国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2022年3月29日 財政金融委員会 国別納税額 公表せよ/多国籍企業税逃れ防止
<赤旗記事>

2022年3月31日(木)

国別納税額 公表せよ
大門氏 多国籍企業税逃れ防止

質問する大門実紀史議員
=3月29日、参院財金委

 日本共産党の大門実紀史議員は3月29日の参院財政金融委員会で、多国籍企業の税逃れを防ぐための国際的な取り組み「国別報告書」をとりあげました。

 同報告書は、多国籍企業に対し、本店所在地の税務当局にグループ企業の各国での納付税額を報告させ、各国当局間で情報交換するもの。グループ内取引で、低税率国に利益を移転させる税逃れを防ぐことが目的です。

 大門氏は、日本でも自社の企業価値を上げるため、自ら各国での納税額を公表する企業(花王など)が出てきているとして、欧州連合(EU)などで個別企業の納税額の公表を制度化する動きがあると紹介し、「開示の法制化を検討すべきではないか」と質問。鈴木俊一財務相は「国別報告制度は当局の守秘義務が前提だ。公表を競争上の不利益と考える企業もある」と答弁しました。

 大門氏は「個別企業の名前を出さずに、一定規模以上を集計して公表できるのではないか」と指摘。国税庁の重藤哲郎次長は「個社の名前を出さないことを前提に、統計的にどのようなニーズがあるか、諸外国はどうしているかなど、慎重に検討する必要がある」と述べました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門です。
 IDAについては既にもう議論ありましたので、国際的な課題として、今日は国際課税について質問をいたします。
 昨年、多国籍大企業の税逃れの対策に関しては、BEPS含めて様々な前進がありました。BEPSに関しては日本の財務省も大変努力されてまいりましたので、私も激励しながら何度もこの問題取り上げてきたところでございます。
 BEPSのプロジェクトでは、この税逃れ、多国籍企業の税逃れについて重要なルールが幾つか提起されておりますが、改めて、資料をお配りいたしましたが、移転価格税制に係る文書化制度の整備、これは平成二十八年度改正で、ここでも議論をしたんですけれど、この今後の対応についてちょっと今日は聞きたいと思います。
 まず、お配りいたしました資料ですね、移転価格税制に係るこの文書化制度の整備、改めてこのときの改正の意味を説明してください。

○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
 移転価格税制の適切な執行のためには、自国の企業が国外関連者との取引についてどのような取引を行っているかという情報だけではなくて、その多国籍企業グループがグローバルに行っている取引の全体像を把握する必要があるという背景がございます。
 こうした観点から、平成二十七年十月に公表されたBEPSプロジェクトの最終報告書におきまして、多国籍企業グループの事業活動の透明性を高めることを目的として、多国籍企業の各種の情報を共通の様式により税務当局に報告することなどに関するルールを整備することが勧告されたところでございます。
 この勧告を実施するため、我が国におきましては、平成二十八年度の税制改正におきまして、多国籍企業グループに対して、事業を行う国ごとの収入、所得、納税額等、各国別の活動状況に関する情報をいわゆるその国別報告事項として、また、グループの事業概況などのグループ活動の全体像に関する情報をいわゆるマスターファイルとして、それぞれ日本の税務当局に提出すること、これに加えまして、親会社、子会社それぞれにおきまして、関連者間取引における独立企業間価格を算定するための様々な情報をローカルファイルとして作成し保存するといったことを義務付ける制度を整備したところでございます。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 そもそも移転価格とは何かといいますと、多国籍企業が海外の関連企業との取引通じて利益を税率の低い国に移転すると、するんですね。そのときに、税逃れでやるわけですけれども、通常の価格を操作するわけなんですが、関連企業との取引の間で価格操作ということを通じて、低い税率の国に利益を移して税逃れすると。それをさせないということで、その通常の独立した企業と企業との間のときの価格にですね、価格で行われたとみなして課税、所得を計算して課税すると、移転価格ということを許さないと、そういう価格操作は許さないというのが移転価格税制ですね。
 課税逃れ防ぐためのそういう基礎的な資料として必要になるのが、若干御説明いただきましたが、この資料の下の真ん中のところにあります国別報告書ですね。カントリー・バイ・カントリー・リポートというんですかね、国別報告書、CbCRでございます。これは今若干御説明あったとおり、連結の総収入金額が一千億円超える多国籍グループに対して、国ごとの収入、税引き前の利益と納税額、こういうものを親会社に報告、報告させると、親会社が税務当局に報告させるという仕組みのものでございまして、課税逃れを許さない基礎的な資料になっていくわけですね。
 ちょうどこの六年前ですね、この改正のときにこの問題を私取り上げさせていただいて、当時、EUはこの国別報告書で集めた情報を一般に開示するという議論が行われておりましたので、日本でもそういう情報公開の努力すべきではないかという提案をしたことがございます。
 資料の、それからもう六年たって状況が随分変わってきておりまして、資料の二枚目に、もう企業自ら情報開示するようになってきたということで、日経新聞の今年一月二十一日付けでございますけれど、花王とかセブン&アイ・ホールディングスとか二十社が、日本の企業が自らどの国で法人税を幾ら納めているか開示するようになってきたという資料でございます。
 記事の中に書いてあるのは、要するにどうしてそうなってきたかというと、多くの企業はESG、つまり環境、社会、企業統治の一環として、自分たちがどこの国で幾ら納税したかを開示するようになってきていると。で、そういうことが海外のESG評価機関から透明性が高いということで評価を受けると、企業価値が上がると。そういう意味で、自ら進んでこういう納税額を公表するようになってきている、国別にですね。当然、背景にあるのは、この間ずっと課税逃れを多国籍企業がやってきたということに対する批判があって、で、ESGでもちゃんと、自ら税逃れはやめましょうという流れになって、こういう流れになってきているということであります。
 まず、今の企業の自主的なこういう方向、姿勢の変化について財務省のお考えを聞きたいと思いますが、いずれにせよ、ESGの流れに沿った透明性を高めた方が企業価値が上がるというふうないい方向だと思いますが、この点、財務省としてどう評価されているか、お聞きしたいというふうに思います。

