちを萎えさせてはなりません。全面的な支援をすすめなければという思いを強くしています。

□四重苦が襲いかかる福島県

 福島県には、地震、津波、原発事故、風評被害のまさに四重苦が襲いかかっています。現在の原発事故の危機を回避し、復興していくには特別な対策がもとめられています。
 党国会議員団は福島県委員会と連携し、汚染データの公開、避難先の確保や風評被害など原発事故被害にたいする政府の対応・支援が遅れたことをただしてきました。
 私が三月後半に福島県須賀川市にいったときには、農産物の出荷停止、風評被害が問題になっていました。「原子力損害賠償制度」という枠組みがあり、いずれ東京電力に損害賠償請求ができるものの、時間がかかります。損害を補償されるまで収入の手立てがなくなってしまうわけですから、何とかしてほしいという強い要望をお受けしました。国会質問で政府が立て替える「仮払い制度」をつくれと要求しました。その後、JAのつなぎ融資を使うしくみとして実現しました。
 また、JA福島など農業関係者から強くだされていた風評被害対策では、党議員団として安全なものは積極的にアピールすることや、出荷制限を掛ける場合は県単位ではなくて地域単位の表示にすること、根拠もなく仕入れを拒否しないように小売業界や卸売業界へ指導せよと求めました。
 雇用の関係では、避難・屋内退避地域にある事業所が休業した場合、その労働者にも失業給付をおこなうよう田村智子参院議員が参院厚労委員会で強く主張し、私も予算委員会でとりあげ、雇用保険失業給付の特例という仕組みができました。
 漁業の風評被害の対策も必要です。高橋ちづ子衆院議員が、海産物の漁業被害、風評被害について、「『市場に出回っている魚は安心』という状態を国の責任でつくるべきだ」として、国による人的、財政的担保や根拠なく海産物の扱いを拒否することへの指導を求めました。
 中小企業の問題では、事業所や工場はあるけれども、放射能汚染があるから避難せざるをえなくなって営業ができないなどの営業被害ですが、野田財務大臣は「救済のスキームが必要」と答弁し、現在、経産省に無利子のつなぎ融資という形で検討がすすんでいるところです。

□損害賠償の仮払いの矛盾を解決し拡大する

 損害賠償では、東京電力の賠償金の早い支払いをもとめる声が強くだされました。塩川鉄也衆院議員が、二〇万におよぶ住民の実態をしめして仮払いも含めた賠償金の一刻も早い支払いをもとめました。
 東京電力は、こうした住民の要求をうけて、一世帯一〇〇万円、単身者七五万円という仮払いを四月一五日にようやく決めましたが、これの矛盾を解決していく必要があります。
 まず金額の矛盾です。一世帯当たり一〇〇万円はあまりに少なすぎます。世帯ごとによって人数が違いますから、世帯の人数に合わせて支払うべきという声がだされています。
 もう一つの矛盾が、三〇キロ圏内に限定してだすという線引きがされていることです。しかし、南相馬市、いわき市、田村市、飯舘村など、同じ村、同じ市の中に三〇キロ圏内とそれ以外の両方があって、支給される世帯とされない世帯ができることになってしまいます。
 もともと、原発事故対する賠償は「原子力損害賠償法」に定められていて、地域と関係なく損害を受けた人全員が請求できるわけです。避難地域の線引きとは直接関係がないのです。実際にどの被害にまで損害賠償するかという指針は、文部科学省のもうける原子力損害賠償紛争審査会で決めることになります。しかし、これは相当時間がかかりますから、その間、追加の仮払いをさせることや、おかしな線引きをなくし対象を広げさせることが必要です。

