国会質問

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■2022年4月14日 内閣委員会 経済安保法案自主独立の自由な経済 米国追随ではできない
<赤旗記事>

2022年4月15日(金)

経済安保法案
自主独立の自由な経済 米国追随ではできない
大門議員が質問

質問する大門実紀史議員
=14日、参院内閣委

 日本共産党の大門実紀史議員は14日の参院内閣委員会で、経済安全保障法案に関し、米中間の対立激化を背景とした米国追随の姿勢では、日本にとって自主独立の自由な貿易、経済運営はできないとただしました。

 大門氏は、法案提出の背景に米中間の対立があるのかと質問。小林鷹之担当相は「特定国を念頭に置いたものではない」と答弁しました。

 電気自動車分野では米中の合弁会社が販売1、2位であるなど、両国の貿易関係は伸びています。一方で、大門氏は米国が中国を標的にするのは半導体など軍事、産業の中核を担う先端技術の覇権争いがあると指摘しました。中国政府が2015年にハイテク産業の国産化などを目指すとした「中国製造2025」の発表を受けて米国との対立が深まり、バイデン政権は日本を含めた同盟国を動員する戦略を立てていると指摘。経済安保推進で「『同志国との連携を深める』(小林担当相)というが、同志国とはどこか」とただすと、小林担当相は「同盟国の米国は入る」と述べました。

 また大門氏は、『経済安全保障の確立を目指して』(通商産業省産業構造審議会編、1982年)で「技術は戦いの材料にすべきではない」などとしていると紹介し、「本来の経済安全保障のあるべき姿だ」と強調。世界トップの日本の半導体技術が86年の日米半導体協定を起点に米国言いなりで衰退したと指摘し、「かつては日本、今度は中国を狙う米国の動きを含めたリアルな国際情勢抜きに法案審議は進まない」と主張しました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門実紀史です。お疲れさまでございます。
 最初でございますので、法案の中身は後日にして、そもそも論をお聞きしたいというふうに思います。
 この法案が提出された背景に何があるかという点でありますけれど、私いろいろ見てきて、やはり米中間の問題、いわゆる米中貿易戦争と言われてきましたし、アメリカの対中戦略の影響が少なからずあるんではないかと思っておりますが、まずこの点、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(小林鷹之君) 我が国が進めている経済安全保障政策というのは特定国を念頭に置いたものではないということを申し上げたいと思います。

○大門実紀史君 大臣は、この法案の立ち位置ですけれども、自律性、優位性、不可欠性、この点もう全くそのとおりだと思いますし、日本はアメリカであれ中国であれ遠慮することなく堂々と、本当、ある意味では自主独立の立場で、立ち位置で貿易も考えるべきだと思っておりますので、仮にもほかの国の影響を受けたり、ほかの国に追随したり、あるいは圧力を受けるというようなことはあって政策を決めるべきではないと、こういうふうに思いますが、この点いかがですか。

○国務大臣(小林鷹之君) 今、大門委員御指摘の問題意識というのは、私、共有させていただいております。
 先ほども少し答弁させていただきましたが、米中に限らず、国際情勢というものが複雑化していっておりますし、パワーバランスも変化している。また、それだけではなくて、社会のDX化は進んでいる。また、グローバル、経済がグローバル化が進んでくる中で、サプライチェーンも複雑化して多様化していく。また、革新的な技術が出てくる。様々なその状況の変化の中で、不確実性がやはり富む時代に突入していくんだと思います。
 その中で一番重要なのは、我が国自身が自ら主体的に政策決定できるような国家運営を実現していくということだと思っておりまして、それ、他国の動向というのは、変数としてはまあそれぞれ見てその時々注視していかなければいけないと思いますけれども、重要なのは、我が国自身の基軸となる考え方、我が国自身のしっかりとした方程式というものをきちっと持つことであるというふうに思っておりますので、そのアプローチの仕方として、今委員が言及していただきました自律性ですとか優位性、不可欠性、我が国自身の取組として、まずは自身の取組として経済安全保障を進めていくということが私は重要だというふうに考えております。

