国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2022年3月17日 財政金融委員会 簿外経費改定 拙速だ/悪質滞納以外も適用
<赤旗記事>

2022年3月29日(火)

簿外経費改定 拙速だ
大門氏 悪質滞納以外も適用

質問する大門実紀史議員
=17日、参院財金委

 日本共産党の大門実紀史議員は17日の参院財政金融委員会で、納税調査での証拠書類のない簿外経費に関わる改定について、「租税の原則に関わる問題で拙速に決めるべきではない。専門家からも懸念の声があり、出し直すべきだ」と主張しました。

 今回の改定では、税務調査で仮装・隠ぺい(経費のねつ造等)や無申告を指摘された納税者が簿外経費を主張しても、帳簿書類等によって経費が証明できる場合や取引先への反面調査によって支出が確かめられる場合を除き、損金として認めないとする規定が導入されます。悪質な納税者に対応するものとされています。

 大門氏は、▽悪質な納税者にとどまらず適用が広がる▽所得の立証責任は国税庁にあるという原則から逸脱する▽今回改正が適用されない売上原価以外の経費について、推計課税の際に除外され納税者が不利になる―との懸念を指摘。「無申告もさまざまで、商売をはじめ記帳能力も低く、赤字だと思い申告しなかったケースもある」と具体例をあげて問題点を指摘しました。

 鈴木俊一財務相は「今回改正の対象は悪質な納税者に限定されており、むやみに拡大されてはならない」などと述べました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門です。
 今回の改正案に含まれております証拠書類のない簿外経費への対応策について、重要な問題ですので、短い時間ですが質問をしていきたいというふうに思います。
 資料をお配りしていただいておりますけれど、まず、この趣旨と、法改正の趣旨と内容について簡潔に分かりやすく説明をしてほしいと思います。

○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
 今回のこの簿外経費、いわゆる簿外経費に関します否認規定についてのお尋ねでございますが、納税者、この措置は、納税者が仮装隠蔽行為を行いまして、それに基づきました確定申告書を提出している場合又はそもそも無申告である場合につきまして、その所得金額の計算の基礎に算入をされていなかった経費、これがいわゆる簿外経費でございますが、これについて、税務調査等の際に、後出しといいますか、事後的に御主張されたようなときについて、その取引が実際に行われたと認められるような一定の場合を除きまして、こうした簿外経費を必要経費や損金に算入することを認めないという措置を講ずるものでございます。
 今申し上げましたその取引が実際に行われたと認められるような場合というものでございますが、二つございまして、一つは、納税者において当該取引が行われたこと及びその費用の額を明らかにする帳簿書類の保存がある場合が一つでございます。もう一つは、当該取引の相手方等が明らかであって、税務当局による反面調査等によってその取引が実際に行われたこと及びその費用の額が確認できる場合、この二つのいずれかに該当する場合には認められるということでございます。
 なお、この措置の対象でございますけれども、この必要経費、損金不算入の対象となり得る簿外経費の範囲については、仮装隠蔽行為又は無申告に係る一定の売上原価及び販売費、一般管理費等としておりまして、逆に言いますと、売上げに係る仕入れや原材料費など、売上げが存在するのであれば当然に生ずるであろうと認められるような経費についてはこの措置の対象外というふうになっております。