□原発事故の責任を明確にし、対策を急ぐ

 原発事故そのものですが、私が、福島県に最初に入ったとき、県議会議長が、「共産党さんのいったとおりになってしまった」といわれたことが非常に印象にのこっています。
 今回の原発事故は、吉井英勝衆院議員が国会で指摘したように二重の人災です。
 第一に、今回のような事故が起こることをわが党などが警告していたにもかかわらず、一切無視して安全対策を怠ってきたことです。吉井議員は具体的に的確に、津波で燃料棒を冷却するための電源がなくなり、炉心溶融することを警告していました。また日本共産党の福島県委員会や市民団体も再三にわたり、津波によって冷却機能が失われる危険性を指摘し、直接東京電力に対策を求めてきたのに、まったく耳を傾けなかったのです。
 第二の問題点は、「日本では重大事故は絶対に起きない」という「安全神話」にのっかかって、安全対策を怠ってきたし、事故が起こったときの避難計画もまともにたてられていなかったということです。
 そのうえに電源喪失後の稚拙な対応です。大震災が起きた三月一一日夜から一二日にかけて、電源が失われたあと十数時間の対応のまずさです。これも吉井議員が国会で指摘しましたが、原子力安全基盤機構(JNES)の研究報告では、全電源喪失の一六・五時間後に原子炉格納容器が破損し、放射性物質が流出すると警告していた。にもかかわらず、そういうことを政府も東京電力もまったく知らなかった。そんな中、東京電力はベント(蒸気の排出)や海水の注入をためらう、政府もなかなか命令をださない。その間に爆発を起こしてしまったわけです。菅総理がその緊迫の時間帯にヘリコプターに乗って、現地視察にいったことも責任を問われるべきです。
 わが党などの警告を無視して事故を起こしてしまったこと、事故後の対応のお粗末さ、文字どおり二重の意味で人災です。
 この点を予算委員会でも東京電力・清水正孝社長にただしましたが、事故を起こした責任をみとめなければ、そのことについての謝罪もしないという居直りの態度に終始しました。これでは将来また同じことをくり返しかねません。
 また、ようやく決まった東京電力の仮払いの経過をみていても、“国がいうことにしたがって協議しています”という態度でした。なにか国にお金をだしてもらうことを前提にしているかのような態度でしたが、東京電力の責任を厳しく問い、まず東京電力の資産を、税金を使う前にきちんと出させなければ国民の納得はえられません。
 しかも、原発事故を収束させるために、政府は、内外の知恵を広く集めて、あらゆる手立てをとるべきなのに、そういう体制も行動もありません。データの公開や収束の見通しも東京電力まかせになっており、国民の不安を増大させる結果になっています。住民の避難についても、政府が一方的に発表したり、生活や住まいも、今後の見通しもしめさないという状況が続いています。こうしたことはその気になれば改善できることですから、政府は直ちに実行すべきです。

□既存原発を総点検し、浜岡原発、老朽化原発の停止を

 いまある原発の総点検の問題ですが、三月二九日の予算委員会で「全国の原発を総点検せよ」と迫ったら、その翌日、政府は、既存原発の緊急点検の指示をだしました。しかしその中身は、津波で全電源が消失した場合にそなえ電源車や消防車を配置しろといった程度のものです。抜本的な安全対策は「中・長期課題」とされています。
 しかも地震対策が欠落しています。四月七日の余震で、宮城・女川原発、青森・東通原発と六ヶ所再処理工場で外部電源が遮断されました。うち女川原発では想定していた地震より強い地震に襲われました。この地震は、タテ揺れの地震だったのです。ところが現在の各原発の地震の想定は、ヨコ揺れには強いがタテ揺れには弱い構造になっています。私の資料要求にたいし、原子力・保安院は当初、このことを隠そうとしました。津波のことばかりが話題になっていますが、じつは地震対策も十分なされていないのです。
 それでも東京電力は、新潟・柏崎刈羽原発の運転を再開したいといいだしています。福島原発の事故をうけて、いまなすべきことは、既存原発の抜本的な安全対策を急ぐこと、また東海地震想定域の静岡・浜岡原発や老朽化した原発の停止、青森・大間原発ふくめ新規建設のストップです。
 また、菅首相は、白紙からの見直しを含めて検討することを志位委員長にのべていましたが、福島原発事故の検証、原発の安全性を確認することなしに原発の増設計画をそのまますすめないと答弁しています。一方で、海江田経産相は、必ずしも、あらたな建設を中止するとはいいません。
 原発の新増設には巨大企業が受注し、巨大な利権がからんでいます。原発依存からの方向転換は自動的にはすすみません。原子力政策の転換をすすめるために国民世論をいっそう高めていく必要がありますし、各自治体でのたたかいも重要になっています。