○大門実紀史君 原則的にはおっしゃるとおりですけれど、私は、この法案を議論していく上で、やはりリアリティーといいますか、具体的に起きたことを描きながらやらないと、何かこう、何といいますかね、外側ばっかりなでているような議論になりかねないし、非常に抽象的なことで終わりかねないし、やはりいろんなことが緊迫した状況がありますのでね。
 それと、その自主独立といいますか自律性というのは大事なんですが、現実問題なかなかそうはなってこなかったというのがございまして、私でいいますと、小泉内閣のときに郵政民営化という大きな問題がありまして、まあいろいろありましたけどね、やっぱりアメリカの要望もかなり強いものがありましたし、あのときにも、もっと日本は自律的に考えるべきだということ、この場でいろいろ議論をしたことがありますし、当時アメリカでいえば年次改革要望書というのが、まあ大変今からいうとあからさまな対日要求が毎年出されて、これは二〇〇九年以降はやめたんですけれど、ただ、その後はTPP交渉になって、このTPP交渉の中でまたアメリカが大変いろんな要望を日本に突き付けてきたというのはもう明らかなことでありますし、トランプさんのときは対日貿易交渉目的というのが打ち出されて、それが日米貿易協定につながるわけであります。
 今、アメリカの最大の課題は、中国に経済覇権、特にハイテクの覇権を握らせないということで、そのために躍起になっているわけでありまして、それが日本に影響しないわけがないと、私の経験からいってそう思うわけでありますので、まず、ちょっと法案はおいておいて、アメリカの対中戦略ですね、どうなっているかということを大臣との認識の交換しておきたいと思うんですけど。
 アメリカの中国への警戒心というのはずっと前からございまして、トランプのときにちょっと露骨な、トランプ大統領のときに露骨な、米中貿易戦争と言われましたけれども、それも二〇二〇年一月頃にはちょっと落ち着きを取り戻して、第一段階の合意というんですかね、そういうことがあったわけでありますが、ただ、新型コロナウイルスが感染拡大して、アメリカがウイルスの発生源は中国だというようなことでまたいろいろ対立が激化したり、あるいはファーウェイですね、ファーウェイの封じ込みなどがあって再びまた険悪な状況になっておりますけれども。
 で、二〇〇一年にバイデン政権が発足しましたが、トランプさんと基本的に変わりません。何が違うかというと、トランプさんと違うのかというと、バイデンさんの場合はほかの国と一緒に、バイデンさんはもうアメリカだけでやっちゃおうと、ごめんなさい、トランプはアメリカだけでやっちゃおうと。バイデンさんはほかの国と一緒に中国に対応しようというふうなことが、これは後で申し上げますが、もう明らかであります。一番考えているのは中国のハイテク企業、ハイテク企業を封じ込めるということであります。
 ただ、ブロック経済化を目指しているのかというと、そういうことでもないようでございまして、アメリカと、米中の貿易関係はむしろ全体として伸びているんですよね。米国、中国、輸出も輸入も二〇二〇年に比べて二〇二一年、伸びて増えております。中国からアメリカに対する輸出、輸入も増えております。ですから、一方でアメリカと中国は経済関係を膨らましておいて、対決するところは対決しているということで、いわゆるデカップリングというんですか、何か切り離していこうとかブロック化、それぞれ分かれていこうということではないんですよね。
 むしろ、電気自動車などでは、米中合弁の自動車メーカー、上海GMと、五菱って書いてウーリンですかね、が電気自動車販売のもう一位、二位ということで、米中の合弁自動車会社が電気自動車で一番、二位と。やっぱり一緒にやるところは一緒にやっているわけですね。非常に米中関係といっても単純には見られないと、複雑なところはあるんですけれども。
 小林大臣は、この米中関係、全体としてで結構なんですけど、どういう認識を持たれておりますか。

○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
 まず冒頭、私がその他国の意図ですとか第三国同士がどう見合っているかというところについてはコメントすることは控えますけれども、今委員から御質問いただいた米中間の、米中関係について申し上げられる範囲でお答えさせていただきますと、米中間は通商問題や先端技術をめぐる競争、また国際社会における様々な懸念事項における意見の対立が見られますけれども、これらは我が国を含めて国際社会全体に関わる問題でもございますので、引き続き関連の動向を注視していく必要があるとは考えています。
 大門委員御指摘の米中貿易関係については御指摘いただいたとおりだと思っておりまして、二〇二一年の貿易額でいえば、中国にとってアメリカは第一の貿易相手国ですし、アメリカにとっても中国は主要な貿易相手国であって、中国のその対米輸出は前年比で約三割増えておりますし、また中国のその対米輸入、米から中の動きにつきましては前年比でこれも三割強増えているというふうに承知しています。
 世界経済に大きな影響力を持つ両国でございますから、この米中関係が安定するということは国際社会にとって極めて重要だと考えます。また、我が国としては、同盟国である米国との強固な信頼関係の下で様々な協力を進めてきたし、これからも進めていくべきだと思います。また、中国に対しては、国際社会のルールにのっとって大国としての責任を果たしていく、果たしていただくように働きかけていく必要があろうかと考えます。

