【本の紹介】やさしく強い経済学――逆転の成長戦略

T 本の内容
やさしく強い経済学

 ことし日本共産党は、新自由主義を転換し「やさしく強い経済」へというビジョンを打ちだしました。
 「やさしく強い経済」とは、ひとことでいうと、人を大事にする、人にやさしい経済こそ、ほんとうに強い経済だということです。逆にいえば、新自由主義のような、人を使い捨てにする、人に冷たい経済は弱くてもろい経済だということです。
 「新自由主義」の「自由」とは人間の自由ではなく、企業、とくに大企業がもうける自由、もうけを最大化する自由です。
 そのために日本の財界・大企業は非正規雇用を拡大し、低賃金構造を固定化しました。
 企業の社会保障にたいする負担を軽減するため、自公政権に社会保障費の削減を要求し実行させました。
 自公政権は大企業・富裕層への減税をおこない、かわりに消費税を増税しました。強いものが勝てばいい、なんでも自己責任を押し付ける、人に冷たい経済です。
 そういう新自由主義を20年以上もつづけた結果、日本は貧富の格差が拡大し、内需が低迷し、経済の長期停滞におちいり、成長できない国になってしまいました。
 
 富が一部の大企業や富裕層に偏在し、世のなか全体にお金がまわらなくなったからです。
 さらに社会保障の縮減は、医療、保健所体制の弱体化をまねき、新型コロナにさいして深刻な医療崩壊を引きおこすなど、もろい経済社会であることを露呈しました。

 こんな新自由主義をこれ以上つづけても、絶望の時代がつづくだけです。

 「やさしく強い経済」に変革すれば、希望の時代をきりひらくことができます。
 新自由主義とは真逆に、賃金を引き上げ、社会保障を立て直し、応能負担の税制にあらためていけば、人びとの購買力も向上し、将来不安もなくなり、内需を喚起し、いい投資をよびこみ、経済を成長させることができます。さらに気候危機への対策も、ジェンダー平等社会の実現も、経済を発展させます。またいつ来るかわからないパンデミックや災害にも強い経済社会になります。
 わたしはこの提案を、新自由主義的発想を逆転するという意味で、「逆転の成長戦略」とよびたいとおもいます。
 最近、「環境を破壊するくらいなら、成長なんかしなくてもいいのでは」という意見をいただくことがあります。成長=浪費=環境破壊というイメージが強くあるからでしょうか。しかし、社会保障の原資をうみだすためには成長は必要です。問題は成長の中身です。いままでのように大量消費や浪費の多い成長ではなく、ほんとうに環境をまもり、真に人びとを豊かにする成長をめざさなければなりません。

 本書は、「やさしく強い経済」のかんがえ方と「逆転の成長戦略」について、できるだけ具体的に、国民のみなさんにお伝えしたいというおもいで書きました。
 第一章「冷たく弱い経済から、やさしく強い経済へ」では、新自由主義がいかに弱くてもろい経済かをあきらかにし、その転換なしに人びとのくらしと経済の未来もないことをしめしました。
 第二章「逆転の成長戦略」では、二つの成長の柱をしめしました。
 一つは「分配から成長へ」です。もうこれ以上、「成長から分配へ」=トリクルダウン論のゴマカシをつづけさせるわけにはいきません。いまやるべきことは、国民を犠牲にし、一部の大企業や富裕層がためこんだ巨額の富を、まず、国民に還元させること、そして「分配から成長へ」の好循環をつくることです。そのため内部留保課税の新しい提案をふくめその具体的方法をしめしました。
 二つ目の柱は、「やさしく強い成長戦略」です。「賃上げと社会保障が日本を救う」など、新自由主義とは真逆の「戦略」を五つの柱で提示しました。

 新自由主義が閉塞感のただよう時代にしてしまいました。しかし、たたかいは絶望からはうまれません。希望からうまれます。本書が希望を見いだす一助となり、現場のたたかいを少しでも勇気づけるものになれば幸いです。

大門実紀史 (2022) 『やさしく強い経済学――逆転の成長戦略』新日本出版社 より

 
U 本の目次
目 次
はじめに
第一章 冷たく弱い経済から、やさしく強い経済へ
(1) 「やさしく強い経済」とは
経済・産業をうまくまわすこと
なぜ、やさしく強い経済か
(2) 新自由主義とは、けっきょく何だったのか
新自由主義の自由はだれの自由?
新自由主義の経済政策とは
日本における新自由主義
新自由主義の四つのウソ
(3) もう新自由主義から転換するしかない 
格差の拡大
成長できない日本
岸田首相の「新しい資本主義」って、なに?
新自由主義との対決軸は社会主義の思想
第二章 逆転の成長戦略
(1) 「分配から成長へ」―まず分配せよ
@大企業の内部留保に課税せよ
 膨張する大企業の内部留保
 日本共産党の「内部留保課税案」 
 日本共産党の提案には三つの大きな政策効果が
A富裕層に課税せよ
 富裕層マネーが物価上昇に加担している
 格差是正こそ経済成長につながる
「1億円の壁」問題
「富裕税」を創設せよ
B消費税を減税せよ
 消費税導入の真の目的は、直間比率の見直し
 消費税のさらなる増税の背景にも経団連の要求があった
 消費税減税は世界の流れ
 インボイスなんか必要ない
(2) やさしく強い成長戦略
@賃上げと社会保障が日本を救う
 賃上げこそ一番の不況打開策―最低賃金の引き上げを急げ
 社会保障は経済の足かせか
 社会保障の充実が日本経済を救う
A気候危機打開のとりくみは経済成長にも貢献する
 日本共産党の気候危機打開「2030戦略」 
 「2030戦略」で雇用も増加
 環境か雇用かの二者択一の必要はない
Bジェンダー平等の実現が経済の未来も決める
「ジェンダーギャップ指数」世界第一位のアイスランドはどんな国?
 日本がまなぶべきことは
Cデジタル社会を発展させるには
 デジタル化は「監視社会」と表裏一体
 国家による監視と資本による監視が結びつくとき
 個人情報保護とデジタル化の両立こそ発展分野
D人を大事に育ててこそ日本経済の未来がある
 新自由主義教育改革にストップをかけ、学問の自由を保障する
 人を育ててこそ企業の未来がある
 がんばる中小企業、企業家によりそった支援を

 謝辞
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