当面する対策を機敏に、必要な施策の実現

 被災地全体に共通することですが、複合的な破壊がおきているわけですから、すでに存在している制度や対策を最大限にいかして機敏に対応すること、新たな施策が必要なことをあきらかにして必要な対応していくことが求められます。

[遅れている仮設住宅の建設]
 住まいの問題では避難所の改善をはかることと、そして仮設住宅、公営住宅に移ってもらう問題です。
 仮設住宅の問題でいうと、建設資材不足が足かせになっています。資材の高騰、買い占め・売り惜しみという事態が問題になっています。とくに「合板」価格が震災後一カ月で一〜二割あがり、政府の調査でも「仮需」、つまり投機的な売り惜しみ行為がおこなわれていることを認めています。政府が「買い占め等防止法」の発動をふくめて機敏に対応することなどして売り惜しみをストップさせなければいけません。
 穀田恵二国対委員長、高橋ちづ子衆院議員や紙智子参院議員が仮設住宅建設に地元産材を活用すれば雇用対策にもなると要求して、大畠章宏国交相も東北地方産材の積極的活用を指示しました。これは現地ではたいへん励みになっています。
 避難所生活が長引いてきていますから、仮設住宅の建設が遅れているだけに、政府の責任で急ぐ必要があります。また、公営住宅は雇用促進住宅をふくめて枠を広げさせることが必要です。この問題で、コミュニティーが維持できるような特別の努力、工夫が必要になっていると思います。
 また田村智子参院議員は仮設住宅の入居者へ生活必需品を支給するよう求め、厚労省も「災害救助法の国庫補助の対象になる」と明言し、周知徹底を約束しました。

[仕事がしたいという痛切な声]
 住まいの次は仕事です。当面の仕事を失った人たちは、先ほどいった雇用保険失業給付です。ふつうは失業保険は災害に出ないのですが、特例ででることになりました。また、高橋議員が取り上げた休業手当の八割を保障する雇用調整助成金の要件の緩和です。いま青森、岩手県内など災害救助法適用地域に限定して実施されていますが、震災の経済的影響は被災地にかぎりませんから、全国的に広げることを求めています。ただしこういうものは一〇〇%保障ではないので、仕事がありませんから、なんとか上積みでださせる、あるいは期間を延ばしてださせるとりくみが必要です。
 現地にはいると「がれきの撤去でも、とにかく仕事がほしい」という声が強くだされています。雇用保険に入っていない人がたくさんいますので、当面の失業対策として、雇用創出基金事業を使って、がれきの片付けや避難所の手伝いなど範囲を広げさせることもできました。岩手県は、この基金から六〇億円をあてて、三五〇〇人の採用を提案しています。
 復興のスタートを切るにも、当面の失業対策としても、がれきの撤去は大きな事業になります。
 現地にいって、四週間たってもがれきがほとんど片付いていないのに驚きました。それは遺体や思い出の品々を捜しながらの作業ですから慎重にすすめられているということがあります。同時に、関係者に事情を聞いてみると、国の負担なのか自治体の負担なのか、それとも個人負担なのか、車や船の撤去は誰の責任か、すでに自主的に個人が撤去した費用はどうなるのか、何もかもはっきりしないとのことでした。環境省はすでに災害廃棄物処理事業は国が一〇〇%負担する方向で検討していたのですが、事業の詳細が明確になっていなかったのです。
 国会にもどって、環境省の担当者に一つ一つ明らかにするように求めました。担当者も「実施要綱」をつくっている途中だが、まとめに時間がかかるので、「Q&A」を自治体に出してできることからはっきりさせたいと思っているとのことでしたので、そこに車や船の撤去、自主的にがれきを撤去した場合の費用も国が負担するということを明記し、自治体向けに出すことになりました。
 とくにがれきの自主撤去の費用は、環境省が「財務省がまだ了解していない」というので、野田財務大臣に質問し「財務省が費用を出さないなどありえない」と答弁を引き出し、そのあと「Q&A」にすぐに反映されました。岩手県大船渡市では、これをうけてすぐに失業対策事業として五〇〇人規模で雇用をつくっています。
 また、これからの復興事業は、仮説住宅の建設もふくめ、穀田国対委員長が国会で要求したように、地元業者優先で発注すべきです。