○大門実紀史君 そういう、全面的に全て対決しているわけではなくて、一緒にやりながら、なぜバイデンさんとトランプさん、まあバイデンさんですね、中国をターゲットにいろいろやっているかということなんですが、結論からいいますと、やっぱり半導体、IC、ハイテク技術での覇権を中国に取らせないと。この半導体、IC、ICというのは集積回路ですよね。これは軍事技術にも産業技術にも基礎の基礎ですから、これがどちらが握るかということが一番で、米中戦略の肝は、核はそこに、核心はそこにあるんではないかと思っております。
 そういうふうに見ますといろんなことが見えてくるわけなんですけど、中国政府は、私は、ちなみに申し上げておきますけど、中国の、まあアメリカのやり方もちょっと相当なものありますが、中国のやり方がいいと思っているわけでも何でもありません。日本共産党はもう中国にもはっきり物を言う政党でありますんでね、どちらがということではなくて日本がどこでどういう立ち位置でやるべきかという点で申し上げたいわけですが。
 中国は、二〇一五年にハイテク産業全体の振興政策をまとめました。中国製造二〇二五ですよね。中国製造、製造業の製造ですね、二〇二五でございます。
 これがやっぱり火を付けたというふうに思いますが、これは国家戦略でありまして、中国の場合は国挙げてもう大企業を応援いたしますので国家戦略でありますが、重点領域技術ロードマップというのを作りまして、ICなど四十以上の品目について国産化すると、中国で作るという目標を示したわけであります。ICについて、集積回路でいえば、国産化率を二〇二〇年にもう五〇%、二〇三〇年に七五%に急速に上げるという国家目標を立てたわけでありますね。
 これ、どういう意味を持つかといいますと、このICロボット、工作機械で、この中国製造二〇二五が国産化目指すということは、分かりやすく言うと、このハイテク、こういう部分のハイテク製品というのは、今日本が中国に対して輸出しているものの中心のものばかりなんですよね。つまり、この中国製造二〇二五がどんどんどんどんこの目的どおり国産化をやると、日本から、日本から中国への輸出が減るということを意味します。
 アメリカも、アメリカは、これ、二〇一七年にトランプ政権がこの中国製造二〇二五計画に激しく反発をして、これは中国が世界のハイテク産業九割を支配する野望だというふうにあのペンス副大統領が強く非難をしたものであります。この辺からこのアメリカの中国に対するハイテク覇権を絶対譲らないというか、潰そうというのが始まるわけだというふうに思います。
 具体的に始めたのは、ファーウェイですね、ファーウェイを狙いを定めて、ファーウェイの通信機器は危ないと、情報が漏れるというふうな、何ですかね、バックドアが仕掛けてあるとか言ったんですね。まだ証明されておりませんが、証拠はありませんが、ファーウェイの、ファーウェイの技術使うと、製品を使うと危ないよということを振りまいて、ファーウェイを締め出すということをやりました。
 これは日本にも影響いたしまして、二〇一八年十二月に日本政府も、さすがに中国とは名指しはしませんでしたけれど、政府や重要インフラにおいて情報漏えいの懸念がある機器は使わないようにという通達が出ました。名指しはしなかったですけど、これ、みんな民間の通信事業者はファーウェイのことだと分かって、ファーウェイのものをほかのものと入れ替えたと、国産のものと入れ替えたということがございます。
 小林大臣は、この頃からずっといろいろやっていらっしゃると思うんですけど、この中国政府の中国製造二〇二五計画とアメリカとのこのあつれきの始まりといいますか、この辺は御存じでしょうか。