○大門実紀史君 ちょっと分かりにくいかも分からぬですが、これは要するに悪質な納税者対策ということで一応出されてきておりまして、申告のときに意図的に売上げや経費を仮装するとか隠蔽した者、もう一つは申告しなかった者ですね、無申告。この二つが悪質ということになって、税務調査が入りますと、税務署が売上げが漏れていますよと、架空の経費じゃありませんかということを指摘すると。そうすると、一応想定しているのは、悪質な納税者が後から簿外経費、帳簿に載っていない経費が実はあるんですと後出しで出してくると、そういうケースがあるということですね。で、争いになっていくわけですけど、現在、基本的には税務調査においてはその所得が幾らあるという立証は課税庁、国税庁にあるということがあるんで、税務署がその悪質な納税者が言ってきた経費とか何かが架空だとか虚偽であるというのは立証しなきゃいけないと。
 それが、こういう悪質納税者相手に膨大な時間と人手が掛かるというようなことで、財務省の資料には事例集もあるんですけれど、例えば、翻訳業務の事業者が、税務調査が入って指摘されると、架空の経費じゃないかと指摘されると、後から実は外注費があったんだと。膨大な領収書を出してきて、しかもそれがほとんど海外の外注先で、それを税務署は膨大な時間と人手を掛けて虚偽だと立証して更正処分を掛けたと、膨大な時間が掛かったという例とか、不動産投資の仲介業で二十億の売上げがあるのに法人税が無申告だったと。これも犯則事例として着手したんだけれど、原価、経費に対応するもの十五億は確認したが、あと五億は証拠がないと。その当該不動産の法人はほかに業務手数料があるんだということを主張し始めたと。税務署は、これはなかなか反証難しいんで、諦めて消費税法違反だけで告発したという事例ですね。
 こんなの暴力団のダミー企業じゃないかと思うぐらいのひどい事例なんですけど、そういうことがあるんでこういう改正をしたというふうなことが趣旨になっているんですけれども、私たちも、誰だってこんな挙げられている悪質な連中の後出しでいろいろ主張することに対して、それに対して税務署が膨大な時間と人手掛けて証明しなきゃいけないと、理不尽じゃないかと言われたらそれはそうだと思いますよね。誰だってこの悪質業者に厳しく対処するということは誰も否定しないというふうに思うんですよね。
 ただ、二枚目に資料を付けておりますけれど、それだけなのかということなんですね。租税訴訟学会から意見書が出ております。時間の関係で、私の今まで取り上げてきたこの経験といいますか、いうことも含めて三つの点で懸念があると思いますので、簡潔に聞いていきたいと思いますが、そもそもこの悪質納税者対策にとどまるのかどうかということですね、恣意的な運用をされるおそれはないのかと。仮装、隠蔽と判断するのは税務署ですよね。
 例えば、今給付金なんかでもなかなか給付されないとかいろいろあってチェックが難しい事例が出ているんですけれども、現金でまとめて仕入れるというのは結構あるんですね、現金だと安いからと、キャッシュでね。その場合、相手先が、領収書もらうんですけど、よく確認していない相手と一回きりの取引とか、そうすると後からその領収証の名前とか会社名が追えない、けどそういうところから実際に現金で仕入れると。こんな場合あるわけですが、その相手先が確認できない領収書をもってこれは仮装だというふうに認定されてしまうケースも起こりかねないというわけですね。
 無申告についても、これ無申告全部だと言いますけれど、いろんな方がいて、例えば、秋頃に素人の人が、何も商売ずっとやってきてない人が、脱サラとかですね、初めて商売やるような人がお店を、商売始めたと。年内はそんな売上げなかったし、経費が多かったから赤字だと、だから申告しなくてもいいんだと思っていたと。後から税務署が来ると、これはこうですよ、これはこうですよということで、結局所得が生じたので申告してもらうというケースだってあるわけですね。税務知識がなかったり、記帳能力なかったりする場合があるわけですよね。
 そういうことがあるのが実態なのに、何か税務署は、仮装とか隠蔽とか無申告とかいうのを恣意的に運用する可能性、危険性はないのかというのは、実はいろんな相談受けて、国税庁にも税務署のやり過ぎただしてきてもらったことがあるんで、心配されるわけであります。
 そういう点では、仮装、隠蔽の定義を厳格にすべきだし、無申告も何もかも対象にするというような、悪質なものは仕方ありませんけど、何もかも対象にするというようなことは違うんじゃないかと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(重藤哲郎君) お答え申し上げます。
 まず、委員から御指摘がありました仮装隠蔽行為の認定というところにつきましては、従来から税務調査で収集しました証拠や、あるいは納税者の申述に基づいて的確な事実確認を行うよう努めており、またそのように職員にも指示をしているところでございます。
 また、無申告の者につきましては、今回のこの例に基づく場合もそうですが、帳簿書類等を確認する、あるいはその調査において判明した取引の相手先に対して必要な調査を尽くす、そういったことを通じて、その取引が行われたと認められない場合に限り、今回の措置も適用されるものでございますので、単に無申告であることをもって形式的に今回の措置を適用するといったことは全く考えておりません。

○大門実紀史君 国税庁がそう言っていても、現場は、現場での、今までもそうですけど、現場でいろんなことが起きますので、そこは厳格にしておいていただきたいというふうに思うのと、やっぱり懸念は消えないですよね。
 二つ目の懸念、三つあるんですけど、二つ目の懸念なんですけれども、これ、今まで税務調査における所得の立証責任は課税庁にあると、国税庁にあるというのが戦後税制の大原則であります。昭和三十三年三月三日の最高裁の判例でも、立証責任は課税庁にあるというふうにされてまいりました。
 これ、言うまでもなく、昭和二十五年のシャウプ勧告によって申告納税制度が導入されて、納税者が自ら所得を計算して申告納税してもらうという、納税者の申告を尊重するというところが基本にあって、間違い、間違いとか故意に申告しないこともあるかもしれないということで税務署が調査をすると。その場合、間違いや虚偽というならば、立証は国税庁ですね、税務署の方で立証する責任があるというのが基本原則として定められてきたわけですけれども。
 今回の改定は、悪質じゃないですよ、私言ったのは、一般の人にも適用される懸念があるという上で聞いているわけですけどね。その場合、今回の改定案は、書類がないと駄目、反面調査で確認できないと駄目ということでもうシャットアウトして、従来、課税庁に課せられてきた立証責任をこの時点、このカテゴリーでは免じてしまって、納税者側の、実際にある人ですね、実際にそういう経費があるんだと、事実があるんだという人の反証の余地を封じ込めてしまうという可能性が、危険性があるんではないかと。
 つまり、従来の原則から逸脱した世界に踏み込む危険性があるんじゃないかと思いますが、いかがですか、この点は。