[債務の免除、凍結、地方金融機関への支援]
 中小企業の緊急対策ですが、津波でお店も工場も事業所も流されたり、こわれたりした場合、何が一番問題になっているかというとすでにある借金です。現在の借金が何とかならない限り、新たな緊急融資制度をつくっても借りるに借りられません。「既存の借金を何とかしてほしい」というのが、被災地の商工会議所や中小企業団体、農協、漁協の関係者から強く共通して出された要望でした。つまりマイナスからのスタートでなく、せめてゼロからのスタートにしてほしいということです。これは債務免除なり、債務の長期間凍結という従来にない枠組みを考えるしかありません。
 しかし、たんに被災地の地域金融機関に債務免除をさせるだけでは、金融機関そのものが破たんしてしまいます。気仙沼信用金庫の理事長と話をしたときにも、地域金融機関の厳しさがだされました。借り手を守るためにも信用金庫など地域金融機関への支援がどうしても必要です。
 一番いいのは、被災者の債務の「買い取り機構」のようなスキームをつくることだと思います。そこで、被災者の債務をいったん買い取れば、金融機関もその債務が自分のところから離れますから、身軽になります。そういうしくみをつくって、被災者も地域金融機関も再起に全力をあげてもらうことが必要です。
 また、復興を考えたとき、町そのものが破壊されているわけですから、個々の中小企業を助けるというだけではなく、水産業者まるごと、商店街まるごと、面で引き上げていかないと復興にならないということです。日弁連も要求しているように、個人の住宅ローンも新たな枠組みで、被災者を支援する私的整理のスキームが必要になってくるでしょう。金融面での問題の解決は、個々の中小企業や被災者が立ち直る意欲を引き出すとともに、復興の展望をつかむうえで決定的な課題になるでしょう。

[医療、子どもへの対策]
 全国から医療関係のみなさんが、現地の医療関係者のみなさんといっしょになって、医療の確保に懸命に取り組んでいます。医師不足、病院の統廃合で地域医療が崩れていた地域だけに、みなさんの奮闘はほんとうに貴重だと思います。民医連は全国的な医療機関として、日本赤十字社に次ぐ医療スタッフを派遣するなど、大きな役割をはたしています。病院自体がたくさん被災していますから、これからも支援がひきつづき重要になっています。医療費の窓口負担の猶予の拡大などを要求してきましたが、政治の責任は大きいものがあり、関係者の要求を届け、実現していかなければなりません。
 また、宮本岳志衆院議員など文教チームが被災地に入って、教育委員会や教職員と懇談し、要望を聞いてきました。被災学校の復旧、児童・生徒、教職員の心のケアのための養護教員の配置から通学の交通手段、避難してばらばらになった教え子たちとの連絡の困難さなど、多岐にわたって要望が出されています。
 震災で親や家族をなくした子どもたちもたくさんいます。教育を受ける権利をどう保障していくのかも問われています。国が被災した自治体・教育委員会、あるいは児童・生徒に財政的な裏付けをはっきり示すことが緊急に求められています。