○国務大臣(小林鷹之君) まず、米中関係についてですけれども、米中の間では、御指摘の半導体を含む先端技術、あるいは通商、こうした分野における競争というのがあって、また、国際社会の様々な懸念事項において米中両国の間に対立、意見の対立が見られているんだと考えます。
 例えば、昨年の三月にアメリカはバイデン政権になって、国家安保戦略、これはインテリムストラテジーということで暫定版なんですけれども、これを公表して、そこで中国を、安定的で開かれた国際システムに対して持続的に挑戦する唯一の競争相手というふうにアメリカは中国を位置付けていると。その一方で、中国側もアメリカに対して批判的な発言を続けていると。そうした中で、引き続き双方が厳しい立場を取っているというふうには承知しています。
 また、今委員が二〇二五や国防授権法、FIRRMA、いろいろお話出されましたけれども、例えば、中国は双循環、二つのサイクルですね、それを言っていて、今国産化の話がありましたけれども、一つは国産化をやっていくという一つの循環と、もう一つは、中国の巨大なマーケットを含めて、その市場などに、中国の市場などに他国をある意味依存させるというような大きな考え方の中で戦略を立てているというふうに認識しています。
 その中で、繰り返しになるんですけれども、日本として重要なことは、特定の国を念頭に置くのではなくて、先ほど委員は、自律性とか優位性、不可欠性という話だと何か言葉をなぞられたもので、ちょっと表層的で余りリアリティーとか具体性がないとおっしゃいましたけど、私そうではないと思っていて、やはりまずは、重要なのは、先ほど申し上げたとおり、自分をまず分析することが本当に今十分にこの国はできているのかということを私は謙虚に真摯にもう一回向き合うべきだと思っていて、その一つのツールとして経済安全保障があると思っています。我が国の、これから何が起こるか分からない中で、本当に何が起こっても国民の命や暮らしを自分の意思と、自国の意思と能力で本当に守り切れるのか、どこに弱点があってどこに強みがあって、そういう分析というものを本当にリアルに具体的にやっていくことで日本自身としての基軸というものができると。
 国家安全保障戦略、岸田総理が改定していく、新たに策定していくという中で、じゃその中に経済安全保障を具体的にどう位置付けていくのか、これは極めて重要な話だと思っておりますけれども、そうした中で、米中、これは先ほど申し上げた方程式の中では変数としては大きな変数だと思いますけれども、自分なりの基軸というものを持つということが重要だということは繰り返し申し上げたいと思います。

○大門実紀史君 優秀な方ですね、本当にね。議論していて気持ちがいいですね。
 もう少し、そうはいっても、後で言いますけど、この法案出てくる経過でやっぱり米中のこの戦略が、米中関係がかなり色濃く出ていると思うんですけど。
 ちなみに、アメリカは先ほど言ったようにファーウェイを封じ込めようと思ったけど、これ失敗したんですよね。ファーウェイは中国政府の全面支援を受けておりますので、基幹IC自社で設計して、ソフトもアンドロイドを、アンドロイド関連ソフトを、その代わるものを開発してですね。すごいですよね、その点でいいますとね。だから、アメリカはこの、例えばファーウェイですからスマホのマーケットでシェア伸ばしていましたけど、落とそうと思ったけど落ちないと。更に伸ばしちゃったわけですね、ファーウェイですね。
 アメリカはもう更に焦って輸出管理法でもう物理的な規制までやって、それを、韓国や日本の企業であってもこれアメリカ企業の設備や自動設計ソフトを使っていたとしたら、ファーウェイの半導体製品を輸出する際には、アメリカ商務省ですかね、商務省の許可を願い出ろというふうなことまでやったわけですね。それでもファーウェイのシェアは下がらなかったということで、いらいらしているわけですね、アメリカはですね。相当いら立ったと思います。
 そこでバイデン政権は、そういう戦略にやっぱりほかの国も、多国的に中国を包囲していくということで、これは私が言っているんじゃなくてみずほ総合研究所がその分析をしておりまして、バイデン政権の通商政策というのを出しておりますが、非常に端的に出ております。つまり、そういういろいろなことをやってきたけど、中国のやっぱりその技術が主戦場だと。日本を含む同盟国に対中政策での共同対処を求めていくというようなことがバイデン政権が打ち出してきて、それで先ほど大臣から御紹介ありました国家安全保障戦略ガイダンスで先ほど申し上げたようなことが書かれているということで、要するに、アメリカは、今その中国の封じ込めのために日本を始めとした同盟国の力を動員しようとしているというのがアメリカの戦略であります。
 これは事実としてそういうことだと思うんですけど、大臣も現実的な答弁もされているなと思ったんですけれども、三月二十三日の衆議院の内閣委員会で、もちろん、先ほど言った自律性とか優位性とか不可欠性、これを一番にお話しされた後ですけれども、我が国自身の取組や、同志国という言葉を使っておられますが、同志国との連携云々ということで、国家及び国家の主権や利益を害する経済的な威圧などの課題に対処と、これはどこか、どこか分かりませんけどね。このときの同志国というのはどこの国のことを大臣は想定されたんでしょうか。