○政府参考人(重藤哲郎君) まず、今委員からも御指摘ございましたが、昭和三十八年の最高裁の判決におきましては、所得の存在及びその金額について決定庁が立証責任を負うことは言うまでもないという判示が示されておるところでございますが、その理由、背景まで私どもその判決文に触れられているわけではございませんが、一般に、税務訴訟におきます立証責任に関する議論につきましては、これは学説やあるいは裁判例でもいろいろな考え方があるというふうに承知しておりますが、所得金額や必要経費の存否及び額については原則として課税当局の側に立証責任があるとするものが多いというふうに承知していますが、一方で、例えば過大経費につきましては納税者の側に立証責任があると解するような学説も多いと承知しておりますし、また、過去の裁判例においてもそういった見方が示されているものもあるというふうに承知しております。
 いずれにしましても、私ども国税当局としましては、この法令に従って必要な調査をしっかりとした上で、的確な課税処分に努めてこれまでもきておりますし、今回の措置の適用に当たっても、納税者が主張する簿外経費について帳簿書類等を確認する、あるいは税務調査において判明した取引の相手先に対して必要な調査を尽くすといった必要な調査をしっかりと行った上で的確な課税処分に努めてまいるという点においては全く変わりはございません。

○大門実紀史君 まず、三つ目の懸念を先に申し上げますね。
 推計課税というのがございます。この場合でも、納税者に今までよりも不利に働かないかという懸念があります。今もちょっと触れられましたけれど、立証責任は決定庁、課税庁にあるといっても、そうはいっても推計課税ということが認められておりまして、判例でも、合理的な方法で所得を推計するよりほかない場合は推計課税を認めるというふうになっております。
 今までは、私も現場のことをよく知っておりますけれども、できるだけ合理的にということなので、本人が書類がないとか、ない場合とか提示しなかった場合なんですけれども、反面調査などで売上げを推計すると、それに見合う売上原価、あるいは経費も業種ごとの経費率などを参考に大体推計して決めていくというのがありました。一定合理性を担保にして行われていましたけど。
 先ほどちょっと答弁あったんですが、今回の改正で、推計課税において、売上原価の方は売上げに見合う分というのがありますから、それほど減額されるということはないのかもしれませんけれど、ほかの経費についてはですね、ほかの経費については明確な証拠書類がない場合はもう認めないというふうにこれが使われて不利になるんではないかという懸念があるんですが、これは絶対そういうことはないですか。

○政府参考人(重藤哲郎君) 今、推計課税についてお尋ねございましたが、推計課税を行う場合におきましても、きちんとその合理的な方法で計算をすることといたしております。
 また、今回の税法におきましても、その実際に我々が帳簿書類を調査する、あるいはその相手方に調査をする、そういったことを通じて、それが実際にそうした金額が生じたと認められる場合には、その分は今回の措置の適用外というふうになっておりますので、そこはきちんと調査において実態を確認するという努力をしてまいりたいと思っております。

○大門実紀史君 実際にこれが、改正が通って、現場の税務署員はノルマに追われて、ちょっといろいろ、いろいろ反論したりいろいろ言う納税者はもう面倒くさいからということで、こういうのを適用して仮装だ隠蔽だというようなことがないようにまず考えてもらわなきゃいけませんが、いずれにせよ、そういうおそれのある改正だというのは専門家からもこうやって声が上がっているわけでありますので、最後に大臣にお聞きしたいんですけれど、ちょっと拙速じゃないかと思うんですね。いろいろ心配がある、現場の運用でいけばですね。
 そういう点では、今急がなきゃいけないんでしょうかね。それと、悪質業者に厳しく対処をすべきというのはみんな、それは誰も反対するわけがありませんので、ほかにやり方もあると思うんですね。こういう何か租税の原則にも触れていくような形ではなくて、悪質業者を特に厳しく対処するというようなことも別に考えればいいと思うんですけれども、大臣、こう拙速に進めないで、これ一遍白紙に戻して、専門家の意見を聞く場を設けて出し直すべきじゃないかと私は思うんですが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(鈴木俊一君) 今回の税制改正法案の中に組み込まれている一つの規定であるわけでございまして、私どもとしては、是非今回のこの改正の中で成立をさせていただきたいと、そういうふうに思っております。
 先生は、悪質性の低い納税者に対しても、悪質な者のみならず適用が広がっていくんじゃないかという、そういう御懸念をずっと示されたわけでございますが、もとより税務当局が税務調査をするに当たりましては納税者の理解と協力を得た上で実施しなければならない、そうでなければ実施できないと、そういうふうに私は思っております。
 そして、今回の経費の認否等が行われ得る対象につきましては、法令において、所得金額の計算において事実の仮装、隠秘を行った者や、あるいは、保存義務が課せられている証拠書類を適正に保存していない無申告の者といった悪質な納税者に限定されており、これがむやみに拡大されるようなことはないと考えておりますし、あってはならないと、そう思っております。
 国税当局においては、引き続き適正な税務調査の実施に努めるとともに、本制度の施行後におきましても、その趣旨を踏まえた執行が行われるものと考えております。

○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。

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