復興は住民を中心にしてこそ可能、活力も生まれる

 がれきの撤去や、債務の処理などがすすんでいくと同時に、町の再生、復興プランが具体的な問題になります。

□国から押しつけるやり方はとるべきでない

 復興にあたっては、わが党は、被災者の生活再建と地域社会の再建を復興の土台にすべきだし、地域のコミュニティーの再建を重視すべきだということをくり返し提起し、復興計画についても「国が上から押し付けるやり方はとるべきではない」と強調しています。
 阪神・淡路大震災のときも、「復旧よりも復興」といって、住民の意見も聞かずに国が勝手に急いで都市計画の線引きをやったり、神戸空港をつくったりしましたが、それが今日では、新長田地区再開発事業をみても、建物は建ちましたが、もともとあった長田の良さは失われてシャッター通りになっていますし、神戸空港も赤字に陥っています。この轍を踏んではいけません。
 復興にあたっては、何より中心にならなければいけないのは被災地の住民自身です。実際に、岩手県釜石市では、地域コミュニティーに配慮した仮設住宅の建設、仮設商店街の形成などを検討していますし、宮城県石巻市では、自分たちの漁港をこうしたいと復興会議ができているなど、復興に向けた検討がはじまっています。そういう知恵を集めてやるのが本筋です。そうしてこそ、被災者・被災地に展望を広げて、生活の再建、地域再建の担い手としての活力を引き出すことができます。
 またその際、「共同」がキーワードになってくると思われます。阪神淡路大震災のときも、中越地震のときも、仮店舗商店などが生まれて、そこから活気が生まれ、再建が始まっていきました。三陸の被災地は従業員数が数十人規模の食品加工場、水産加工工場が数多くありました。商店街もありました。それらが津波で流されたり、倒壊したりしたわけですから、個人の力だけでは復旧ができません。まず共同工場や共同店舗を国の支援でつくり、まずそこで仕事を開始していただくことが考えられます。
 そういう地に足の着いたところから町の復興プランはできあがっていくのだと思います。住宅地のあり方、津波対策もふくめ住民や地元産業関係者の思いと知恵からプランは組み立てなければなりません。
 ところが政府は勝手に「絵」を描き始めているのです。農林水産省が内部資料として作成した「水産業復旧・復興の基本的な方向」(絵図)では、「漁港・漁村の機能分担、再編」や「高台移転、農地化」「漁港、漁村のエコ化」「市場の集約」など、地元の意見も聞かないで一方的な青写真を並べています。しかし、地元で話を聞くと、「石巻と気仙沼は同じだと思っているのではないか」「獲れるものも違う。漁場の特徴もある」ということです。勝手に「機能分担」「集約化」されるなど、地元の人たちにとってはあり得ないことだし、誇りを奪うことになります。これでは、復興の活力はうまれません。
 菅首相は、東日本大震災の復興ビジョンを策定する「復興構想会議」で、六月末までに第一次提言をまとめる、その際「地域住民の要望、声を尊重する」といっていますが、地元の意見を聞くだけ聞いて終わりにするようなことをさせてはなりません。むしろ復興プランは被災地の住民、自治体が練り上げ、財源は国が責任を持つようにするべきなのです