○国務大臣(小林鷹之君) 同志国というのも、余り言葉遊びをするつもりはないんですけれども、その時々の情勢によってそこは変わり得る概念だと思っています。ただ、今、同志国の中には同盟国は入るというふうに私は考えていて、同盟国というのは今アメリカですから、アメリカだけでは当然ないと考えていますけれども、その基本的な価値、自由であり、民主主義であり、人権であり、法の支配、こうした基本的な価値を共有できる国が同志国であるというふうに考えております。

○大門実紀史君 日本にとって、この貿易、通商の分野って大変大事な分野で、技術立国との、まあ技術立国と今はもう言えるかどうかとあるんですが、それを再建していく上でも、やっぱり通商、自由貿易、技術というのは自由に交流した方が伸びますからね、そういう原則非常に大事だと思うんですけど。
 そういう中で、アメリカの中国戦略、半導体、IC、ハイテク覇権、これもう取らせないということですね。これはもうやっぱり軍事機密等いろいろ関わるんで、そりゃ必死なんでしょうけど、それに日本がどう対応すべきかというときに、余り同盟ばっかり重視し過ぎると、自由貿易を狭めて結局日本の技術力も低下していくということになりかねないという部分、そういうリスクがあります。ですから、余り、何といいますかね、敵、味方の不毛な議論に余り巻き込まれないで、やっぱり自主、独立で考えないと、ちょっと長い目で見た日本の発展はないのかなというふうに思っております。
 それで、そういう背景の下に、日本としてどう対応してきたかというのが、資料をお配りいたしましたけれども、まず自民党の皆さんの議論をちょっと紹介させてもらって恐縮でありますけれど、やはり与党ですから、自民党の中でいろんな議論が始まったわけであります。二〇一七年四月に設立された、自民党の皆さんの、衆議院、参議院、両方の国会議員さんだと思うんですが、ルール形成戦略議員連盟というのがございました。これは小林大臣も議論に参加されておられましたか。

○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
 ルール形成戦略議員連盟には私、済みません、ちょっと私の記憶によるところですが、途中から入会しました。なので、設立目的とかそういう経緯についてはちょっと語る立場にはないんですけれども、あれ二〇〇〇、今から二、三年前だったと思うんですけれども、私自身がその議員連盟との関わりで、非常に強くちょっと関わりを持ったのは、いわゆる中央銀行デジタル通貨、CBDCについて、私は経済安全保障上いろいろ思うところもありまして、それを問題提起したところ、今はちょっとどうなのか、そのとき、事務局次長というような肩書を拝命し、テーマに応じて参加をさせていただいたという経緯はございます。

○大門実紀史君 この始まりは、このルール形成戦略議員連盟というか、甘利さんではないかと、こう思うわけでありますけど、もうはっきりといろいろ書いてございますけれど、上から九行目辺りで中国のファーウェイのことも出てまいります。あと、非常に警戒心を、警戒する相手だということですね。インテリジェンス能力を酷使した経済戦争から日本企業を保全することは急務であるということと、アメリカはそういうことも含めて国家経済会議を設立しているということで云々とあって、私がちょっと注目したのは、済みません、線も引かなくて申し訳ないんですけど、エコノミック・ステートクラフト、エコノミック・ステートクラフトという言葉が出てまいります。日本に対してもエコノミック・ステートクラフトに関するインテリジェンスを共有し、政策を包括的に構想して民間企業を巻き込んだ実行を狙う日本版NECの創設を求める声が上がり始めていると。
 エコノミック・ステートクラフトというのは、大臣、もし解説できればお願いしたいと思いますが。