○副大臣(大家敏志君) 大門先生、おはようございます。
 先生御指摘のとおり、一部の日本企業において自主的に法人税額を開示する動きがあること、また、EUにおいて、EU域内で活動する多国籍企業に対して、EU加盟国別の売上高、納税額等の企業情報の公表の義務付けに関するEU指令が採択されたこと、これは承知をいたしております。
 このEU指令については、多国籍企業の納税情報を市民の目に触れさせることにより、企業活動の透明性、これに加えて、社会的責任の更なる向上や、実践を通じて企業による社会貢献を促すなどの観点から導入されたと承知をいたしております。
 一方、日本を含め、OECDのBEPSプロジェクトにおきましては、多国籍企業のグループ企業情報について、親会社が所在する国の当局が、日本であれば国税でありますけれども、一括して収集し、関係国間で交換するための国別報告書制度を守秘義務を遵守しつつ実施時期を合わせて導入することが合意をされております。我が国において、平成三十年より関係国間で交換を行っております。
 まずは、このBEPSプロジェクトで合意された取組を各国が足並みをそろえて進め、その上で、必要に応じて税の透明性を高める方策を各国が協調して議論していくべきと考えております。

○大門実紀史君 立派な御答弁、ありがとうございます。そこまで聞いていないんですけど。
 次の質問ですけど、この記事の中に、下から三段目にちょっと書いてあるんですけど、日本では企業が法人税の納税額などを公表する義務は今のところないと。ただ、かつては国税当局が企業の申告所得額を公示する、いわゆる企業版長者番付の制度があったが、〇六年に廃止されたとなっております。
 もし答えられるのなら、国税庁、なぜこのとき廃止したのか、お願いします。

○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
 御指摘の法人税の公示制度でございますが、これは元々第三者の監視によりまして牽制的な効果を発揮させることによって適正な申告を確保するということを目的といたしまして、所得金額が四千万円を超える法人の名称と納税地、そして所得金額などを税務署の掲示板に掲示するということで、公示することになっていたわけでございます。
 これにつきまして、公示された情報を契機として第三者による通報が税務当局に寄せられるといった効果は実は実際上はまれであったということでありますとか、公示された情報によって取引先との関係でいろいろな支障を来すおそれがあるといったような指摘がなされていたことなどを踏まえまして、平成十八年度税制改正において、所得税などのこの個人の方の公示制度と併せて廃止をされたというのが経緯でございます。

○大門実紀史君 三枚目の資料ですね、これは花王の資料なんですけど。もう自ら国別、細かくここまで公表されております。国別の本当に細かい、全部出しているという感じですね。ここまで企業は、自らこういうことを公表した方が企業価値が上がって透明性が上がってというふうになってきております。
 ちょっと記事に戻っていただきますと、実はそういう企業の努力だけではなくて、EUなどでは、このオーストラリアやEUですね、納税情報の開示を法制化する動きが出てきております。
 EUは昨年合意に至って、二〇二四年頃から開示を始めようという流れになっておりますけれども、これは財務大臣に大きな流れ、方向なのでお聞きしたいんですけれども、日本の財務省としても、こういう企業も自ら開示しようという流れになっておりますし、国としても、政府としても、財務省としても、こういう開示の法制化といいますか、そういうことを検討する時期に来ているんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど大家大臣からも御答弁がございましたけれども、一部の国や国内企業におきまして、多国籍企業の活動実態の透明性の確保や社会的責任の向上等の観点から、御指摘のようなこの自ら開示をするという取組が行う動きもあると考えております。
 政府といたしましては、国別報告書制度は、課税当局が守秘義務を守るという前提で実施をされていること、そして、花王やセブン&アイ・ホールディングスのように開示することが自らの企業価値を高めるという考えの企業もございますが、また、個別企業の納税情報を公表することは、企業イメージの影響など、競争上の不利益を生じさせるおそれがあるのではないかというような、そういうような考えの方もおられるなどを踏まえる必要があると、こういうふうに思います。
 まずは、BEPSプロジェクトに基づく企業情報の収集を引き続き進めまして、国際的な動向、国内企業の取組状況、そういったものを注視してまいりたいと思います。
 また、必要に応じまして税の透明性を高める方策を各国が協調して議論していくべきであると、そのように考えます。

○大門実紀史君 私も一遍に全企業の全納税額をとまでは思っておりませんが。
 資料の四枚目に、OECDは既に、日本も入っていますけど、国とか州とか各国いろいろあるんですが、課税当局の数だと思いますが、百九十八のいろんな国の地域の課税当局に納税している、納税していると。八百六十六というのは、これは日本に親会社のある多国籍企業の数でございます。一社当たり、納税額じゃないんですが、税の発生額ですけど、一億九千百万ドルというような、もう既にこう出ていますよね。
 こういうのを考えますと、日本でも例えば一定規模以上ぐらいは集計して公表できるんじゃないかと思うんですけど、例えば租税特別措置の透明化法というのがありますよね。これ、民主党政権のときに作られたものですけど、その中で、一定、研究開発減税等々、上位十社とか規模別とかでもう既に納税額とか、個別の名前は入っていませんが、大変重要な資料として出されております。
 そういう形での集計とか一定のものは今でも、一定、ほかの税では出しているわけですから可能ではないかと思うんですけど、いかがでしょうか。

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