□増税で財源をつくるのはまちがい

 「復興構想会議」は、「震災復興税」で国民負担をいい、政府からもさかんに消費税増税が流されています。財界も、経済同友会が「国民に広く負担を求める復興税の導入」を主張しています。しかし、消費税増税は、被災者も無収入の人も負担しなければならないもので、これで復興にあてるのはまちがいです。被災地の住民にはあとから消費税を還付するともいっていますが、後で返すくらいなら最初から取らなければいいのです。
 われわれは、まず、不要不急のムダ――例えば阪神、京浜などの大型港湾のために一〇年間で五五〇〇億円もつかうことになっていたり、政党助成金の返上、米軍への「思いやり予算」のカット、二兆円にのぼる法人税減税、証券優遇税制の見直しがまず先決です。とくに日本共産党以外の政党がうけとっている政党助成金を返上して、復興財源にあてるべきです。各政党が決断すれば、年間三二〇億円の財源がすぐ生まれます。
 日本共産党は、「震災復興国債」を提案していますが、これは従来の国債発行方式とはちがって、現行の個人向け国債のようなイメージで、市場で消化するのではなく、助け合いの精神で個人や企業に直接引きうけてもらうというものです。少額の国債でみんなで支えると同時に、大企業などお金が有り余っているところや大金持ちなどには大口で引き受けてもらう。みんなで助け合い、大企業などの余剰資金を有効活用するという性格がありますから、説得力をもった提案だと思います。

連携して、被災者・被災地の要望にこたえていく

 私たち、日本共産党国会議員団は各地の調査にくりかえし出かけ、被害の実態や被災者の要望を聞いています。そのことで何が問題なのかを発見して、新たな制度をつくらせるとともに、すでに制度があるのに活用されていなければ何がネックになっているのかを調べて、現地で実行できるようにしてきました。被災地のことを考えるとスピードが大事です。

□問題をスピーディに解決する仕組みを

 群馬県の片品村は、福島原発事故で屋内退避となった約一〇〇〇人の南相馬市の住民を受け入れています。三月なかば私は片品村の千明村長とお会いし、村の費用を拠出して、村の意志で迎えのバスをだし、村内の旅館、民宿を避難所として無料提供されているということをきいて本当に感激しました。「村の財政も苦しいので、長期になる場合はやはり国の援助がほしい」とも言われました。災害救助法では国が支給できるはずです。国会にもどり厚労省と交渉した結果、国が費用負担することを明確にした通達が出ました。
 いま、自治体と国との風通しがものすごく悪くなっています。政府は、自治体に使える制度すらきちんと知らせていないのです。そのことで被害を受けるのは被災者、被災地です。こうした状況を改善するためにも、現場で困っているところに国の職員を派遣して、問題があればすぐに省庁と連絡してことをすすめるべきなのです。そういう判断できる仕組みをつくっておかないと、これからもさまざまな問題がスピーディに解決できません。

□地方議員、党組織の献身的な奮闘

 そんななかで、被災地の党地方議員、党組織の奮闘がものすごく大きな力なっています。たとえば、自主的にがれきを撤去したときの費用負担がどうなるかについても、石巻市に行ったときに党市議団から、「工場の中に入ってきたがれきを自分で撤去して、費用も自分で払った方がいる」という話を聞いたことがきっかけになりました。原発事故による農産物出荷停止にたいする仮払いも、福島県須賀川市にいったときに党市議団と農民連、民主商工会の方々からの要望があったからです。党議員や民主団体、党組織のみなさんが、しっかり住民要望をつかんでくれているから、私たち国会議員団が政府、省庁に具体的な要求として突き付け、実現することができます。また国レベルで実施が決まった事業は、被災地の党議員団がそれぞれの自治体に具体的事業として実行させています。
 被災地の党地方議員団と国会議員団の連携が、いま非常に力を発揮しています。これは、ほかの党にはない、国民の苦難によりそってその解決のためにがんばるという立党の精神をもつわが党のすばらしさだと実感します。
 また被災地の党議員も党組織のみなさんも、多くが自らも被災者です。にもかかわらず、住民のために献身的に活動をされている姿を見るたび、胸が熱くなります。心から誇りに感じます。
 人はどんな困難に直面しても、明日の夢がもてるようになれれば、元気が出てきます。いま被災地の人々は、未曽有の危機に立ち向かっています。逆に私たちが励まされることも多々あります。これからも長期間にわたって、復旧・復興のとりくみがつづきます。こころ一つにして奮闘したいと思います。

(四月二〇日)
(だいもん・みきし)
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