○国務大臣(小林鷹之君) このエコノミック・ステートクラフトに、これも私、確立した定義があるのかというのは存じ上げませんが、私のちょっと感覚的なところで申し上げますと、経済的な手段を用いて他国に自らの国益あるいは政治目的に沿うような形で行動変容を迫っていく、あるいは促していく、そういうものなのではないかというふうに捉えています。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 基本的にそのとおりでございまして、ちょっと、何といいますかね、経済安全保障を少し、安全保障の概念もいろいろありますけれど、少し踏み込んだものかなと私は捉えておりまして、ES、ESという言い方でエコノミック・ステートクラフトですけれど、これは武器を使わない戦争という言い方もされたりします。そういう言い方をするエコノミストもいます。
 つまり、経済的手段によってほかの国に強制的な措置をとるという、ちょっと強い意味があるんですね。特定の政策を実現させると、何らかの強い措置をとって、それによって何かやらせるというふうな、まあ言わば経済安全保障における先制攻撃みたいなちょっと強いものであります。
 これは敵か味方を峻別するという概念もございまして、味方のことを有志国という言い方するそうですね、この概念では。有志、志がある有志国という概念が強調されております、このエコノミック・ステートクラフトの考え方の中にですね。敵と味方を峻別するときに、味方の方は有志国と。つまり、軍事同盟を結んでいる強い国だけではなくて、同じ志を有する国という、それで敵と味方をこう区別するわけなんですが、この有志国というのが一つのポイントですけれども、菅政権のときに閣議決定されました成長戦略実行計画というのがあるんですけれども、このときに初めて有志国という言い方が登場いたします、登場いたします。
 こう書いていますね。成長戦略実行計画、菅さんのときですけど、有志国・パートナーと連携して法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を実現するため云々とかですね、我が国の経済成長と安全保障を支える戦略技術・物資を特定しとかですね、有志国とともに、こういろいろ書いてあります。
 つまり、申し上げたいことは、エコノミック・ステートクラフトという概念があって、これは武器を使わない戦争という強い、強い意味がある概念で、その味方を有志国と呼ぶという、この世界があるんですが、それを初めて日本が菅政権のときに有志国という言葉を使ったんですけど、まあ岸田さんにお聞きするときがあれば聞こうかと思いますけど、岸田内閣でも、このエコノミック・ステートクラフトという概念は、有志国とかね、引き継がれているんでしょうか。

○国務大臣(小林鷹之君) 先ほど申し上げたとおり、我が国の経済安全保障に対するその基軸となる考え方というのは、先ほど委員との間で議論させていただいたとおりなんです。なので、先ほど私が申し上げたようなこのエコノミック・ステートクラフトの説明というものが正しいかどうかは別として、今委員との間で交わしているその定義というかその概念に基づくものとすると、まず他国の行動変容を迫るというものというよりも、むしろ自らのその考え方、基軸をしっかりと整理をするということに重点が置かれているものというふうに理解しています。
 また、先ほど来、アメリカ、中国、有志国とか、そういうお話がなされる中で、私、重要だと思うのは、永遠の同盟も永遠の敵もいないと、あるのは国益のみと。それはイギリスのパーマストンの言葉ですけれども、もちろん同盟国ですとか同志国というのはその時々において極めて重要だと思います。でも、一番重要なのは我が国の国益ですから、今、エコノミック・ステートクラフトという概念もこの国際社会の中ではいろいろと取り沙汰されることもありますが、我が国が今傾注すべきことは我が国自身の基軸をつくるということだと認識しています。

○大門実紀史君 それで、この甘利さん会長のこのルール議連が要するに何を求めたかということでいいますと、国家安全、日本のですね、国家安全保障局、これは国家安全保障会議の事務局ですね、の国家安全保障局に経済班を設けろというようなことが主張されて、この提言を受けて、このルール形成戦略議員連盟の提言を受けてできたのが国家安全保障局の中の経済班ということだと思います。
 この経済班というのは何の仕事をしているんでしょうか。参考人で結構です。

○政府参考人(泉恒有君) お答えいたします。
 国家安全保障局においては、我が国の安全保障に関する外交政策及び防衛政策の基本方針並びにこれらの政策に関する重要事項に関しまして企画立案及び総合調整をつかさどることとしておりまして、令和二年四月に設置された経済班は、安全保障と経済を横断する領域で生ずる様々な課題に対しまして関係省庁と連携しながら関連施策の推進を行ってございます。
 以上でございます。

○大門実紀史君 具体的に言いますと、今回のこの経済安全、安保法案ですね、この法案を作る作業をやったのが国家安全保障局の経済班のメンバーで、各省庁から優秀なスタッフが集められて今回のこの法案を作ったということであります。
 ですから、申し上げたいことは、このルール形成議連の提言があって、それによってつくられた経済班が今回の法案を策定する具体的な作業を入ったということでありますので、流れとしては、この提言、甘利さんのこのときの提言の流れの中で今回の法案出てきたというふうに普通なら常識的に見られるわけであります。
 もう一つは、次のページに、こちらは、その甘利さん、これも甘利さんか、さっきのルール議連ほどちょっと生臭くはないんですけれど、これ新国際秩序創造戦略本部が出された提言がございます。これはまさに今回の法案を出すべきというふうなことをまとめられた、これ自民党の政務調査会の中にあるあれですかね、戦略本部でございます。これは、岸田さんが当時政調会長だったんで、本部長だったんですかね、で、また甘利さんが座長ということで、小林大臣が事務局長をやっていらしたんですかね、です。
 この本部、戦略本部は何のためにつくられたんですか。

○国務大臣(小林鷹之君) 新国際秩序創造戦略本部、今委員から説明があったことは事実で、二〇二〇年の六月だったと思いますけど、当時、自民党岸田政調会長を本部長とし、甘利議員を座長とする会議体が立ち上がりました。私はそこで事務局長を拝命をして、まさに今日コピーいただいたこの、二回提言書いたんですけど、これ最初の一発目の、一回目のおととしの十二月、これ私、たたき台書きましたんで、主体的に運営、まあ運営に、主体的に運営してきたという自負はございます。
 私自身、五、六年前からこの日本の先端技術の流出に強い危機感を持っていて、当時、甘利議員が自民党で会長を務めていた知的財産戦略調査会というのがあって、そこでその技術流出の防止対策を議論する小委員会を立ち上げて、そこから議論をしてきたんです。
 その議論をしていく過程の中で、今形になっているもの、まだなっていないものありますけれども、経済安全保障というのは、技術はすごい重要な切り口です。でも、それだけではなくて、サイバーセキュリティーがあり、サプライチェーンがあり、あるいはそのデジタル通貨の話があり、インフラ輸出があり、もっと広い間口で、切り口でこの経済安全保障を捉えていく必要があるというふうに考えまして、そういう思いを共有している岸田政調会長、甘利座長とともに自民党の中でこういう会議体が立ち上がったというふうに理解をしておりまして、その目的というのはまさにここに、提言に書かせていただいたとおりなんですけれども、先ほど来申し上げて、もう余り繰り返しませんが、自律性、優位性、不可欠性というものをしっかりと獲得することによって自らの基軸をつくる、他国の動向に右往左往しない国をつくっていく、そういう思いの中でこの新国際秩序創造戦略本部が生まれ、継続したと、キックオフしたということだと考えています。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 ただ、もう時間ないんで細かく触れませんが、先ほどのルール議連ほどではないんですけど、この中にも、やはりアメリカの対中戦略とか、日本は共同歩調をというようなニュアンス、そういう文言があるわけでありまして、私申し上げたいのは、アメリカのこういう問題の議論のときは、中国なら中国という名前をはっきり出して、どこの国というのをはっきり出して率直な議論をしているんですよね。
 今回の議論は、いや、どこかは想定していませんという、こうなるんですけど、まあアメリカは議員立法が多いからそういう率直な議論になるのか分かりませんけれど、やはり何か外側だけなでていて、現場の人たちはもう中国だと思っていますから、企業の人たちはね、そうなったらどうなるんだろうとみんな思っているわけですね。
 そういう点では、国会として、やっぱり法案のこのちょっと抽象的な議論ばっかりではなくって、やっぱり中国について駄目なものは駄目と、アメリカについても駄目なものは駄目というふうな、やっぱり国会でそういう率直な議論をやるべきじゃないかなと思って、これが全部そのアメリカに言われてやっているんだとか、そういう意味じゃないんですよ。いろんな背景があるんじゃないでしょうかと、それに具体的に日本はどう対応するんでしょうかというやっぱりリアルな具体的な議論を国会ならばやるべきではないかと思って、ちょっと先ほどから言っているんですけれども。
 例えば、この戦略本部の提言についても、角南さんが、あの有識者会議のメンバー、角南さんがですね、もうやっぱり述べておられて、中国の技術覇権との関係だと、それで今回の法案も出てきたというようなことを有識者会議のメンバーも話されております。
 それで、参考までにですね、次ちょっと古い資料ですが、付けておきましたけど、そもそも経済安保って何なのと、どう考えるのということで、これは「経済安全保障の確立を目指して」という、当時の通商産業省ですね、通産省が産業構造審議会編で一つの本を出しております。
 ちょっとコピーが、古い本なのでコピーが汚くて申し訳ないんですけれど、随分今と違うなと、経済安全保障の考え方がですね。やはりこのときは、経済安全保障というのはもう、大体、技術というのが人類共同の財産だと、で、技術開発の基本目的というのは人類共同の財産の構築なんだというふうな、だから自由に、余りそういう技術を闘いの材料にすべきじゃないというふうなことが書かれておりまして、私は本当このとおりだなと思うんですね、本来は。これ、時代がたって、今はそんな甘くないとかいろんな話される方いるかも分かりませんが、本来、本来、経済の安全保障とかいうものは、技術というものはこういうものではないのかと思いますので、参考までに付けておきました。
 それで、私が心配するのは、日本企業が非常に大変、国会の議論聞いていて、どこの国の話か分からないと、中国なら中国とはっきり言ってくれと、だったらこれ自分たちも対応できるんだと、そう言わないから何が何なんだと、いざとなったら中国と取引したら何かやられちゃうのかとかいうのがありますので、率直な議論をしたらどうかと思うのが一つであります。
 もう一つは、今日の質問の最後に申し上げたいのは、アメリカにくっついていって今までどんなことがあったかの一つですが、半導体ですね。大臣はもう大変優秀な方だと思いますので、これ通告していないかも、あっ、通告したかな、していないか分かりませんが、半導体ですね、日本の半導体がなぜこんなに駄目になったのか、その原因を大臣はいかがお考えですか。

○国務大臣(小林鷹之君) まず、今いただいた一九八二年の話ですけれども、今からやはりもう四十年も前の話でございまして、その時代の状況を把握する上では有益なのかもしれませんが、やはりそこに書かれていること、そこの時代背景と今の時代背景というものがやはりそこは大きく変わっているところもあるということは認識した上で、政策を現実的に打っていく必要があると思っています。
 半導体の政策、これまで、で、今後、私自身いろいろ考えはありますけれども、半導体政策自身は直接所管していない、経産省、今、萩生田大臣のリーダーシップの下で今やっておりますので、余り私が持論を申し上げることは控えたいと思いますけれども、一般に、その一九八〇年代は世界で売上げがトップだったわけですよね。それが、その競争力を落としてしまったと。今、売上げで見れば、足下では一割を切るような水準になっているという状況です。これは、一般に、一般論として言えば、理由の一つとしては、国際的な共同研究の枠組み、これを構築することができなかった。それで、イノベーション力の向上ですとか販路開拓の面で劣後した。また、これからの課題なのかも、これからも課題になるかもしれませんが、新たなこの市場、そのユーザーサイドの目線に立ったその市場の開拓、そういうことも様々いろいろあったと思います。
 そういう中で、過去の反省も踏まえて、今、経産省を中心に、これ、経済安全保障も重要な話ですけれども、そうした中で、政府が連携をしながら、足下ではミッシングピースであった先端ロジックの製造拠点、これをこれからつくっていくということですけれども、次世代半導体どうするのかとか、先を見ていかなければいけませんので、政府、連携して対応していければと考えています。

○大門実紀史君 これは、私が勝手に言っているのではなくて、いろんな方が日本の半導体について分析をされておりますので、共通するところを申し上げますと、やはりアメリカが日本の半導体を潰したという言い方をする人までいるぐらいであります。なぜかというと、半導体というのはやっぱり軍事技術、産業技術の核、もう一番基礎的なものを成します。八〇年代に世界一だった日本の半導体は、アメリカが、やっぱりアメリカの安全保障を、日本のものを使っているということそのものが脅かすことになるんではないかということがあって、八六年に、一九八六年に、御存じだと思いますが、日米半導体協定が結ばれまして、海外半導体の市場がほかの国に売れというようなことが求められたり、八六年からのこの半導体協定の押し付けによって、日本市場で外国製半導体のシェアが、日本で二〇%に増やせとか、要するにアメリカに増やすなとか、そういうふうなことでかなりアメリカに、アメリカからずっと輸出を受けたんですけど、するなということがあったり、あとは韓国製半導体が日本に進出すると。DRAMですよね、DRAMのようなメモリー生産から日本が撤退すると。
 要するに、始まりは、アメリカがやっぱり日本にそういう軍事、同盟国とはいっても、日本に軍事や産業の一番のこれからの核になる技術をトップ、トップにしたくないと、自分たちが覇権を握りたいということから始まって、日本の半導体はアメリカにたたかれてきたということですね。日本は日本で、その半導体に力を入れるんではくて、もう海外、グローバル化だということで海外生産やると。ITバブルのときは、崩壊したときは、人材を海外に平気で流出させるということで中国が伸びると、台湾が伸びると、韓国が伸びるというような事態を招いたということで、始まりはアメリカが主導権を握らせないということにあったわけであります。
 申し上げたいのは、アメリカというのは、まず半導体でいうと、日本をたたいて、今は、今度は中国が出てきたら中国をたたこうとしているという構造にあると。それが今の一番リアルなこの経済安保、安全保障の世界的な状況だということを踏まえてやっぱりこの法案審議を議論していくということと、やっぱりもう少しリアリティーのある議論をしていくべきではないかと、それが日本の国益につながっていくのではないかということを思います。
 また議論できれば議論したいと思います。今日は時間で、これで終わります。ありがとうございました。

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